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インフレ税はなぜ日本に必要か=シムズ教授本人が解説デフレ脱却の新手法 豪中銀世界景気改善 中国債券先物に異変、取引高急増
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/872.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 10 日 12:41:26: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

視点:
インフレ税はなぜ日本に必要か=シムズ教授

クリストファー・シムズ 米プリンストン大学教授/ノーベル賞経済学者

[東京 9日 ロイター] - 長期にわたるデフレと低成長、政府債務の拡大を経て、日本はアベノミクス始動以来、主に金融緩和によって事態打開を図ってきたが、利下げ余地のないゼロ金利下限では金融政策は効果を失っているため、財政拡大で物価上昇率2%を目指すことに重きを置くべきだと、ノーベル賞経済学者のクリストファー・シムズ・米プリンストン大学教授は語る。

具体的には、政府債務の一部を増税ではなくインフレで相殺すると宣言し、金融緩和に加えて財政拡大で人々のインフレ期待に働き掛けることが重要だと説く。

同氏の見解は以下の通り。

<日本への政策提案は>

端的に言えば、ゼロ金利下限(Zero lower bound)と低インフレから脱するために、金融緩和と財政拡大を協調して実施することだ。財政拡大と言っても、無計画に歳出を増やしたり、財政赤字を膨らませと言っているわけではない。ここで主張したいのは、政府債務の一部が将来のインフレで相殺されるとの期待を人々に抱かせることの重要性である。

問題は、20年以上も物価の下落や低迷が続く日本のような国において、どのようにして、そうした期待を醸成できるかだが、1つの方法は、政府が財政拡大を2%のインフレ目標に明示的にリンクさせることだと考える。

非常に単純化して言えば、「物価水準の財政理論(FTPL:Fiscal Theory of the Price Level)」では、政府が財政支出を増やして増税で返そうとしなければ、物価水準の調整が起こる(インフレが起きて帳尻が合う)。この理論をもとに、2%インフレ目標の持続的な達成が視野に入るまでは、増税は行わず、財政拡大政策を続けると宣言することだ。

別の観点から言えば、ゼロ金利下限に直面している間は、「インフレ目標達成を担うのは中銀であるべきだ」という規範からは距離を置いた方が良いということである。なぜなら、今の日本のように政策金利が下がって利下げ余地がない状況に陥ると、物価水準は金融政策によってコントロールできないからだ。

具体的な財政拡大策のアイデアについては、以下の2点は検討の余地があるのではないか。まず、2%インフレ達成までは次の消費増税を延期すると宣言することだ。そして、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の改善目標についても、同様にインフレ目標の達成を条件とすることを提案したい。そうすることで、物価低迷が継続している間は、人々はPBの改善ペースが緩やかなものになると期待する。

私は日本の政治経済分野の専門家ではないので、これ以上具体的な提案は差し控えたいが、要するに財政政策でインフレ期待に働き掛けるのが趣旨だ。

そして、2%超のインフレを相当期間にわたり実現し、金利も3―3.5%水準まで安定的に上昇したならば、物価制御の役割は再び日銀が一手に担えば良い。つまり、インフレが再び目標を下回り下降傾向に入ったならば利下げをし、逆の場合は利上げをするという正常の金融政策に戻る。

ちなみに、こうした協調的な政策の必要性は、何も財政・金融政策上の革命でもないし、それ自体が中央銀行の独立性を脅かすものではない。これはあくまでゼロ金利下限から抜け出せない状況に対する緊急的な措置だ。

言うまでもなく、正常な状態では、財政政策は物価制御には注意を払わないし、払う必要もない。債務の管理に集中し、発散(右肩上がりで増大)しないように気を付けるのが役目だ。しかし、繰り返すが、ゼロ金利下限では金融政策は有効性を失っている。ゆえに、財政政策をインフレ目標にリンクさせる必要性が生じる。

