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てるみくらぶ山田千賀子社長
旅行業の倒産では戦後4番目の規模…「てるみくらぶ」の危機、2年前から前兆
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170328-00010010-abema-bus_all
AbemaTIMES 3/28(火) 16:40配信
27日、格安海外ツアーで知られる旅行会社「てるみくらぶ」が東京地裁に破産を申請した。負債額は約150億円。旅行会社の倒産としてはリーマンショック後、最大の規模。9万人に上る可能性があるという旅行者への全額返済は厳しいとみられている。同社をめぐっては、24日頃から「航空券の発券システムが利用できない」「ホテルの予約がキャンセルされている」などの苦情が相次いでいた。
山田千賀子社長は会見で「お客様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしまして誠に申し訳ございませんでした。皆様に深くお詫び申し上げます」と謝罪。
観光庁には20件以上の相談が寄せられ、立ち入り調査の結果、現在、同社が主催するツアーを利用してハワイや韓国、イタリアなど38の国や地域に渡航しているのは約2500人だという。帰国便については航空券がすでに発行されているため問題はないとする一方、山田社長は「本日以降渡航されるご予定のお客様におかれましては、未払い債務を支払うことができないため、お客様がご利用できない可能性が極めて高い状態にあり、弊社としては渡航者の安全確保の観点から渡航されないことを強くおすすめさせて頂いております」と話した。
東京商工リサーチの友田信男・情報本部長
「昨年5月には支払いが遅れ、8月にはグアムの事務所を閉めたという話も出ていた」
東京商工リサーチの友田信男・情報本部長は「旅行業の倒産でいうと、151億円という負債額は戦後の4番目の規模。旅行代理店はあまり倒産しないので、この業界ではかなり大きい問題と言って良い」と話す。
同社は1998年の設立以降、格安旅行会社として成長。インターネットでの販売に影が見られたため、約2年前から新聞広告に力を入れ始めたというが、そうした広告費がかさみ、資金繰りがうまくいかなくなった結果、航空会社や宿泊先などの取引先に支払いができなくなったという。
山田社長は会見で「本当に申し訳ないと思っておりますが、詐欺を働くとか、そういうことは毛頭考えておりません。23日の支払いの時間まで(未払い債務を支払う)努力をしましたが、結局届かず、どんどん悪くなってしまった」と説明した。
友田氏は「一般的には企業が倒産する時には、事業を何とか盛り返そうとする一方で、最悪のことを想定して倒産の準備、法的な手続きの準備を進めるというのはよくある。今回は最後の最後で資金繰りがつかなかったので、破産を申請したのだと思う」と推測する。「同社は2年前から業績を公表しなくなっていた。昨年の5月には支払いが遅れたという話が出始め、8月にはグアムの事務所を閉めたという話も出ていた。おそらく、2年前から経営的には厳しくなっていたと思う」(友田氏)
同社は先週火曜日の時点でもツアーの新聞広告を出していた。友田氏は「若いお客様を中心にインターネットで集めていた。中高年の方には馴染みが薄いかもしれないが、若い方の間での知名度は高い」と話す。一方、「人口減もあり、旅行業者は年々減っていて、1万社を切った。新聞中高年のお客さんを開拓しようとしていたのだと思う」とした。
利用者への補償にについて友田氏は「JATA(一般社団法人日本旅行業協会)が補償するのが1億2千万円。一般のお客様に対する負債が100億円なので、戻ってくるのは1%程度ではないか」と話した。
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏
20年間、トラブルは無く…
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は「大手では絶対に出せないような価格で出していた。秀でていたのは、ネットで販売する力を持っていたこと。テロやSARS、新しい路線や大きな旅客機が出てすぐなど、席が余っているような場合の在庫一掃の際、てるみくらぶに安く出せば、絶対に売ってくれるという信頼感があった」と話す。また、20年間、客とのトラブルもなかったのだという。
博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平氏は「若者の海外離れも進んでいる。卒業旅行も国内が圧倒的に多くなっている。昔だったら、大学を卒業したらアメリカ、ヨーロッパというパターンが多かったが、国内が主流になってきた」とコメント。
鳥海氏によると、近年では日本への外国人旅行者が増えたこともあり飛行機の空席も減少、以前よりも安く在庫を仕入れるのが難しくなっていったという。また、個人旅行が増え、格安航空会社も出来たため、飛行機とホテルを別々に予約する方が増えているようだ。「代理店を通さずにとも、ネットを使って自力で予約できる若い層からすると、てるみくらぶは安さしか良さがなかった」(鳥海氏)。
サイバーエージェント社の古賀早希子さん
「夢を壊すというのは、信じられない」被害者たちからは悲鳴
「私たちは夢を持っていくわけじゃないですか。そういう会社が夢を壊すというのは、信じられないですよね」(28日から旅行予定だった利用者)
「もう怒り心頭ですね。とんでもないですよ。こういう状況ですから出てきて説明しろと言っても、スタッフもどんな状況か分からないんじゃないでしょうかね」(5月に旅行予定だった利用者)
ネット上にも「私てるみくらぶの被害者なんだけど。お金返して。せっかく頑張って貯めたバイト代が...。くそう。え。どうしたらいいの。ねぇ。お金戻ってくるよね」「結婚式のためのハワイ旅行、家族分のツアー代金150万円以上。結局お金はもどってこないの。たすけて。地獄」などといった怒りの声が上っている。
自身も被害に遭ったというサイバーエージェント社の古賀早希子さんは「5月末に友人の結婚式でグアムに行く予定でした。1人6万円、あわせて12万円が被害額。3月10ごろに現金で支払いましたが、申し込んだ次の日が支払い期限で、しかも現金。いくら何でも早くないかと思いました。」と話す。
「今朝、てるみくらぶが加盟している日本旅行業協会(JATA)の申請しましたが、被害額や被害者がどのくらいになるかわからないので、6月に書面を送りますという回答がメールで送られてきました。返金額は代金1%という話もあるので、私の場合は1200円。それなら、もっと被害額が大きい人に払ってあげてほしい」(古賀さん)。
友田氏は「安い商品ばかりが並んでいる場合や、業界のルールを逸脱して現金での早期の支払いを迫るところは、資金繰りがきつくなっている可能性があり、注意したほうが良い」と指摘した。
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