http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/183.html
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トランプ政権、大型減税の早期実現ほぼ不可能
上野泰也のエコノミック・ソナー
何とも分厚い「現実のカベ」に直面
2017年3月13日(月)
上野 泰也
トランプ大統領の就任後初の施政方針演説は、基本政策は不変で新味に乏しかった。しかし「大統領らしく穏当な内容だった」と評価されたためか、株価は大幅高となった。(写真:代表撮影/UPI/アフロ)
まだ「失望」はさほど広がっていないけれど…
米国でトランプ大統領の就任式が行われた1月20日から1か月半以上が経過した。率直に言ってこの政権は「迷走」しているが、「失望」はまださほど広がっていないというのが、現在の状況の総括になるだろう。
ここでは、
@保護主義的な通商政策が今後も直面することになる「現実のカベ」
(これまでに十分進んでしまったグローバル化・国境を越えたサプライチェーン網を覆すのはいかに難しいか)
A実務能力が伴っていない中での政権運営の危うさ
B大型減税を年内といった早期に実行するのがいかに難しいか
──以上3点を取り上げたい。
@とAについては、そのエビデンスになり得るマスコミ記事を引用する。
また、Bについては、筆者が考えている「3つのハードル」を説明する。
@保護主義的な通商政策が直面している「現実のカベ」
■「路上販売の赤いトランプ帽は外国製、就任式参加者に衝撃広がる」
(1月20日 ロイター)
20日に行われたトランプ米大統領の就任式で、支持者らがかぶっていた「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に国に)」と書かれた赤い野球帽が中国、ベトナム、バングラデシュで生産されていることが次々と明らかになり、衝撃が広がった。
トランプ大統領は就任演説で「米国製品を買い、米国人を雇用する」と訴え、その発言が最も多くの賛同を得ていた。
(中略)
ジョージアからやってきたトランプ支持者の男性(44歳)は、会場への途上で買い求めた帽子のタグを確認し「中国製だ、誰にも言わないでくれ」と話した。テキサスから就任式見物に訪れた女性がかぶっていた帽子は、確認してみるとベトナム製だった。
■「ボーイング、旅客機つくれず? トランプ氏『輸入依存減らせ』、国際分業、世界の潮流」
(2月19日 日本経済新聞)
トランプ米大統領は17日、米航空機大手ボーイングの工場で演説し、国内製造業を支えるための政策を順次実施していく考えを改めて強調した。だが、同氏が引き合いに出した米航空機大手の中型機「787」は日本など海外からの輸入部品を大量に採用している。「米国第一」の結果、米国で旅客機がつくれなくなる事態が起きかねない。
(中略)
米国製といいながら実質は「多国籍機」だけに、トランプ氏が求める「バイ・アメリカン(米国製品の購入)」が徹底されれば787への影響は大きい。機体の前後と一部の小さな翼、さらにはエンジンくらいしか米国産の部品はない。バイ・アメリカンを全面適用すれば米国で旅客機がつくれないという事態もあり得る。
A実務能力が十分伴わない中での政権運営の危うさ
■「(トランプの時代)混乱と熱狂、政権1カ月 閣僚未承認・補佐官辞任、『現場に不安』」
(2月20日 朝日新聞)
(前略)
ホワイトハウス近くにある米通商代表部(USTR)。トランプ氏が最重要視する貿易政策を担うはずの役所だ。政権発足後まもなく、広めの会議室に十数人の職員が集まった。テーブルには、ホワイトハウスに新設した国家通商会議(NTC)が作った貿易政策の方針に関する文書が置かれていた。
職員らは首をひねった。「ホワイトハウスは議会との協議や通告などの手続きを理解していなかった」と関係者は打ち明ける。
貿易促進権限(TPA)法では、大統領が新たな貿易交渉に入る90日前に議会に通告するなどの規定がある。NTCの文書は、こうした手続きにそぐわない内容だった。
「TPAによると、このような手続きが必要です」。職員らは2時間近くかけ、法律上必要な手続きを20項目ほど箇条書きにする作業に追われたという。
(後略)
高い期待感を保つ「株式市場」、懐疑的な「債券・為替市場」
