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【米経済ウオッチ】
トランプ氏をだます厚化粧、1月雇用は300万人減
山広 恒夫
2017年2月6日 06:45 JST
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• 選挙運動中なら、トランプ氏は「いかさま統計」と叫ぶところ
• 年末の一時雇用者を一斉解雇、季節調整で「22万7000人増加」に変身
トランプ米大統領は、1月の雇用者数が約23万人増加したと公表された後、「雇用の数値に非常に満足している。国民には活気がある」と統計内容を高く評価した。選挙運動中に好調な雇用を示す統計が発表された後、「怪しい統計だ」と批判していたのと様変わりだ。
選挙戦当時に出た好調な経済統計はオバマ民主党政権の功績とされ、同党から指名されたクリントン候補を支援するため、トランプ氏は統計内容の精度に疑いの目を向けていた。しかしトランプ政権誕生後はこの関係が逆転し、強い経済は共和党政権の手柄になるため、明るい統計はトランプ氏に歓迎されるようになった。
金融規制緩和の大統領令に署名したトランプ米大統領(3日)
Photographer: Aude Guerrucci/Pool via Bloomberg
トランプ氏はこんなところでも発言の真意が分かりやすい。実際、1月の雇用統計は選挙運動中のトランプ氏ならずとも、「いかさまだ!」と言いたくなるような内容だ。労働省は1月の非農業部門の雇用者数を22万7000人増加と発表した。この数値は季節調整を施したもので、調整前の原数値は294万8000人減少と途方もない数値である。
これを季節調整で22万7000人増に厚化粧したわけだ。2016年1月の原数値は297万5000人減少で、今年1月よりマイナス幅がわずかながら大きい。この時の季節調整値は12万6000人増と、プラス幅は今年1月に比べて10万1000人も少ない。2010年以降15年にかけて毎年1月は原数値マイナス260万−280万人台で推移しており、16年1月からマイナス幅が拡大した。チャートからはチャネルトレンドの下限を下回ってきたことが見て取れる。これは景気後退を先見しているようだ。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iCHnGiJ.fDaA/v2/-1x-1.png
1月に雇用が大幅にカットされるのは、11月の感謝祭で始まる年末セールで一時雇用された労働者が、年明けに一斉に解雇されるためである。今年は1月に大幅なマイナスを記録したが、昨年12月も22万5000人の減少で、減少幅は15年12月の3000人から大幅に拡大していた。
今年1月と昨年12月を合計すると317万3000人の減少となり、16年1月と15年12月の合計297万8000人減より悪化したことが分かる。
さらに、この原数値をサービス部門と財生産部門に分解すると、新たな視界が開ける。今年1月のサービス部門の雇用者原数値は前月比261万9000人の減少と、16年1月の258万2000人減少からマイナス幅が拡大している。
これに対して、季節調整値では今年1月が18万2000人増と、原数値ではマイナス幅が小さかった16年1月の10万2000人増から8万人もプラス幅が拡大しているのである。季節調整のマジックが一段と強く効いているわけだ。参考までに、今年1月の財生産部門雇用者数は原数値32万9000人減が、季節調整後に4万5000人増。16年1月は原数値39万3000人減が、季節調整で2万4000人増とされている。
季節調整係数は細目ごとに変化するため、一概には論じられない。しかしグレートリセッション後の弱い労働市場、さらに15年後半以降の雇用増の基調的な鈍化を反映して、季節調整による押し上げが大きくなってきたことは間違いない。この要素を無視してヘッドラインの動向に一喜一憂していたのでは、いずれ現実が表面化したときの驚きは倍加されよう。トランプ米大統領はそのときになって、前政権と統計の精度のせいにすることはできない。
(【米国ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-05/OKTH3J6K50Y001
米賃金、伸びの鈍化に惑わされるべからず
1月の米雇用者数の伸びはエコノミスト予想を上回ったものの、賃金の伸びは予想を下回った
By JUSTIN LAHART
2017 年 2 月 6 日 07:20 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
1月の米雇用統計を見る限り、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ再開までもうしばらく待てそうだ。もっとも、投資家はそんな見方にしがみつくべきではない。
1月の米雇用統計、エコノミストはこうみる
