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東芝を支えた人々の証言 社員とOBの愛と憎しみ〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170412-00000027-sasahi-soci
AERA 2017年4月17日号
沈まぬはずの“電機の巨艦”が1兆円超の巨額損失の渦に飲み込まれようとしている。原因は原発事業の失敗だ。成長期や昭和のニッポンを力強く牽引し、明日は今日より豊かな生活をもたらした名門企業で、一体何が起こったのか。そのとき社員や関係者は何を見て、どう感じたのか。そして何が元凶だったのか。AERA 2017年4月17日号では「苦境の東芝」を大特集。関係者証言やジャーナリストの分析で全貌に迫った。関係者証言やジャーナリストの分析で全貌に迫った。
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知人友人に尋ねるのは当然のこと、東芝社員が集まるスナックがあると聞けば足を運び、社員寮を見つければ手紙を投函した。東芝凋落の潮目を、現場はどう感じているのか。証言を拾うことで、企業ガバナンスの教訓が得られると考えた。
メディアの取材攻勢により、東芝社内では取材に応じないよう社員に指示が出ていることは複数から耳にした。AERAが取材した社員や関係者は問題意識を持ちながらも、東芝に対してある種の誠実さを貫いているように見えた。
世界ナンバー1シェアを誇った「ダイナブック」を生んだ青梅事業所が3月、閉鎖した。かつての活況を元幹部にどうしても聞きたかった。取材に応じてもらうには、誠意を見せるしかない。足を運んでいることを証明するため、郵送ではなく、2日続けて手書きの手紙を投函した。3日目に非通知で電話があった。
「まだ頑張っている仲間がいる。東芝を悪く言いたくない」
経営幹部の暴走により始まった東芝の凋落。リストラやボーナスカットなど、そのしわ寄せは現場が受けている。愚痴の一つでも言いたくないのか。
現役社員ならまだしも、OB・OGや東芝が2015〜16年に行ったリストラですでに退社した社員まで口は堅かった。
事業の売却や工場閉鎖などに伴い、東芝では今後もリストラが数万人規模で進むとも考えられる。電機・情報ユニオン書記長の森英一さんは言う。
「リストラなどがあっても、富士通と日立に比べ、東芝の従業員からの相談数は圧倒的に少ない。社風なのか、口をつぐんでいる印象です」
3月30日、午前7時半。臨時株主総会の会場に一番乗りしたのは、OBの男性(70代)だった。凋落の原因をこう語った。
「西田(厚聰元相談役)が東芝をダメにした。リーマン・ショックで巨額の赤字を出し、社長辞任以降も、影響力を持ち続けた。自分に近い出世レースから落ちていた田中(久雄元社長)を社長にしたのは呆れた。経営陣を総入れ替えしなければ、東芝は立ち直らない」
4月6日朝、西田元相談役を自宅前で直撃した。東芝は西田氏を含む旧経営陣5人に計32億円の損害賠償を求めている。西田氏は言った。
「申し訳ないが、東芝と係争中のためコメントはできない」
車に乗り込む間際、隣にいた夫人が言葉を添え、頭を下げた。
「東芝をよろしくお願いします。社員はみな真面目で、頑張っています」
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