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三菱重工は南アで盟友にババを引かされたのか
記者の眼
日立と南ア不採算案件の巨額負担を押し付け合い
2017年2月27日(月)
寺井 伸太郎
三菱重工業と日立製作所の関係が険悪になってきた。両社の共同出資会社が手掛ける南アフリカの不採算案件の費用負担を巡り、言い分がかみ合わない。今月、三菱重工が日立に請求している負担額を従来の2倍となる約7600億円に増額したことが表面化。情報の開示方法も含め、相互不信は深まるばかりだ。
問題の案件は日立が2007年ごろに受注した南アでの大規模な火力発電所向けボイラー建設だ。当時は日立の新興国開拓の成功事例として話題になった。現在は両社の火力発電プラント事業を統合し、2014年に発足した三菱日立パワーシステムズ(MHPS、65%を出資する三菱重工の連結子会社)が案件の遂行を引き継いでいる。
情報開示で「不意打ち」の応酬
両社の衝突が表面化したのは2016年5月。三菱重工が決算説明会で4000億円弱を日立に請求中だと公表した。南ア案件はかねて現地の厳しい環境による工期の遅れや労使紛争などによるコスト増が懸念されていた。事業統合の交渉時から三菱重工も課題を認識しており、受注元である日立に一定の費用負担を求めることで合意していた。
折り合いがつかないのはその金額だ。膨大な額だけに、2年以上交渉しても話がまとまらず、やむを得ず公表に踏み切ったと三菱重工は説明。対する日立は「協議中の内容をどうして一方的に開示するのか」と不快感をにじませた。
その後も水面下で交渉が続いていたとみられるが、今月、今度は意趣返しのように日立が奇襲した格好になった。2月8日、三菱重工からの請求が約7600億円になったことと、併せて要求を拒否する意向を改めて示したのだ。
三菱重工が2月2日に開いた決算説明会ではその類の話は出ておらず、日立が発表した翌日である2月9日になって「重要なお知らせ」と題して後追い的に開示した。株式市場への情報発信を含めて双方の足並みが全くそろっていないことが伺える。
日立との紛争解決に腐心する三菱重工の宮永俊一社長(写真:的野弘路)
受注したのが悪いのか、進め方が悪いのか
請求額の増額理由について、三菱重工は従来よりも急に南ア案件の状況が悪化したわけではないと説明。あくまでも日立から引き継いだ時点の収支などの見積もりをより精緻にした結果だとしている。
記者が理解している範囲で、双方の主張を意訳するとこうだ。
三菱重工 「最初に日立が採算に合わない無茶な条件で南アから受注したのが悪い。そのツケを我々に回してくるな」
日立 「最初に受注した責任は認めるが、現在はMHPSの仕事だ。お前たちが下手なやり方でコストが膨らんでいるものまで我々に払わせようとしているだろう」
事業統合で得をしたのは誰か
三菱重工の宮永俊一社長は就任前、担当役員として日立との事業統合を主導した立場だ。当時は世界展開をにらんだ日本企業の大型提携として高い評価を集めた。当事者であるだけに、事業統合前に詰めたはずの南ア案件の費用負担問題で安易に妥協することはできないだろう。結果論とはいえ、三菱重工にとって事業統合をしないほうが良かったという議論を引き起こしかねない。意地の悪い見方かもしれないが、日立にすれば、事業統合によって、目先の爆弾ともいえる南ア案件を抱えるMHPSは持ち分法適用会社となった。関与が減ったぶん、業績に影響を与える危険性は薄まったともいえる。
ともに米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスを仮想敵に掲げ、「選択と集中」を標榜する三菱重工と日立。集中の結果、三菱重工はババを引いてしまったのか。結論を出すのは時期尚早だが、グローバル企業にとっては1件のM&Aが数千億円の損失につながりかねない。経営は結果責任がすべて。日本企業同士であっても全く油断できない時代だ。
このコラムについて
記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
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