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黒田総裁のほほ笑みが消えるとき−日銀の国債保有が残高の4割突破
ジェームズ・メーガ、Garfield Reynolds
2017年2月14日 06:00 JST
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• 長期金利上昇に国債購入で対抗−金融調節の新枠組み
• いずれ市場の国債枯渇の見方、政策の継続性に疑問符消えず
日本銀行の黒田東彦総裁はかつて、日銀が購入している国債の割合はイングランド銀行(英中央銀行)の買い入れの半分だと笑ってみせたことがある。しかし、このままだと笑いごとでは済まなくなる日も遠くない。
ブルームバーグが集計したデータによると、国債発行残高のうち日銀が保有する割合が40%を突破した。黒田総裁は2014年10月にニューヨークで講演した際の質疑応答で、発行済みの国債のうち日銀保有は20%で、イングランド銀行は英国債を約40%保有していると指摘、追加緩和のオプションは多いと説明した。その後、日銀の国債保有残高は膨張の一途をたどることになる。
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日銀が国債買い入れ拡大を停止したり減速したりする兆候は今のところみられない。金融調節の目標を長短金利操作(イールドカーブコントロール)に切り替えたため、長期金利を0%程度に維持するため10年物国債の買い入れ継続を余儀なくされている。いずれ日銀への国債の売り手がいなくなってしまうのではないかという懸念も広がる。
UBS証券の青木大樹・日本地域最高投資責任者(CIO)は、日銀は昨年末にかけて買い入れペースを減らしていたものの、マーケットが日銀によるテーパリングのリスクを織り込み始めると利回りが0.15%まで上昇、日銀は買い入れを加速せざる得なくなったと指摘する。
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日銀は3日、指定した利回りで無制限に買い入れる「指し値オペ」を長期債を対象に初めて実施した。オペ通知前の10年物国債の利回りは0.15%。日銀の指し値は0.110%で、落札額は7239億円に上った。このオペを含め日銀は3日から8日までの4営業日のうち3日で買いオペを行い、5−10年債を2.1兆円買い入れた。この年限の買い入れとしては黒田総裁が13年4月に異次元緩和を導入してから最大規模となった。
一連のオペで為替相場は円高に振れた。黒田総裁ら日銀幹部は金融調節の枠組みを長短金利操作に切り替えた際に、金融緩和政策の持続性が高まったと説明していたが、国債買いオペの拡大は、操作目標を量から金利に切り替えた後も量的緩和の持続性に対する懸念が払しょくされないことを示す格好となった。
金融調節の新たな枠組み導入は、利回り曲線(イールドカーブ)をスティープ化する狙いもあった。これは実際に効果を発揮した。昨年11月以降の30年債と10年債の利回りの差はここ6年以上で最速のペースで拡大し、一時82ベーシスポイント(bp、1bpは0.01)に広がった。イールドカーブコントロール導入前は50bpだった。
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銀行が売却に回せる国債の量はそろそろ限界に近づいているとの見方がある中で、イールドカーブのスティープ化によって、長期負債と見合う投資資産を必要とする年金や保険などの資金が超長期債に戻ってくるとの見方もある。そうなれば日銀の買える国債の量に影響を与える可能性がある。
黒田総裁が導入した異次元緩和の最初3年半の間に、銀行が売却した国債の累計は141兆円に上り、この間に日銀が買い入れた国債298兆円の半分近くを供給したことになる。残された銀行保有の国債は219兆円。そのうち一定部分は自己資本比率規制を満たすため保有を続ける必要がある。こうしたことから、日銀が買える国債の量の制約に直面する可能性が現実のものになってくる。
日銀は自らの政策によって、国債の利回り減少で日銀のバランスシートがむしばまれる懸念も生んだ。日銀の保有する国債のほぼ3分の1は年間利回りが0%か0.1%となっている。
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過去4年間の国債価格の上昇は日銀に損失ももたらしている。実際に買い入れた価格はほとんどが額面を上回っているからだ。簿価と額面の差額が拡大していることになり、国債の大規模買い入れ政策の持続性をめぐるもう一つの懸念を生んでいる。
UBS証券の青木氏は、来年のいずれかの時期に日銀は買い入れる国債が底をつく見通しに直面すると指摘。ただ、日銀は保有が発行残高の4割を超えても気にしているようには見えず、当面は買い入れペースを維持するだろうと予想、現在の政策からの出口までは非常に長い道のりだと強調した。
当面は日銀は国債の購入をやめることはできないようにみえる。さもなければ、イールドカーブコントロールができなくなるからだ。一方で、永遠に国債を買い続けることもできない。売り手がいなくなってしまうからだ。 黒田総裁の任期は18年4月まで。後悔しようとしたときにはもう任期が切れているかもしれない。
英文記事はこちら
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-13/OL32MH6KLVR901
債券は下落か、米株高・債券安受け売り先行−5年債入札結果を見極め
三浦和美
2017年2月14日 08:08 JST
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他市場はネガティブ、カーブはスティープ気味を予想−東海東京証
先物夜間取引は149円82銭で終了、前日の日中終値比3銭安
債券相場は下落が予想されている。前日の米国市場がトランプ政権の景気浮揚策に対する期待感を背景に株高・債券安となった流れを引き継ぎ、売りが先行する見通し。一方、この日の5年債入札で債券需要を見極めたいとの姿勢も強く、結果が判明するまでは下値が限定される可能性がある。
14日の長期国債先物市場で中心限月3月物は149円台後半での推移が見込まれている。夜間取引は149円82銭と、前日の日中取引終値に比べ3銭安で引けた。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、米国の株高や長期金利の上昇など「他市場はネガティブ」とし、「昨日の相場は手掛かり材料をなくす中、軟調な展開だった。今日もその延長にあり、弱含み」と見込む。また、「カーブはスティープ気味」と予想する。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値0.085%を上回る水準での推移が見込まれている。佐野氏はこの日の長期金利の予想レンジを0.09%〜0.095%としている。