<パイパーインフレは杞憂か>

私の主張を伝えると、必ずと言っていいほど、物価の発散が起こるリスクについて質問がある。話がうますぎるというのだろう。しかし、そのような大きな危険はないと思う。むしろ、本当のリスクはインフレ急進とは逆のケースではないだろうか。

日本人はあまりに長い間、物価の下落と低迷を経験してきたので、インフレのない環境に慣れてしまっている。さまざまな政策的実験がこの国で行われてきたが、うまくいったとは言えない。「インフレ目標達成まで増税をしない」「債務の一部はインフレで相殺される」と政府が宣言しても、人々が信じずに、インフレ期待が高まらないリスクの方が心配だ。

また、そもそも万が一、インフレが6%などへ高く跳ね上がりそうになったときには、われわれは、金融引き締め策をどう適用すれば良いかを知っている。中銀の大きなバランスシートと準備預金の金利は、非常にパワフルな金融引き締めのツールとなる。

実際、1970年代末から80年代後半にかけてのボルカー議長時代の米連邦準備理事会(FRB)が示したように、中銀がインフレを制御できた事例は十分と言えるほどある。インフレ退治が必要となれば、金融政策は同じように機能するだろう。

ところで、私は現状でも、日銀の金融緩和が不要だとは言っていない。2%インフレ目標の達成に向けて、財政・金融政策の双方が協調することが何より重要だと考えている。ゼロ金利下限で金融緩和が効果を失ったことと、金融引き締めに動くべきタイミングは別問題だ。当面は政策金利を低く抑えておく必要がある。

ただ、現在のように、大きなバランスシートを日銀がいつまでも抱えている状況は好ましくない。FTPLでは、(政府と中銀を合わせた)統合政府の予算で見るので、本来は中銀のバランスシートだけを問題視する必要はないし、前述した通り、財政・金融政策の協調自体は中銀の独立性を脅かすようなものではないが、日銀の損失発生の可能性に注目が集まり、独立性を危険にさらすような政治的議論に発展するリスクはゼロとは言えない。

また、資産と負債で長短の期間ミスマッチを抱えた大きなバランスシートは、(金利上昇時に)金融政策が財政に与えるインパクトを大きくするリスクがある点にも注意が必要だ。

<増税よりインフレが有効な理由は>

インフレ目標とリンクさせた財政支出の重要性を私が主張している背景には、年金など社会保障制度の持続性に対する若年層の不安をいかにして減らすことができるかという問題意識もある。

日本に限らず先進国では、特に若年層を中心に、社会保障制度の持続性について非現実的と言っていいほど悲観的な見方が強まっている。高齢化に加えて、一貫性のない財政政策が、将来の不透明感を増大させている面もあろう。

もしも債務の一部をインフレで相殺すると政府が宣言し、一定水準の社会保障を維持できることを人々に納得してもらえれば、そうした不透明感の低減に役立つはずだ。人々が貯蓄よりも支出を増やせば、経済的な拡張につながる。

質問に戻れば、確かに増税によって不透明感を低減すれば良いという意見もあるだろう。ただ、増税はそもそも財政引き締めだ。増税によって、どのように社会保障制度の持続性が高まるのか、かなり具体的かつ明確な議論がなければ、不透明感の低減にはつながらないだろう。

ちなみに、この種の議論をする際によく持ち出されるリカーディアン均衡(リカードの等価定理)的な考え方では、追加的な政府支出の効果は将来の増税予測によって相殺されるというが、現在は相殺どころか、それ以上の増税を予測する「パイパー・リカーディアン」とでも呼ぶべき「期待」がむしろ広がってしまっている。増税頼みでは、この状況から抜け出すことは困難であり、むしろ事態をさらに悪化させかねない。今はリカーディアン均衡から離れるように人々を納得させることが重要だ。

なお、インフレにはデフレ脱却という利点もある。確かに、デフレが「悪」であるか、理論的に説明するのは難しいが、歴史的にデフレが経済の低成長や効率低下を招きやすい傾向があることは知られている。

