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電気航空機の開発開始、コスト減と時短が売り(WEDGE)
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/115.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 4 月 14 日 13:43:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

          ズナムアエロ社のHEA 


電気航空機の開発開始、コスト減と時短が売り
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9354
2017年4月14日 土方細秩子 (ジャーナリスト) WEDGE Infinity

 「航空産業のテスラ」と呼ばれ、注目を集める企業がある。米ワシントン州に本拠地を置くズナム(Zunum)アエロ社だ。CEOのアシシュ・クマール氏はマイクロソフト、グーグル、デル、マッキンゼーなどで経験を重ね、2013年ズナムを設立した。目的は「商業用のHEA(ハイブリッド電気航空機)の製造」だ。ハイブリッドとは電池と化石燃料を合わせたエンジンだが、ズナムが目指しているのは全体のエネルギーの20%をバッテリーからのものにする、というシステム。これにより航空機の騒音は75%、排気ガスは80%カットできる、という。

 クマール氏は予てからHEAは経済全体に大きな衝撃を与えるものになる、と主張して来た。なぜならEVの開発が進み、バッテリー価格は下落する。しかし通常の航空機はジェット燃料に多大な費用をかけ続ける。特に短距離のフライト、例えばサンフランシスコーロサンゼルス間を考えた時、クマール氏は「HEAによるオペレーティングコストは40-80%下落、またエンジン稼働などの時間がかからないため所要時間も約半分になる」という。

 クマール氏にとって、HEAで最も大切な部分はバッテリーだ。現在ズナム社は30を超えるバッテリーメーカーに打診、最適なバッテリーを選定中だが、最終的にはリチウムイオンもしくはソリッドステートが採用されることになるだろう、という。しかし、10−50人乗りの航空機を飛ばすためのバッテリー密度は1キログラム当たり300ワット時だ。現在利用されているバッテリーで最もこれに近いのがテスラモデルSに採用されているものでおよそ250ワット時/キロである。また、テスラ社CEOイーロン・マスク氏も垂直離陸着陸可能(VTOL)なEAの可能性を述べているが、同氏によると大陸横断に必要なバッテリーは400ワット時/キロというハイスペックなものになる、という。

 同様にEAを開発、テスト飛行あるいは商業飛行させている企業は世界中にいくつかあるが、ズナムへの注目がにわかに高まっているのはボーイングとジェットブルー(米のLLC航空会社)が同社に投資した、というニュースが流れたためだ。投資額は明らかにされていないが、数千万ドル単位と予測される。

 ズナムは最終的に50人乗りのHEA航空機を目指すが、実現するのは10年後が目処、という。しかし今後2年以内に10人乗り程度のプロトタイプを製造、飛行テストを行う予定だ。

 航空産業は現在急速に新技術への関心を高めつつある。エアバス社が「空飛ぶ車」の開発のためシリコンバレーに研究開発会社を設立、今年終わりにはテスト飛行を計画している。VTOL型の電池駆動の空飛ぶ車により「都市の交通渋滞を解消、環境にも優しい代替交通機関」を作り上げるのが目的だ。エアバスは他にも超高度ドローンを衛星の代わりに使用する、というゼフィール計画も進行させている。

 この動き、自動車業界が自動運転やEV開発に次々に乗り出しているのとどこか似ている。化石燃料はいつか底をつく。そのため代替エネルギーの利用について今から研究開発を進める必要がある。またドローンなど、空の自動運転は陸上の自動運転よりも進んでおり、この分野でも主導権を他の業界に渡さないため自社の技術が必要だ。航空産業でも自動車産業と同様、例えばバイオ燃料の使用など、様々な試みが行われている。

■航空業界のテスラになる可能性のある企業

 自動車業界ではテスラがEVの可能性を広げ、大手メーカーも追随せざるを得ない状況だが、航空産業ではまだテスラのような企業は生まれていない。しかし米フォーブス誌などがズナムを冒頭のように「航空業界のテスラになる可能性のある企業」として取り上げており、今回の大手による投資でその可能性は非常に色濃くなっている。

 現在1人あるいは2人乗りのEAは存在するが、商業レベルで50人乗り、というのは実現すれば世界初となる。実現への壁はまだまだ高いが、EAの大きな問題とされるのが速度の遅さだ。エアバスが開発した2人乗りEAでも最高速度は130マイル時程度。この速度は車でも達成できる。これを克服するためにズナムではハイブリッドシステムを採用し、ジェットエンジン飛行機と変わりない速度の実現を目指している。

 2年後にズナムがどのようなプロトタイプを製造するのか。他の航空機製造業社も同様にEAの商業用航空機の可能性を今後追求し始めるのか。今回の投資話で注目すべきはLCCのジェットブルーの参入だ。比較的短距離を結び、大手航空会社によるサービスのニッチ市場を狙うLCCにとって、オペレーティングコストを下げることは経営上大きな意義がある。他のLCCの動きとも合わせて、今後ますますHEAへの注目が高まりそうだ。


 

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