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生き残るのは一社だけ!大企業同士の「大合併」時代がやってくる 飲料・製薬・百貨店・金融・コンビニ…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50898
2017.02.10 週刊現代 :現代ビジネス
一社しか生き残れない業界大編成・大合併時代が到来ーー。人口減少が進む中、様々な業界が再編されるのは必至だ。明治大教授 小笠原泰氏、百年コンサルティング代表 鈴木貴博氏、セゾン投信社長 中野晴啓氏の3名が語り合う。
■飲料メーカーの危機感
中野 日本では「失われた20年」の間に企業の淘汰が進まず、大企業が生き残りすぎたと言わざるを得ません。その間、海外では大企業同士の合併が進み、超巨大企業が誕生しています。
小笠原 しかも日本は規制、法律でがんじがらめ。独自の創意工夫が生まれる余地がない。
中野 日本でも合併を進め、規模を拡大しなければ、海外の超巨大企業に飲み込まれてしまう。たとえば、武田薬品工業の売上高は、製薬世界最大手のノバルティスの約494億ドル(5兆6072億円)に比べると3分の1以下です。
日本の大手4社、つまり武田薬品工業、アステラス製薬、エーザイ、第一三共が連合しなければ、これに伍していくことができない。
鈴木 飲料業界も同じ。ベルギーのビール最大手、アンハイザー・ブッシュ・インベブの売上高は436億ドル(約4兆9489億円)で、キリンHDが2兆1969億円、サントリーは2兆6868億円。この二社が合併してもまだ追いつかないのです。
中野 飲料メーカーは相当な危機感があると思います。生き残る道は海外展開しかありません。「新興国ブームは去った」などと言われますが、いまでもビールはASEANやインド、パキスタン、北アフリカなどの人口増加国で市場が拡大しており、ここで売るしかない。
鈴木 そこでサントリーとアサヒの合併が考えられる。'14年、サントリーでは三菱商事出身の新浪(剛史)さんが社長に就任。商社出身の強みを生かし、海外展開を進め、相当ノウハウが蓄積されてきました。
同社は大きな買収を行いたいのですが、未上場なので資金調達に限界があります。それをカバーするために資金力のあるアサヒと合併する――。
サントリーは'15年、アサヒが「オールフリー」の特許を侵害したとして訴え、控訴までしましたが、昨年夏に突如和解に踏み切った。「マーケットを一緒につくって行こう」という態度に変わったことから、「電撃結婚」の可能性が囁かれるようになりました。
小笠原 なるほど。ですが私はむしろ、サントリーがキリンを傘下に加えるほうが、実現性が高いと思う。キリンは今後、清涼飲料をコカに売却し、国内で市場が縮小するビール以外に「売り」がない。
クレバーな企業ですから、危機感を持って海外展開を図っていますが、実行力が伴わず、'11年に購入したブラジルのスキンカリオールの運営には失敗。'15年末にはそのせいで約1140億円の特別損失を計上しています。現在ハイネケンへの売却を検討中です。
このままキリンに大きな変化がでなければ、好調のサントリーが同社を未上場持ち株会社の傘下に収める可能性はあります。
中野 破談に終わりましたが、'09年にも一度、両社は統合に向けて動いていますね。
小笠原 ほかには、サントリーがサッポロのブランドだけを買うケースも考えられる。「ヱビス」「黒ラベル」という「何もしなくても売れる」ブランドにサントリーが食指を動かさないはずがない。
■百貨店が生き残る道
鈴木 企業の合併、統合の目的は、こうした「グローバルに戦う」といったものばかりではなく、じり貧の企業がくっついて「防戦」するという意味合いもあります。
小笠原 その意味で、私が今後5年で確実に出てくると思うのは、日本郵船と商船三井の合併です。それぞれ'16年度の営業損益の予想が約255億円、約150億円の赤字。スケールメリットがモノを言うこの業界で、もはや一緒にならなければ、競争力が低すぎてにっちもさっちもいかない。
昨年秋には、両社に川崎汽船も加えてコンテナ船舶事業を統合しています。「歴史的転換」と言われ、1100億円のシナジー効果があるとされました。このままの勢いで企業そのものの統合も視野に入ってくると思う。