米国の市場では、トランプ大統領が公約する減税や金融規制緩和といった経済政策への期待感をそのままハイレベルで保ち続けるのか、それとも、膨らみすぎた期待や公約の実現可能性への疑念が大きな失望にいずれ転化するだろうと見切った上で、「トランプラリー」とは反対方向に動く余地を模索するのかで、市場ごとにスタンスが異なっている。
トランプ政権への高い期待感を保っているのが、株式市場である。2月27日の取引で、ニューヨークダウ工業株30種平均は12営業日連続の史上最高値更新。S&P500種も最高値を更新した。
一方、昨年12月後半からトランプ政権の政策運営に懐疑的なスタンスをとっているのが、債券・為替市場である。米10年債利回りは12月15日に2.64%をつけた後は、これよりも低い水準で上下動している。1月12日と17日に2.30%まで買われた後、2月24日にも低下余地を模索し、2.31%まで一時低下した。
為替市場では、「トランプラリー」の下でつけたドル/円相場のピークが、12月15日の118.66円。その後は、米長期金利低下や、仏大統領選挙を軸とする欧州政治リスクにらみの円買いから、徐々にドル安円高方向にシフト。2月7日には111.59円をつけた。FRBによる年内利上げ3回以上の織り込みによってドルは今のところ下支えされているものの、欧州の政治リスクやトランプ政権の迷走ゆえに利上げの回数はもっと少ないという見方が強まると、110円割れの可能性が増す。また、ユーロ/円相場は2月24日に118.25円までユーロ安円高に動いた。仏大統領選にらみの「リスクオフ」が折に触れて進むだろう。
トランプ演説を経ても「温度差」は解消されていない
そうした中で市場で注目されたのが、2月28日のトランプ大統領による施政方針演説だった。米株式市場においても期待が失望へとついに変わる転機になり得る重要なイベントだと筆者は考えたのだが、「綱引き」の決着は今回もつかなかった。
演説は減税の具体的な内容などへの言及はなく、新味に乏しかった。しかし、米国株は大幅高。ニューヨークダウ工業株30種平均は高値を更新した。演説が「大統領らしく穏当な内容だった」「ケンカ腰ではなく妥協する姿勢を見せた」点が評価されたのだと解説されている。
しかし、株価の大幅高に加えて、3月中旬の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測急浮上という新たな動きがあったにもかかわらず、米10年債利回りなど長期金利の上昇と円安ドル高進行は、直近レンジ内での限定的なものだった。トランプ演説を経ても、株式市場と債券・為替市場の「温度差」は解消されていない。
今後を大きく左右するポイントになり得るのが、「トランプ減税」が早期に実現するかどうかである。ほぼ不可能だと筆者はみている。
B「トランプ減税」早期実行を阻む「3つの高いハードル」
【1】スケジュール
税制改革は、(A)オバマケアに代わる社会保障改革、(B)2018会計年度予算の2つをこなした後の3番目というスケジューリングになっている。また、「国境調整」の問題をどうするかを含む税制改革の詳細に関するホワイトハウスと議会の調整にも、時間がかなりかかるだろう。
【2】財源(中長期で「財政中立」にする必要性)
大型減税を実行しようとする場合、財源の問題が重くのしかかる。法人税の税率を35%から15%へ引き下げる場合、穴埋め策として現在考えられているのは、(A)各種控除の縮小・廃止による税収上積み、(B)軽減税率適用をテコにして企業の海外留保利益を国内に還流させる措置、(C)歳出大幅カット、(D)減税による景気刺激効果を勘案して名目成長率を高めに置くことによる将来の自然増収の想定、以上4つである。
だが、(A)は増税措置であり、景気刺激効果をそぐ。(B)は基本的にワンショットの増収策であり、恒久財源ではない。(C)は景気に悪影響を及ぼして税収を圧迫する上に、トランプ大統領は社会保障費のうちメディケアなどの歳出水準維持と国防費大幅上積みを行うとしており、削れる部分がかなり限られる。(D)は、議会の両院税制合同委員会(JCT)の判断がカギになると、ロイターが報じた。税制変更がマクロ経済にどう影響して税収がどうなるかのフィードバック効果を判断するのはJCTであり、過度に恣意的な数字にする(きわめて高い後年度の税収を想定する)のは困難ではないか。
なお、トランプ政権で行政管理予算局(OMB)長官に就任したのは債務上限引き上げに反対する超保守派下院議員として知られたマルバニー氏であることも見逃せない。
【3】議会を通すことの難しさ
