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FX Forum | 2017年 03月 7日 15:26 JST 関連トピックス: トップニュース
オピニオン:
米3月利上げで円安加速は本当か
青木大樹UBS証券ウェルス・マネジメント本部 日本地域CIO兼チーフエコノミスト
[東京 7日] - 市場では、米連邦準備理事会(FRB)による3月利上げとドル円上昇を予想する向きが増えているが、米利上げが必ずしも円安につながらないことは2004年の教訓が示していると、UBS証券ウェルス・マネジメント本部最高投資責任者(CIO)兼チーフエコノミストの青木大樹氏は指摘する。
当時、FRBは6月末に金融引き締めに転じたが、米長期金利は上げ渋り、ドル円もほどなくして下落基調に転じた(7月下旬の112円台から12月初旬には101円台まで下落)。
今回も、米経済の先行き不透明感から米長期金利が上昇せず、一定期間にわたってドル安円高方向に振れる可能性があるという。
同氏の見解は以下の通り。
<利上げは時期尚早、弱さ見え始めた米経済>
3月の米利上げ実施でドル円上昇に拍車がかかるとの予想が、短期投機筋を中心に、高まっている。イエレンFRB議長が3日の講演で、雇用をめぐる指標とインフレが力強さを維持すれば14―15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定すると発言したことから、そうした期待がさらに強まっているようだ。
ただ、我々は、イエレン議長が過去繰り返してきた「Data Dependent(指標次第)」という利上げの条件を十分にクリアできているとは思っていない。
確かに、1月の米消費者物価の前年比伸びは2.5%に届き、同月の非農業部門雇用者数も前月比22.7万人増えるなど、及第点に達しているように見えるが、ここにきて実体経済の弱さを示すデータが増え始めている。
例えば、1月の個人消費支出はインフレ調整後で前月比0.3%減と、昨年8月以来初めてマイナスとなった。インフレ調整後の可処分所得も同0.2%減だった。金融機関の貸し出しペースを見ても、消費者・事業・住宅向けのいずれも減速し始めている。
また、堅調と言われる雇用統計にしても、非農業部門雇用者数の増加分は大半が低生産性・低賃金のサービス分野であり、賃金の伸びは予想に届かず、労働参加率も低いままだ。10日発表の2月分雇用統計で、雇用の「質」がよほど改善していれば話は別だが、足元の実体経済は3月利上げに耐えられるような状況にはないと考える。
<「コナンドラム」再現も、円高が続くリスク>
ただし、以下のように、イエレン議長が見ている場合は、3月利上げという短期投機筋の読みが当たる可能性はある。
第1に、米経済はすでに身の丈(長期的な均衡水準)を上回る成長を遂げており、ここからは過熱(不均衡の蓄積)が懸念される。第2に、トランプ政権の拡張的な財政政策(トランプノミクス)が実現することで、そうした過熱ぶりに拍車がかかる恐れが高まっている――。
筆者自身はまだ米経済に対して強気な見方を持てない。まず、これまでのデータから分析すれば、1―3月期の国内総生産(GDP)成長率は1%半ば程度にとどまる。また、詳しくは後述するが、トランプノミクスの経済効果は発現までに時間がかかる上、インパクトは限定的とみられる。
加えて、前回指摘したように、リーマン・ショック以降進行している米経済の「日本化」(高貯蓄・低生産性・高齢化)に歯止めがかかることは期待しにくい。よって、拙速な追加利上げが続けば、米景気の腰折れを招きかねない。
むろん、イエレン議長の目に映る米経済の景色が筆者と異なり、過熱が懸念されると言うのならば、答えは早期利上げとなろう。また、その場合は、日本化を受け入れて、現在の低成長ペースが米経済の実力という認識になるのだろう。
では、仮に3月に利上げがあった場合、ドル円は上昇するのだろうか。実は「米利上げ=ドル高円安」と限らないことは過去の事例が示している。そのことが一番顕著に表れたのは、グリーンスパンFRB議長時代の2004年だ。
同年6月30日、FRBは利上げを決定し、2年に及ぶ金融引き締め局面に入った。それを受け、107―108円台で推移していたドル円相場は7月下旬に112円台まで上昇したが、その後、年末(12月初旬)にかけて起こったことは101円台への円高進行だった。
利上げに伴って短期金利ゾーンは上昇したものの、長期金利ゾーンが上げ渋り、イールドカーブのフラットニングが進み、ドル高圧力は遮られた。当時のグリーンスパン議長が長期金利の低下について「コナンドラム(謎)」と呼んだのはいまだ記憶に新しい。
今回も、同じことが起こる可能性はある。前述した通り、米経済のファンダメンタルズに不安がある中で利上げを急げば、先行き不透明感からイールドカーブにフラットニング化の圧力がかかる。米利上げが中国など新興国経済に与える負のインパクトも勘案すれば、リスクオフの円高にも注意が必要だろう。
