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親・上司が育てる、子ども・部下の「自信の種」
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2017年3月22日 小川大介 WEDGE Infinity
こんにちは、小川大介です。
教育に関する書籍をいくつか出させていただいていることもあって、子育てに関すること、中学受験について、また企業や団体での人材育成などについて、相談いただくことがよくあります。
■親も上司も自信を持たせたい
その中で最近よく聞かれるのが、「自信を持たせたいのですがどうしたらいいですか?」というご相談です。
お子さんについての相談はもちろん、上司の方からの相談もとても多いのです。
「新しいことや少し難しそうな問題を見たら、すぐに「無理」「できない」とあきらめるのが歯がゆくて・・・」
「『ママ次は何をやったらいいの?』とすぐに聞いてきて、自分で決められないんです。自信がないんでしょうか。」
「聞けば意見が出てくるんですが、気づいていても自分からは発言しないんですよ。仕事ぶりに自信がないんでしょうかね、自分が口にするのは気が引けるといった感じで。なんなんでしょうね、あの感覚は。」
「自分の力で切り開いていこうという積極性が、どうも見られないですね。やる前からあきらめるんじゃなくて、とりあえずやってみようかなとチャレンジして欲しいんですが。自信がないんでしょうか?」
子育ての場面でも、部下を教育する場面でも、「もう少し自信を持ってほしい」「自分から積極的に取り組む姿勢を見せてほしい」と感じた経験は多くの方がお持ちではないでしょうか。
そして、どうすれば自信を育ててやれるのだろうかと、考えあぐねている方もいることと思います。
■自信を持てるかどうかは結局本人次第?
そこで今回と次回は、自信の育て方について考えてみましょう。
いつも通り、ビジネスにおける人材育成の考え方や経験は、子育てともつながり合っているという視点で話を進めていきたいと思います。
そもそもの話ですが、自信というものは周囲が育てるものでしょうか。
自信とはまさに「自分を信じる」ということなんだから、結局は本人次第なんじゃないか。そう感じる方もいらっしゃると思います
自分自身がこれまで努力出来てきた人、人一倍成果を上げてきた人など、いわゆる「できる人」は、どちらかというと「本人次第」と感じる傾向があるようです。
また50代後半以上の方と20代30代の方とでは、「自信を持つ・持たせる」ということについての考え方にかなり開きがあります。
日本全体がまだ成長していた時代に社会に出た世代の多くは、与えられた場で一心に打ち込めば報われるという体験を持っているようです。何をすればいいのかがはっきりしている場では、「出来るかできないか」は、「やるかやらないか」とほぼイコールの関係になりますから、やれば出来る。出来るから自信が増す、と分かりやすいのですね。
「やれば成果が出るんだから、やればいいだけ。」と思える人にとっては、自信を持つかどうかは本人次第となるのは、むしろ当然です。
■不確実な時代だからこそ「自信」に目が行く
一方、日本が低成長期に入り、多様化と選別の時代に生きている世代は、何に取り組めばいいのかを探すところからスタートです。選択肢が多いとも言えますが、目の前のことに取り組んでいて大丈夫なのだろうか?という不安が常につきまとう時代でもあります。
「やれば出来る」と言い切れない不確実さの中を一歩踏み出せるかどうかは、自信の有無が関わってきます。自信のなさが目に付くのは、それだけ日常的に自信の有無を問われる場面が増えているからかもしれません。
子どもたちも同様です。学歴を追求していればよかった時代が過ぎ、教育の指針をどうとればいいのか大人たち自体が模索している現在では、「みんなと同じ」であることは子どもたちにとって安心にも力にもなりません。「個」としての自信を育て、「個」と「個」がつながりあって生きていく力が求められています。
子どもの学習指導に関わって20年以上になりますが、親御さんたちの口から「子どもに自信を持たせたい」という声を聞くことが明らかに増えてきたことにも、時代の流れを感じています。
一昔前に比べて個々の「自信」が意識されるようになっているならば、子育てや人材育成の面でのアプローチも変えていく必要があります。
育てる側が、自分が育てられた時と同じようなアプローチをとってしまうと、時代の変化とずれを生じさせてしまうからです。
このように考えると、自信を持つかどうかは本人次第と片づけるのではなく、親や上司など人を育てる立場にある人は、「自信の育み方」を意識した方が良いと私は考えています。
自信とは本人が育むものではあるけれど、「本人次第」でやっていけるのは80対20の法則でいうところの20%であって、8割の人は周囲のサポートを必要としている。
と考えるからです。
■自信とは思い込み
しかし環境や状況がどうであれ、自信を持って行動している人は数多くいます。子どもの時から自信満々という人もいます。
