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【日産自動車】販売絶好調なのに大減益 米国集中投資の“危険な賭け”
http://diamond.jp/articles/-/120158
2017.3.17 週刊ダイヤモンド編集部
着実にシェアを拡大させているにもかかわらず「販売の質」が劣化している米国事業。頼みの新興国でも、工場稼働率の低迷にあえぐ。カルロス・ゴーン氏の後を継ぐ西川廣人新社長の宿題は山積している。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)
「次の中期経営計画は、新社長主導で実行するという強い意思表示になるよね」。唐突な社長交代を受けて、日産自動車のある幹部はそうつぶやいた。
今春に控える日産の次期中期経営計画の発表。4月に社長兼CEO(最高経営責任者)に就任する西川廣人副会長の基本路線は、従来のカルロス・ゴーン氏の方針をそのまま踏襲する形になりそうだ。
だが、既に大きな壁にぶち当たっている。世界シェア8%と売上高営業利益率8%を目標にした、現在の中期経営計画「パワー88」は、未達となるのが確実だ(図(1))。販売台数の拡大と利益率向上という二兎を追う難しさが浮き彫りとなっているのだ。
日産の最大のアキレスけんは、稼ぎ頭である米国市場での「販売の質」の劣化である。
米国での販売台数だけを見れば好調そのものである。2013年から16年までで40万台の増加という飛躍的な成長を遂げている(図(2))。現状の市場シェアは約9%であり、17年3月期の目標シェア10%に到達しそうな勢いだ。
しかし、利益目標と現状は大きく乖離している。17年3月期第3四半期累計での北米の営業利益は、1697億円となり、前年同期比で42%減と大きく落ち込んだ。
その主因は、増加の一途をたどるインセンティブ(販売奨励金。自動車メーカーが販売店に支払う値引き原資)にある。営業利益の増減内訳を見ると、販売台数の増加や車種構成の変化が870億円の増益要因となる一方で、インセンティブの増加によって販売費が1522億円もの減益要因となった。過大な販売費が利益を圧迫している。インセンティブの増加傾向は、自動車メーカー各社に共通していることではある。だが、ここ1年の日産の1台当たりインセンティブの増加率は際立っている(図(3))。
売れ筋のピックアップトラック市場が一巡したことで、セダン系乗用車の競争が激化し値引き合戦になっている。比較的トラック比率が低く、乗用車の構成比が高い日産は、競争激化の影響をまともに受けている。また、日産は一定の値引きと引き換えに、販売台数シェアの獲得を優先させているともいえる。
さらなる米国市場の懸念に、フリート販売の増加がある。フリート販売とは、レンタカー会社などの法人向けへの大口の販売のこと。販売台数は伸ばしやすいが収益性は低く、リース同様にメーカーの買い戻しによって中古車価格の下落を招きやすい、いわば“もろ刃の剣”だ。日産のフリート販売比率は15.6%であり、10%以下のトヨタ自動車やホンダと比べて高い。個人向けリースも増加しており、16年第3四半期で約30%がリース販売となっている。東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは、「中古車価格の下落によって、リース契約が終了した車両の残価ロス(残存価格を下回る価格で売却したときに生じるロス)が膨らむのは大きな懸念」と指摘する。
また、販売金融におけるロス比率も上昇の一途をたどる。ロス比率とは、簡単に言えば貸倒率のこと。サブプライムと呼ばれる、返済能力の低い個人(リテール)へのローンが増加し、ロス比率は既に08年に起きたリーマンショック前夜の“危険水域”まで上昇している(図(4))。
これは、クレジットの審査やリース残価の設定を甘くすることで、貸し倒れリスクの高いユーザーにまで顧客層を広げているということ。日産幹部は、「リーマンショック級の経済危機が起きれば別だが、米国経済が急速に冷え込むことはない」と楽観的な見方を崩さないが、利益を犠牲にしてシェアを取りに行く“危険な賭け”であることは間違いない。
さらに日産にとって悩ましいのは、頼みの綱の新興国が不振なことだ。
■新興国の不振で低迷する工場稼働率
鍵は三菱自動車
パワー88では、ブラジルやインドネシアなどで大規模な設備投資を行ったため、高い生産能力を抱えているが、アセアン市場の停滞などにより工場稼働率が低迷している。新興国専用ブランドの「ダットサン」も販売不振が続き、田川丈二・日産常務執行役員は「新興国での利益は満足のいくものではない」と、苦悩をあらわにする。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は、「日産は短期的利益を重視するあまり、市場がピークのときに投資する傾向がある。ダウントレンドの今は実力が試される正念場だ」と指摘する。
新興国での復活の鍵は、三菱自動車との提携強化だ。東南アジアで存在感のある三菱自との協業により日産ブランドの普及を狙うだけではなく、三菱自が生産を現地企業に委託するブラジルなどで、日産・ルノーの工場の活用を検討し稼働率の改善ももくろむ。
米国での利益ある成長と新興国での戦略練り直し。次期社長に課されたハードルは高い。
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