むろん、インフレも、政府債務軽減に用いられるという意味で、ある種の「税(Tax)」であることは事実だ。だが、過去言われてきたように、一定のインフレは経済の潤滑油の働きをする。それは他の税にはないインフレのアドバンテージである。

*本稿は、シムズ氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています(聞き手:麻生祐司)

*クリストファー・シムズ氏は、米国の経済学者。2011年にノーベル経済学賞を受賞。2016年8月にイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長ら主要国の政策関係者が集った米ジャクソンホール会議で、ゼロ金利下限での金融政策の限界と、インフレ目標とリンクさせた財政支出の重要性を説く講演を行い、注目を集めた。1968年に米ハーバード大学で博士号取得。1942年生まれ。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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2017年2月10日 週刊ダイヤモンド編集部

シムズ教授本人が解説、デフレ脱却の新手法「シムズ理論」

クリストファー・シムズ 米プリンストン大学教授インタビュー
金融緩和の限界が明らかになった今、安倍政権の経済ブレインである浜田宏一・米イェール大学名誉教授が注目しているのが“シムズ理論”だ。日本は何をすべきか、クリストファー・シムズ・米プリンストン大学教授を直撃した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子、竹田幸平)

Christopher Sims/1942年米ワシントン生まれ。68年米ハーバード大学にてPh.D.取得。ハーバード大学准教授、米イェール大学教授などを経て99年より現職。2011年にトーマス・サージェントと共にノーベル経済学賞を受けた。マクロ経済学や計量経済学に関する論文多数。Photo by Kohei Takeda

──日本銀行が2%の物価目標を掲げて「量的質的緩和」を実施してきましたが、継続的な物価上昇は起こっていません。今、何をすべきなのでしょうか。
 日本は、金融政策と併せて、財政政策を実施していくことこそが必要です。超低金利の状況において、中央銀行は財政拡大のサポートなしに、(量的金融緩和による)資産買い入れを遂行すべきではありません。
 中央銀行が財政政策の支えを求める際は、債務の大きさを判断の基準とするのではなく、インフレ(物価上昇)を条件とすることが欠かせません。言い換えれば、インフレ目標を達成するために、財政を拡大するということです。
──日本銀行が取ってきた量的質的緩和は効かなかったということですか。
 金利がゼロ近傍になると、量的緩和だけでは、物価に影響を与えることはできないということです。
──日本国民にはインフレに対するアレルギーがあり、容易に理解が得られるとは思えません。
 インフレとは、(預金者から最大の債務者である政府へ実質的に所得を移転させる意味で)税金です。ですから、本来的に人々にとって人気のあるものではありません。政府には国民に対して、政府債務の一部をインフレによって軽減させていく狙いがあるのだと、明確に示す政治的勇敢さが求められます。

http://diamond.jp/mwimgs/c/a/-/img_cab440712f2ff80e17011e704ae85761239550.jpg

 日本はデフレが続き、その影響に苦しめられてきたのですから、むしろ前向きに捉えるべきでしょう。
 超低金利下では金利の下げ余地が小さく、金融政策の物価下落に対する効果は限られたものとなります。中央銀行だけでは、物価をコントロールできない可能性が出てきました。
 インフレが加速を始めるのは、財政拡大の動きがあってこそということです。人々が物価の急速な上昇を認識したときに、中央銀行や財務当局は物価過熱の抑制策を取ることが必要です。
【クリストファー・シムズ教授は、2011年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者。金融政策がマクロ政策に与える影響などを研究し、「物価水準の財政理論」(Fiscal Theory of Price Level、FTPL)の論客として知られる。

 FTPLとは、物価動向を決める要因として、財政政策を重要視する考え方。政府が将来増税しないと約束し、財政支出を増やしていけば、人々が財政赤字拡大から、将来、インフレが起こると予測し、消費や投資を拡大する。それが物価上昇の圧力となり、インフレが発生して、デフレや低インフレ状態から脱し得ると説く。

