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超長寿化時代に「75歳まで働く」には、この3つを確保しなさい 45歳から、その準備に入らないと…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51055
2017.2.28 山崎 元 現代ビジネス
■現役時代の必要貯蓄率はいくら?
最近、方々で「長寿化」に個人と社会がどう対応すべきかが話題になる。
リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著『LIFE SHIFT』(池村千秋訳、東洋経済新報社)という書籍が大いに売れていることの影響もあるだろうが、日本は世界にあって長寿化のトップランナーなので、「老後」に対する関心は、もともと高い。
日本人の長寿化・高齢化に関しては、制度や企業などにいくつか注文はあるが、本稿では、「現状及びその延長として予想される状況」を前提として、個人の側で何をしたらいいのかに問題を絞って考えてみたい。制度を良くすることは大事だが、今まさに生きている個人の側では、できることを着々とやっていくしかない。
さて、個人が、長寿化の自分に取っての影響を考えるには、お金の計算が手っ取り早い。
たとえば、大学を卒業するの22歳で就職して65歳まで働き、老後には現役時代の平均的な生活費(物価調整済み)の0.7倍で生活したいとした場合、90歳まで生きるのであれば、現役時代に手取り所得の約16.8%貯蓄できれば辻褄が合うが、100歳まで生きるとして老後期間を10年延ばした場合、約21.1%の貯蓄が必要な計算になる(注:サラリーマンであるとして厚生年金を現役時代の可処分所得の30%貰えると仮定した。また、インフレと運用利回りは同じとする実質利回りゼロの世界での計算だ)。
手取り所得の21%強を貯蓄することは不可能ではないが、経験的に言って、手取り所得の2割を貯めるのは、かなり大変だ(想像してみて欲しい…)。
実は、この問題の解決方法はシンプルだ。
昔よりも長寿で、しかも元気なのだから、より長く働けばいいのだ。書籍『LIFE SHIFT』も大筋ではそう言っているように読める。
先の計算で、75歳まで52年働いて、100歳まで25年の老後期間を現役時代の0.7倍で賄うとすると、現役時代の必要貯蓄率はいくらか。14.4%が答えである。それでも、この程度の貯蓄が必要であることには注意して欲しいが、これなら達成はそう難しくないのではないか。
さて、「より長く働けるようにする」ことを目指すとして、今から、「普通の働く個人」に必要なこと、できることは何なのだろうか。
まず、必要をベースに考えるなら、@働く場、A働くスキル、B働ける健康、の3点を確保することが必要だ。
■@働く場の確保:会社にはもう頼れない
個人にとって最も気になるのは、例えば75歳まで働くことができる場を確保することができるかどうかだろう。
特別に幸運な会社で働いている場合を除いて、一つの会社に、ざっと50年にわたる期間の働き場所の提供を期待することは難しいだろう。会社は、理屈上永続もしうるし、現実的には短期間で消滅もしうるものだが、一つのビジネス・モデルが50年間有効であり続けるのは、相当に大変なことだ。
また、仮に会社が継続的に好調であったとしても、会社の側で将来も自分を必要とするのかは不確実だ。
現在企業勤めのサラリーマンの場合、途中で役職定年などで収入が下がることがあるとしても60歳までまずまずの条件で雇用され、それ以降は65歳まで大きく条件を下げながら雇用が延長できる、というくらいが現在の勤め先の平均像だろう。75歳には10年足りない。
また、急に仕事の能力が落ちる訳ではないのに60歳〜65歳の労働条件が悪すぎると感じる方も多いだろう。収入面でも大きく下がるし、仕事が簡単なものになったり、仕事をする際の権限が急に乏しくなるなどで、仕事のモチベーションを維持できないケースも少なくないと聞く。
できれば60歳前後から、次に自分に合った「働く場」を確保できるようにしておきたい。
■働き方の複線化
仕事のスキルについては後でまた検討するが、60歳以降もできる仕事の場を確保するためには、相当に長い準備期間が必要だと考えておきたい。準備を始めるのに理想的な年齢は45歳くらいではないかと筆者は考えている。
例えば、将来、コンサルタントや「士業」(税理士、社会保険労務士、弁護士など)で独立しようとした場合、仕事に必要な知識を学んだり、制度的に必要な資格を取得したりするための時間がおそらく数年単位で必要だし、独立した際の顧客を十分確保しておかねばならない。
独立を成功させるためには、将来確実な顧客になってくれる人との人間関係をどれだけ持つことができるかが重要だが、こうした人脈作りには時間が掛かる。
本業の会社員としての仕事でできた人間関係は、それが有効な人脈につながるきっかけになる場合があるとしても、多くの場合、会社に依存した関係であって、会社を離れてしまうと無効になってしまう場合が多い。
人脈作りには時間が掛かる。できれば、50代の、経済力と体力のある時期に、将来につながる社外の人間関係を積み上げておきたい。
有効な手段は将来の職種によっても異なるが、比較的広く適用できるのは、社外の興味を同じくする人達を集めて勉強会などの「会」の組織を立ち上げて、自ら幹事を務めることだ。
幹事の雑務を負うことで、個々の会員に対して少しずつではあるが「恩」を売ることができるし、幹事だと会員や外部のゲスト講師なども選べるし、外部講師との交渉の接点にもなるので、会を使って会の外にも自分の人脈を拡げることができる。
もちろん、将来、顧客になり得る人々を集めるような勉強会であれば、自分が無償で知識を提供したり、相談に乗ったりするような種まきも将来のために重要だ。