<過剰なトランプ政策期待、米成長はよくて2%台後半>
もちろん、想定以上のペースで利上げが進んだとしても、米経済が利上げを乗り越えて成長していくのであれば、中期的にはドル高円安圧力が増すだろう。グリーンスパン議長時代に話を戻しても、ドル円相場の基調は2005年半ば以降、ドル高円安方向にシフトしている。
ちなみに、昨年末にFOMCメンバーが示した政策金利見通しから素直に想定すれば、利上げは今年3回、来年2―3回となる。この回数はすでに市場に織り込まれているが、仮にペースがさらに速まるならば、ドル円上昇圧力は高まる。
鍵を握るのは、いわずもがな、トランプノミクスだろう。具体策が明かされていない状況では正確な分析は難しいが、仮に財政赤字を大幅に膨らませるような拡張的なものになるとすれば、実際、長期金利に上昇圧力がかかり、イールドカーブがスティープニング化していく可能性はある。その場合、イエレンFRBも先回りして、追加利上げで対処せざるを得なくなるだろう。
もっとも、我々は、そうしたシナリオが実現する蓋然性は現時点では高くないと考えている。均衡予算主義者の多い議会共和党との調整が進めば、財政政策の拡張度はかなり控えめなものに落ち着くと予想されるためだ。
例えば、トランプ大統領が議会演説で言及した1兆ドルのインフラ投資計画にしても、金額は官民合計額であり、実施期間も10年など複数年度にわたるものだ。実際の年間政府支出額は400億ドル前後にとどまると予想される。この程度の規模はすでに市場に織り込まれており、GDPの押し上げ効果はせいぜい0.2―0.3%ポイントにとどまる。
法人税制改革に対する期待も先走りし過ぎているように思われる。米企業の海外利益に対するリパトリ減税は政策実現上のハードルが比較的低く、早い段階で実現するかもしれないが、企業収益の拡大は主に自社株買いや配当に使われ、設備投資や賃金への波及は限定的だろう。
また、国境税導入も視野に法人税制改革を目指すことになれば、議会との調整が紛糾するのは必至であり、立法化は早くとも今夏以降となろう。しかも、共和党案の国境調整税は輸入産業には増税となる。輸出産業に対する減税効果は相殺され、GDPに対しては0.5%ポイント未満の押し上げ効果しか期待できない可能性がある。
一方、規制緩和ではイノベーションを生み、生産性を向上させるようなものは見当たらない。優先度の高いオバマケア(医療保険制度改革法)の廃止や環境関連規制の見直しなどは、一部の産業では恩恵が期待できるが、脱・日本化を促し、成長を加速させることは期待できないだろう。
このように考えると、トランプ政権下の米経済成長はせいぜい2%台後半程度にとどまる可能性が高い。したがって、拙速な金利上昇は続かず、中期的なドル高ペースも限定的なものとなる公算が大きいと見ている。
ただし、これは世界経済にとって悪いシナリオとは言えない。急激にドル高に振れないことで、まず新興国経済への負のインパクトが限られる。目下、人民元安を食い止めることに躍起になっている中国から見ても、好ましい流れだろう。
むろん、世界的な低成長の中でカネ余りが続けば、通貨のボラティリティーが高まるリスクには一層の警戒が必要になろう。今は実感が湧かないが、より長期的な視野に立てば、通貨の信認低下に伴い、金などの実物資産、あるいはビットコインのような仮想通貨へのマネー流入に拍車がかかるシナリオにも備えておく必要がいずれ出てくるのかもしれない。
*本稿は、青木大樹氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
(聞き手:麻生祐司)
*青木大樹氏は、UBS証券ウェルス・マネジメント本部の日本における最高投資責任者(CIO)兼チーフエコノミスト。2001年より内閣府で政策企画・経済調査に携わった後、2010年にUBS証券入社。2016年、インスティテューショナル・インベスター誌による「オールジャパン・リサーチチーム」調査の日本経済エコノミスト部門にて5位(外資系1位)に選ばれる。
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コラム:
ドル円こう着終焉へ、上抜けか下抜けか
佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
[東京 6日] - ドル円相場がレンジ内での取引を続けている。先週は、米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派的なコメントが相次ぎ、市場の早期利上げ期待もかなり高まった。当社ニューヨークのエコノミストも、これまで年内2回の利上げを予想していたが、先週末に年内3回に変更し、次の利上げ予想は5月から3月に前倒しした。
それでもドル円相場はレンジの上限を上抜けられなかった。市場は14―15日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定を8割以上の確率で織り込み、年内の利上げ回数も2.6回程度織り込んでいる。