イエレンFRB議長
イエレンFRB議長 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images
13日の米株式相場はトランプ政権の政策期待を背景に上昇し、主要株価指数は過去最高値を更新した。一方、米国債相場は3営業日続落。米10年国債利回りは前週末比3ベーシスポイント(bp)高い2.44%程度となった。
今週の米市場の関心は14、15日に行われるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言に集中している。
5年債入札
財務省はこの日、5年利付国債の価格競争入札を実施する。130回債のリオープン発行で、表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。発行予定額は前回と同じ2兆4000億円程度となる。
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、「1月19日の5年130回債入札は日銀保有割合が85.2%と流動性が枯渇した状態で実施され、今回も最大で86%に達している可能性がある」と指摘。ただ、「需給面から少なくとも無難にこなすと予想した前回入札結果が不調だったこと、その後から日銀オペの不透明感が強まっていることを踏まえると、需給面の下支えは期待し過ぎない方がいいのだろう」と言う。「レラティブ面でも引き続き総じて割高とみられ、あえて5年で勝負する魅力は乏しい」とみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-13/OLC50K6JTSE801
ルペン氏で1億ユーロのチャンス到来か、独国債に賭けるオプション
Stephen Spratt
2017年2月14日 04:36 JST
フランスの大統領選挙の影響でドイツ10年債利回りがゼロになれば、オプショントレーダーは1億ユーロ(約121億円)の利益を得られるかもしれない。
仏大統領選でルペン国民戦線(FN)党首が勝利した場合に利益の出る、ドイツ国債のオプションが人気だ。世論調査は同氏が決選投票で勝利する可能性は低いことを示しているものの、2016年の政治ショックを踏まえ。トレーダーらは次のサプライズが生じる可能性にピリピリしている。
年初から特に人気を集めている取引に、ロングコール・カレンダー・スプレッドがある。事情に詳しい複数の関係者によれば、すでにこうしたオプションは約1100万ユーロのプレミアムを付けてユーレックスで決済されている。トレーダーの予想通りになれば、総額で1億1400万ユーロの利益が生じ、純利益は1億300万ユーロになる。
ドイツ10年債の利回りは現在0.3%前後。ゼロになるには質への逃避が相当進まなければならない。英国の欧州連合(EU)離脱選択後には、利回りが過去最低のマイナス0.21%まで低下した。
原題:Traders Seek $100-Million-Plus Bonanza From Bund Bets on Le Pen(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-13/OLBNOO6VDKHS01
日本株続伸へ、米金利上昇や為替安定を好感−金融やアップル関連上げ
佐野七緒
2017年2月14日 08:07 JST
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14日の東京株式相場は3日続伸する見通し。トランプ米大統領の経済政策に対する期待感が市場に戻っている。米金利上昇で金融株が上げるほか、為替の安定が好感され、自動車など輸出株が高くなる。米アップルの新製品への期待が高まっており、特に電子部品関連は上げそうだ。
SMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦チーフストラテジストは「トランプ大統領の減税策によって景気が良くなれば金利は上昇するとの見方から米国株が金融中心に堅調なことは日本株にもポジティブ」と指摘。また終盤を迎えた国内決算発表では「円安効果が働き、改善がみられる。米利上げが進めば円安方向で、来期も1割程度の増益は期待できる」と指摘する。
米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の13日清算値は1万9505円と、大阪取引所の通常取引終値(1万9440円)に比べて65円高だった。
東証外観
東証外観 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
トランプ米大統領が今後2−3週間以内に税制について「驚異的な何か」を発表すると述べて以来、拡張的な米財政政策への期待が先行しやすくなっている。13日の米国債相場は下落し、10年債利回りは2.44%と、2.9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。けさのドル・円相場は1ドル=113円70銭台と、13日の東京株式市場の通常取引終了時点113円71銭に対して横ばい圏で推移している。
13日の米国株市場ではリフレトレードが勢いを増し、主要株価指数が過去最高値を更新した。S&P500種株価指数が0.5%高の2328.25と5営業日続伸、ダウ工業株30種平均が0.7%高の20412.16ドルだった。金融株が上げをけん引した。米アップル株は最高値で取引を終えた。次期「iPhone(アイフォーン)」が同社の売上高を再び押し上げるとの楽観的な見方が広がっており、日本の電子部品関連株にも恩恵を見越した買いが波及しそうだ。
トランプ米大統領との会談を終えた安倍晋三首相は13日のNHKのニュース番組で、ワーキングランチで日米の自動車問題について「大統領からこれについての発言はなかった。日本の自動車産業による米国への貢献を日本側から述べてきており、その結果、今回言及がなかったと理解」と説明。数値目標は「日本として生産的ではない」との考えを示した。為替については「財務相に任せようと言って、大統領もすぐに了解」したという。SMBCフ証の松野氏は「日米会談を受けて今後の日米対話でもそれほどひどいことにならないという見方は広がっている」と言う。
ただ、日本株の上値も重くなる可能性がある。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を14−15日に控えており、SMBCフ証の松野氏は「発言を前に様子見ムードも強い。日経平均で1万9500円を挟んだ取引となりそうだ」と言う。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-13/OLC4NS6JIJUP01
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