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『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』(彩図社)
「出演強要問題」はAVだけでなくグラビアアイドル業界でも起きている…中には事務所が強いるケースも
http://lite-ra.com/2017/01/post-2885.html
2017.01.31. 「出演強要問題」はグラビアアイドルも リテラ
公明党が政府への提言を取りまとめる作業チームを設けるなど、いまもなお社会問題となっている「AV出演強要問題」。アダルトビデオ作品への出演であることを隠しながら「グラビアモデル」として契約書にサインさせ、その後、脅しをかけてAVへの出演を迫る。業界内ではこのような事例が頻繁に起きていると、昨年3月に国際人権NGO団体のヒューマンライツ・ナウが指摘したことからこの問題が一気に社会問題化した。
その脅しのひとつが「出演を断れば違約金を請求する」というものだ。実は、こういった違約金をめぐった裁判も起きている。
この裁判は、2011年、当時高校生だった女性がタレントとして芸能プロダクションにスカウトされ「営業委託契約」を締結。そして、過激なイメージDVDへの出演を強要されたことに端を発している。この時、撮影内容を知った彼女は「仕事を辞めさせてほしい」と相談。しかし、出演を取りやめると違約金が発生すると脅され、しぶしぶ出演することになったという。
そして、20歳になった時、今度はAVへの出演を強要される。その申し出を断ると、事務所サイドが出してきたのはまたもや違約金の話であった。女性は泣く泣く1本のみ出演。その後、契約解除を申し立てたところ、事務所は「残り9本の出演契約がある」と主張した。そこで、裁判に発展した。所属プロダクションは彼女に違約金約2400万円を請求していたのだが、結果としてその請求は東京地裁によって棄却された(この件の提訴は問題だったとして、先日、日本弁護士連合会は会社側の代理人を務めた弁護士が懲戒処分に値するかどうか審査するよう、弁護士の所属する第二東京弁護士会に求める決定を出すという異例の措置もとられている)。
また、こういった違約金がらみのもの以外にも脅しの手法はある。昨年7月、「週刊文春」(文藝春秋)でAV出演強要被害の過去を告発したことにより話題となった香西咲氏は、人里離れた撮影スタジオに連れて行かれたうえ、そこで何人もの男性スタッフに囲まれて説得されたことでとてもノーとは言えない雰囲気をつくりあげられたと証言していた。
こういったAV出演強要被害に関しては、当サイトでも報じている通り、業界内でも再発防止のための同業者団体が設立されるなど健全化に向けての動きが出てきているのだが、実はこういった強要被害のような事例はAVのみならず、「グラビアアイドル」の業界でも同様に起きていることらしい。
「ミスFLASH2016」ファイナリストでもあるグラビアアイドルの吉沢さりぃ氏が出版した『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』(彩図社)には、グラビアアイドルにおける強要被害に関してこのように綴られている。
〈アコギな事務所の中には、所属タレントが新人で何も知らないのをいいことに、マネージャーが勝手に制作会社と話を進めることもあります。
そういう場合、撮影当日、何も知らない女の子は過激な撮影を強いられ、「こんな話聞いてない」と泣いてしまいます。片や制作者側は「事務所とは契約している」「やってくれなきゃ困る」の一点張り。
私も以前、TフロントNGなのに撮影日当日にはちゃっかりTフロントが用意されていて、毛の処理もしていないし、履きたくないしで泣きわめいて変えてもらったことがあります。毎回ロケについてきた社長がそのときはいなかったのでわかっていて来なかったのでしょう〉
グラビアアイドルは撮影前に制作スタッフとNG項目について話し合い、どこまで踏み込んだ撮影を行うのか明確にしたうえで現場に望むのが通例だが、プロダクション側がそのNGを勝手に破って制作サイドと交渉を進めてしまう。
マネージャーなどの事務所のスタッフは守ってくれず、制作サイドの人間は「話が違う」と怒っている状況。そんななか女の子たった一人で取り残され、最後まで断固拒否し続けることはなかなか難しいだろう。「いまだけ我慢すれば……」という気持ちに傾いてしまうことも想像に難くない。
タレントを守るのがプロダクションの一番大事な仕事なのに、そこをまっとうしてくれないのなら、いったい何のための事務所なのかと思ってしまうが、このような事態になってしまう理由について吉沢氏はこのように分析している。
「事務所のマネジャーは通常、固定給プラス歩合という給与体系なんですけど、DVDって、まとまったお金として入ってくるから、大きいんですよ。それで、なんとか決めなきゃいけないというので、あれもできるし、これもできるって吹聴しちゃうんだと思います」(「日刊サイゾー」16年11月9日配信)
一部にはこういった悪徳プロダクションもあるので、所属するときは事前にしっかり情報を集めなければいけないというわけだが、ただこういった事務所はごく一部で、世の中の大多数のプロダクションはこういったトラブルを避けるために存在しているものである。
そんななか、最近はプロダクションに所属せずフリーランスで活動するグラビアアイドルが増えていると吉沢氏は本書で語っている。昨今のグラビアアイドルの仕事はテレビへの露出や雑誌の撮影以外にも、ネットであったり撮影会であったりと多岐に渡っているため、中堅以上の規模のプロダクションだと営業もしてくれずに放っておかれてしまうところを、自分自身で動くかたちであればこのような細かい仕事も取りこぼさずできるというところに利点があるのだろう。もちろん、事務所によるギャラの中抜きがないというのもある。
しかし、フリーランスで動くことによるデメリットもまた存在する。吉沢氏もかつては事務所に所属し、現在はフリーランスとして活動しているのだが、そのマイナス面をこのように指摘している。
〈デメリットは、“後ろ盾がないので、トラブルがあると全責任が自分にかかってくること”。たとえばDVDやグラビアの撮影で打ち合わせより面積の小さい水着を要求されることはよくあるのですが、事務所所属だとマネージャーがうまく断ってくれます。しかし、フリーですと自分で断らなければいけませんし、直接断るとどうしても「厄介なやつだな」とか「生意気な子」と思われがちなので、そういうときは“マネージャーさんがいたらなぁ……”と思います〉(前出『グラビアアイドルのぶっちゃけ話』)
フリーランスで活動する人がいるという状況は実はAVも同じである。そして彼女らもまた、後ろ盾となってくれる人がいないことからトラブルに巻き込まれやすいのも同様だ。
AV出演者の人権を守るための団体「表現者ネットワーク(AVAN)」の代表を務める川奈まり子氏は、昨年10月に行った本サイトのインタビューでフリーのAV女優たちが現在置かれている状況に対し、このように警鐘を鳴らしていた。
「彼女たちはいま、ネットを通じて『無審査AV』の世界に行っています。現在、AVメーカーにはNPO法人知的財産新興協会(IPPA)という、日本全国にあるAVメーカーの約8割が加入する団体があり、そこがガイドラインを定めているのですが、この無審査AVの世界は、まさしくアンダーグラウンドなもので、そういったガイドラインなど関係ありません。そこではひどい人権侵害が頻繁に起きている。よりによって、業界のなかでも一番弱い立場にいたフリーの企画女優たちがもう酷い目に遭い始めているんです」
AVに比べるとあまり表に出てくることのないグラビアアイドル業界における人権侵害問題。今後もAV出演強要問題に関しては色々な議論が交わされていくことになるのだろうが、その際にこのことも頭にとどめておく必要があるだろう。
(田中 教)
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