フェデラルファンド(FF)金利先物から見た年内の利上げ織り込み回数とドル円相場はこの2週間ほど相関が強い。このままの相関が続くならば、年内の利上げ織り込み回数が3回になると、ドル円相場は115.50円まで上昇する計算となる。つまり、レンジの上限は抜けられない。
1月12日から現在までの約2カ月弱のレンジは111.60円から115.62円の4円レンジだ。この「2カ月程度、4円レンジ」は最近よく見受けられる。2015年2月半ばから5月半ばまでと、同年8月下旬から11月初までは、ともに118円から122円という4円レンジ内での取引を続けた。
昨年はドル円相場が比較的よく動いた年だが、それでも2月上旬から4月初までの2カ月弱はおおむね111円から115円の4円レンジ内で上下動を続けた。興味深いことに、この111円から115円のレンジは今年とほぼ同じレベルであり、かつ今のところ時期まで一緒だ。
ドル円相場がレンジ取引になるということは、一定水準まで下がってくるとそこでドルを売ろうとする人よりドルを買おうとする人が多くなり、逆に一定水準まで上がってくるとそこでドルを買おうとする人よりドルを売ろうとする人が多くなることを意味する。比較的その時の相場観やマクロ経済に基づいた需給が影響していると考えられる。
そうした観点から、2015年中に「2カ月、4円レンジ」が2回とも同じ水準で発生し、2016年と今年の「2カ月、4円レンジ」が同じ水準で発生しているのも納得できるが、興味深い現象だ。
逆に、ドル円相場が比較的長く続いたレンジを抜けるということは、相場観やファンダメンタルズを変える何かしらのイベントやニュース、もしくはフローが発生したことを意味しているとも考えられる。
そうなると、過去のレンジ相場の後、結果的にどのような理由で「2カ月、4円レンジ」を抜けていったのかについて振り返れば、今回のレンジがどのような理由で終わるかを予測する上で参考になるかもしれない。
<7日公表の米貿易収支、保護主義に火を付けるか>
2015年2月半ばから5月半ばの「2カ月、4円レンジ」は最終的に上抜けしたが、この時、米国経済指標は強かったものの、米長期金利があまり上昇していない中で、特段の理由もなくドルが買われていったことによりレンジを上抜けした。
日米金利差との相関はこの時かなり低下している。ただ、だからということもないかもしれないが、この時のドル円上昇はすぐに終わり、6月初に125.86円の高値、つまりアベノミクス後のピークをつけて反落している。
2015年8月下旬から11月初のレンジ取引も最終的に上抜けした。きっかけは予想を上回る雇用統計で、米長期金利も上昇した。この時は12月の利上げ期待が70%程度まで高まりドルを押し上げた。しかし、レンジを上抜けした日の高値からそれほど大きく上昇することなく、FRBが実際に12月に利上げを行うと、ドル円は反落し、下落基調をたどった。
2016年2月上旬から4月初のレンジ取引は最終的に下抜けした。2015年の2回のレンジ取引上抜けは結局、ドル円の上昇基調につながらなかったが、2016年のレンジ取引下抜けはドル円の下落基調につながり、記憶にも新しいように111円のレンジの下限を下抜けた後、6月の英国民投票における欧州連合(EU)離脱選択を受け、99円台まで下落している。
2016年4月初にレンジを下抜けしたきっかけは、世界的に株価が軟調に推移する中で、円の買い戻しが続き、米紙のインタビューで安倍晋三首相が介入に否定的なコメントを発したことが引き金となった。
こうした少ない例だけで判断するのはやや無理があるが、それでもやはりFRBの利上げ期待の変化は重要と言えるだろう。前述のように年内3回の利上げを完全に織り込むだけでは現在のレンジを上抜けるのには不十分だが、仮に年内4回の利上げを完全に織り込むと、現在の相関によればドル円は119円ちょうど近辺まで上昇する計算となる。
一方、円高方向に下抜けるパターンとしては、政治的な要素が重要になってくるかもしれない。米政権が保護主義的圧力を増してくるという思惑が強まることがレンジ下抜けのきっかけとなる可能性はやはり高いだろう。
当社は米国の法人税制改正において、現在提案されているような形の国境調整措置が導入される可能性はかなり低下していると予想している。さらに、トランプ大統領や共和党は、国境調整により増加した税収を法人税率引き下げの原資にしようと考えていることから、法人税率引き下げも容易ではなく、トランプ大統領が主張する15%への引き下げの可能性は極めて低いだろう。
国内政治が順調に進まないと、国民の目を外に向ける必要が高まってくるかもしれない。米国では来週、14―15日のFOMCに加えて、15日には連邦債務上限凍結期間が期限を迎える。さらに、大統領予算教書が提出され、4月になれば財務省が半期為替報告を公表する予定だ。
