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「首相官邸 HP」より
米国国民の高い支持を得るトランプは、これから日本に容赦なく経済的要求を浴びせる予兆
http://biz-journal.jp/2017/02/post_18056.html
2017.02.17 文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授 Business Journal
1月20日のトランプ米大統領就任後、政策には先行き不安を高めるものが多い。1月27日には、中東などからの入国を制限する大統領令が署名された。各界から入国制限への批判が出るなか、トランプ大統領は司法を軽視する発言を行うなど、国内外で論争を巻き起こしている。2月9日にはサンフランシスコの連邦控訴裁判所が、この大統領令を差し止めた地裁の命令を支持した。トランプ政権は新しい入国制限を準備しているといわれ、先行きは不透明だ。
それでも、米国ではトランプ大統領への支持が根強いようだ。従来の政治家が変えられなかった社会環境を変えてくれるとの期待は強い。その期待に応えるために、トランプ政権は米国第一主義の取り組みを推進するだろう。それができないと大統領の支持率は低下するはずだ。
そうしたなかで10日に開催された日米首脳会談では、トランプ大統領は日本に対する“強硬姿勢”を封印した。経済面では、日米政府が対話を進め、公正な競争環境を整備することが約束された。この点において円安批判などの懸案事項は先送りされたといえる。
今後、日本はどう米国と交渉するかを真剣に考えなければならない。世界の政治動向を見ていると、米国のように自国第一の政治が進みやすくなっている。主要国の政治が自国優先に流れてからでは、公正かつ公平な競争環境の整備に向けた協議を進めることは難しくなる可能性がある。
■根強いトランプ大統領への支持
1月20日に正式就任したトランプ大統領の政策運営を見ていると、保護主義政策と対外強硬策が顕著だ。保護主義に関する面では、トランプ大統領自ら、企業に生産拠点を米国に戻し、米国製の資材を用いて生産活動などを進めるように求めている。NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉、輸入品への国境税の適用も検討している。
そして、イスラム国への支援が疑われることを理由に、中東などからの入国を制限する大統領令に署名した。これは、宗教などを理由とする差別につながりかねない。米国の司法界、企業経営者などを中心に入国制限への反発が高まっているのは当然だろう。これに対してトランプ大統領は、自分自身の考えが正しく、大統領令を批判する司法関係者などが間違っていると、司法軽視の考えを示している。
この状況を見ていると、トランプ大統領は横暴に映る。自分自身の言動がどういった反応を招くか、冷静に考えることなく大統領令を出しているといわれても仕方がない。大統領の側近も、横暴な大統領を諌めることができていない。こうした横暴さが目立っているため、トランプ政権の先行きに不安を感じる人は多い。
米国の世論はトランプ大統領への支持、不支持で二分されている。重要なことは、米国社会全体がトランプ政権を支持していないとはいえないことだ。トランプ政権への支持は根強い。
世論調査には2つの方法がある。伝統的な電話でのインタビュー調査と、自動音声やインターネットを用いた匿名での調査だ。前者の場合、トランプ大統領を支持しないと答える有権者が多い。一方、後者の方法だと、トランプ大統領への支持が過半数を占めるものがある。そして、伝統的なインタビュー調査に比べ、トランプ大統領への支持と不支持は拮抗している。トランプ政権の政策運営には物議を醸す部分が多いものの、それが有権者から“ノー”を突きつけられたわけではない。
■トランプ政権の米国第一の姿勢に変わりはない
トランプ政権の基本路線は“アメリカファースト”だ。輸入を抑え、国内の生産活動をサポートし、雇用を創出して賃金の増加を実現しなければならない。インフラ投資などの財源も確保していかなければならない。
足許では、米国の消費者が見込む1年後の景況感が1月から低下するなど、米国第一を主張してきたトランプ政権への期待はトーンダウンし始めている。金融市場でも経済政策の具体化が進まないため、先行きへの期待が低下しつつあるようだ。そうした状況が続くことは、トランプ大統領の支持率にかかわる。支持率の低下を避けるためには、やはり“米国第一”の主張を続け、それに見合った政策を進めることが欠かせない。
この流れを前提にして、日米首脳会談の内容も検証する必要がある。確かに会談では対日批判が出なかった。これは、強硬姿勢の封印や後退というよりも、懸念材料の先送りと考えたほうがよいだろう。トランプ政権の閣僚承認は遅れている。そのため、具体的な議論を進めることができない。閣僚人事が出そろった段階で、米国政府が日本などに何を要求するか、再確認する必要がある。
首脳会談で日米の両政府は、“日米経済対話”を進めることに合意した。これは、財政・金融政策、インフラやエネルギー面での協力、貿易の3分野を対象とする取り組みだ。実際の議論では、日本の金融政策や、自動車の輸出など、個々の分野で米国が配慮を求め、交渉が難航する可能性がある。
次に重要なことは、首脳会談のタイミングに合わせて北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことだ。北朝鮮にはミサイルを発射して米国を威嚇し、経済政策の解除などを検討させようとの目論見がある。しかし、北朝鮮のミサイル発射は日米が安全保障面での連携強化を正式に確認し合う、重要な機会を提供した。
■今後の展開予想
今回の首脳会談の成果は、米国が100%日本とともにあることを明言したことだ。半面、米国には「安全保障で日本の顔を立てたから経済面ではこちらの要求をのんでもらう」との認識があってもおかしくはない。そこで、政府は日本の金融政策が通貨安を狙ったものではないことなど、事実を正確に伝えていくべきだ。その上で、日米の連携が世界経済の安定に不可欠であることなど、正しいことを正しく米国と共有すべきだ。そして、米国との交渉に加え、わが国はアジア太平洋地域の国との経済連携も進める必要がある。
大統領への正式就任とともにトランプ政権は、TPP(環太平洋パートナーシップ)からの離脱を表明した。これを受けて、多国間の経済連携がどうなるかは不透明だ。すでにニュージーランドは米国抜きでのTPP成立を目指し、各国政府との交渉を目指している。これは、米国離脱後の多国間連携がどうなるかとの不安の表れだ。
中長期的な世界経済の安定には、経済連携の深化を通した自由貿易体制の維持と強化が欠かせない。それが、自由かつ公正な競争環境の整備につながる。そのために、米国の関与は不可欠だ。米国の関与が弱まってしまうと、その隙をついて中国がアジア地域での覇権強化を目指し、国際社会の不安定感は高まるだろう。
反対にいえば、多国間の連携を進めることができないと、日本はかなり厳しい状況に直面する可能性がある。米国が保護主義政策や対外強硬策を続ければ、世界規模で貿易競争などが進み、世界経済全体の安定が損なわれる恐れがある。そのタイミングで米国経済が減速し始めると、一段と各国の需要囲い込みに拍車が掛かる可能性がある。その場合、日本の景気には下押し圧力がかかり、デフレ脱却は遠のくはずだ。
実際に各国が保護主義政策を導入し始めると、公正かつ公平な競争環境を議論することは難しくなるだろう。そうなる前に日本は動くべきだ。政府は速やかに米国との対話を進め、それを広範な経済連携につなげていくことが求められる。
(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)
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