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中古マンションの価格査定を行うと、最大で9億円値上がりした物件がある一方、最大で2億円値下がりした物件もある。その「格差」は実に10億円超となる
中古マンション価格変動ランキング、「最大格差10億円超」の明暗
http://diamond.jp/articles/-/124645
2017.4.13 沖有人:スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント ダイヤモンド・オンライン
スタイルアクトが運営する「住まいサーフィン」の中古マンション価格査定は、毎年2万件使われている。会員数は20万人を超えたため、売却を検討する人も増え、査定件数はほぼ10万件になった。自宅の価格査定は無料会員制の住まいサーフィンで瞬時に判明するので、不動産業者に相談するまでもない。
今回これを分析してみたら、想像以上の結果で10億円もの差が生まれていた。マンションは値上がりもするし、値下がりもする。その明暗の分かれ目はこれまでも「7つの法則」として述べてきたが、それ以外にも一部に当てはまる法則がここには強く影響している。今回は実マンション名を出して、そうした法則を検証してみよう。
アベノミクス以降、
中古価格は約3割上昇
(出典)住まいサーフィン
アベノミクス以降、中古価格は上昇している。その上昇率は約3割になる。それは「査定年別平均騰落率」でわかる。査定データはその時点の情報から査定しているので、アベノミクス前の2012年から2017年の間に27%ほど上昇していることがわかる。この5年間に、物件は古くなっているにもかかわらずである。
築年ごとの下落率が2%なので、5年で10%分をこれに足したら37%になる。そのくらい値上がりしているので、含み益を出している人は非常に多い。この含み益の定義を購入価格より値上がりした価格とすると、2017時点で9.4%も上回っている。これはマンションを購入すると、入居後無料で住みながら、売却時にキャッシュが増えるという資産形成をしていることを意味している。
上記で見るように、2016年以降は安定しているので、このデータをサンプルにして話を展開することにする。まず、資産形成した額の総額を計算すると5600億円になった(これはこの査定を行った人が2017年まで所有していたと仮定している)。購入者の中で売却を検討する人は毎年2%ほどなので、5年で10%になる。まだ売る気もなく査定を行っていない人がこれの10倍ほどいると想定すると、住まいサーフィンの会員総数の含み益の総額は5兆円を越える。つまり、資産インフレすることは持ち家の世帯には不労での資産形成を可能にしている。
毎年の供給戸数が減少基調なのに対して、ストックは増えていく。供給戸数が6万戸に対して、ストックはその100倍の600万戸超存在するのだ。そんな中で、資産インフレ基調は望まれる政策だと考える。実際、昨年の首都圏分譲マンション市場が分譲価格×供給戸数で2兆円弱なので、これをはるかに上回る資産インフレとなっている。
儲かった物件は価格が2倍
以上になっている
◆図表2:騰落率ランキング(上位30)
(出典)住まいサーフィン
査定は成約ベースの取引価格で算出している。新築時価格よりも2倍になった物件が1件ある。これは東京都の土地を定期借地権で売り出したタワーマンションで、相場が上昇している中にあって、最初から格安ですごい倍率がついた。総戸数809戸に対して最高倍率378倍、平均倍率17.65倍で即日完売となった。
ちなみに、この販売に要した広告はHP1枚だけで、5年以内の転売が禁止されたほどだ。この物件は例外としても、2位の物件はJR横浜駅に隣接するタワーマンションで、97%値上がりしている。ターミナル駅に最も近いタワーマンションは鉄板のように高い資産価値を示す代表例である。
これと同じ属性は豊洲シエルタワー、サンウッド三田パークサイドタワー、ワテラスタワーレジデンス、白金タワーなどで、上位30の約半数をタワーマンションが占めている。この傾向は近畿圏でも同じであり、グランフロント大阪オーナーズタワー、ザナンバタワーレジデンスインナンバパークスがこれに当たる。
これ以外で特筆すべきは、アールヴェール河原町二条のように、京都の中心地は稀少性が高く、物件価格が高止まりする傾向にあることだ。このほか、1位のシティタワー品川のように、定期借地権マンションであっても立地が優れて割安で販売された場合は値上がり幅が大きく、ザ・パークハウス渋谷美竹はそのパターンにはまっている。