1月は米国の労働者にとって素晴らしい1カ月だった。米労働省が3日発表した1月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は前月比22万7000人増となった。ただ、雇用者数はエコノミストの予想を上回ったものの、賃金の伸びは予想を下回った。平均時給は前月比で0.1%増にとどまり、前年同月比では2.5%増だった。12月の平均時給は前年同月比2.9%増から2.8%増に下方修正された。
賃金の伸び率だけを見れば、労働市場には依然としてかなりのスラック(緩み)があり、一部の雇用主の主張とは裏腹に、能力のある労働者の不足は実際には生じていないという説がもっともらしく思える。だとすれば、FRBは少なくとも今年前半は金利を現行水準に据え置くことができるということだ。
しかし、1度の雇用統計だけでそこまで言うのは言い過ぎだ。賃金はさまざまな理由でかなり大きく動くことがある。1月がそうだったが、賃金が低い小売業が雇用者数の増加幅で賃金が高い製造業を上回れば、全体の賃金は下押しされる可能性がある。コーナーストーン・マクロのエコノミストは、労働省が雇用調査を行ったタイミングが賃金に影響したと主張している。同社の予想は、雇用者数ではコンセンサス予測を上回り、賃金では下回った。
さらに言えば、月間の賃金にぶれはあっても、賃金の伸びは基本的に上昇傾向にある。もしここ最近のようなペースで雇用者数が増加し続ければ、雇用できる労働者はさらに減り、賃金の伸び率は上向くだろう。そうなれば、FRBも手をこまねいてはいられない。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwivku3o8vrRAhXIW5QKHW0oCUsQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11367774349816344181604582604003667145034&usg=AFQjCNEMx1KypOB_aJENEb7DBClLOv_WSg
会社から正社員が消える時:変わる米企業
ホワイトカラー職にもアウトソーシングの波
By
LAUREN WEBER
2017 年 2 月 6 日 16:08 JST
企業の労働生産性を見る指標の一つである「1人当たり売上高」。米航空業界では、この指標でヴァージン・アメリカの右に出る企業はない。なぜなら、同社で荷物の配送や機材の整備、予約、ケータリングを含む数多くの業務を行うのは正社員ではなく、委託を受けた外部業者だからだ。
「顧客と対面しない業務のすべてを外注するつもりだ」。昨年3月、デービッド・カッシュ最高経営責任者(CEO、当時)は株主に向けてそう話した。4月にはカッシュ氏が立役者となり、26億ドル(現在の為替レートで約3000億円)で同社をアラスカ航空に売却することで合意。この価格は2014年11月に実施した新規株式公開(IPO)時の2倍以上だ。カッシュ氏は昨年12月、売却が完了した時点で退任した。
プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の部品配送業務を担うユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の集荷・再配送施設 PHOTO: FOR THE WALL STREET JOURNAL
米国企業が従業員数の縮小にこれほど注力したことはかつてない。アウトソーシング(業務外部委託)の波は衣料メーカーの縫製部門を中国に、コールセンター業務をインドに移すなどしてきたが、いまや全米各地のほとんど全ての業種に波及しているようだ。
米小売り大手ウォルマート・ストアーズの倉庫で荷物を下ろしている男女は米トラック輸送シュナイダー・ナショナルの物流部門が人材派遣業者から手当てした人々だ。米製薬大手ファイザーは昨年、臨床試験の大部分を外注した。
米経済誌フォーチュンが毎年発表している「最も働きがいのある会社」ランキングで過去10年のうち7回トップに輝いたグーグルの親会社アルファベットは、関係者によると、正規社員と非正規社員がほぼ同数だという。
同社で働く約7万人の派遣・臨時・契約社員は自動運転車の試験や、製品の改良、マーケティング、データ関連プロジェクトなど数多くの業務を担当している。正社員は白いバッジをつけているが、非正規社員は赤いバッジをつけている。
様変わりする働き方や企業のあり方
こうした傾向は企業や社員のあり方を劇的に様変わりさせつつある。企業にとっては雇用規模や人件費、福利厚生面で融通が利くようになる一方、従業員にとっては雇用の保障が弱まることを意味する。かつては郵便物の仕分け係から昇進を繰り返し、最後には幹部として眺めの良い角部屋のオフィスに出世するコースもあったが、今ではそれが難しくなった。外部に委託される仕事はもはや、将来のスター社員を輩出する出世コースには入っていないからだ。
企業にとって、従業員を外注業者に置き換える最大の魅力は経費コントロールだ。外部委託しておけば、新たなアイデアや必要な変化への対応に足りるだけの正社員を抱えるだけで済む。
勤め先はどこ?
