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中国がベネズエラへの支援を続けるワケ
岡崎研究所
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いずれマドゥーロ政権は交代するので、中国はベネズエラへの支援を止めたほうが賢明であると、ベネズエラEl Nacional紙のダニエル・ロドリゲス氏が、2月15日付ニューヨーク・タイムズ紙で述べています。その要旨は次の通りです。
(iStock)
昨年、ベネズエラは、資産売却や輸入削減等、数々の犠牲を払って100億ドルに及ぶ国債等の利払いを行い、デフォルトを回避した。しかし、それだけでは十分ではなく、中国の資金的支援が不可欠である。マドゥーロの政策が国際的孤立と人道的危機を招きながら、また、中国への石油による債務返済が滞るなかで、なぜ、中国は忍耐強くマドゥーロを支援し続けるのであろうか。
ベネズエラは、2001年に中国の「戦略的開発パートナー」となり、2014年には「包括的戦略パートナー」に格上げされた。それ以来、中国は石油による返済を条件に600億ドルの融資を行い、600件以上の投資プロジェクトに出資している。その見返りとして、中国企業はベネズエラ市場で優遇され、利益の上がるインフラ投資コンセッションを獲得している。中国からベネズエラへの輸出は、1999年の1億ドルから2014年には57億ドルに増加した。
中国がグローバルな役割を拡大しようとした際、ベネズエラとの同盟は、この地域に関与するための重要な足がかりを提供するものであった。ベネズエラと同国の石油支援に依存する域内国の支援を得て、中国は素早く地域の主要なプレイヤーに成り上がり、米国を排除した金融機関や新たなパートナーシップを急増させ、台湾を制してOASのオブザーバー・ステイタスを獲得した。
原油価格の下落を受けて、ベネズエラの寛大な石油政策は過去のものとなったが、2014年に、中国が40億ドルの石油関係借款を供与し、翌年マドゥーロの訪中の際に多くの投資プロジェクトが発表されて以来、中国は、ベネズエラに恒常的に資金協力を行っている。最近では国有石油会社に22億ドルの融資枠を提供し、食料や医薬品の配給のための数千台の車両を提供した。
反政府指導者は、政権が交代した場合、この借金はいったいどうなるのかとして中国に対し憤慨している。反政府派は、貸付条件が公表されずに承認された融資協定は無効であると主張している。
問題は単に債務だけではなく、反政府派が政権を取れば中国はベネズエラ市場やインフラ・プロジェクトから締め出されるリスクがある。それは、中国がカダフィに肩入れしたリビアで実際に起ったことである。ベネズエラでも、昨年12月の略奪騒動では中国人が経営する店がターゲットとなった。
今や中国がベネズエラを見捨てる時である。今日、マドゥーロを支持しているのは15%に過ぎないが、中国の支援がある限りマドゥーロ政権は生きながらえ、ベネズエラの苦しみは続く。これを変えるためには、マドゥーロ支持派と折り合うことが不可能にならないよう、反対派が一致して妥協的なメッセージを送ること、そして、中国が腐敗した無能な政権を見放すことであろう。
出 典:Daniel Lansberg-Rodríguez‘Exit the Dragon: Why China Should Stop Supporting Venezuela’(New York Times, February 15, 2017)
https://www.nytimes.com/2017/02/15/opinion/exit-the-dragon-why-china-should-stop-supporting-venezuela.html?_r=0
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ベネズエラでは、期待された大統領リコールの国民投票も抑え込まれ、大規模な国民蜂起も起こらず、深刻な食糧不足と超インフレの中で反政府派が多数を占める議会を無視してマドゥーロ政権が居座り続けています。内政的には、軍等の力の支配が確立し、経済的な破綻は中国の資金援助により回避されているということです。この記事は、中国にマドゥーロ政権を見捨てるように呼びかけていますが、このままでは、2018年の大統領選挙で果たしてスムーズな政権交代が起こるのかも怪しいです。トランプがTPPを廃棄し、メキシコと事を構える状況の中で、中南米では、中国は、「棚ぼた」的な勝利者であり、むしろ、この時とばかり同地域における影響力拡大に乗り出しています。
27億ドルの新たな投資案件
ベネズエラについては、石油価格が持ち直せば同国の利用価値は依然として大きく、中国は、つい最近、2月14日のハイレベル協議ではベネズエラ石油用の精油所の建設を含む22件、27億ドルの投資案件を約束しました。
NAFTA見直しに直面するメキシコとしても貿易の対米依存から脱却するため中国との貿易拡大が有力な選択肢として考えられます。産業構造が競合する両国であるので、中国の輸出超過を対メキシコ投資で補うことも考えられます。通信関係でHuaweiはメキシコでのプレゼンスを拡大しつつあり、今月はじめにはカルロス・スリムと中国企業との合弁で新規の自動車生産計画も発表されました。
他の南米諸国にとっても米国が国境税で市場を閉ざすのであれば、代替する市場を求めなければなりません。中国外相は昨年10月、コロンビアとのFTAに関心を表明し、3月半ばに、太平洋同盟議長国のチリが開催するTPPの不成立後の方向性を議論するアジア南米会合にも既に参加の意向を示しています。
「国境の壁」問題で南米諸国は今のところ特に発言していませんが、メキシコが望めば南米諸国は一致してメキシコの立場を支持することになり、米国と南米関係全体が対立するような構図になれば、さらに中国に付け入る隙が出て来ます。トランプ政権の迷走は、この地域にとっても憂慮に堪えません。日本は中南米の自由貿易諸国との関係でTPP合意を何らかの形で活用すべきでしょう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9134
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