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JoeBakal / shutterstock
機械は本当に人の仕事を奪うのか? 「雇用なき景気回復」をめぐる誤解
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170323-00015629-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 3/23(木) 18:00配信
ここ数か月間でよく叫ばれているのが、産業の自動化によってかつてない規模で人々の職が機械に奪われているという意見だ。これに伴い、国民全員に一定の収入を保証するユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)といった政策も改めて注目を浴びている。
しかし私は、こうした動きは一時的な流行にすぎず、現在のテクノロジー革新は前代未聞のものであるという見方を裏付ける証拠はないと考えている。
■雇用なき景気回復
ロンドン大学経済政治学院センター・フォー・エコノミック・パフォーマンス(CEP)の経済学者チームが1月に発表した論文は、こうした議論にさらなる証拠を提供している。
論文によると、景気回復に伴う年間雇用増加率は1990年以前に約5%だったが、1990年代以降はそれを大幅に下回っていた。その理由としてかねて論じられているのが、テクノロジーの発達だ。つまり、景気が回復するに従い、ルーティンワークの担い手の多くが機械に取って代わられたという説だ。
だが論文では、先進各国で起きているとされる「雇用なき景気回復」の唯一の要因が自動化にあるのかを検証するべく、17か国・28産業分野で1970〜2011年に起きた71回の景気回復に着目し、雇用や付加価値といった景気後退に関するデータをまとめた。
■景気回復を読み解く
論文ではまず、それぞれの景気回復事例を分析し、近年に何らかの根本的な変化が起きていたのかを探った。結果、景気回復に伴う国内総生産(GDP)成長率は近年減少傾向にあるものの、雇用増加率はさらに劇的な低下をみせており、両者には相関関係がないことが分かった。ただし、米国は唯一の例外とみられる。
続いて、ルーティンワークの度合いが高く自動化などの技術が導入されやすい小売業や製造業などの産業分野に着目し、景気回復中に他分野との違いがあったかについて調べた。
結果、ほぼ全ての国で、こうした分野は不景気のあおりを比較的受けやすく、また景気回復も遅かった。しかし興味深いことに、この傾向は長期にわたって共通しており、近年で特に状況が悪化していたわけではなかった。
ただし、ここでも米国だけが例外で、雇用回復は鈍かったのはルーティンワーク率の高い産業分野だけでなく、テクノロジー革新を経験した他の産業分野でも同じだった。
--{ロボットがいれば中度人材は不要?}--
■ロボットの出現
論文では、まだ産業用ロボットが普及していなかった1980年代にまでさかのぼって、ロボットで代替可能とみられる産業での雇用状況を分析した。
すると、全ての国において、自動化の影響を受けやすい産業もそうでない産業も等しく雇用なき景気回復が起きていたことが分かった。
さらに、大学の学位を持たないミドルスキルワーカー(中程度の技能を持った人材)が不景気によってより大きな影響を受けたかを調べた。ミドルスキルワーカーが行う仕事の多くはルーティンワークを伴うため自動化しやすい。
しかし結果として、どの先進国においても、近年の景気回復の中でミドルスキルワーカーの雇用率は低下していなかった。つまり、テクノロジーの発達によってミドルスキルワーカーの雇用が脅かされるという主張には何の根拠もないことになる。
■テクノロジーを恐れるな
人々の経済が圧迫される原因はテクノロジーや自動化にある、と決めつける風潮が最近強まっている。だが、雇用なき景気回復を引き起こしているのはテクノロジーではない。
論文では、雇用率が上がらないのは失業対策の政策による部分がより大きいのではという仮説を立てている。そうだとすれば、労働市場が柔軟な欧州での雇用が米国と比べ大幅な回復をみせていることも説明ができる。
今後の課題は多いが、正しい方向を見て問題に取り組むことが重要だ。今回の論文によって、テクノロジーは恐れるべきものであるという誤解がなくなり、人々が望む社会を実現すると同時に、全ての人が職に就けるような労働市場を作り出していくための一助になればと願う。
Adi Gaskell
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