米国の労働力に占める非正規社員の内訳(青:フリーの契約社員、赤:非常勤社員、黄:臨時社員、灰:派遣社員、緑:複数の企業と契約している派遣社員)
https://si.wsj.net/public/resources/images/P1-BZ973B_CONTR_16U_20170201171529.jpg
一方、労働者にとって、この変化は賃金の低下につながることが多い。また、「勤め先はどこ?」という単純な質問に答えるのが驚くほど難しくなることを意味する。外部委託によって作り出された労働力のこうした二層構造が、同一業務を担う労働者間の所得格差を広げていると指摘するエコノミストもいる。
政府機関が統計対象とする雇用カテゴリーにぴたりと当てはまるものがないため、こうした雇用形態で働いている人が具体的にどれほどいるのかは不明だ。エコノミストの推計は、全米労働力の3%から14%と幅広く、最大で2000万人と見積もられている。
昨年発表された学術研究によると、アウトソーシングを最も狭い意味でとらえた統計の一つは、単一顧客での常駐業務に従事する間接雇用による労働者としており、米国の労働者全体に占める比率は2005年の0.6%から15年には2%に上昇している。
企業は社外従業員について詳細をほとんど公開しないが、外部委託向け業務の種類や数を急速に増やしている。人材会社の幹部によると、大手企業の場合は全従業員の20〜50%をアウトソースしていることが多い。
独SAP傘下の米SAPフィールドグラスで戦略・顧客部門を率いるアルン・スリニバサン氏は、石油、ガス、製薬業界では、外部従業員の数が少なくとも2対1の割合で正社員を上回る企業もあると指摘する。
ホワイトカラーにもアウトソーシングの波
清掃やビル管理業務、社員食堂の運営などは外部委託されて久しいが、給料が比較的高いホワイトカラー職、例えば科学研究や採用、運用管理、融資審査といった職種にも同じような変化が起きている。
米労働統計局(BLS)の2015年のデータによると、医師や看護師による口述の診療記録を文書に起こす医学記録転写士の25%は同局が業務補助サービスと呼ぶ業種の雇用者に分類されている。この比率は2009年以降で8ポイント余りも急増している。
大手企業の中には最終的に、最も重要な社員以外をすべて外部委託で賄うところも出てくるかもしれない。コンサルティング会社のアクセンチュアは昨年、今後10年以内に世界中の2000社に1社は、「最高責任者の肩書きがつく職種以外はすべて非正規社員」になると予測した。
以前はプラットの社員150人が2工場で部品の仕分け作業をしていたが、今はUPSの200人の従業員が5工場分の仕事を処理している PHOTO: FOR THE WALL STREET JOURNAL
ただ、中には外部委託を試みた後で翻意した大手企業もある。米小売りチェーン大手ターゲットでは、2015年にマイク・マクナマラ氏が最高情報責任者(CIO)に就任した際、IT(情報技術)関連業務の約70%が外部委託に移された。ところが現在は外部委託された業務の約70%を正規社員が担当している。
マクナマラ氏は「競争上の優位性をどこから得るかといえば、それは社内からだと強く確信している」とし、同社は「(競争相手が)実際に問題にならないくらい優秀なサプライチェーンのアルゴリズムを持っている」と述べた。
ハリウッド型の雇用形態を想定
しかし外部委託の潮流が反転すると考える企業やコンサルティング会社、エコノミストはほとんどいない。中核業務以外の仕事を外部へ委託すれば、その分の時間とエネルギーを企業が最も得意な分野に割くことができる。労務管理を外部に任せておけば、企業は最終製品のことだけ心配していればいいことになる。
ハリウッドの映画制作会社のように、制作する作品が決まってから監督を雇い、俳優や編集者、特殊効果チーム、マーケティング会社を決めていく雇用形態にこれをなぞらえるエコノミストもいる。集められたスタッフは特定の映画を制作するためだけに働き、制作会社は映画公開後の長期的な雇用義務を持たないという形態だ。