経済政策面で共和党が最優先事項としているオバマケアの撤廃には、民主党が当然反対する上に、代替案をどのようなものにするかで共和党の内部は一枚岩になり難い。また、上院で共和党は52議席しかない(60議席に満たない)ので、財政調整法を絡めるか規則を改正しない限り、法案の審議・採決において民主党による議事妨害(フィリバスター)を排除することはできない。
共和党指導部は、造反すればオバマケア撤廃の好機を逸することになるという強気の論法で改革案の審議・採決を行う方針と伝えられるが(2月28日 ウォールストリートジャーナルアジア版)、議会通過に失敗すれば、減税はますます後ずれする。
ストラテジーやロードマップを持たないまま「大風呂敷」を広げすぎの感が強い上に、人事でもたついたままのトランプ政権は、行き詰まり感を今後強めるのではないか。4年の任期を全うできない可能性さえ完全には排除できない。筆者はそのように考えている。
日経ビジネスはトランプ政権の動きを日々追いながら、関連記事を特集サイト「トランプ ウオッチ(Trump Watch)」に集約していきます。トランプ大統領の注目発言や政策などに、各分野の専門家がタイムリーにコメントするほか、日経ビジネスの関連記事を紹介します。米国、日本、そして世界の歴史的転換点を、あらゆる角度から記録していきます。
このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/031000085/
【米国ウオッチ】トランプ氏にインチキ扱いされた雇用統計が語る真実
山 広恒夫
2017年3月14日 08:12 JST
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•
• 選挙中は「インチキ」、勝てば「本物」−都合良く解釈する二枚舌
• 「労働者の苦境の打開」唱えるなら、雇用統計の精査は不可欠
トランプ大統領は2月の雇用統計について、「雇用統計はこれまでインチキだったかもしれないが、今では本物だ」(ホワイトハウスのスパイサー報道官)と話したという。労働省が10日に発表した2月の雇用統計は、ヘッドラインの非農業部門雇用者数が23万5000人の純増と、市場エコノミストの予想を上回った。
1月20日に大統領に就任してからの経済状況を示す最初の大型統計であるだけに、トランプ大統領が2月雇用統計を自らの力の反映と過信しても不思議ではない。しかしオバマ前政権時代の雇用統計が「インチキ」で、いまや「本物」になったとのコメントはいかにもトランプ大統領らしい。
トランプ大統領
Photographer: Michael Reynolds/Pool via Bloomberg
2月の非農業部門雇用者数は季節調整前の原数でみると101万人の純増である。労働省はこの数値を季節調整で77万5000人も圧縮して23万5000人の純増とした。選挙戦の最中にあった昨年2月の原数は83万1000人の純増と、今年より約18万人も少なかった。それが季節調整値では23万7000人の純増と、今年をわずかながら上回っている。トランプ大統領かあるいは経済顧問が統計を細部まで分析すれば、今年2月の雇用の伸びは「本当はもっともっと大きい。統計はやっぱりインチキだ!」とツイッターに投稿するのではないだろうか。
もっとも労働省が大統領の交代にともなって、計算方式を変更することなどあり得ない。「今や本物」とするトランプ大統領の発言は、証拠もなく直感に基づいていることが分かる。統計自体、詳細に検討すれば経済を分析する上で確かな証拠となるため、いたずらな発言は墓穴を掘ることになりかねない。
ただし、統計の集計方式が時代と共に形骸化しているリスクはある。しかしこれはインチキ呼ばわりとは違う次元の問題だ。2月の原数をさかのぼると、今年2月の101万人の純増は史上2番目に高い。過去最高は2013年2月に記録した103万9000人の純増だった。このときの季節調整値は28万6000人増。このように、原数をみると経済成長が低迷している現下の景気拡大期に史上1、2位の雇用の純増が記録されているのである。これは実体経済の加齢にともなう成長減退を、現行方式では正しく把握できなくなってきたことを示唆しているようだ。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iFNDXf2AepfE/v2/-1x-1.png