 財政支出の拡大で政府債務が拡大するが、FTPLではインフレで実質債務を圧縮するという考え方だ。】

物価目標実現が見えるまでは
消費増税を延期
──日本は19年に消費増税の実施を予定していますが、消費増税については延期、凍結、実施のどれが望ましいのでしょうか。
 日本で19年10月の消費増税の実施はすでに決定ずみとなっています。ただ、当局が過ちを犯したと思う点は、彼らが19年10月という具体的な時期を明文化したことです。なぜなら、財政拡大策と消費増税による財政緊縮策を同時に行うことは矛盾しているからです。人々は「将来に増税が待っている」と思えば、政府が財政支出を拡大しても、消費を拡大しないでしょう。
 もし目標のインフレ水準が達成されるまで「消費増税をしない」と言えば、人々に前向きな影響をもたらせたでしょう。その方針を続ける限り、人々はインフレを受け入れやすくなります。そうすれば彼らはお金を使うようになり、マネーの流れも活性化するに違いありません。
──FTPLを政策として実行した場合、成功すると思われますか。
 それが成功するかどうかは、政策当局者が将来の民間の意識を変えられるかどうかに懸かっています。ただ、非常に難しいことであることは確かです。
──仮にインフレが発生した場合、物価上昇率が3%、4%などとターゲットより行き過ぎてしまう危険はないのでしょうか。
 インフレ対策については、中央銀行も財政当局も経験があり、何をすべきか、知っているはずです。例えば、政策金利の引き上げや財政改革(歳出抑制など)です。
 超低金利低インフレからいつまでも脱することができないというのも決していいことではありません。予期しない物価上昇などで急な調整を迫られたときに、打つ手がなくなるからです。
──FTPL自体は1990年代からあったにもかかわらず、昨夏の米ジャクソンホール会議で急速に注目を集めました。
 日本においては、安倍晋三首相の存在が密接に関係しているでしょう。政治的な状況、ということです。
 ただ、私の論文に対する強い反響がその他の多くの場所であったことには驚きました。
 この理論(FTPL)の詳細な議論は、私の論文に引用したマイケル・ウッドフォード氏(米コロンビア大学教授)の長い論文に収められています。しかし、その内容には極めてテクニカルな議論が多く、マクロ経済の専門家向けに書かれたものでした。
 ジャクソンホールでの講演はランチタイムでした。スライドは使えないし、電源やコードもない状況でテクニカルな論文の説明をしなくてはなりません。私には30分間の講演を言葉だけで行う必要がありました。
 そのために私は、何カ月も準備に費やしました。そうして過去に取られた政策を振り返ってみると、低インフレ時代の金融政策の限界を、FTPLから説明できるのではないかと考えました。
 こうした取り組みが、インパクトをもたらす結果につながったのだと思います。
【日本でシムズ教授がにわかに有名になったのは、「アベノミクス」の経済ブレインである浜田宏一・米イェール大学名誉教授(内閣官房参与)が金融緩和の限界を認め、「今後は財政の拡大が必要」とジャクソンホール会議での同教授の論文を紹介したため。浜田名誉教授は、“シムズ理論”を引用し、「金融緩和をしても財政を引き締めれば効果はなくなるため、消費増税は延期すべきだ」と提言している。】
──自身の考えが政治的に利用されることをどう感じますか。
「物価2%目標」を掲げた黒田東彦・日本銀行総裁。もはや金融緩和だけでは達成が難しいことが明らかになってきた Photo:REUTERS/アフロ
 政策が実行される際に、私の考えが政治家の目的に沿って使われるのであって、それぞれの政治家にとって役立つかどうかは気にすることではありません。
 危険は常に、財政による刺激策が政治的なアピールに使われることにあります。私が主張しているのは、将来的な物価動向の行方がどうなるかを考えながら政策プランを策定することです。当局者は私が単純に支出を今すぐ増やせ、と言っているのだと誤解すべきではありません。
──ドナルド・トランプ米大統領は、減税やインフラ投資など財政拡大を掲げています。
 彼の政策では、何が実際に起きるのか、不透明です。(FTPLにのっとったものではなく)ただ、財政赤字を膨らませる政策のように見えます。
 しかし、共和党内には、健全財政派の勢力もあり、トランプ氏の政策が全て実行されることにはならないでしょう。
──シムズ教授は、財政拡大はインフレターゲットを達成するまでのものであり、放漫財政を容認しているわけではないと言っているのですね。
 “適度”な財政悪化がインフレを起こすのに必要と言っているだけで、健全財政を放棄してもいいわけではありません。プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化も重要だとは思いますが、デフレ脱却にはインフレターゲットを実現するまでは、財政拡大が有効だと言いたいのです。税収が増加すれば、プライマリーバランスも改善します。
【記者の目】
財政拡大により消費が増えるか疑問