ジェットエンジンメーカーの米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)は2015年、3つの新工場の稼働に合わせ、それまで工場ごとに部品メーカーが直接納入していた方法をやめることにした。サプライヤーからの納入を1カ所に集中させ、そこから全5工場へ向けてまとめて再配送する一元管理を導入し、配送業務をユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)に委託することを決めた。
UPSはフットボール場10個分に相当するプラット専用の巨大な集荷・配送施設を新設。プラットの既存2工場で働いていた約150人の部品配送スタッフには再研修の機会が与えられた。離職した従業員もいたが、多くは再研修を受けた。UPSは時間給制の労働者を約200人雇用した。
ニューハンプシャー州ロンドンデリーにあるUPSの集荷・再配送施設 PHOTO: FOR THE WALL STREET JOURNAL
UPSの従業員の大半はこの分野の未経験者で、当初は部品の損壊や不備が出た。プラットによると、同社とUPSのコンピューターシステムを同期させるのにも苦労し、その結果、2015年第3四半期にエンジンの納入が33%減少し、売上高が約5億ドル(約563億円)減った。
だが次の四半期には生産がスケジュール通りに戻り、現在はうまく機能しているという。以前はプラットの社員150人が2工場で仕事をしていたが、今はUPSの200人が5工場分の仕事を処理している。プラットの従業員は労働組合に入っているが、UPSの時給労働者は入っていない。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)は2015年、決算発表後の投資家向け電話会議で、一人当たりの収入が他行より低い理由を聞かれたことがある。
トッド・ギボンズ副会長兼最高財務責任者(CFO)は、投資家は別の要素にも注目すべきだと指摘。「正社員か契約社員かなどを考慮に入れて、従業員の頭数と競争力の関係を正しく計算するのは困難を極める」と述べた。
ジェラルド・ハッセル会長兼最高経営責任者(CEO)は、現在は人が行っている業務をテクノロジーで置き換え、人件費を抑えると約束した。より多くの業務が自動化されるまでの一時しのぎとして契約社員をとらえている企業もある。
BNYは1月、アナリストや投資家に向けて、同行では今、「150以上のボット(人の代わりに業務を行うソフトウエア・ロボット)が稼働中だ」と話した。
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ウォール街はトランプ氏による規制緩和の夢を見るか
トランプ大統領はドッド・フランク法の見直しを指示する大統領令に署名した PHOTO: NICHOLAS KAMM/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By AARON BACK
2017 年 2 月 6 日 12:53 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」***
ドナルド・トランプ米大統領の金融政策課題は、規制緩和という面だけでなく、議会の承認を得ずに物事を進める決意を明らかにしているという点でも大胆だ。
トランプ政権が3日に金融規制緩和計画の概要を示した後、金融株に投資している向きは株価を大きく押し上げてこれを祝った。しかし、同政権が融資と雇用創出を促進するという公約をどの程度達成できるかは不明だ。法律の制定が伴わない場合はなおさらだ。
トランプ氏は3日、金融規制改革法(ドッド・フランク法)の縮小に向けた枠組みを作る大統領令に署名した。また、オバマ政権が制定した、小口投資家の保護を目的とした退職貯蓄の受託者責任ルールの導入を延期、そしておそらく廃止に乗り出している。
金融大手ゴールドマン・サックス・グループの元社長で国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーン氏が説明したように、この規制緩和計画はひと目見ただけでウォール街の夢のように思える。