前回の景気拡大期は07年12月が山となるが、2月の雇用原数値は06年同月の92万5000人増でピークを形成していた。この時の季節調整値は31万5000人増だった。この数値からは雇用の大幅拡大が景気の山の接近を告げていたことがわかる。
そもそも「既存概念の打破」を唱えてトランプ氏が大統領選挙で勝利できたのは、大半の国民は十分な職に就けず、金融に過度に依存した景気拡大で貧富の差が拡大し、不満が高まっているからである。雇用の改善を主唱するトランプ大統領が注目するべき数値は、全体の平均値にすぎない毎月の非農業部門雇用者数ではなく、失業者数であろう。
そしてその失業者数(季節調整値)は今年2月に752万8000人で、前月比で10万人減少したとはいえ、なお昨年11月の740万9000人を上回っている。この11月の水準が現下の景気拡大局面でボトムになる可能性がある。前回の景気拡大局面を振り返ると06年10月に672万7000人でボトムに達した後、1年2カ月後に米国経済は景気後退に陥っている。トランプ大統領は直感で統計自体を批判したり絶賛したりするのではなく、労働市場の本当の姿に迫る努力をすれば、失業者数が景気の先行指標になることが分かるだろう。そうすれば「労働者の苦境の打開」という有権者への約束を果たす方向に、少しでも進むことができるかもしれない。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/id2sd6gByaf8/v2/-1x-1.png
(【米国ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMRBMJ6TTDSB01
トランプ米大統領:医療保険料、下がり始めるまでに数年かかると警告
Shannon Pettypiece
2017年3月14日 07:02 JST
オバマケアの悪影響受けたグループと会合
代替案が遅滞すれば、値下がりは2018年の中間選挙後
トランプ米大統領は13日、自身が推進している医療保険制度改革法(オバマケア)の代替案の下でも保険料が下がり始めるまでには数年かかる可能性があると警告した。代替案への移行期間が不安定になると、来年の議会中間選挙や2020年の大統領再選に悪影響を及ぼす可能性がある。
同大統領はオバマケアが施行されて以来、医療保険が解約されたり保険料が高騰したとする小規模企業のオーナーや医師、個人らとホワイトハウスで会見し、「競争促進と規制緩和により保険料は最終的には下がる」と話した。ただ、「残念ながら、市場原理が導入され効果が表れ始めるには少し時間がかかるだろう。1、2年かからないことを願うが、そうなる場合もあり得る」と続けた。
代替案に対し民主党は反対の態度を固め、上下両院の共和党の中でも手ぬるいとする意見もあれば行き過ぎだと声もある。
ブルームバーグの質問に答えたトランプ大統領は「われわれの政策が認められれば、事態は好転する」とし、「それには時間がかかる」と話した。
原題:Trump Warns It Could Take Several Years for Health Costs to Drop(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMRSYF6JTSEG01
共和党のオバマケア撤廃・代替法案、無保険者2400万人増加へ−CBO
Anna Edney、Zachary Tracer
2017年3月14日 09:25 JST
共和党案で向こう10年に財政赤字が3370億ドル減少へ
オバマケアによるメディケイド拡大などで保険加入者は2000万人増加
米議会予算局(CBO)は共和党が提案した米医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案について、無保険者が約2400万人増加するとの試算をまとめた。財政赤字を3000億ドル(約34兆4800億円)超減らす同法案の今後の審議に大きな障害となりそうだ。
オバマケア撤廃を公約に掲げ、「全ての人のための保険」をうたっていたトランプ米大統領にとって、今回の試算は痛手。民主党の支持なしでも代替案の成立を目指す共和党は、保険加入者層の縮小は保険料低下と比べれば重要ではないと主張している。オバマケアでは政府の補助やメディケイド(低所得者向け医療保険制度)の拡大により保険加入者数は2000万人増えていた。
