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完全失業率ついに3%割れ!それでも日銀が金融緩和をやめない理由 インフレ率は一向に上昇せず…(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/715.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 4 月 06 日 15:50:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


完全失業率ついに3%割れ!それでも日銀が金融緩和をやめない理由 インフレ率は一向に上昇せず…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51387
2017.04.06 安達 誠司 エコノミスト 現代ビジネス


正確には「2%台が定着」

3月31日に総務省から発表された2月の労働力調査はある意味、衝撃的であった。完全失業率が2.8%にまで低下したのだ。

この総務省発表の公表値(ヘッドライン)で完全失業率が3%を割り込んだのは、1995年1月の2.9%以来である。ただし、総務省の公表値は小数点第二位が四捨五入され、数字が丸められている。

正確に計算すると、2月の完全失業率は2.848%だったが、1月は2.954%で、実は1月も3%を割り込んでいた(昨年10月も同2.992%で3%を割り込んでいた)。従って、完全失業率が初めて3%割れしたというよりも、「2%台が定着しつつある」と言った方がよいかもしれない。

業種別にみても、低賃金で離職者も多かった医療・福祉関連も増加傾向にあり、状況が大きく変化しつつある。このところ、就業者増が顕著なのは、建設業、及び、卸小売業、教育・学習支援業といったところである。

また、「地位的就業者数」をみても、臨時雇、有期契約で就業者数の減少、ないし、増加幅の低下がみられ、代わって、無期契約の増加数が大幅に増えている(もちろん、正社員の増加が著しい)。

以上から、日本の雇用環境は量質ともに改善を続けていると言えよう。

ところで、日銀の黒田総裁もよく言及していたように、これまで、日本の自然失業率(完全雇用の状態でも産業構造や人口構成などの「構造要因」から生じる失業率)は3.5%程度とみられていた。だが、2014年11月以降、日本の完全失業率は3.5%を下回っており、低下トレンドを続けている。



日本の雇用環境については様々な議論があるが、少なくとも「完全失業率が3.5%に到達した段階で日本経済は完全雇用を迎える」という見方は誤りであった。

従来であれば、完全失業率が3.5%に到達した段階で、日本銀行は、完全雇用到達で将来のインフレ懸念が台頭したとして、金融緩和の段階的な縮小(テーパリング)、もしくは2006年の量的緩和解除のケースを思い起こせば、かなり早いペースで「金融政策の正常化」に移行していたかもしれない。

そう考えると、現在の日本銀行が緩和姿勢を維持している点は評価してよいだろう。

企業の「レジーム」も変わりつつある

ところで、この完全失業率の低下は、その多くが「アベノミクス」、中でも特に日銀の現体制下での金融緩和に伴うデフレ圧力の縮小によってもたらされた、と解釈してよいだろう。

確かに、タイミング的に、団塊世代の引退の時期に重なったという「幸運」もあったかもしれない。だが、この「団塊世代の引退」という日本経済にとっての一大イベントは、人口構成の変化から事前に予想可能であり、2013年以降に突然のサプライズで出てきたわけではない。

だが、2013年まで、日本企業はほとんどこの問題に対応してこなかった。理由は簡単である。2012年までの日本経済は長期デフレの真っ只中にいた。この長期デフレの局面で、日本の中長期的な予想実質成長率も大きく低下したためである。

デフレによる物価の下落に加え、将来的な実質成長率の低下によって、多くの企業が「日本国内でのビジネスは縮小していく」と考えざるを得なくなる。そのため、企業の経営者は、団塊世代の引退にともなう雇用減を若年層の新たな雇用によって補充しよう、あるいは将来の成長のために若年労働力を確保しよう、というインセンティブを失っていたのであろう。

それが、2013年以降、「アベノミクス」の発動によって、デフレが解消するかもしれないという見通しに転換したことで、企業の雇用における「レジーム」も変わった可能性がある。

多くの日本企業は同業他社の動向を絶えず気にしており、右にならえの行動をとりがちなので、従来は、それ以前から実施しておくべきであった人員補充を多くの企業が一斉に始めたのではなかろうか。そして、それが、このところの「人手不足」につながっているのではないかと推測する。

以上のような要因は、本来であれば、構造的な労働需要増の要因かもしれないが、デフレ解消の希望が出てきたところで動きが加速したという点では、「デフレ期待の払拭」の効果といっていいかもしれない。

日本経済は「金融引き締め」に耐えられるか

ところで、このような雇用の持続的な改善は確かにいいことばかりだが、やや気になることがある。

先ほど、雇用の改善はほぼ「アベノミクス」、特に金融政策の効果が大きい点を強調したが、この雇用の改善が将来の金融政策にどのような影響を及ぼすかである。

心配なのは、今後、完全失業率がさらに低下し、2.5%程度まで低下していく過程で、金融政策の「出口論」が台頭してくることである。すなわち、問題は、この「2.5%」の完全失業率が、出口政策にともなう事実上の「金融引き締め」に耐えられる経済状況であるか否かである。

