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低インフレ時代に幕閉じるか―世界的に上向きの兆し
昨年は米雇用コスト指数が2.2%上昇し、10年〜14年までの年平均伸び率である2%を上回った。写真はマサチューセッツ州ウィルミントンの「ターゲット」店舗
By MIKE BIRD,CHRISTOPHER WHITTALL AND BEN LEUBSDORF
2017 年 2 月 2 日 13:15 JST
米国とユーロ圏、日本ではデフレとの長年の闘いを経て、消費者物価と賃金が上昇の兆しを見せている。異例の低インフレ時代が世界から姿を消しつつあるようだ。
この背景には、エネルギー価格の回復、労働市場のスラック(余剰)縮小につながる失業率の低下、融資や経済成長を促す低金利政策などさまざまな要素がある。
ユーロ圏では、欧州連合(EU)の統計機関ユーロスタットが1月31日発表した1月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比1.8%上昇。約4年ぶりの大幅高となったエネルギー価格が寄与し、昨年12月の上昇率(1.1%)を大幅に上回った。
市場ベースのインフレ指標も上昇している。トムソン・ロイターによると、ドイツでは債券市場に反映されている今後10年間の予想インフレ率が昨年11月上旬の1.10%から上昇し、31日には1.36%に達した。日本でも同じ期間に0.45%から0.61%へ上昇している。
米国では、賃金と物価に緩やかな上昇圧力がかかっている。米労働省が31日発表した2016年の雇用コスト指数は2.2%の上昇となり、10年?14年までの年平均伸び率である2%をやや上回った。
また、米国の民間平均時給は12月に前年同月比2.9%上昇した。足元の景気拡大期では最高の伸びとなり、人材プールが縮小する中で雇用側が賃上げを競っていることがうかがえる。
世界の成長に水を差す新たな経済ショックや、エネルギー安の再開など、この傾向を覆す可能性のある要素が多いことは確かだ。インフレが低水準から急激に加速するとみるエコノミストはほとんどいない。それでも、世界のデフレに対する懸念は、エコノミストらの懸案事項の中で優先度が下がり始めている。
調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェパードソン氏は「ディスインフレのメカニズムやデフレのメカニズムではなく、インフレのメカニズムが定着している」と述べた。世界的なエネルギー価格の安定、中国製品の価格上昇、米国の低い失業率が賃金の伸びを促す見込みだという。
米連邦準備制度理事会(FRB)は1日、政策金利の据え置きを決定し、今後も緩やかに引き上げる方針をあらためて確認した。景気拡大を妨げることを恐れ、これまでも極端に積極的な行動は渋っている。
物価指標としてFRBが重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、12月に前年同月比1.6%の上昇と、14年9月以来の伸びを示した。これもエネルギー価格が回復したおかげだ。
ユーロ圏と日本では、インフレの上昇が続くかどうかは欧州中央銀行(ECB)と日本銀行の次の動きにかかっている。FRBと異なり、ECBと日銀は景気刺激を目的とした大規模な債券買い入れを続けており、政策金利はマイナスだ。
ユーロ圏のインフレ率はECBの目標である「2%弱」をほぼ達成していると言えるが、ECBは刺激策を解消する兆しを見せていない。ECBはむしろ、変動の大きいエネルギーや食品を除いたコアのインフレ率に注目している。1月は0.9%と低く、15年1月の水準も下回っている。
ECBのマリオ・ドラギ総裁は1月19日の理事会後、「総合インフレ率は上昇が見込まれるが、基調的な物価圧力は引き続き抑制されている」と述べた。
ECBはインフレ上昇に伴い、利上げを早まった歴史がある。08年と11年には利上げを開始したものの、数カ月後に方向転換して再び利下げせざるを得なくなった。
みずほインターナショナルの欧州金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブーベ氏は「インフレの上昇で、(債券買い入れの)縮小ないし打ち切りを望んでいる理事会メンバーの立場は有利になるだろう」とし、「ドイツ以外の国でインフレが加速しているという事実も、タカ派メンバーの追い風となる」と指摘した。
フランスとスペインでも1月のインフレ率がそれぞれ1.6%、3%とアナリスト予想を上回った。
