http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/158.html
Tweet |
財政の破綻が懸念されるのに、なぜ人々は国債を買うのか
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9093
2017年3月13日 塚崎公義 (久留米大学商学部教授) WEDGE Infinity
日本政府は巨額の借金を抱えています。普通の企業ならば、とっくに破産しているはずなのに、なぜ政府は破産しないのでしょうか? それは、国債を買う人が大勢いるからです。どれほど赤字でも、赤字分の借金ができている間は、債務者は破産しません。
問題は、政府が破産すると懸念する人が多いのに、どうして人々が喜んで国債を買っているのか、ということです。もしかして、「政府はいつかは破産するだろうが、明日までは大丈夫だろうから、今日買って明日売ろう」というバブルなのでしょうか?
■日銀が買うので、国債暴落の心配は当面無用
筆者は、財政は破綻しないと信じていますが、「いつかは政府が破産する」と考えている人は大勢います。そうした人々も、よろこんで日本国債に投資しています。
長期国債は、政府が破産するという噂だけで国債相場が暴落する可能性がありますので、現金などよりも危険なはずです。そんな危険なものを、なぜ持っているのでしょうか? これについては、最近まで「バブルとしか言いようがない」と考えていました。
ちなみに、バブルという言葉は、株や土地や国債などの値段が暴騰した後に暴落する、というイメージですが、暴騰しなくても、暴落する可能性が高いものを皆が競って買っているのであれば、バブルと呼んで良いでしょう。一例としては、「田舎の貸し家は、将来的に空き家になって無価値になる可能性が高いので、これが大量に建設されているのはバブルだ」といった呼び方です。
しかし、日銀が「長期金利ゼロを目標とする」と宣言してから考えを変えました。人々が政府の破産を予想して長期国債を売却すると、長期国債の利回りが上がります。そうなれば、日銀が長期金利をゼロに戻すために長期国債を大量に買うでしょう。投資家としては、その時に保有国債を日銀に売れば、損失は生じないので、安心なのです。
■政府が破産するなら日銀も破産するので、円よりドルを持つべきでは?
これで終わりではありません。政府が破産する時、何が起きるのかを想像することは容易ではありませんが、日銀も同時に破産する可能性は十分高いでしょう。それならば、日本銀行券(紙幣)や銀行預金(引き出しても日銀券がもらえるだけ)、準備預金(銀行の日銀に対する預金)などは、大変危険な資産のはずです。
しかし、人々は喜んでこれを持っています。「近日中に日本政府が破産する可能性は非常に低い。一方で、ドルを買えばドル安になるリスクがあり、来年使う予定の消費財を買えば保管コストが必要だから、現金で持つ方がまだマシだ」ということだからです。
実際に政府の破産可能性が高まってきた時点では、誰もそんな国の通貨は持ちたがらないので、猛烈なドル高になるでしょう。それを考えれば、今から少しずつドルを買っておくのは合理的なのかもしれませんが、実際に起きているのは、日本人のドル安円高恐怖症が政府破産の恐怖に勝っている、といったところでしょう。
実際には、政府が破産することは考えにくく、最悪の場合でも最後は日銀に国債を引き受けさせるでしょうから、猛烈なインフレになると予想している人も多いようです。その場合には、やはり国債も現金も価値が目減りする一方で、猛烈なドル高になるでしょう。それなら、今のうちからドルを買っておけば、と思いますが、そうはなっていません。
■いつかは破綻するけど、暫くは大丈夫、と皆が思っているのはバブルでは?
要するに、「日本政府は、いつかは破綻するが、しばらくは大丈夫」と皆が思っているわけです。皆がそう思って資金を引き揚げないので、政府はいつまでも自由に借金ができ、借金ができるから破綻しないのです。これってバブルでは?
人々が「いつかは株価は暴落するだろうが、暫くは大丈夫だろう」と考えて買い注文を出している間は、バブルは続きます。もっとも、株価のバブルは、次第に株価が上昇していき、いつかは高くなりすぎて崩壊することになります。
一方で、国債のバブルの場合は、価格が上昇していかないので、永続する可能性があります。ある日突然、人々が「そろそろ危なそうだから、ドルを買おう」と思う時がくれば別ですが、多くの投資家が同時にそう思って日本政府から資金を引き揚げる、といった事態はなかなか想像しにくいものがあります。
このまま行けば、多くの投資家が財政は破綻すると思っているのに、「暫くは大丈夫だろう」と思って政府に資金を提供しているため、その状態が永続し、結局政府は破産しない、ということが起こりそうですね。
結局それって、財政は破綻しない、ということですね。冒頭に述べたように、筆者は財政は破綻しないと考えています。本稿を通じて見えてきたのは、その予想が当たりそうだ、ということです。
■いつかは大増税で財政は再建される、と筆者は信じています
極端な話ですが、人々が永遠に政府への資金提供を続けているうち、少子高齢化で人口が減少していき、日本人が最後の一人になったとします。その子は日本人の個人金融資産1700兆円を相続し、政府に1000兆円(政府の借金残高)の税金を納めて、残った700兆円で豊かに暮らすでしょう。
実際には、そこまで行く前に、大増税が行われるはずです。詳しい話は別の機会に譲りますが、本稿をお読みいただいて、財政破綻論者が「何とかなるかも知れない」と思っていただけたのであれば、筆者として大変幸せに思います。
拙稿『日本の財政が絶対に破綻しない理由』も併せて御笑覧いただければさらに幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7345
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民120掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。