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話題の「シムズ理論」はデフレ脱却の切り札なのか? 極論に要注意 政治的思惑に振り回されるな(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/236.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 3 月 16 日 11:36:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


話題の「シムズ理論」はデフレ脱却の切り札なのか? 極論に要注意 政治的思惑に振り回されるな
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51229
2017.03.16 安達 誠司 エコノミスト 現代ビジネス

■マクロ経済学者の苦闘

このところ、国内の経済論壇は、「シムズ理論」の話題で持ちきりである。「シムズ理論」とは、正確にいえば「物価の財政理論(the Fiscal Theory of Price Level)」、略して「FTPL」といわれるものである。

この「FTPL」自体は、1990年代の終盤から2000年代前半にかけて、当初は、主にアメリカのマクロ経済学者の間で「理論的な可能性」として議論されたものである。

プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の他、同大学のマイケル・ウッドフォード教授、インディアナ大学のエリック・リーパー教授、スタンフォード大学のジョン・コクラン教授らが主な提唱者である。

FTPLに関する論文は多岐にわたり、(筆者にとっては特に)数学的にも難解な部分があるので、一言でいうのは難しいが、ざっと次のような考え方といったらいいだろうか。

「『積極財政に転じることで生じた政府債務を将来の増税によって返済していく』という標準的なマクロ経済学で採用されている制約条件を取り除いた場合、政府債務(対GDP比率)の実質的な価値は、物価の上昇によって将来のプライマリーバランスの黒字の合計額とバランスする」

要するに、政府債務の拡大によってインフレ率が上昇する局面が理論的にはあり得るということだ。

そもそも、このFTPLは、標準的なマクロ経済モデル(「ニューケインジアンモデル」といわれる)の抱える問題点の1つの解決策として提示されたものである。

その問題点とは、金融政策が「ゼロ金利制約」に嵌ってしまった場合(すなわち、政策金利がゼロ近傍まで低下してしまった場合)、モデルが理論的に一意的な解を求めることができない点にあった。

「ゼロ金利制約下では、標準的なマクロ経済モデルで理論的に唯一の正しい解を求めることができない」ということは、標準的なマクロ経済理論では、デフレに有効な金融政策(正確に言えば金利政策)の処方箋を導き出すことができないということを意味する。

確かに現実の金融政策では、QE(量的緩和)政策などが実施されており、リフレ派はこの政策の正しさを経験的に主張している。だが、これを標準的なマクロ経済モデルの枠内に取り入れて、その効果を実証するのは非常に難しく、「QE政策とは何か?」ということが長い期間、議論されてきた。

だが、QE政策をマクロ経済モデルに組み込んでも、一意的な解を求めることはできず、マクロ経済学者は苦闘してきた(もっとも、理論的な解が出ないという問題と、実際の政策に適用することが困難であるということはまったくの別問題であると思うが)。

このような状況下で、FTPLの枠組みは、ゼロ金利制約下で一意的な解を導き出すことを理論的に可能にした。

そのため、FTPLの議論は、リーマンショック後のアメリカのマクロ経済学関連の学界で復活しつつある感が強い。2016年4月には、前述のFTPLの論客らを中心に、シカゴ大学で、「The Next Step for FTPL」というシンポジウムが大々的に行われた。

■「量的緩和無効論」の根拠にはならない

日本でにわかに脚光を浴びたのは、内閣府参与であるイェール大学名誉教授の浜田宏一氏が、FTPLの論客の一人でノーベル経済学賞受賞者であるクリストファー・シムズ教授の話に感銘を受け、シムズ教授の理論を日本のマスメディアに紹介したことがきっかけとなった(そのため、「FTPL」というよりも「シムズ理論」で通っている)。

当初、この「シムズ理論」は、日銀によるリフレーション政策に反対する論者によって好意的にとらえられた。

なぜならば、「シムズ理論(FTPL)」は、政策金利の誘導という伝統的な金融政策が機能しない世界でインフレ率がどのように決定されるかを考察したものであり、しかも、プリミティブなFTPLのモデルでは、QE(量的緩和)政策には効果がないとされたからである。

