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日産自動車社長を退任したカルロス・ゴーン氏(つのだよしお/アフロ)
日産ゴーン社長、V字回復美談に隠れた黒歴史…深刻な幹部流出、徹底した「責任逃れ」
http://biz-journal.jp/2017/03/post_18186.html
2017.03.02 文=河村靖史/ジャーナリスト Business Journal
日産自動車で17年間の長期にわたってトップを務めてきたカルロス・ゴーン氏が2月23日、日産の社長兼最高経営責任者(CEO)を4月1日付で退任すると発表した。周囲から「高額な報酬を得て、死ぬまでルノー・日産のトップに居座り続ける」と見られてきたゴーン氏が突如として退任を決断したことに、業界内外から驚きの声が上がっている。ゴーン氏の突然の退任は、経営の第一線から身を引く前触れか、それとも新たな野望の始まりなのか。
関係者によると2月22日に開催された日産の取締役会で、ゴーン氏が自身の社長兼CEOの退任と、後任として西川廣人共同CEOの社長兼CEO就任を提案、これが了承され、翌日午前8時に発表された。大企業のトップ人事は通常、証券取引所の場が閉まった午後3時以降に発表されるのが通例だが、朝一番に発表、しかも社長交代の記者会見も開かれなかった。
日産のプレスリリースによると、ゴーン氏は「(昨年10月に傘下に入れた)三菱自動車工業の会長に就任し、次の日産の定時株主総会の開催を控えていることから西川氏に日産のCEO職を引き継ぐのに適切な時期と判断した」と説明している。ゴーン氏は日産の代表権を持つ取締役会長となり、今後はルノー、日産、三菱自による「アライアンスの拡大と経営に集中する」としている。
ゴーン氏が日産入りしたのは、1999年にまで遡る。長期にわたる販売不振で業績悪化が続き、有利子負債が2兆円と、倒産寸前だった日産がルノーと資本提携、ルノーの上席副社長だったゴーン氏は、日産の経営再建を主導するため、最高執行責任者(COO)として送り込まれた。当時のゴーン氏は業績が悪化していたルノーで工場閉鎖や調達先の絞り込みなどを進めて業績を急回復させたことから、業界で「コストカッター」との異名で呼ばれるほどだった。
日産入りしたゴーン氏は、調達先の絞り込みによる購買コスト削減や工場閉鎖などによる中期経営計画「日産リバイバルプラン」をまとめるとともに、「コミットメントを達成できなければ日産の役員を辞める」と宣言。背水の陣で挑んだ経営再建は成功、日産の業績はV字回復し、中期経営計画も目標を前倒しで達成した。ゴーン氏は2000年に社長に就任、01年にはCEOとなった。
その一方で、日産の調達先の絞り込みの煽りを受けて、鉄鋼メーカーのNKKと川崎製鉄が生き残りに向けて経営統合したほか、日産系列部品メーカーの合併も相次ぐなど、「ゴーン改革」は企業再編の引き金となった。
その後、日産の業績は順調に成長を続けてきた。ゴーン氏は日産の経営再建の手腕を買われ、05年に日産にとっては事実上の親会社であるルノーの社長兼CEOにも就任。日本と欧州の大手自動車メーカー2社のトップを1人で務める異例の経営体制をとってきた。
■根強い批判も
17年間にわたって日産のトップを務めてきたゴーン氏だが、ずっと順風満帆できたわけではない。13年には、他の自動車メーカーの業績が順調ななかで、大手のなかでは日産だけ業績が低迷、下方修正を繰り返した。しかし、ゴーン氏は当時日産でナンバー2だった志賀俊之氏をCOO(最高執行責任者)職から解任する一方で、自らは社長兼CEOの職にとどまったことから強い批判にさらされた。ゴーン氏は進退について「株主が決めること」と話していたが、日産の筆頭株主はゴーン氏がトップを務めるルノーだ。
そして、ルノーと日産のトップに固執するゴーン氏を嫌って多くの幹部が流出した。ゴーン氏の後継者の1人と見られていた副社長のアンディ・パーマー氏は、アストン・マーチンのCEOとなった。日産の高級車ブランド・インフィニティ部門トップだったヨハン・ダ・ネイシン氏は米ゼネラルモーターズ(GM)の幹部に就任した。業績を急回復させたPSAグループでトップを務めるカルロス・タバレスCEOは、ルノーのCOOだったが、ルノーのトップ就任に色気を見せたことからゴーン氏の怒りを買い、移籍したとされている。
■ゴーン氏の野望
ここまでルノーと日産のトップに固執してきたゴーン氏が今回、あっさりと西川氏にその座を譲った理由は何なのか。
大きな理由の一つに、現行の中期経営計画「日産パワー88」が今年3月末で終了し、17年度から新しい中期経営計画に入ることが挙げられる。日産入りした当初の「リバイバルプラン」から、ゴーン氏は一貫して中期経営計画を達成できるかを最も重視してきた。日産パワー88に掲げた売上高営業利益率8%、グローバルでの市場シェア8%は達成できない見通しだ。そこで次期中期経営計画では、「西川氏にバトンタッチする」というわけだ。ただ、日産のある役員は「西川氏が策定する中期経営計画が未達成なら、彼の首は3年で切られるのは確実」と言い切る。
もう一つの大きな理由とみられるのが昨年、燃費不正問題を起こした三菱自をルノー・日産グループの傘下に入れたことで、世界トップの自動車メーカーグループの一角になったことがある。三菱自を加えたルノー・日産グループ全体の世界販売台数は16年が996万台となり、世界3位で販売台数1000万台のGMに肉薄、世界1位の独フォルクスワーゲン(VW)、2位のトヨタ自動車の背中が見える位置についた。
ゴーン氏はもともと、アライアンスを世界トップクラスの自動車メーカーグループにすることを目標としてきた。それだけに、今後はアライアンスの拡大に専念する。巨大アライアンスグループを率いていくには、日産の社長兼CEOとしての業務が負担になってくる。日産を含めてアライアンスの自動車メーカーそれぞれにCEOを置き、それぞれに成長の責任を持たせる。その上でVW、トヨタ、GMを超えるアライアンスに成長させ、そのトップにゴーン氏自らが君臨しようと考えても不思議ではない。
まずはゴーン氏が社長兼CEOを退任した後の日産の動向が、注目される。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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