CBOによると、共和党案によって向こう10年に財政赤字は3370億ドル減少する。また、共和党案の多くの部分が実施される前から保険加入者数は減少し始める見通しで、来年には保険加入者数が約1400万人減り、26年までには約5200万人が無保険になる。オバマケアが継続された場合の無保険者数は2800万人とCBOは試算した。
原題:GOP Health Plan to Boost Uninsured by 24 Million, CBO Says (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-14/OMRY946K50XS01
Column | 2017年 03月 13日 11:58 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:トランプ政権下で変わるシリコンバレー企業の勢力図
Gina Chon
[ワシントン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米政権の誕生により、シリコンバレー企業の勢力図にも変化が生じている。一部の企業がトランプ氏の政策を批判する一方で、新政権に取り入ろうとする社もある。こうした状況は、既に進行中のハイテク企業同士の法廷闘争にも影響を及ぼしそうだ。
オバマ前政権は米ハイテク企業、中でもグーグル(GOOGL.O)と緊密な関係を保っていた。ホワイトハウスの民主党幹部、数十人がグーグルに入社し、同社から政府に移った人々もいた。同社元幹部のミーガン・スミス氏は政府の最高技術責任者に就いた。フェイスブック(FB.O)の最高執行責任者(COO)はクリントン元政権下の財務省幹部だ。
トランプ氏はアップル(AAPL.O)が連邦捜査局(FBI)による銃乱射事件の容疑者の携帯電話解読捜査に協力を拒んだ件で、同社製品のボイコットを呼び掛け、企業首脳で構成する自身の諮問委員会に当初はシリコンバレー企業を入れなかった。12月にはハイテク企業首脳らと会談したが、その後、イスラム圏7カ国からの入国制限を発表した際には、アップルやグーグルが抵抗を示した。入国を制限する大統領令の改定版は6日に発表された。
オラクル(ORCL.N)など一部のハイテク企業は政権移行を利用しようと動いている。同社のサフラ・キャッツ最高経営責任者(CEO)はトランプ氏と私的に会談した数少ないハイテク企業CEOの1人で、政権移行チームに招き入れられた。オラクルはプログラミング言語Javaの著作権侵害でグーグルを訴えている。オラクル側からは、グーグルとオバマ前政権との緊密な関係を指摘する声がある。
アップルと法廷闘争を繰り広げる通信用半導体大手クアルコム(QCOM.O)も、政府対策費を拡大しようとしている。ロビイストらによると、トランプ氏の政策を批判したアップルは首都ワシントンで立場が弱まったとみられている。アップルはクアルコムを著作権侵害で提訴。米連邦取引委員会(FTC)もトランプ政権発足の直前にクアルコムを独占禁止法違反で提訴したが、政権交代で同社の立場が有利になるかもしれない。
消費者からの圧力により、一部の企業は現政権と距離を置くようになった。例えば配車サービス大手ウーバーのトラビス・カラニックCEOはトランプ氏の諮問委員会入りを辞退した。しかしオラクルやクアルコムなど、一般大衆との接点が少ない企業はこうした圧力にさらされていない。新政権の誕生により、これらの企業には法廷外で闘う新たな道が開かれた。
●背景となるニュース
*オラクルは2月10日、プログラミング言語Javaの著作権侵害を巡る裁判で昨年下されたグーグル側に有利な判決を覆すよう米高裁に求めた。トランプ大統領はオラクルのサフラ・キャッツCEOと私的な会合を含めて2回合い、政権移行チームに参加させた。グーグルの親会社アルファベットのラリー・ページ、エリック・シュミット両首脳は12月、トランプ氏とハイテク企業首脳との会合に出席した。キャッツ氏も出席者の1人。
*3月2日の届け出書類によると、アップルは特許などを巡る裁判の一環として、クアルコムを英裁判所に提訴した。最初は1月20日に米裁判所で、クアルコムが10億ドル程度の割り戻しを拒否したとする訴えを起こしていた。
*アップルのティム・クックCEOも12月のトランプ氏との会談に出席したが、後に入国制限を巡ってトランプ氏を批判した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
コラム:トランプ氏の「壁」、2.46兆円のまずい投資選択に 2017年 02月 13日
焦点:ユーロ圏の経済回復は本物か、鍵握るインフレと政治 2017年 02月 27日
