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「失われた20年」を嘆くのは日本の策略?
人民網日本語版 2017年03月01日14:49
(写真はインターネットより転載)
バブル経済の崩壊後、日本は長期にわたる低迷に陥った。1990年代末、日本経済の「失われた10年」という表現が新聞各紙で使われるようになった。21世紀に入ってからの10年間も、日本経済は依然として好転しなかった。メディアの大げさな報道により、「失われた20年」というイメージは人々の心に染み込んだ。「失われた30年」に入っているという人もいる。環球時報が伝えた。(文:張季風、中国社会科学院日本研究所研究員)
日本経済は現在、果たしてそれほどひどい状況にあるのだろうか。その答えはもちろん「否」である。
比較対照を選び間違えている
日本経済の「失われた20年」という主張はまず、比較対象を選び間違えている。私たちはどうしても、現在の日本経済を考える際、中国経済や米国経済、高度成長期やバブル期の日本経済を比較対象としがちである。
だが中国は現在、工業化の初期・中期段階、また都市化プロセスの最も速い段階にあり、経済が急成長するのは当然と言える。日本は一方、他国に追いつくという目標を早くに達成している。日本と米国を比較することもできない。米国は日本と同様、ポスト工業化の成熟段階に入っているが、政治的霸権や軍事的霸権を利用し、世界中で意のままに行動できる。「世界に公共財を提供する」との口実で世界の資源を動かし、自国の経済発展に利用することができる。さらに基軸通貨であるドルの優位性を利用し、通貨発行権と価格決定力を維持し、自国に問題が出ても世界にその埋め合わせをさせることができる。
過去を振り返ると、高度成長期と現在の日本経済を一様に考えることはできない。日本は1955年から1973年まで高度成長を実現し、欧米先進国に追いつくという目標を達成した。だが現在、この高度成長を生んだ客観的条件はほとんど完全に消え去っている。バブル期との比較はさらに不適切である。バブル経済そのものが、非理性的で危険な経済状態だったからである。
現在の日本の経済状况と比べるなら、バブル経済出現前の1984年の日本経済を考えるのがより客観的と言えるだろう。バブル期を除けば、当時と現在の株式市場の上下幅はそれほど大きくなく、地価もそれほど変わらず、労働者の個人所得はわずかに高まり、法人の収入はいくらか下がった。個人金融資産は大きく高まり、2017年は1984年のおよそ4倍となっている。
日本経済の「失われた20年」という主張の大きな理由の一つとされるのが、個人貯蓄率の低下である。だがこれは十分な論拠とは言えないだろう。日本の家計貯蓄率は確かに下落している。だが企業貯蓄率は伸び、国民貯蓄は全体としてまだ高い水準を維持している。企業貯蓄率は2002年以降、20%以上を保ち続け、「アベノミクス」実施後はさらに大幅に高まっている。国民の富裕度を示す一人当たりのGDPは依然として高まっており、経済の実力と国民の生活水準は欧米の主要先進国にまったく劣っていない。
改革と調整の20年
日本経済は1980年代末に隆盛を極めた後、衰退を始めた。だが日本は今でも、極めて裕福な先進国の一つである。2015年の時点で、日本のGDPは世界3位の4兆8千億ドル、一人当たりGDPも3万2480ドルで依然として世界のトップレベルにある。対外純資産は339兆3千億円(1元は約16円)で世界一、個人金融資産も1700兆円余りで世界一である。外貨準備高では、日本は2006年まで長期にわたって世界一の座を保ち、2006年以降は中国に抜かれたが、依然として第2位にとどまり、2015年9月には1兆2300億ドルに達している。日本にはまた、半年分の消費需要に応じることのできる石油備蓄、さらに大量のニッケルやクロム、タングステン、コバルト、モリブデン、バナジウム、マンガン、インジウム、白金、レアアースなどの戦略物資備蓄もある。これらは事実上、モノの形を取った外貨準備であり、戦略的な意義はより高いと言える。
それだけではない。日本の失業率は3%前後で、最も高かった2002年でも5.4%にすぎず、欧州諸国の多くの8%以上を大きく下回っている。国民の生活水準も欧米先進国より高く、自然環境や大気の質は依然として世界最高の水準にある。日本は世界の産業チェーンのハイエンドに位置し、企業の技術革新能力も依然として一流である。ある意味では、過去の20年は日本にとって、改革・調整の20年、鍛錬の20年、制度革新の20年だったとも言える。
日本経済が長期的な低迷に陥ったのは主に、過去の日本において出現していた、自身の実力を超えたまやかしの繁栄を、徹底的に清算しなければならなかったためである。絶え間ない改革を経て、この20年の間に、日本経済の未来の発展を支える次の3つの重要な条件が形成された。第一に、空前のコストの低下と效率の向上。第二に、日本企業の国際化とコスモポリタン化。第三に、持続的で集中的な技術の蓄積。米国の要求に応じた円高へのプロセスで、賃金水準が低下しただけでなく、流通コストと公共費用も大きく下がり、日本は、世界で物価が最も高い国から世界有数の低コスト国に変わった。
また生産活動の大量の海外移転により、輸出拠点だった日本は、世界のビジネスの本部の機能を備えた本部経済へと転換している。企業の研究開発には多くの投資がなされ、日本の潜在技術の実力の向上が促されている。日本はここ20年余り、研究開発投資を十分に重視して来た。GDPに占める研究開発投資の割合は1990年から先進国で最も高く、2015年には3.5%に迫った。
こうした意味から言えば、「失われた20年」の大げさな宣伝は、日本人が自分の良いところをあまり表に出さないからだけとも言えない。自らの貧しさを対外的にアピールすることは、日本がこれまでも使ってきたやり口の一つだ。
「失われた20年」は実態とはかけ離れている。日本経済は過去20年余り、成長率こそ低かったものの、無駄のない充実した発展を実現した。バブル経済崩壊から20年経って、日本は依然として世界第3のエコノミーの地位を保ち、GDPもゆるやかな成長の傾向にある。国際的地位は相対的に低下していくが、低下の速度はゆるやかとなる。日本経済の実力、マクロ経済の動きをコントロールする政府の能力は、見くびるべきではない。(編集MA)
「人民網日本語版」2017年3月1日
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