鈴木 ほかに、国内でじり貧になっていく業界と言えば、百貨店です。地方都市に支店を出すモデルは完全にアウト。次々と店を閉め、リストラを行う「負の仕事」が残っています。
小笠原 追い込まれる中、合併の話が出てくる可能性はあると、私は思います。'07年、生き残りをかけてJ.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店、パルコを傘下に持つ)が発足したという前例もありますから。
現在百貨店で生き残っているのは三越伊勢丹と島屋ですが、新たに持ち株会社をつくって両社をその下に置けば、それぞれのブランドは残り、財務も改善するでしょう。人員的な効率も良くなります。三越伊勢丹と島屋だと、そこまで地域競合もしない。
鈴木 私は、百貨店はそれぞれが業態を大きく変えていくと思います。旗艦店だけが優良顧客を相手に一級の品を扱うビジネスを行う。つまりイギリスの老舗高級百貨店「ハロッズ」を目指します。その一方で、店を閉めて空いた一等地で不動産ビジネスを行う。
中野 両社とも新宿に一等地があるのだから、お客がつかなくなっても不動産で食っていけるというわけですね。ニトリやユニクロに入ってもらえばいいんですから。
鈴木 小売りでの合併で、「やるならいましかない」と私が考えるのは、コンビニ再編です。店舗数のみならず製品開発力でも圧倒的なセブン‐イレブン・ジャパンを前に、現状のままでは、ローソン、ファミマがお互いの客を食い合ってしまう。
そこで、店舗運営のうまいファミマの澤田(貴司)社長と、商品開発が得意なローソンの玉塚(元一)CEOがお互いに補い合えば、セブンに対抗できる可能性が出てくる。
「ローソン・ファミマ連合」は、国内で3万店舗を超え、中国や東南アジアでも店舗の大部分を占める、いわゆる「ドミナント戦略」が可能となる。澤田、玉塚両氏はユニクロ→リヴァンプという経歴も一緒。
ファミマは伊藤忠系、ローソンは三菱系と、「水と油」だから「ありえない」と言われそうですが、この二人にはそれを超えるエネルギーがあるのではないか。
中野 政策的な事情から、いままさに変化が始まろうとしているのが信託銀行です。金融庁は、「地銀合併」に続くテーマとして「銀信分離」を推し進めているようで、信託銀行から銀行業務を完全に分離すべきという考えです。
鈴木 最も目をつけられているのが、積極的にビジネスを行ってきた、独立の信託銀行・三井住友トラストHD(傘下に三井住友信託銀行)です。
中野 そんな中行われた、三井住友トラスト傘下の資産管理銀行と、みずほFG傘下の資産管理銀行の合併は驚きでしたが、たしかに三井住友トラストにとっては賢い戦略です。
みずほFGは相対的に信託部門が弱く、グループ全体として比較的穏やかな社風。三井住友トラストは存在感を示せるし、仮にグループ同士が合併する場合にも、影響力を保持できるという考えがあるはずです。
一方、三井住友FGは存在感のある信託部門を持っておらず、従来から三井住友トラストとの統合を狙っていたはずですから、ショックは大きかったでしょう。
■生保は3極化する
小笠原 「銀信分離」の標的といえば業界二位で安定している三菱UFJ信託銀行ですが、これを抱える三菱UFJFGは、三井住友系と違って信託部門も強いと言えます。それに限らずメガバンク3つの中では、同行が頭ひとつ抜けています。代々の頭取がシステムに強いのも評価できる。
そんな中、これは大きな話になりますが、突き詰めれば、みずほFGと三井住友FGが合併してようやく、三菱に対抗できる可能性が出てくるのではないかと思います。
中野 ところで、金融庁が大いに問題意識を持っているのは生命保険業界も同様です。昨年、生命保険の販売手数料を開示させ、手数料の高止まりに歯止めをかけましたが、これからさらに締め付けは強くなっていく。生保会社は、これまでのような高い利益率を出せなくなってきます。
鈴木 しかも、加入者のうち、高齢となった「団塊の世代」への保険金の支払いが増えると、それに耐えきれずに破綻する企業が出てくる可能性は高い。そこで吸収合併が起きていく。