似た環境に置かれているのに、かたや自信満々、かたやいつも不安げといった違いが生まれてくるのはなぜなのでしょうか。
ヒントは子どもたちの姿にあります。
「うちの子、テストで悪い点を取ってきても『大丈夫!次はちゃんとやるから!』とまるで平気なんです。なんなんでしょう、あの根拠のない自信は」
男の子のお母さんに多い相談です。
根拠のない自信。これがポイントです。
自信を持つかどうかに「根拠」は不要なのです。
なぜなら自信とは思い込みだからです。
「自信を持っていいですよ」証明書は、どこからも発行されません。発行できるとしたら、唯一、自分自身だけです。
大きな商談をまとめた。部下から信頼と支持を集めている。高得点を連続して取っている。受験で志望校に合格できた。など、他人が見れば「十分に自信が持てますね」と思える成果を上げていても、それを本人が「自分は大丈夫だ。」「自分はできるんだ。」と受け止めなければ、自信にはつながりません。
逆に、ごく小さな商談で、同僚から見るとさほど評価できない案件だったとしても、それを成功させた本人が「自分はやっていけそうだ」と感じ取るなら、自信につながるのです。
本人の思い込みなのですね。
そして思い込みが強い人ほど自信が崩れません。
■気づき、ポジティブに解釈する
つまり、わが子にせよ部下にせよ、自信を育てるには彼らの思い込みを手伝ってあげればいいということです。
思い込みを手伝うには何よりも、相手方をよく観察することです。
「自分は大丈夫だ」「自分はできるんだ」と本人が思いこむには、そのきっかけを本人自身が持たなくてはなりません。
自信を持つのが上手な人は、この自信のきっかけ作りが上手い人です。
他の子が走っている様子を見て、自分が走る時はもっと楽に走れている気がするなと思ったときに、「僕って走るのが得意なんだ」と思える。
取引先にプレゼンしている最中に相手方の表情の変化に気づいて、「伝えたいメッセージがちゃんと届いたみたい!準備が成功したんだ」と、自信がわいてくる。
新しい職場で、まだ仕事がよく分かってないなりに一週目を乗り切れたら、「自分はここでやっていけそうだな」と感じる。
いずれも、ちょっとしたことに意識が向いて、ポジティブにとらえることができています。自信のきっかけ作りとは、「気づくこと+ポジティブな解釈」なのです。
きっかけが出来たら、自分は出来るんだ、得意なんだ、大丈夫だと自信を強化していけばいい。
しかし自信を持つことが得意でない人は、このきっかけ作りのところが上手くいきません。
「自分は普通ですから・・・」
「そんな特別なことが出来るわけじゃないんで、自信と言われても・・・」
「表現力があると言われても、人前に出て話せるわけじゃないので・・・」
ちょっとしたことを拾い上げるだけでいいのに、何かすごいことを探そうとして自らハードルを上げたり、自分の中にある「スゴイ人」イメージと自分を照らし合わせてダメ出ししたりしがちです。
謙虚なのはいいことですが、だからといって自信を育めないのは困りもの。
ですから、手助けしてあげましょう。
「いまの説明がとても分かりやすかったです。ポイントを整理するのが上手いんですね。」
「色の使い方がうまいですよね。スライド作る時アドバイスしてもらおう。」
「〇〇さんって、落ち着いた話し方を意識されていますよね。安心できる話し方でいいと思います。」
簡単なことで、本人のいいなと思える点をそのまま教えてあげるのです。
だから、観察がポイントとなります。
■本人の「できたかな」、「やれたかな」に合わせる
日ごろから意識的にその人のことを観察していると、行動や様子などその人のいろいろな点が見えてきます。
そうして見つけた点を本人にポジティブに伝えましょう。
自分の出来ているところ、自分が認められているところを知るたびに、その人にとっての自信の「種」が植わっていきます。
特に子どもは、周囲の大人から渡された言葉によって育ちます。
周囲と自分を比較して客観視するという力がまだ育っていない子どもにとって、自分自身を知るすべは親を始めとした周囲の大人からの言葉だからです。
「あなたは〇〇〇できる子ね」と伝えられて、自分はそういう力を持った人なんだと意識する。意識するからその行動をさらに取るようになる。さらに行動するから、得意にもなるし、「自分自身はこうだ」という自我にもつながっていくのです。
社会人でも同じです。初めて就く仕事のやり方を教わった時のことを思い出してください。
何をどうするのかは頭で分かっても、それだけでは「よしやれる」と自信が出るとはなりませんよね。「自分にできるだろうか」、また、「できているだろうか」という不安はあったと思います。
ともかくやってみて、「うん、お客様の要望をくみ取る時に、ペースが合わせられていていいね」とか「重要な点が簡潔に押さえられていて分かりやすいね。あとは報告のタイミングだけ気を付けよう」など、できている点のフィードバックをもらうことで、やれそうだという気持ちを1つ1つ作ることができたのではないでしょうか。
ここでポイントは、「〜できますね」「〜が得意だね」と声をかけるのは、本人自身が何らかの手ごたえを感じたタイミングで行うのが、ベストだということです。