なお、調査系の仕事をしている人や技術者、あるいはジャーナリストのような自分を知的だと思っている方々は、しばしば大学の教師になりたがるが、これはなかなか狭き門である。
私立大学の専任教官であれば定年が70歳くらいであることが多いし、その後も元気なら元の肩書きを使って仕事ができそうにも思えるが、大学教師は希望者が多く、専任教員のポストを得ることは大変だ。
大学院に通うなどの方法で博士号を取り(応募の条件であることが多い)、さらに条件のいいとは言えない非常勤講師を長く務めるなどで大学に貢献しつつ、コネと言えるような人間関係を作って、さらに空きのポストを待って、教授会で反対されなければやっと就職が叶うといったケースが多い。
■不安定時代の「副業のススメ」
サラリーマンがいきなり独立して、お店を持ったり、フリーランスで働いたり、会社を作ったりするのは、かなりのハイリスクだ。定期的な収入を失うことの経済的な不安定性は大きい。
40歳を過ぎたくらいから考え始めてもいいと思うし、将来本業にしようと思うようなビジネスであれば、もっと早くから実行に移してもいいかと思うが、元々勤めている会社の仕事と並行して、副業を立ち上げるのは、今後の長寿化・長期間労働社会に適応する上で有力な方法だと思われる。
筆者は、現在、58歳だが、証券会社のサラリーマン(非常勤だが給料や社会保険は会社のものだ)を務める傍ら、経済評論家・コンサルタント的な仕事をしている。こうした「働き方の複線化」を始めたのは、42歳になる少々前からだった。
当時は、勤務時間の縛りが緩いシンクタンクに、給与水準を落として仕事の負担を軽くして貰いつつ務めながら、他の会社にも勤めたり、ベンチャーに関わったり、評論家的な執筆や講演・出演などの仕事をしたりと、働き方と働き先を同時に模索した。
その結果、評論家的な仕事の分量が増えて、副業が半ば本業のようなバランスになって、その後、勤務先をシンクタンクから証券会社に変えて今日に至っている。
特別な才能もコネもない筆者の場合、こうした形がほどほどのリスクの下での働く機会の拡張方法だった。
■相談できるヘッドハンターを持て!
60歳以降の、大まかにはセカンド・キャリアの働き方として、フリーランスや独立起業といった選択肢ももちろんあるが、自分のスキルや経験が活かせる職場に転職するという選択肢もある。
転職は、縁があれば短期間で決まることもあるが、シニアの転職の場合、採る側と採られる側の条件がなかなか一致しない場合も多いので、転職活動には時間が掛かると考えておく必要がある。
長期化するかも知れない転職活動にあっては、転職市場の情報収集も必要だし、戦略を相談できて、アドバイスを貰える相手がいると心強い。
ただちに転職する積もりがなくとも、ヘッドハンターの知り合いを作ることをお勧めする。仕事の詳しい知識、業界のトレンドなどの提供、あるいは人材の紹介などで、ヘッドハンターの仕事に貢献しておくなら、必要が生じた時に親身になって動いてくれるだろう。
■A働くスキルのメンテナンス:働きながら学べ
書籍『LIFE SHIFT』では、著者たちが研究者・教師であるからか、働く年代に入ってからも、ある程度まとまった時間を自己教育に投資することの必要性が説かれている。
ただ、20代で就職を遅らせて放浪して視野を広げるような自己投資は、それ自体が魅力的な時間ではあるが、職業スキルの吸収力が大きく、また、企業にとって使いでもある若い時期を実際の「職」から離れて過ごすことは、機会費用が大きすぎるように思う。
また、壮年期、中年期に、お金を貯めておいて大学院に通って新たな知識やスキルを獲得する時期を作るようなやり方も、現在の日本では、再就職しようとした時のリスクが大きすぎるのではないかと思われる。
働く期間が長くなると、学校時代に学んだ知識が古くなったり、若い頃に身につけたスキルが陳腐化したりするケースは相当に増えて来るだろう。方法は考えなければならないとしても、「継続的な自己教育」は確かに必要だ。
現在の日本のサラリーマンの状況に鑑みると、「働きながら、自習する」ことが最善の策であるように思われる。
端的に言って、週休2日のうち1日を主として自分のスキル・知識への時間の投資に充てるというくらいの自己メンテナンスが必要だろう。
将来の仕事に役立つ本や論文を読む人もいるだろう。週に1日程度の時間を継続的に仕事のために投資して積み重ねるなら、日本にあっては、他人に対してそれなりの差を付けられるくらいの成果が得られるのではないか。
あるいは、技術者などの場合、将来海外で職を得て働くために、外国語を習得したり、土地に慣れるために現地を何度か訪れたりといった準備が有効なケースもあるだろう。
もちろん、大学や専門学校、あるいは社会人大学院を使うと有効な場合もあるだろうが、日本の場合は、職場を完全に離れる形で自己教育の投資を行うのは、復職が大変だし、仕事のキャリアに穴があくので人材価値を維持する観点から、お勧めしにくい。
まずは、働きながら、しっかり時間を取って、継続的に自習するのが基本だろう。
■B健康を確保する:やっぱり身体が資本
働く場があって、スキルを磨いていても、健康状態が悪いと働けない。全体の傾向としては、長寿化と並行して、高齢者は年齢の割に元気になっているが、健康には個人差がある。
筆者は、健康問題の専門家ではないので、述べるに足る健康法のうんちくを持っていないが、健康のために、時間・努力・お金などを使うことは、特に長寿化時代の職業戦略として有効な「投資」であることを強調しておく。
長生きするとしても「身体が資本」という状況は変わらない――。
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