http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/770.html
Tweet |
米EV市場テスラ一人勝ちも高まる内憂外患
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9326
2017年4月8日 土方細秩子 (ジャーナリスト) WEDGE Infinity
GMのシボレー「Bolt」が売れていない。シボレーには「Volt」というプラグインハイブリッドモデルもあり、こちらはそれなりに好調なのだが、EVであるボルトは苦戦している。
■テスラキラーの現在地
ボルトはGMが「テスラキラー」として開発した車で、価格は3万7495ドルから。現在米連邦政府は無公害車に対し7500ドルの税控除を行なっているから、ユーザーの実質価格は3万ドルを切る。これはテスラが今年後半にも発売予定の「モデル3」に十分対抗できる価格だ。
ところが、である。今年1〜3月の販売台数合計は3092台(Inside Evs調べ)で、EVとしてはトップのテスラモデルS(6100台)の半分程度だ。1月こそ1162台売れたが、2月と3月は1000台を切っている。
■EVは46%の増加
EVやプラグインハイブリッドそのものが売れていないわけではない。今年1〜3月の米国内の販売台数合計は4万729台で、昨年同期間の2万7841台から46.3%も増加している。
EV量産時代をリードする、と期待され、モータートレンド誌の2017年カー・オブ・ジ・イヤーにも選ばれ、自動車雑誌のテストドライブ記事も概ね好意的だ。なのに実際の売れ行きが伸びないのはなぜか。しかもボルトは1回の充電で238マイル(約383キロ)の走行が可能で、これはテスラ以外の全てのEVを大幅に上回っているのだ。
■突出したテスラの販売台数
しかし、見方を変えればボルトの売れ行きは「ごく普通」とも言える。同時期の日産リーフは3287台でほぼ同等、フォード・フュージョン・エネルギが2445台。あとは全て2000台以下に止まる。逆に言えばモデルS、Xを合わせて1万台以上売り上げたテスラが突出しているだけだ。
ここにEVの抱える問題点が見える。テスラが売れるのは「専用EVチャージステーション」を持つためだ。しかもS、Xはこれを無料で使える。しかしボルトを始め普通のEVが使える公共のチャージステーションはまだまだ少ない。
シボレー「Bolt」(GM)
あるボルトオーナーのブログでは、北カリフォルニアから南カリフォルニアまでを走行した記録が綴られていた。ガソリン車なら5、6時間ほどの距離だ。ところが高速で走行すると238マイルのはずのボルトの継続走行距離はどんどん縮み、100マイル程度になった。充電ステーションは限られ、1回の充電に30分から1時間かかるため、ボルトでは11時間半かかった、という。またこの間の充電料金は88ドルで、同じ距離を走った場合のガソリン代と変わらない。
つまり道路インフラがEV大量生産の時代の実情に追いついていない、と言える。もう一つの理由は、今年後半にデリバリーが始まる予定のテスラモデル3に40万台もの予約が入っている、という点だ。3万ドル台のEVを購入しようという人の多くがテスラに予約を入れてしまったため、ボルトには興味を持たない実情がある。
■オーバーキャパシティーの懸念
ただしこの先ボルトに希望がないか、と言えばそうでもない。全てはテスラモデル3の出荷状況にかかっている、とも言える。現在でさえモデルXは予約から2年経ってもデリバリーされていない人が多く、顧客はテスラに対し不満を持ち始めている。そこに40万台のオーダー、というのはどう考えてもキャパシティオーバーだ。
テスラでは今年2月、従業員が「労働時間が長く、労働環境は危険で、その割に収入が低い」とUAWに訴え出る、という騒ぎがあった。実際テスラでは1日3時間以上の残業は普通で、従業員の入れ替わりが激しいと言われる。テスラは「社内に組合を作ろうというオルグ活動」と声明を出したが、テスラの従業員の時給は17〜21ドルで、UAW組合員の平均25.58ドルを下回る。
量産体制に向け工場労働者を今までの1.5倍に増やす取り組みを行っているテスラだが、こうした社内の不満が募れば業務に支障がでる可能性もある。これまで年間3-5万台程度を作っていた企業がいきなり10万台以上を量産するのは容易ではない。
モデル3の出荷状況次第では予約を取り消し、次善の策としてボルトに乗り換える顧客が増えるかもしれない。来年以降の状況次第で、ボルトにはまだ可能性がある。しかもメーカーがGMシボレーだけに、量産が間に合わず顧客を待たせることもない。
■EV優遇政策が撤廃される可能性
唯一の懸念は、モデル3やボルト登場により盛り上がりかけているEV市場に水を差す動きがあることだ。まず連邦政府だが、EPAの規制緩和と共にこれまでのEV優遇政策が撤廃される可能性が高い。現在一台7500ドルの税制優遇による実質的なインセンティブがなくなれば、EVを購入するメリットが減る。また、カリフォルニア州は3月29日、EVオーナーに対し年間100ドルの「道路使用税」徴収に踏み切る法案を提出した。道路補修費は主にガソリン税が使われるが、ガソリンを使わないEVもまた公共道路を使用する点では同じ、という観点から導入が目指されている。
これが安価なEV販売、EV大量生産にどのような影響を与えることになるのか。2030年には州内で販売される車の4割を無公害車に、という目標を掲げるカリフォルニア州だが、そのためのインフラ整備、道路整備の財源をどこから持ってくるのかという課題もあり、今後の連邦政府、州政府、そしてメーカーの駆け引きが盛んになりそうだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民120掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。