金融危機後に制定された規則の多くは規制当局の自由裁量に任されている。トランプ政権はこうした規則の施行方法を見直す計画で、銀行の自己勘定取引を禁止するボルカー・ルールも含まれているほか、消費者金融保護局の人事異動もあり得る。
自己資本要件も一部緩和されるかもしれない。この分野のトランプ政権の裁量権は国際協定によって制限されるが、コーン氏は「自己資本については、(米国の銀行が)欧州の銀行のずっと先に行っている」とウォール・ストリート・ジャーナルに語った。
自己資本要件が大幅に見直されなかったら、行動計画の多くは、トランプ氏が中心的課題と言う銀行融資にせいぜいわずかな効果しかもたらさないだろう。
確かに融資活動は金融危機後の数年間、弱まったが、景気回復に加え、銀行が自己資本を積み増し、新規則に適応したことで、銀行融資は再び加速している。
米連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、米銀による融資・リースはこの3年間、年平均6.9%のペースで増加した。2000?07年では7.9%だったが、この数字は金融の安定を維持するには高過ぎた。
ワシントンの民主党と共和党の間では、中小規模の銀行が規制によって過度な負担を負っているため、小規模企業に融資が行き渡っていないとの見方が大勢だ。だが、トランプ政権がこの問題にどのように対処するかは分からない。幅広い支持が得られそうな措置の1つは、FRBの年次ストレステスト(健全性審査)の対象となる銀行の総資産基準の引き上げだ。現在は500億ドルで、おそらくシステム上重要ではない数多くの中堅銀行が対象となっている。
しかし、それには法律制定が必要で、トランプ氏の一方的な行動に議会がどのように対応するかは不明だ。独自の改革案を策定している共和党は、脇に追いやられることを快く思わないかもしれない。また、上院で議事進行を妨害できる民主党は、闘争的な態度をとることを一段と迫られる可能性がある。
ただ、トランプ政権にはもともと、特にウォール街の大企業のために規制を大幅に緩和できる力がある。大統領選以降、大きな勝ち組の1つとなっている金融株は上値を伸ばす新たな燃料を得たのだ。
トランプ新政権
トランプ氏、ドッド・フランク法見直しの大統領令に署名
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiYtpO_8_rRAhUEFpQKHSVeCPYQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10734999991334983926204582604470579837782&usg=AFQjCNFL8_o6ScmMDtrrqIvkEyFvCrDi3w
米金融規制緩和、トランプ氏にできることとできないこと
トランプ米大統領(写真)が署名した金融規制緩和の大統領令が目指す規制変更は大きく三つに分けられる PHOTO: EVAN VUCCI/ASSOCIATED PRESS
By RYAN TRACY
2017 年 2 月 6 日 14:16 JST
ドナルド・トランプ米大統領が3日、金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しを指示する大統領令に署名したことを受け、米金融業界が何年も掲げてきた目標の実現に弾みがつく一方、民主党や消費者団体の間からは不安の声が上がっている。
だが、大統領令が発令されたからといって、オバマ前政権下で成立した規制を廃止するためホワイトハウスができることに実際には限界があるという事実は変わらない。
この大統領令が見直しを目指す規制は大きく三つに分けられる。変更に議会の承認が必要なもの、トランプ大統領が指名する規制当局の独自の判断で変更可能なもの、そしてホワイトハウスが一方的に変更できるものだ。
1.ホワイトハウスが変更できるもの
まず挙げられるのは、退職貯蓄を扱う金融機関に新たな規制を課す「フィデュシアリー・ルール」だ。オバマ前政権は昨年、業界の強い反発をよそにこのルール導入を決定した。トランプ政権は施行日(17年4月10日)延期のほか、ルールの変更や撤回を行うことができる。他の多くの金融規制と違い、これは労働省によって発せられたものだからだ。労働省トップである労働長官は閣僚の一人だ。大統領選の結果にかかわらず一定の任期を務める金融規制当局トップと異なり、労働長官の人事は大統領が握る。