BNPパリバの欧州担当シニアエコノミスト、ギゼム・カーラ氏は「ECBに対し、インフレ統計に反応するよう求める圧力が高まる公算が大きい」と述べた。
日銀は31日の金融政策決定会合で政策を据え置くとともに、インフレ見通しの引き上げを見送った。長年デフレと闘う日本で物価を押し上げることの厳しさが浮き彫りとなっている。
だが一部の投資家は希望を見いだしている。商品(コモディティー)価格の上昇で総合インフレに弾みがつくとともに、円安が輸入物価を押し上げる一方で輸出と成長を促すという重要な役割を果たす可能性があるためだ。
昨年11月以降、ドルは対円で7.7%上昇している。FRBと日銀の政策方向性の違いが引き続き円安・ドル高につながるとみる向きは多い。
米金利が上昇する一方、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の下で10年物国債金利をゼロ%程度にとどめれば、為替相場の材料となる日米金利差は拡大する。一部の投資家は、これもインフレ加速につながると指摘する。
とは言え、欧州と日本ではインフレの持続的上昇は難しいとの見方もある。日本ではインフレ期待が慢性的に低い。ユーロ圏は失業率が10%に近く、賃金インフレを定着させるのは困難だ。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル債券担当最高投資責任者(CIO)、ニック・ガートサイド氏は「世界的なインフレ上昇を確認するなら、米国が最も分かりやすい」と語った。同氏はドナルド・トランプ米政権の規制緩和と減税で成長とインフレが促されるとみている。
利回り曲線に見るトランプ氏への期待
「トランプフレーション」の効果は数年、実体経済への長期的影響はほぼ皆無か
トランプ大統領(29日、ホワイトハウス)
By JAMES MACKINTOSH
2017 年 2 月 2 日 11:33 JST
投資は2つの要素からなる。起こりそうなことを見極めること、それを市場が織り込んでいる材料と比べることだ。ドナルド・トランプ氏が米国の大統領が当選して以来、メディアはトランプ政権下で起こりそうなことに関する話題で持ちきりだ。そしてどの投資家にも自分なりの見方がある。となると、それを市場が織り込み済みの材料と比べることが重要だ。
非常に重要な米国債市場の利回り曲線(イールドカーブ)は、「トランプフレーション(トランプとインフレーションを組み合わせた造語)」が成長とインフレを数年間にわたって押し上げる一方で、実体経済への長期的影響はほとんどないというシナリオを示している。
ゴールドマン・サックスのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏は「成長について期待が押し上げられているが、根拠になっているのは構造面ではなく景気循環だ」と述べた。
大統領選の投票日以降、10年物米国債の利回りが2年物よりずっと大幅に上昇していることから、利回り曲線は急速にスティープ化している。これが起きるのは、投資家が成長加速とインフレ高進を予想している時であり、将来の投資に対する期待が高まるため投資に好循環が生まれる。
遠い将来ほどフラットな曲線
だがより長期の米国債が語るストーリーは違う。より遠い将来を指す部分ほど曲線がフラットなのだ。10年物の利回りは30年物よりずっと大幅に上昇しており、生産性やインフレに対する長期見通しにほとんど変化がないことを示唆している。
景気循環による好景気への期待は株式市場全体に反映されている。ただ、株価水準に与える影響がより大きいのは、新政権による政策の詳細だ。投票日以降、自動車メーカーや航空会社など景気循環銘柄がS&P500種指数をやすやすと上回っている一方、ディフェンシブ銘柄は出遅れ、公益銘柄は下落している。
利回り曲線は金融で最も重要なデータの1つかもしれないが、市場のどのような見方を反映しているかについては解釈の余地がある。
曲線は大幅にスティープ化したが、そもそもかなりフラットだった。投資家は昨年夏には低成長とデフレのリスクを伴う暗い将来を懸念しており、利回り曲線は2007年以降で最もフラットだった。最近のスティープ化の後でさえ、10年物と2年物の利回り格差は12年と15年につけた金融危機後の低水準をわずかに上回る程度だ。
バークレイズのチーフ米国エコノミスト、マイケル・ゲイペン氏は、利回り曲線がスティープ化しているのはトランプ氏の刺激策が原因ではないと話す。刺激策があるとしても、実現した時には経済が既に完全雇用に近い状況になっているとみられるためだ。
ゲイペン氏は刺激策について、「循環の終わりを早めるだけかもしれない。循環のあまりに遅い段階に到来するため、長期見通しはそれほど変わらない」と述べた。