小笠原 そうした中、各社の色合いはハッキリしています。二大生保として第一生命と日本生命がさらに存在感を増していく。第一生命は帰国子女を積極的に雇ったりと独自の社風を生かして海外を目指す。日本生命はとにかく国内の市場を強かに固めようとしています。
そして、その二社の間で、戦略の方向が見えない明治安田生命や、住友生命、富国生命、朝日生命などが集まり、「第三極」を形成していく。
中野 総合商社は不調です。資源価格の暴落で、'16年3月期の当期利益で、三井物産は834億円の赤字、三菱商事は1326億円の赤字と初めての赤字となった。
小笠原 三井物産は、'15年に社長が「32人抜き」と言われる人事で抜擢されましたが、一方で年長の役員が多く、経営のかじ取りが難しい。苦闘が続くと思います。
鈴木 そこで合併に追い込まれると言われるのが、三井物産、住友商事です。昨年春に住友商事の業績下方修正が発覚した頃から囁かれています。
中野 両社を取り巻く環境も、あたかも合併を促しているかに見えます。合併に際しての一番の障害はメインバンク同士の衝突ですが、両社ともメインバンクは三井住友銀行。また、商社は投資先のポートフォリオが重要になりますが、両社は資源系(三井)、非資源系(住友)に重きを置いており、棲み分けています。
小笠原 合併では弱みが解消される側面もある。両社は戦略の基軸が分かりづらい。国内を見ても、三菱はローソン、伊藤忠はファミリーマートと要所を押さえていますが、三井物産、住友商事には「売り」がないのです。合併でそれが変わる可能性もあると思います。
鈴木 この統合話には、「感情」の影響も大きいと思う。三井物産はかつて商社でトップだったという自負があり、伊藤忠('16年3月期の最終利益でトップ)に負けることを異常に嫌がります。住友商事は丸紅に負けたくない。両社が合併すれば、各々のプライドも満足させることができるのです。
■トヨタ、ホンダとグーグル
中野 自動車業界はどうでしょうか。
鈴木 カーシェアと自動運転が普及して自動車の販売数が一気に減る中で、フォルクスワーゲン、メルセデス、日産などグローバルな再編が行われていくでしょう。
中野 ホンダは技術力があり、グーグルと接近もしていますが、現在は売り上げが芳しくなく、販売台数は500万台の水準。1000万台なければ生き残れないと言われる中、苦境に立たされています。今後数年のうちに、海外の企業から「買いたい」と言われるリスクは十分にある。
鈴木 その時、ナショナルブランドへのこだわりから、トヨタがそこに名乗りを上げる可能性は高いと思う。両社は消費者層も異なりますしね。
しかも、ともにグーグルと近い。ホンダは数年前からトップがしばしばシリコンバレーに現れており、トヨタは、グーグル傘下のロボット会社、ボストン・ダイナミクスを買収しようとしている。この二社がグーグルと提携し、「ポスト自動車」をつくっていく未来は想像できます。
小笠原 私はむしろ、「おもしろいもの」を追求してきたホンダが独自路線を歩むと思います。自動運転機能が普及すると、「つまらない」自動車からは撤退し、まったく別の業界の企業と一緒に新しいものをつくるのではないかと予想します。エンジン開発が出自の「本田技研工業」ですから。
鈴木 企業統合が思いがけないものになるのは、それがトップの「野望」から生まれるから。その点で私が注目するのはソニーです。
平井一夫CEOはうまくやっていますが、もし「歴代社長と並び称されたい」という野望があれば、サムスンとの統合があると思う。ソニーの時価総額は約4兆4500億円。
しかし、PS4、ソニー・ピクチャーズなどを考えると、この額は過小評価の可能性がある。一方サムスンの時価総額は25兆円超ですが、明らかにバブル。ギャラクシーノート7の失敗の悪影響が反映されれば、'12年の10兆円レベルに下がってもおかしくない。もしお互いが10兆円企業同士になったとしたら……。「ソニーサムスン」が誕生する可能性もある。
中野 人口が減る中、様々な業界が再編されるのは必至。各社、「その時」に備え、虎視眈々と準備を進めているのです。
「週刊現代」2016年2月11日号より
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