連邦政府の資金繰りが怪しくなり、大統領予算教書も市場の期待に応えられないと、米政権は貿易相手国への批判を強めて国内の目をそらそうとするかもしれない。この観点から、実は7日に1つ重要なデータ公表が控えている。それは1月米貿易収支だ。
市場のコンセンサスは485億ドルの赤字、当社の予想も489億ドルの赤字だ。どちらにしても約5年ぶりの赤字額の大きさとなる。ドルは実効レートベースで見るとかなり割高になっており、これがじわじわと効いて今後も貿易赤字が拡大する可能性がある。そうなれば、当然、トランプ大統領の保護主義的姿勢も強まってくるだろう。
筆者は今回も昨年同様レンジは下抜けとなり、円高・ドル安基調が始まる可能性が高いと予想する。
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
(編集:麻生祐司)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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Column | 2017年 03月 7日 13:51 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:
中国、経済減速で求められる労働力の流動化
Pete Sweeney
[香港 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は経済成長の減速で、労働力の流動性を高める改革が必要になっている。政府は5日、今年の成長率目標を6.5%と昨年実績の6.7%より低い水準に設定。国内製造業の過剰設備削減計画も打ち出した。
その姿勢は素晴らしい。だが当局は都市部の失業率を4.5%未満に抑えたいと考えている。そこで、何か手を打つ必要がでてくる。
5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)に提出された政府活動報告によると、政府は通貨供給量伸び率の目標を引き下げ、国有の「ゾンビ企業」の淘汰を進め、鉄鋼・石炭の生産能力を減らす方針だ。一方でそれによって構造的な失業を発生させないと約束し、むしろ昨年目標より100万人多い1100万人の新規雇用を創出すると表明した。
失業率の上昇を抑えるために、経済が低迷している地域の多くの当局は、国有企業から解雇された人たちを、実は必要とされていない低賃金の職に振り向けている。これはいつまでも続かない。中国版の「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」にとどまったままの労働者は、もっと急速な成長を遂げている地域に速やかに移動させる必要がある。さもないと既に懸念すべき状況にある富の格差が一段と開いてしまう。
ガベカル・ドラゴノミクスのデータによると、労働力を送り出している貧しい省と、それを受け入れている豊かな省の賃金格差は2012年以降じりじりと拡大を続けている。
残念ながら職探しのための移動を抑える性格を持つ、中国の戸籍(戸口)制度は今も残っている。同時に失業者が大量に押し寄せる事態を懸念する地方政府は、流入規制強化に忙しい。
北京市と上海市は既に移住者歓迎の旗を降ろしており、市長は人口に上限を導入。移住者が経営する零細企業を摘発して閉鎖させたり、家屋の取り壊し、行政サービス利用拒否などに乗り出した。他の富裕な都市も追随するのは間違いない。
だが経済の不均衡を是正するなら、労働市場の不均衡も解消しなければならない。それはつまり労働者の地域的な分布を変えるという意味だ。労働者が自由に移動できるようになれば、失業が回避されるだけでなく、人件費が高い地域にある工場のコスト増大を阻止できる。人為的に移動の自由を制限することは、中国が望む消費主導の経済成長を促せないばかりか、貧困の緩和にも無益だ。中国は成長のスピードが落ちたものの、それでもまだ労働政策が十分に追い付いていない。
●背景となるニュース
*中国の李克強首相は、5日の全人代開幕時における政府活動報告で今年は6.5%程度の経済成長を目指す考えを示した。昨年の目標成長率は6.5─7%で、最終的に6.7%を達成した。過去最高の銀行融資額や投機的な住宅投資、多額の公共投資が支えになった。
*今年の通貨供給量伸び率の目標は12%前後に引き下げられ、財政赤字の対国内総生産(GDP)比の目標は変わらずの3%だった。
*昨年の銀行新規融資額は12兆6500億元と過去最高。また直近のデータでは1月の新規融資は2兆0300億元で過去2番目の大きさになった。
*政府活動報告によると、昨年の都市部における雇用は1314万人増加し、就職ないし起業した大卒者数は過去最高に達した。