トランプ大統領は規制当局トップを指名する権限を使って金融政策の方向性を左右することもできる。ただ、これには時間がかかる。例えば、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の任期が満了するのは18年2月だ。
とはいえ、大統領が直ちに指名できる重要ポストは幾つかある。FRBの銀行監督担当副議長が空席になっているほか、商品先物取引委員会(CFTC)委員長もすぐ指名できる。証券取引委員会(SEC)委員長は既に指名済み。通貨監督庁(OCC)と連邦預金保険公社(FDIC)のトップはそれぞれ4月と今秋に指名できる。
また、消費者金融保護局(CFPB)の現局長を更迭し、住宅ローンや自動車ローンなどに影響する同局の規則を撤廃することに前向きな人物を新たに指名することもできる。
さらに、財務長官が議長を務める金融安定監視評議会(FSOC)などを通し各当局に圧力をかけることも可能だ。
2.金融規制当局が独自に変更できるもの
トランプ政権が指名した当局トップが正式に就任すれば、それぞれ規制の見直しに着手できる。だが、幾つかハードルもある。銀行の自己資本規制については、すでに国際基準のバーゼル新規制に署名しているため、変更は容易ではない。また、オバマ前政権下で導入された規制の多くはドット・フランク法で義務付けられたものであるため、議会の承認がなければ撤廃できない。
当局がまずできるのは、一部規則について当局の裁量で決められる部分を緩和することだろう。例えば、大手銀行を対象とした年次ストレステスト(健全性審査)や「生前遺言(破綻時清算計画書)」の条件を和らげたり、自己勘定取引を禁止するボルカー・ルールの解釈を見直して銀行の自由裁量の余地を増やしたりできる。
3.議会の承認が必要なもの
民主党の反対が予想されるため、これが最も実現が難しそうだ。だが、上下両院で過半数を占める共和党は目標達成に全力を尽くすとみられ、民主党の支持を得られなくても幾つか重要な変更を成し遂げる可能性がある。
共和党が下院において賛成多数で法案を通すことは簡単だろう。難しいのは上院だ。上院では大半の法案について定数100人のうち60人の賛成が必要だが、共和党は52議席しかないからだ。
民主党は地方銀行・信用組合の規制緩和や、より厳格な監督対象となる銀行の総資産の下限を500億ドル(約5兆6200億円)から引き上げることなど、ドッド・フランク法の小幅な変更では合意する可能性があるが、ボルカー・ルールの撤廃といった大きな変更には反対するかもしれない。
トランプ大統領の就任から2週間の行動は、民主・共和両党の対抗心をあおり、歩み寄りを一段と難しくした可能性がある。上院銀行委員会の民主党トップ、シェロッド・ブラウン議員(オハイオ州)は3日、トランプ氏がフィデュシアリー・ルールをやり玉に挙げたことに対し、「安心した老後生活を送るための貯蓄と投資に四苦八苦しているオハイオ州の世帯が今度は金融機関が顧客を第一に考えていないことを心配しなければならないとは言語道断だ」と懸念を表明した。
上院のルールがあいまいなために定員100人のうち50人の賛成だけ、つまり民主党の支持無しで可決できる変更もある。これは一般的に連邦支出に影響する政策だけに適用される制度だが、共和党はこれを利用して金融規制に影響を及ぼそうとする可能性がある。CFPBやドッド・フランク法に基づき新設された金融調査局(OFR)の予算削減や、同法下でFDICに付与された「秩序立った清算権限(OLA)」(必要に応じて破綻銀行を接収・解体できる権限)の剥奪などが考えられる。
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ウォール街はトランプ氏による規制緩和の夢を見るか
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【寄稿】トランプ氏は初の「シリコンバレー型」大統領なのか