筆者は、現時点で、それを正確に把握する経済分析ツールがないのではないかと危惧する。そのため、完全失業率の水準による政策判断が成功するか失敗するかは「賭けのようなもの」ではないかと考える。

例えば、完全失業率や労働需給の指標(日銀短観の雇用人員判断DIなど)とGDPギャップ(マクロ経済上の需給ギャップ)は、過去においては連動して動いており、完全失業率の低下や労働需給の改善は、そのまま景気回復(場合によっては景気過熱)のサインとなった。だが、これらの関係は2013年以降、崩れてしまっている(図表1、図表2)。

  

  

これまで、労働需給の逼迫は同時にGDPギャップの改善をそのまま意味することが多かったが、2013年以降をみると、両者の関係は希薄になっている(GDPギャップと完全失業率の関係をみても同じ)。

また、インフレ率と完全失業率の関係を示す「フィリップス曲線」を見た場合、2013年1月以降の動きは、デフレ解消のパターンと異なる(図表3)。

  

完全失業率は大きく改善しているが、インフレ率(ここでは、コアコアCPI前年比上昇率をとっている)は低下している。しかも、この「フィリップス曲線」をみると、現在の完全失業率の下でのインフレ率は、現在の0.1%から2.8%まで大きく散らばっており、状況が把握しにくい(何らかの要因で過去も含めフィリップス曲線が大きくシフトしているのであろう)。

さらに、日本の場合、デフレが本格的に始まった1998年以降、労働参加率が大きく低下していることがわかる(図表4)。これも、長らく、高齢化などの構造的要因で片付けられることが多かったが、「アベノミクス」が始まった2013年以降、底打ちから上昇に転じている。

  

確かに構造要因による低下は否定できないが、これは、デフレの長期化による「労働意欲喪失者(非労働力人口に分類される)」が労働市場に戻りつつある可能性を示唆している。

今後は、この労働参加率がどの程度まで上昇するかも考慮しなければならない。



まだ過大評価すべきではない

以上より、完全失業率が一方的に低下していることのリスクは、現在、一向に上昇する気配のないインフレ率についての見通しが、この「完全失業率の3%割れ」によって、楽観的なものに変わることである。

現に、日本のインフレ率は、為替レートと原油価格動向に「適合的」に動くとの認識をもとに、年央にかけて前年比1%程度まで上昇するというのがコンセンサスになりつつあるが、これもよくわからない(ここ数年、毎年同様のことが言われているような気がするが、一向に実現していない)。

円安と原油価格の底打ち反転の効果はそろそろ出てもいいはずだが、2月の時点では全く出ていない。また、一種の資産価格である為替レートと原油価格を高い精度で的中させる手法は存在しない。

これまでの日銀の金融政策スタンスを見る限り、まずないと思うが、筆者は、完全失業率の3%割れが「デフレ解消」の象徴として加わることによって、「インフレ率の数字は当てにならない」ということになって、事実上、「インフレ目標の放棄」という事態になってしまうことが心配である(場合によっては、独自に「真のインフレ率は上がっている」という指標を作るかもしれない)。

FRBが利上げに前のめりになりつつあり、しかも、欧州ではインフレ率が急上昇しており、ECB内にもテーパリングや出口政策の思惑が出始めている状況でもあり、心配性すぎるきらいもあるが、筆者は、完全失業率の低下は喜ばしいことではあるとしても、過大評価すべきではないと考える。


 

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コメント
 
1. 2017年4月06日 17:39:31 : MpDEIVgNks : 5Q94bm6tEZA[152]
>ところで、この完全失業率の低下は、その多くが「アベノミクス」、中でも特に日銀の現体制下での金融緩和に伴うデフレ圧力の縮小によってもたらされた、と解釈してよいだろう。

論者は単に金融緩和を良しとしているだけで、そのため出口論は好まず、早期の金利上昇を懸念している。
失業率の低下が日銀の現体制によるとしているが、それならばとっくの昔に黒田が期待していたように生じていたろう。単に徐々に低下してきたに過ぎない。国際経済が以前よりも好ましいと感じられるようになっていること、財政を膨張維持させ続けていることの結果に過ぎないと思う。 現政権のよいしょ記事でしかなく、展望解説が見られない。


2. 2017年4月06日 18:49:02 : MpDEIVgNks : 5Q94bm6tEZA[153]
(参考)「完全失業率3%未満の日本」という幻。政府の嘘とカラクリを暴け=三橋貴明 2017年4月4日

日本の完全失業率が3%を切ったのは、アベノミクスのおかげではありません。人口構造の変化により雇用環境が改善している風に「見える」としか説明のしようがありません。
2017年2月の就業者数は、ほぼ1年前の水準に戻ってしまっています。就業者数が減り、同時に失業率が改善した。日本で雇用が伸びている産業は、医療・福祉「のみ」といっても過言ではない状況なのです。
http://www.mag2.com/p/money/167311


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