*中国は今年、さらに都市部で1100万人の雇用創出を目指し、失業率を4.5%未満に抑え続ける意向。李首相は「この雇用創出目標人数は昨年より100万人多く、われわれが雇用を一段と重視していることを強く表している」と述べた。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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東証大引け、3日続落 慎重姿勢続く 値幅は2カ月半ぶり小ささ
2017/3/7 15:35
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7日の東京株式市場で日経平均株価は小幅ながら3日続落した。前日比34円99銭(0.18%)安の1万9344円15銭で終えた。6日の米株安を受けて投資家が運用リスクに慎重な姿勢を崩さなかった。海外投資家などによる小口の売りが続いた。日経平均への影響が大きいファストリやファナックの下げが目立った。下値には国内機関投資家の押し目買いが入り、下げ幅は限られた。日経平均の日中値幅(高値と安値の差)は57円99銭と2016年12月26日以来約2カ月半ぶりの小ささだった。
日米の長期金利の上昇の勢いが鈍るなか、円は1ドル=113円台後半と、前日夕とほぼ変わらない水準だった。円相場の方向感の乏しさを反映し、輸出関連株は高安まちまちだった。
非鉄金属、鉄鋼業、ゴムは軟調。半面、海運業や石油石炭製品、鉱業は堅調だった。
JPX日経インデックス400や東証株価指数(TOPIX)はほぼ横ばいだった。
東証1部の売買代金は概算で1兆9866億円と、前日に続き節目の2兆円を下回った。売買高は15億7596万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は985、値上がりは841、変わらずは178銘柄だった。
三菱UFJ、三井住友FGなどメガバンクが下げた。フジクラ、DOWAのほか、楽天、ディーエヌエが軟調だった。一方、宅配運賃の引き上げ観測の出たヤマトHDは上昇し、関連して宅配ボックスを手掛けるアルファも上昇した。3日発売の新型ゲーム機「スイッチ」への期待が根強く任天堂が上昇。国際石開帝石のほか、キリンHDなど食品株も堅調だった。
東証2部株価指数は6日続伸し、終値は46.32ポイント高の5812.15と最高値を連日で更新した。シャープやマーチャントが上げた。半面、朝日インテク、フライトHDが下げた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS16_X00C17A3000000/
新興株7日 ジャスダック18日続伸、マザーズは12日ぶり反落
2017/3/7 15:32
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7日の新興企業向け株式市場で日経ジャスダック平均株価が前日比4円08銭(0.13%)高の3043円94銭と18日続伸した。2005年12月16日〜06年1月16日以来の連続記録となった。終値は連日で1991年7月3日以来、約25年8カ月ぶりの高値を更新した。セキュリティーソフトの販売拡大を評価した買いで大幅高となったアズジェントなど個別に材料が出た銘柄に買いが入り、相場全体を押し上げた。
ジャスダック市場の売買代金は概算で593億円、売買高は1億659万株だった。アエリア、トレイダーズが上昇した。半面、Jエスコムやジシステム、セグエGは下落した。
東証マザーズ指数は12営業日ぶりに反落した。終値は前日比9.33ポイント(0.86%)安い1071.12だった。利益確定の売りが優勢になった。モブキャスやレノバ、ITbookが下落した。一方でジーエヌアイやミクシィ、アカツキは上昇した。
7日に東証マザーズ市場に上場したロコンド(3558)は10時23分に公開価格(1850円)を42%上回る2625円で初値を付けた。終値は2735円だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISST2_X00C17A3000000/
ドバイ原油・7日午後、小幅続伸 54.10ドル前後
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原油でアジア市場の指標となる中東産ドバイ原油のスポット価格は7日、小幅続伸した。取引の中心となる5月渡しは前日比0.20ドル高い1バレル54.10ドル前後となった。安値で押し目を拾う動きが出やすくなっている。
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ドバイ原油・6日午後、小幅反発 53.90ドル前後 (6日 16:39)
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商品11時30分 金は下げに転じる、円高重荷 白金は高い (6日 11:41) [有料会員限定]
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