http://jp.reuters.com/article/column-trump-silicon-valley-idJPKBN16K06C
債券は下落か、米長期金利上昇で売り先行−20年債入札結果を見極め
三浦和美
2017年3月14日 08:04 JST
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• 20年債は他ゾーン対比で魅力、入札結果で展開変化も−東海東京証
• 先物夜間取引は149円85銭で引け、前日の日中終値比5銭安
債券相場は下落が予想されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定を控えて、前日の米国債市場で長期金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行する見込み。市場ではこの日実施の20年利付国債の入札結果を見極めようとする姿勢も強い。
14日の長期国債先物市場で中心限月6月物は149円台後半での推移が予想されている。夜間取引は149円85銭と、前日の日中終値比5銭安で引けた。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i6Dd5uYkfzF8/v2/-1x-1.png
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、「FOMCへの警戒感などから今日の相場はおおむね軟調に推移」と予想する。20年債入札については、「昨日の地合いからすれば不安は減じたと判断できよう。他ゾーン対比魅力的で、入札結果を受けて展開が変化する公算もある」とみる。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値0.085%を上回る水準での推移が予想されている。佐野氏はこの日の予想レンジを0.085%〜0.095%としている。
米債下落
米連邦準備制度理事会
13日の米国債相場は下落。10年債の利回りは前週末比5ベーシスポイント(bp)上昇の2.63%。14日から2日間の日程で始まるFOMCに注目が集まる中、社債発行の増加が重しとなった。市場は年内3回の利上げをほぼ織り込んでいる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、米債安について、「週内に社債発行が相次ぐことに伴う需給悪化の懸念が重しになった。また、FOMCにおいて年内利上げペースが『年内3 回』から『年内4回』などに加速するシナリオが意識された面もあった」と分析した。
20年債入札
財務省はこの日、20年利付国債の価格競争入札を実施する。償還日が前回債より3カ月延びて160回債となり、表面利率は0.7%が見込まれている。発行予定額は前回と同じ1兆1000億円程度となる。
三菱モルガン証の稲留氏は、「クーポンは0.7%と昨年2月債以来の高水準になる公算だ。水準的な見映えは良い。投資家による来年度に向けた早めの残高確保需要や復活しつつあるローリング効果狙いの買いが入ってくれば、入札が崩れる公算は小さい」と指摘。「今日は前場に売りが優勢となった後に、入札を無難に通過することで後場に下値を固める展開」を予想している。
過去の20年債入札結果はこちらをご覧下さい。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMRYYU6JIJWH01
原油市場の強気派、相場下落前に買い越し減らす−米在庫膨らむ中
Mark Shenk
2017年3月13日 10:48 JST
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資産運用会社のWTI買越残高、1カ月ぶり低水準に減少
WTI原油価格、今年初めて50ドル割り込む−米国の供給過剰で
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipIE.yVLohao/v2/-1x-1.png