 貨幣数量説に基づくマネタリーベース拡大、物価目標明示によるインフレ期待への働き掛けで物価上昇を狙った量的緩和の効果が表れない現状において、シムズ教授のFTPLは、財政政策でインフレを起こせる可能性を示し、デフレ脱却への処方箋として注目を集めている。

 ただし、日本における実効性については議論が分かれている。FTPLでは、「政府が財政赤字を増やすが、将来、一定程度の物価上昇が起きるまで増税されることはない」ということを国民が信じて、消費や投資を拡大することが前提になっている。 

 しかし、少子高齢社会の進展で将来の社会保障に不安があれば、インフレ目標達成まで増税しないと政府が宣言しても、消費者の財布のひもはなかなか緩まず、家計の消費拡大にはつながらない公算が大きい。

 日本の現状では、財政拡大によってインフレを引き起こすことができるかというと、疑問が残る。参考にすべき理論だが、処方箋になるかどうかについてはさらなる検証が必要だろう。

http://diamond.jp/articles/-/117435


 


豪中銀:世界景気見通し改善を強調−雇用の伸びは限定的となる可能性
Michael Heath
2017年2月10日 11:06 JST
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は10日 発表した金融政策四半期報告書で、世界景気見通しの改善を強調する一 方で、成長による雇用への恩恵は軽微だとして、雇用の伸びは限定的に とどまるとの見通しを示した。
豪中銀は報告書でインフレ予想をほぼ据え置いた一方で、昨年7− 9月(第3四半期)のマイナス成長の「ベース効果」を理由に、2017年 6月までの1年間の成長率見通しを1ポイント引き下げた。液化天然ガ ス(LNG)輸出は17年と18年の国内総生産(GDP)成長率を約0.5 ポイント押し上げる要因になるとの見通しを示した。
豪中銀は「全般的な成長は、予想期間に失業率を大きく低下させる には十分ではないと見込まれる」と指摘。 豪州の昨年12月の失業率 は5.8%だった。
報告書発表後に豪ドルはほぼ変わらず。シドニー時間午前11時38分 (日本時間同9時38分)現在、1豪ドル=0.7622米ドル。発表前 は0.7621米ドルだった。
原題:RBA Highlights Better Global Outlook, Limited Employment Gains(抜粋)
--取材協力:Kimberley Painter.

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-10/OL4XB16KLVRP01

 

アングル:中国の債券先物市場に異変、ヘッジ需要で取引高急増

[上海 9日 ロイター] - 中国の債券先物市場に異変が起きている。3年前に再開したものの低調な取引が続いていたが、昨年10月からヘッジ目的の利用が急増し、取引高が爆発的に増えている。

中国の債券先物市場は1995年に不正取引問題をきっかけにいったん閉鎖。2013年9月に再開されたものの、低金利環境下ではヘッジの需要は弱く、小ぶりの商いが続いていた。

