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WHの株式買収完了の記者会見をする東芝の西田厚聡社長(当時)=2006年10月、東芝本社 (c)朝日新聞社
“嵌められた”東芝 日米原子力同盟の末路〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170131-00000133-sasahi-bus_all
週刊朝日 2017年2月10日号
東芝が解体の危機に直面している。日本を代表する名門企業だが、原子力発電所建設に伴う思わぬ損失で、経営体力を奪われた。ジャーナリストの山田厚史氏は、日米の原子力同盟に東芝が“嵌められた”結果だという。
* * *
日本を代表する名門企業、東芝が終焉を迎えようとしている。からくり儀右衛門から始まったものづくり企業が、米国の原子力業界の責任である巨額の損失を背負わされた。買収した子会社ウェスチングハウス(WH)の子会社、つまり孫会社のCB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)に、数千億円規模の損失があるとわかった。
数字は「精査中」というが、新聞報道では7千億円の損失と報じられている。事実なら、孫会社が抱えた爆弾で東芝は吹っ飛ぶ。
S&Wは原発の工事を手がける建設会社で、WHが一昨年12月に買収した。そのころ、東芝は粉飾決算で大揺れだった。WHの損失が問題視されていた最中に、「疑惑の買収」が米国で実行されたというのだ。
WHにとって、S&Wは受注した原発の建設を依頼するパートナーだった。トラブルは現場で起きた。
ジョージア州とサウスカロライナ州で計4基の原発建設が進んでいたが、工事は予定通り進まずに3年遅れだ。「開業に間に合わない」と電力会社から損害賠償を請求された。
膨らむコスト。WHとS&Wはどちらが損失を負担するかで衝突し、訴訟合戦が泥沼化した。負けると、WHは莫大な費用を負担する。「WHの経営は順調」と強弁していた東芝は、苦しい立場に追い込まれた。
今は子会社だが、東芝にとってWHは原子力を教えてくれた親分。米国事業はWHに頼っている。「S&Wを買収すれば、問題は解決する」との提案に東芝は従った。粉飾決算で追及を受け、米国事業まで頭が回っていなかった。
買収は世間を欺くトリックにすぎない。訴訟取り下げで騒ぎは収まったが、膨れた損失が消えたわけではない。米国の会計制度は買収完了から1年以内に、資産の洗い直しを求めている。
昨年12月中旬、東芝に結果が報告され、「隠れ損失」が表面化した。S&Wの実質的な買収額は260億円。その20倍を超える損失が1年経ってわかった。
WHが抱えていた隠れ損失2500億円を、昨年に減損処理したばかり。この時は、儲け頭の医療機器部門・東芝メディカルシステムズを売却して埋めた。今度は、命綱たる半導体事業を切り離すことを決めた。
「原発は儲かると思い込んでいた経営者が、道を誤った。海外で原発は極めてリスクの高いビジネスだ」
格納容器の設計に携わっていた元東芝の技術者、後藤政志さんは言う。9.11同時多発テロ、3.11福島事故を経て、米国では原発の安全基準が厳格化された。耐性の強化や検査の長期化で、コストは膨張した。GEのJ・イメルト会長は「原発を事業として正当化することは、難しくなった」と言っている。
東芝が買収した2006年、WHは既に問題企業だった。スリーマイル島事故や電力自由化で原発の採算は悪化。WHの親会社は原発部門を英国核燃料会社(BNFL)に売却して撤退した。
背後に米国の原子力戦略がある。先端技術を握るWHの譲渡先はどこでも、というわけにいかない。BNFLは同盟国の国有企業。そのBNFLもWHの経営再建を果たせず、日米同盟に出番が回った。飛びついたのが東芝だ。東芝はWHの損失を被ることになり、まんまと“嵌められた”。
欧州ではフランスのアレバ社がフィンランドの原発建設で膨大な損失を出し、経営が行き詰まった。政府の支援を受け、国有化された。ドイツではシーメンスがアレバとの提携を解消し原発から手を引いた。今は再生可能エネルギーへと舵を切っている。「安全」「安い」という原発神話は世界で崩壊している。
成長戦略に原発輸出を掲げる日本は時代を逆走してはいないか。それどころかWHは中国で原発4基を建設中だ。もめ事が起きたら、東芝はとどめを刺される。
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