トランプ刺激策の効果は
仮にトランプ氏の刺激策を議会が実行に移すことがあれば、実質成長率よりインフレ率の方が押し上げられる可能性がある。その見方は、米国債市場が予測する期待インフレ率を示すブレークイーブン・インフレ率の上昇に反映されている。向こう10年のブレークイーブン・インフレ率は2014年以降で初めて2%超に戻っている。
物価連動国債10 年物のインフレ加味後の利回りは実質成長率の予想を示すとされる。大統領選後に急上昇した後、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを受けてやや押し戻された。だが0.74%という実質利回りは、12月のピークでさえ1年前の水準に回復しておらず、08年以前の標準にほど遠い。
ここから1つ考えられるのは、成長とインフレを下押しする高齢化の圧力が、規制緩和やインフラ改善による生産性上昇圧力より強いと投資家が考えている可能性だ。大統領選のスローガンとは違って、トランプ氏にできるのはせいぜい米国を本来より少し偉大にすることだ。
30年物国債は成長見通しの指標にはならないとの批判もある。取引が非常に活発とは言えないうえ、政府が決める発行条件などが長期成長見通しと同じくらい重要とも考えられるためだ。確かにそうかもしれないが、トランプ氏が成長とインフレを大幅かつ長期的に押し上げると投資家が本当に信じているなら、利回り3%強の30年物国債を欲しがる者はほとんどいないだろう。30年物国債は完璧ではないかもしれないが、十分に有効な基準だ。
市場が全体として何を織り込んでいるのかを知れば、予想されるトランプ氏の実績について確固とした見方を持つ投資家にとって好機となる。成長加速やインフレ高進、政策の混乱拡大にはいずれも、市場を大きく動かす余地がある。問題は、大統領の動きについてほとんど知らない投資家だ。株と債券への分散投資は、貿易戦争のリスクに対する保険としてはほとんど役に立たない。貿易戦争になれば、インフレが高進する一方で企業利益が減少し、株と債券が共倒れになる恐れがある。
トランプ新大統領特集
米国株とインフレの不都合な関係
黒田総裁悩ます「トヨタとトランプ大統領」
それほど大きくなかったNAFTAの米国経済への影響
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjp8Zzy3fDRAhXIKZQKHQ8PDMkQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12107231265257393585504582592601199823104&usg=AFQjCNG40Vh4L19pujnxN9sKeKrBM7QRqw
移民求める米中西部「斜陽産業」地帯
人口減に悩む地域には新しい住民や労働力が必要との意見も
イスラム教徒が多く住むミシガン州ハムトラムク
By WILL CONNORS
2017 年 2 月 2 日 09:53 JST
斜陽産業が集中する米中西部と北東部の「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の議員たちが、難民や移民の入国に制限をかけるドナルド・トランプ米大統領の政策に異議を唱えている。共和党および民主党の数々の議員が大統領令に反対する大きな理由はひとつ。地元のコミュニティーが新たな人口を必要としているからだ。
イスラム圏7カ国の市民の入国を一時禁止する大統領令に関しては、民主党勢力が強く、不法移民に寛容な「聖域都市」とされる大都市圏のシカゴ、サンフランシスコ、ニューヨークなどで、政治的にも倫理的にも問題があるとする声があった。しかしさらに小規模な都市のオハイオ州コロンバス、ミシガン州トロイ、カンザス州ガーデンシティでも、異論が広まっている。地元の議員らは移民・難民を受け入れる経済的重要性を訴え、人口や労働力の減少を補うためにも大切だとする。
「大統領が国家の安全を守ろうとしていることは理解できる。しかし、ここに住んでいるのは戦争や政治的迫害から逃れたたくさんの素晴らしい人たちだ。彼らは安全な環境で家族を養おうとしているだけだ」とガーデンシティ市のコミッショナーを務めるジャネット・ドール氏(共和党)は話す。「ここに住む移民の人々は社会の生産的な一員だ。いい職を持ち、コミュニティーの生活向上に貢献したいと考えている」