しかし昨年10月に様相が一変する。11月の5年債と10年債の先物の取引高は8200億元(1191億3000万ドル)と前月から倍増。さらに12月は過去最高の1兆7700億元へと2倍に増えて、わずか3カ月間で4倍に膨れ上がった。1月も旧正月の連休があったにもかかわらず、約1兆2000億元と高水準を維持した。

背景にあるのはヘッジ需要の増大だ。中国政府が金融政策を引き締めに転換し、債券利回りと金利スワップが上昇。ほとんどの債券は事実上、政府の保証を受けていると受け止められてきた中国経済に新たなリスクが生まれた形になった。

政府は2014年以降、デフォルト(債務不履行)の一部容認、経営悪化企業の債務の株式化などを通じて、国内総生産(GDP)の約3倍にも膨らんだ債務の圧縮に取り組んできた。また資本流出や人民元安を食い止めるため、さまざまな規制も打ち出している。

新たなリスクの発生で、3年間にわたった債券相場の上昇に終止符が打たれ、10年物国債の利回りは昨年10月の安値から80ベーシスポイント(bp)上昇して3.5%近辺に達した。

一方、ヘッジファンドのマネジャーにとって債券先物市場は、債券に弱気の見方を表明したり、ボラティリティ上昇に乗じて利益上げるのに便利な手立てだ。

ヘッジファンドのアルファ・スクウェアード・キャピタルのワン・フェン最高経営責任者(CEO)は「これまで債券先物市場はヘッジファンドにとって厚みや流動性が不十分だった」と述べ、今年は取引高が2倍に増えると予想した。

今は取引高の増加がヘッジを望む投資家をさらに引きつける状態。アルファ・スクウェアードのワン氏は「取引が活発になればなるほど市場参加者が増加し、それに伴って流動性も増えるだろう」と話した。

(Samuel Shen and John Ruwitch記者)

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http://jp.reuters.com/article/china-bond-futures-idJPKBN15O0HC
 

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コメント
 
1. 2017年2月10日 15:10:18 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3635]

>政府債務の一部を増税ではなくインフレで相殺すると宣言し、金融緩和に加えて財政拡大で人々のインフレ期待に働き掛けることが重要

つまり財政再建転換の消費増税で腰折れした元々のアベノミクスの2本の矢の擁護ということだなw


>パイパーインフレは杞憂か
>私の主張を伝えると、必ずと言っていいほど、物価の発散が起こるリスクについて質問がある。話がうますぎるというのだろう。しかし、そのような大きな危険はないと思う。むしろ、本当のリスクはインフレ急進とは逆のケースではないだろうか。

そうハイパーインフレは現状では完全に杞憂


>日本人はあまりに長い間、物価の下落と低迷を経験してきたので、インフレのない環境に慣れてしまっている。さまざまな政策的実験がこの国で行われてきたが、うまくいったとは言えない。「インフレ目標達成まで増税をしない」「債務の一部はインフレで相殺される」と政府が宣言しても、人々が信じずに、インフレ期待が高まらないリスクの方が心配だ。

先進国全体がそうだが、日本で特にインフレ期待が高まらない理由は、貨幣選好、つまり将来の所得=消費の維持への不安がある

これは日本のように少子高齢化が進み経済も国力も衰退していく国家では構造的問題で

既存のシステムの既得権者である先進国の国民では、将来への悲観度が高いことで裏付けられる

日本で言えば、完全に寄生者と化している、生活保護受給世帯、高齢年金層や、高給の大企業中高年世帯が、その典型になる

その一方で、インドや中国など、賃金上昇期待が高い(つまり未だ先進国一般労働者に搾取されている)新興国国民では楽観度が高い


逆に言えば、円通貨(=国債=政府への信認)へのバブルが生じていると言っても、そう間違いではないが

歴史的に見ても異例な貨幣選好が、高齢化した国民を中心になされている

こうしたバブルは、黒田なども言っているように、持続不可能で、いずれ崩壊するものだから

その時には、かなり悲惨なことになるが、高齢者であれば上手く死に抜けられる可能性は高いかw


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