自分自身が「できたかな」、「やれたかな」と、確信するほどではないけれどできた気がする時に、「できているね」と声をかけられることで、「自分は確かにできたんだ。できるんだ」という自信の種が植わるのです。
この自信の種は、できる体験を繰り返すことで芽を出し太く大きく育っていきます。
フィードバックをもらいながら自信を育てていくうちに、自分自身の成長を自分で見つける目も養われていきますから、自分自身を信じる力がついていきます。
■出来ても自信につながらない時
ところが、結果としては出来ているのに本人の自信につながらないということもあります。それは、自分の選択や意思がないままに行動して、結果的に出来てしまった時です。
たとえば子どもの勉強で、いつ何をやるのかを親が全部決めて、「次はこれ」「その問題はこうやって解けばもっと速くできるでしょ」「答え合わせはママがやっておくから、あなたはこれをしなさい」答え合わせの後で「これとそれが間違っていたから、もう一度解きなさい」と進めて、宿題全部できたね、解けたねと褒めても、子どもは自分ができるようになったとは思いません。
「今日も宿題が終わった。良かった」と思うのがせいぜいです。
手取り足取り教えられて指示されて、結果として出来ても、その間の本人が自分の意思なく言われるがままに動いているにすぎなければ、自分への信頼にはつながらないからです。
自分が現にできているんだ、もう一度やれるんだというイメージがわいてこないからです。
時間の都合で、どうしても親がリードして進めなくてはならない時、上司が事細かに指示を出してとにかくやりあげさせなければならない時もあるでしょう。そのこと自体は問題ありません。
ただ、結果として出来たからといって、本人が自信を持つとは限らないということを頭に入れておく必要はあります。
もし少しの時間が取れるなら、リードしてやり遂げさせた後に、なぜ今自分は出来たのか、いまどのようにして自分は上手くいったのかを、本人に振り返らせてあげるといいですね。
取り組んでいる最中は言われるままに必死に行動していて、自分の意思や選択が働いていなかったとしても、改めて自分自身の姿を振り返りながら、自分の出来ているところを再発見していくことで、「自分にはそんな力があるんだな」と認識することはできます。
そして本人が自分を再認識したところで、「次同じことをやるとしたら、どのあたりは自分でできそうかな?」と、本人の「できそうな予感」を問いかけます。
「自分でやるなら・・・そうですね〜〜は出来ますし、あと・・・」と考える段階に入った時点で、「やらされた行動」が「自分でやる行動」に入れ替わるのです。
何をするかを自分で選べるように、自分で決められるように、「どのあたりは自分でできそう?」と問いかけるわけです。
■選ぶ経験が自信を育ててくれる
自分で選択する体験、自分で決定する体験の積み重ねは自信を強化してくれます。
保護者の学習カウンセリングを行っていると、やることが多すぎて子どもに任せていられない気持ちになると、つい「まず〜〜しなさい、それが終わったら次は○○しなさい。いいから早くやりなさい!」と行動の指示を次々に投げてしまっている親御さんは本当に多いものです。
完了させることを重視する人、間に合わないことへの恐怖心が強い人ほど、わが子に指示を出しがちです。
本当は指示でがんじがらめにはしたくないと思いつつも、日々のタスクと時間の締め切りに追われて、「他に手がない」という思いで指示を重ねています。
でも同じ急かせる場合でも、選択する力を伸ばすことはできます。
ポイントは先に整理を行うことです。
やるべきタスクが今いくつあるのかを列挙し、一緒に確認する。
そして何から手を付けたいか、本人に問いかけて選ばせてあげる。
選択したものを実行に移させる。という手順を意識してみましょう。
「まずどれをやったら良さそう?自分で選んでいいよ。」
「理科の暗記ね。たしかに早くやってしまいたいね。」
選択を確認したら、それに対してOKサインを出します。そして、
「よし選んだら早速やりましょう!がんばって!」と行動を促します。
完了したら、「自分で決めたことができると気持ちいいね」と、できたことを認め、本人の達成感に対して共感の言葉を渡します。
自分が選んだものをすぐに自分で取り組むことができた。
これは十分に能動的な学習です。
タスクの消化でアップアップになっていたり、指示待ち族に陥りかけている部下がいるなら、同じように 整理⇒選択⇒行動の促し⇒達成を認め共感する
の関わりをしてみてください。
やるべきことを間に合わせながら、自信の種を植えていくことができるでしょう。
山本五十六の名言があります。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、
ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
まさに至言ですね。
次回は、今回植えた自信の種をどう育てていくのか。「自信を強化する」方法についてご紹介したいと思います。
お楽しみに。
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