ラストベルト内の多くの都市や州は、外国生まれの移民などを招こうと何年にもわたって努力を続けている。製造業が低迷する中でも経済成長を実現し、人口減少への対策を打ち出すのが狙いだ。中には、移民や難民が地元の経済圏に適応できるように対策部署を設置したミシガン州のようなケースもある。ミシガン州政府は共和党が多数派を占めるが、昨年にはカリフォルニア州に次ぐ数のシリア難民を受け入れた実績を誇る。
そのミシガン州の中でも最も多くの難民をシリアから受け入れたのが、海外出身者が人口の3割を占めているトロイだ。トロイ出身の州議会議員であるマーティン・ハウリラク氏(共和党)は、大統領令によって成長が続いている地元コミュニティーが影響を受けるのではないかと警戒する。
ミシガン州で生活するシリア移民の一家
ミシガン州で生活するシリア移民の一家 PHOTO: ANDREW RENNEISEN/GETTY IMAGES
ハウリラク氏は「地元住民を落ち着かせようとしている」と話し、「気落ちしており、恐怖心も高まっている。われわれの経済にとって有害だ。こうした状況で経済的繁栄は望めない」と続ける。
ラストベルトで選出された議員の中には、大統領の禁止令を支持する声もある。難民を受け入れても「どのような人物が入国するのか分からない」と話すのは、ミシガン州オークランド郡の幹部を務めるブルックス・パターソン氏(共和党)だ。「確かに難民もいるが、そこにテロリストも紛れている」と、同氏は根拠を示さずに主張した。
一方、シリアなどからの難民を受け入れることが地元経済に大きく寄与しているとする研究も発表されている。リベラル寄りとして知られる「フィスカル・ポリシー・インスティテュート」と「センター・フォー・アメリカン・プログレス」が先月発表した内容によれば、米国に住む約9万人のシリア移民のうち、11%はビジネス経営者であるという。これは米国生まれのビジネス経営者の割合である3%と比べても高い。また米国生まれの労働者の年収の中央値が4万5000ドル(約509万円)であるのに対し、シリアからの移民の年収の中央値は5万2000ドルだ。
2015年にオハイオ州のコロンバス市が委託した研究によれば、コロンバス都市部には難民が経営するビジネスが873もあり、3960人の雇用を生んでいる。地元経済への貢献は、年間6億570万ドルにも及ぶ。
「さまざまな議論がある中で、経済成長に移民や新たな米国民がどれだけ重要な役割を担っているのかが見過ごされている」と話すのは、コロンバス市長のアンドリュー・ギンサー氏(民主党)だ。コロンバスでは25年来の低い失業率を記録しているが、これは新たな米国民たちが大きな役割を果たした結果だと同氏は述べる。
米国は2016年度に8万5000人の難民を受け入れ、そのうち1万2500人がシリア人だった。トランプ氏は2017年度には5万人の難民を受け入れる予定だとしているが、シリア人の入国は凍結される。また、難民受け入れプログラム自体も4カ月にわたって停止される予定だ。トランプ氏は禁止令が「入国を許された外国出身者によるテロ攻撃から米国民を守る」ための措置だとしている。
しかし2001年9月11日の同時多発テロ以降、米国では180人がジハーディスト(イスラム聖戦主義者)関連のテロ行為を犯したとして起訴されるか、起訴前に死亡しているが、そのうちトランプ氏が大統領令で指定した7カ国――シリア、イラク、イラン、リビア、イエメン、スーダン、ソマリア――出身の人物は11人だった。さらにこの11人は米国人が犠牲になるような事件に関与していなかったことも、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査で判明している。国務省によれば、シリアからの難民の身辺調査には数年かかる場合もあるという。
数十年にわたり人口減少が続いているデトロイトでは、市や非営利団体(NPO)が協力して移民人口を増やそうと努力を続ける。NPOのグローバル・デトロイトは職業トレーニングや留学生の地元就職を支援するプログラムを提供している。
「われわれは移民の人権を保護する団体ではない」とグローバル・デトロイトのスティーブ・トボクマン代表は話し、地域の雇用を増やして経済活性化を促進することが目標だと続ける。「移民や難民を多く受け入れることが、われわれの経済的利益になるという結論に至った。現在の状況でも、考えは変わらない」と同氏は述べる。
ガーデンシティのドール氏も、地元でたくさんの海外出身者が生活していると話す。多様な背景を持つ住人たちがどのようにうまく生活をしているのかと聞かれた時は、「われわれはお互いを必要としている。仕事をするにはひとりひとりの力が大切だ」と答えているという。
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