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グローバル・マクロ・ウォッチ 配信日:2017年4月10日
チーフ・ストラテジスト広木隆によるグローバル・マクロ解説をお届けします。
米国雇用統計と市場の反応
2017年3月米国雇用統計サマリー(予想:Bloomberg)
非農業部門雇用者数前月比:
9.8 万人増(予想18.0 万人増)
失業率:
4.5%(予想4.7%)
平均時給:
前月比0.2%増(予想0.2%増)
前年比2.7%増(予想2.7%増)
労働参加率:
63.0% (予想 63.0%)
先週の金曜日に発表された雇用統計の結果については上記サマリーの通りである。すでにメディアその他の報道やレポートで周知のことと思われるので、ここでは雇用統計の詳細に触れることはしない。そもそもエコノミストでない僕が、雇用統計について語ることができるとすれば、マーケットのリアクションについてであろう。先週の雇用統計は、まさにそれを語るにふさわしい(?)ような数字が出た。
ヘッドラインのNFP(非農業部門雇用者数)が伝わったときは、さすがに目を疑ったが、一部で今回のNFPは天候要因でぶれやすいとの観測もあったので、それほど大きな驚きではなかった。僕が驚いたのは、マーケットが驚かなかったことである。
僕が想定している雇用統計イベントで売買する為替マーケットのプレーヤーというのは、半分が「確信犯的に」(つまり承知のうえで)数字だけに反応して売買するトレーダー、残りの半分が「機械」、すなわち文字通り、マシーン・ラーニング(機械学習)をするAI運用、アルゴリズムを組み込んだCTA、HFT(高速高頻度取引)などで占められているという認識であった。そうであるなら、今回のNFPには、もっと激しいマーケットのリアクションがあって然るべきと思ったが、実際は下記のグラフの通り、瞬間的には反応したが、それもたかだか50銭程度、その後すぐにマーケットは売られたドルを買い戻す方向に動き、発表後20分でもとの水準に戻ってしまった。
雇用統計発表前後の米ドル/円の値動き
(出所)Bloomberg
確かに今回の雇用統計はすでに報道されている通り、弱い内容ではない。労働参加率が変わらないなかで失業率は4.5%と前月より0.2ポイント低下し、2007年5月以来9年10カ月ぶりの低水準となった。NFPの増加幅は市場予測(18万人)を大幅に下回り、昨年5月以来10カ月ぶりの低水準となったが、上述の通り天候による特殊要因の影響があるうえ、3ヶ月平均でみれば17.8万人と極めて良好な数字だ。
だがしかし、こうしたことは発表からしばらく時間が経って冷静になって言えることではないか。NFP 9.8万人と出た直後がドルの安値で、もみあったのが5分足らず、その後はじりじりと戻しに入っている。ヘッドラインの数字だけに反応するプレーヤーの行動にしては、冷静になるのが早過ぎないか。
仮説のひとつは、AIがそこまで学んだ、ということだろう。NFPの予想との乖離でポジティブ・サプライズ/ネガティブ・サプライズを判断して単純に売り買いするレベルではもはやないのかもしれない。だとすると、それは相場にとっては歓迎すべきことであろう。人間のプレーヤーにとっては別であるが。
3月17日付のストラテジーレポートで引いた言葉を再度、掲げておこう。 「ニュースは重要ではない。市場がニュースにどう反応するかが重要なのだ」(ジョセフ・グランビル 「グランビルの法則」で有名なアナリスト)
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過去のレポート
2017年4月10日
米国
米国雇用統計と市場の反応
2017年4月5日
米国
米国雇用統計 − ハードデータの強さを示せるか
https://info.monex.co.jp/report/macrowatch/index.html
IMF:労働分配率の低下は技術進歩が最大の理由−WEO分析部分
Andrew Mayeda
2017年4月10日 22:00 JST
国際通貨基金(IMF)は10日、国民所得のうち労働者が得る所得の割合が減っている最大の理由は技術の進歩にあるとする新たな研究論文を公表した。
論文は世界経済見通し(WEO)分析部分の一部として公表されたもので、世界主要50カ国中29カ国で労働分配率が1991年から2014年の間に低下したと指摘。「大多数の国で労働分配率が変化した最大の要因は技術だ」との見解を示した。世界経済の成長予想を含むWEO全文は18日に公表される。
国民所得のもう一つの主要構成要素は資本所得で、賃金の伸びが生産性より鈍い場合は、資本の所有者がより急速なペースで生産性向上の果実を得ることから、労働分配率が低下する。少数の人の手元に資本が集中する傾向があるため、そうした状況では所得格差が悪化するケースが多いと、IMFはブログで付け加えた。
エコノミストの間では賃金の数十年にわたる伸び悩みの原因が議論されており、トランプ米大統領は中国やメキシコなどの国との貿易が米国の労働者に打撃を与え、米製造業の空洞化の原因だと批判しているが、IMFの論文は技術がより大きな要因だとの考えを示唆。労働分配率低下の約半分は技術の影響に帰することができると論じた。また、情報通信技術の急速な進歩が定型業務の自動化を加速させ、労働力の代わりに資本を活用するよう企業に促していると分析した。
原題:Technology Leaves Workers With Shrinking Slice of Pie, IMF Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-10/OO6JNX6JTSEE01
貿易の衝撃に備え各国政府は労働者保護の政策を−IMFなど呼び掛け
Andrew Mayeda
2017年4月10日 21:00 JST
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世銀とWTOと共に世界貿易に関する報告書を発表
各国政府は取り残された労働者を保護する必要
世界の各国政府は貿易関連の衝撃から労働者を守る措置を検討するべきだ。国際通貨基金(IMF)などが10日公表した世界貿易に関する報告書で呼び掛けた。
IMFと世界銀行、世界貿易機関(WTO)は、貿易による負の影響から各国が労働者を守る政策を取ることが重要だと指摘した上で、失われた賃金の補償などを挙げた。「適切な政策によって、各国は貿易がもたらす素晴らしい恩恵にあずかるとともに、取り残された人々を引き上げることができる」と論じた。
原題:IMF Says Workers May Need Wage Subsidies to Cushion Trade Shocks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-10/OO6RKP6TTDS201
欧州市場の主要指標11時半 円111円台前半で反落 材料難で方向感欠く 欧州株は下落
2017/4/10 19:46
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【NQNロンドン】10日午前のロンドン外国為替市場で、円の対ドル相場は、東京市場での円売り・ドル買いの流れを継いで反落して始まった。英国時間11時半時点では、前週末16時時点に比べ50銭円安・ドル高の1ドル=111円20〜30銭で推移している。軟調な欧州株を背景に円の下値は底堅い。もっとも、特に目立った取引材料は見当たらない中、相場の方向感は出にくい。
英株価指数FTSE100種総合株価指数は同11時半時点で、前週末終値に比べ0.08%安で推移している。小幅高で始まった後、石油株を中心に売りがやや先行している。
欧州各国の主要株式市場は総じて下落している。
ロンドン原油市場(ICEフューチャーズ)で北海ブレント先物相場は6日続伸の1バレル=55.65ドル付近で推移している。ロンドン地金市場協会(LBMA)の金価格は前週末比0.08%安の1トロイオンス=1252.51ドル前後で小幅下落。ロンドン金属取引所(LME)の銅先物相場も下落。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGR10H34_Q7A410C1000000/
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