この物件は新築販売時の売れ行きが悪く、苦戦していたのが今見ると不思議なくらいだ。新築時4000万円台のマンションが3000万円も値上がりして7000万円になるようなことが現実に起きていることは、認識しておいた方がいい。
◆図表3:騰落額ランキング(上位30)
(出典)住まいサーフィン
次に、値上がりした額でランキングすると、もっと驚愕の事実がわかる。1位のザ・ハウス南麻布は、セゾングループの迎賓館として使用されていた米荘閣の跡地のマンションであり、金額では平均2.2億円の値上がりをしている。このほか、都心の高額物件で軒並み1億円以上値上がりしている物件が5件ある。宝くじで1億円を当てるのは確率が低過ぎるが、マンションの場合は法則性が明確なので比較的容易にできてしまう。
麻布・青山・番町・千鳥が淵などのアドレスで、高額物件としての造り込みが価格相応のものになると、このように希少価値が生まれ、ヴィンテージマンション予備軍となる。ちなみに、最も値上がりした住戸は新築時10億円が19億円になったアークヒルズ仙石山レジデンスの上層階の400m2超えとなっている。
購入時から価格が4分の1に下落
してしまったマンションも
◆図表4:騰落率・騰落額ランキング(下位3)
(出典)住まいサーフィン
ランキングの下位になると、様相は一変する。物件名は避けるが、場所だけがわかるように物件名を一部省略したのが以下の一覧表だ。最下位の値下がり率は75%なので、価格は4分の1になっているし、2500万円以上値下がりし、数百万円で売買されている。こうした物件はアベノミクスでやや価格が上昇しているので、一時的に新築時の10分の1になった時期もある。
最も値下がりした物件が浅草にある。バブル期に3億円ほどで新築分譲されたが、今では1億円を割り込み、都心部以外では「億ション」が成り立たないことの証明となっている。値下がり率はなんと7割となっている。値上がり益の最高は9億円なのに対し値下がりは2億円なので、その差は11億円に及ぶ。
(出典)住まいサーフィン
首都圏の中古価格をインデックスにすると、以下のグラフのようになる。このデータは同じ物件の価格推移を表しているので、1年後は築1年増えている。2004年1月を基準にしているので、その当時に購入した物件は築年で12年経過しているにもかかわらず、購入価格の5%増しで取引できていることが読み取れる。築年下落率が年2%なので、2%×12年+5%=29%(約3割)相場が値上がりしていることになる。
こういう状態になっているのは、2013年からのアベノミクス以降、相場が上昇してきたからであるが、1年ほど前から頭打ちが鮮明になっている。山に例えると現在は9合目付近であり、これ以上上がることは考えにくく、今後は築年に応じて緩やかに中古価格が下落する可能性が最も高いと考えている。価格が下がり始めるならば、「そろそろ売り時か」と考えてもいい時期だと思う。
売却を検討するなら
調べるべきことは2つ
かく言う筆者も、そろそろ自宅の売却を考え始めている。と言うのも、含み益が4000万円を超える水準に達しているからである。その前の自宅について、含み益を4500万円出して売却していることは、過去に当連載で書いた。2回で約9000万円の値上がり益はアベノミクスの金融緩和の影響も大きく、十分に活用することができた。
1回目の益出しから2年以上経過したので、また自宅の含み益の無税枠3000万円が使える状態になっている。この自宅だけの特例は1人で3000万円なので、夫婦2人ならば6000万円まで無税になり、2年おきに利用することができる。私の場合は子どもが巣立ち始めているので、ダウンサイズを考えている。そうなると、含み益だけでなく、ダウンサイズして買い替えた分の資金が手元に残るので、生活の自由度が上がる。
読者諸氏が売却を検討するなら、調べるべきことは2つある。1つは今いくらで売れているかであり、これは住まいサーフィンを使えば無料で知ることができる。もう1つは住宅ローンの残債である。銀行からローン返済表をもらっているはずなので、確認しよう。実際に手元に残る金額は、「値上がり益+元本減少分−販売諸経費」になる。これを把握した上で、引越しを検討するだけでもしてみたらどうだろう。
(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)
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