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiL8P_D8_rRAhVJOJQKHe9GCBIQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10734999991334983926204582604583599232846&usg=AFQjCNH05ZwcGP6wAqbJWfOFHCkb-huy-Q
米金融規制緩和、トランプ政権の具体的検討課題
トランプ米大統領は移民政策や通商政策などに関する大統領令に次々と署名している
By JACOB M. SCHLESINGER
2017 年 2 月 6 日 16:17 JST
ドナルド・トランプ米大統領は就任後、移民政策や通商政策などに関する大統領令に次々と署名している。3日には2010年に制定された金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しを指示する大統領令に署名し、金融規制の緩和に乗り出した。金融大手ゴールドマン・サックス・グループの元社長で、国家経済会議(NEC)の委員長を務めるゲーリー・コーン氏が同法の縮小に向けて精査している条項や問題を以下にまとめた。
・受託者責任ルール
このルールは実際にはドッド・フランク法の一部ではないが、リベラル派や消費者団体が長年提唱する一方、保守派と金融業界が批判している消費者保護策で、利害対立を避けるために、退職貯蓄制度で投資アドバイザーが推奨できる投資商品を制限するもの。トランプ氏はドッド・フランク法に関する大統領令に添付された覚書で、このルールを管轄する労働省に導入の延期または廃止を検討するよう命じる予定だ。
・ボルカー・ルール
このルールは銀行の自己勘定取引を禁じたもので、議論の的になっている。コーン氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、当局者らが見直しを予定していることを明らかにした。
・銀行の自己資本比率規制
銀行は多額の損失から身を守るために一定の自己資本比率の維持を義務付けられているが、コーン氏はその基準が高いために融資が抑制されており、メリットよりデメリットの方が多いと考えていることを示唆した。
・ノンバンク金融会社の規則
コーン氏は、「システム上重要な金融機関(SIFI)」に指定された大手ノンバンクには連邦当局の監視が強まることを挙げ、「ノンバンクはSIFIに指定するべきではないと考えている」とWSJに語った。同氏が答えなかった大きな問題の1つは、トランプ政権がプルデンシャル・ファイナンシャルやアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)、メットライフの米保険大手3社のSIFI指定解除を推し進めるかどうかだ。
・「生前遺言」
これは、公的資金に頼らずに破綻処理するための詳細な計画の策定を銀行に義務付けるもので、コーン氏は自らの経験では極めて煩雑だったとして、手続きの簡素化を求めることを示唆した。
・消費者金融保護局(CFPB)
コーン氏はインタビューで、とりわけ消費者関連の金融規制の負担に繰り返し言及した。CFPBのリチャード・コードレイ局長の処遇については明言しなかったが、「人事も政策だ」と述べ、体制を一新する可能性を示唆した。
もっとも、コーン氏に人事権はなく、多くは独立した規制当局に行ってもらう必要があるが、同氏は一部の人選に関与するとみられる。重要な人事の中には議会の同意が必要なものもある。金融規制緩和が議会の未決案件のどこに位置付けられているかは不明だ。
だが、大統領に就任して間もないトランプ氏がすでに証明しているように、ホワイトハウスは独自の判断でさまざまなことができる。米国の金融システムの方向性に関する議論は大きく変わる可能性がある。
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ウォール街はトランプ氏による規制緩和の夢を見るか
トランプ新大統領特集
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