だが、ジョン・コクラン教授による国債の満期構成を考慮したFTPLの論文では、QE政策は、ゼロ金利に近い短期国債の買いオペによるものであれば全く効果はないが、金利がついている長期国債の買いオペであれば、より直近時点のインフレ率を上昇させる効果がある点が明らかにされている(そのため、コクラン教授は、長期国債の購入によって長期金利の水準を固定化する「イールドカーブコントロール政策」の有効性も主張している)。

よって、「シムズ理論(FTPL)」は、長期債の買いオペをともなう量的緩和であれば、必ずしも「量的緩和無効論」にはならなくなっている。そのため、量的緩和無効論の根拠をFTPLに求めることはできなくなっている。

また、「シムズ理論(FTPL)」のシンポジウム開催で来日したシムズ教授が、デフレ解消(日銀が設定した2%のインフレ目標を達成)するまでは、消費税率引き上げを凍結すべきと発言したことから、このところ、財政再建派のエコノミストらは、「FTPLを実施に適用すると、財政規律が失われてインフレが止まらなくなる」という批判も寄せられている。

だが、すでに述べたように、FTPLは、デフレ解消のために有効な解(もっといえば、均衡解)を求めることができるがゆえに、学界で脚光を浴びたわけであり、「インフレが止まらなくなる」ことは理論的にはないはずである(この場合には、均衡解が存在せず、解が「発散」するはずである)。

理論的には、インフレが止まらず、しかも、債務の拡大も止まらない「最悪のケース」は、政府支出を拡大させながら、中央銀行が金融引き締めを続けるという「政策レジーム」が採用される場合であるとされており、これはFTPLの世界ではない。

■マスメディアが流布する極論

このように、日本では、安倍政権が「シムズ理論」に便乗して、財政拡大、もしくは、財政拡大にともなう国債増発を日銀の量的緩和政策でファイナンスするという「(狭義の)ヘリコプターマネー政策」に踏み込むのではないかという政治的な懸念が財政再建派の間で浸透してきており、FTPL本来の議論をはるかに飛び越えた極論が連日、マスメディアで流布されている感が強い。

財政再建派は、シムズ理論を、「机上の空論」という位置づけにしたいのだろうが、最近のアメリカでは、実証分析も進みつつある。

先日のシムズ教授を囲むシンポジウム等でも、「世界的にFTPLを採用した事例はほとんどなく、唯一採用した『大恐慌期』には金利の急騰を招いた」という議論があったようだが、少なくとも事実は間違っている。

まず、「大恐慌期」の長期金利急騰は、FTPL的な政策を実施したからではなく、金本位制を遵守するために金融引き締めを行ったからである。また、最近のアメリカの実証研究では、リーマンショック後の2009年以降のポリシーミックスはFTPL的であったのではないかとする論文が発表されている。

また、古くは、1942年以降の「Bond Price Peg制」下のアメリカは典型的なFTPLの政策レジームであった可能性が高い点をマイケル・ウッドフォード教授は指摘している。

さらにいえば、FTPLのレジームを採用する場合でも、将来的に通常のレジーム(テイラールールが適用可能な世界と財政再建路線の組み合わせ)に戻る可能性が高いと、人々が考えた場合には、それほど急激なインフレ率の上昇に見舞われない可能性がシミュレーション分析で指摘されている。

以上より、個人的には、政治的思惑に振り回されずに、もっと冷静かつ中立的な研究を優秀な経済学者の方にはお願いしたいものである。

               
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コメント
 
1. 2017年3月16日 12:38:02 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3783]

あほらしい

FTPL理論と言っても、やることは単なる財政ファイナンス

そもそもデフレ脱却してインフレ率が上がれば良いというものではない

何度も言うように、重要なのは、規制や制度改革で、投資拡大と生産性を高め

一方で、医療や地方などへのムダなバラマキを止め

国民の生活水準を維持・向上すること

FTPLやQEも所詮、そのための手段の一つに過ぎない


2. 2017年3月16日 17:11:49 : mINW8bMxUQ : 4BobKM9F48E[155]

 シムズ理論 ??  あほかいな〜〜

 愛は 30年前から 主張している

 ===

 + 金利 : 国債を発行すると 政府は 破たんする

 0 金利 : 国債を発行することは できる  政府が どうなるかは 不明!!

 − 金利 : 国債を いくら発行しても 政府は 破たんしない 

 ===

 こんな 簡単なことが シムズとか 言わなければ 理解できないの〜〜〜

 あほかいな〜〜〜
 


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