先週の原油値下がりはヘッジファンドの動きをきっかけに始まったが、今後も下落の一途をたどる可能性がある。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、投資家によるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油の買越残高は1カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。この後、原油相場は昨年12月以降で初めて1バレル=50ドルを割り込んだ。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「今回の建玉報告は始まりにすぎない」と指摘。「この週の下落幅は、大量の手じまいがあったことを示している。次週の報告が重要な節目になるだろう」と述べた。
米政府が発表した在庫統計で米国の原油在庫が過去最高水準に達したことを受け、原油相場のボラティリティー(変動性)は、2014年の相場下落が始まる前以降で最も大幅に上昇。石油輸出国機構(OPEC)が昨年11月末に原油減産で合意して以降の原油相場上昇分が打ち消された。ベーカー・ヒューズが今月10日発表したデータで米国の石油リグ(掘削装置)稼働数が引き続き増加したことから、相場下落は加速した。
CFTCによれば、ヘッジファンドによるWTIの買越残高は7日終了週に2.9%減少。前週も6.5%減だった。
原題:Oil Bulls Head for Exit Before Market Dive on Swollen Stockpiles(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMQADJ6K50XT01
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日本銀行は将来的に、長期金利の誘導目標の引き上げや何らかのショックで市場が混乱した際、誘導目標に一定の幅(レンジ)を持たせることを検討している。複数の関係者への取材で分かった。
複数の関係者によると、日銀は現在の市場環境では長短金利操作の継続に自信を持っており、レンジ化は将来的に、指し値オペや長期の固定金利の資金供給オペなど現時点で持つ手段で市場の混乱を抑えられない場合の選択肢となる。今週の金融政策決定会合は現状維持となる見込み。
原油価格の反転や円安の影響で、物価上昇率が年内に1%に達するとの見方が強まっているが、物価の基調が着実に目標の2%に向かうかどうか不透明なため、日銀は長期金利の誘導目標引き上げには慎重に臨む構えだ。複数の関係者への取材によると、日銀は時期尚早の長期金利引き上げ観測が高まるのを避けるため、物価上昇率が上がり始めた段階で、長期金利を引き上げるための条件を示したガイダンス(指針)を明らかにするかどうか検討している。
日銀は昨年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で、ターゲットとなる長期金利(10年物国債金利)を「0%程度」としている。15、16両日の決定会合についてエコノミスト41人を対象にブルームバーグが6−9日に行った調査では、全員が現状維持を予想した。
オペ回数減少で不安定化
1月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)はエネルギーの下落幅縮小を受けて、前年比0.1%上昇と2015年12月以来13カ月ぶりにプラスに転じた。ブルームバーグ調査では、黒田東彦総裁の任期の2018年4月までに長期金利の誘導目標を引き上げるとの予想は14人(34%)と3分の1を占めた。
日銀が1月末に中期ゾーンの国債買い入れオペの回数を減らしたこともあり、10年物国債金利は2月3日に0.15%と約1年ぶりの水準に急騰するなど不安定化したが、2月末にオペ日程を事前に公表したことを受けて、市場は落ち着きを取り戻している。
大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストはブルームバーグ調査で、日程の公表により「オペ実施の有無をめぐる市場の不透明感が後退するため市場との対話は改善に向かう」と評価。将来的に長期金利を0%に固定することが困難になれば、「誘導目標に一定の幅を持たせるなど、より柔軟な対応を取ることで、金融政策が市場に与える影響を最小化するような手法を検討する必要がある」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-13/OMLBS26K50XU01
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