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現時点で日本企業が持つ技術の優位性は極めて高い(写真:chombosan / PIXTA)
45兆個の「センサー市場」は日本の独壇場だ シェア50%超!IoTは日本の救世主になる
http://toyokeizai.net/articles/-/154685
2017年01月27日 泉谷 渉 :ジャーナリスト 東洋経済
デジタル家電全盛時代、海外勢の後塵を拝してきた日本のエレクトロニクス産業だが、ここへ来てその流れが大きく変わろうとしている。
「IoT(Internet of Things)」の時代が到来したからだ。「第4の産業革命」ともいわれる「IoT」時代の到来が、なぜ日本のエレクトロニクス産業の救世主となるのか。さらには、世界の製造業の勢力図をどう変えるのか。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者で、近著『日・米・中 IoT最終戦争』を上梓した泉谷渉氏が展望する。
■あらゆるモノにセンサーが付く時代へ
IoT時代の到来は、日本に強烈な追い風になる。なぜか。
人を介さない社会を目指すIoTにとって、最も重要な電子デバイスはセンサーだ。従来はCPUやメモリーだったが、これからは人間の五感である「見る」「聞く」「話す」「かぐ」「触る」に相当する部分を鋭く機能させることが欠かせない。情報を自動的かつ正確にインプットできなければ、アウトプットもできない。すべてはセンサーから始まるわけだ。
すでにアメリカの産業界では、3年ほど前から「トリリオンセンサー」という言葉が飛び交っている。つまりIoTの時代になれば、要であるセンサーは1兆個も必要になるというわけだ。しかし、この予測は甘い。筆者の計算によれば、低く見積もっても45兆個は必要になる。
たとえば、橋やトンネルなどにセンサーを付け、構造物としての安全確認や交通安全、周辺の治安維持に役立てるという使い道が考えられる。もちろん付けるセンサーは1個ではなく、構造物の大きさによって数百単位になるだろう。これを世界中で展開するなら、それだけで膨大な数のセンサーが必要になるはずだ。
また今後、間違いなく車にもセンサーが搭載される時代が来る。やはり世界中の車の数を考えれば、これまた膨大な数になる。これらを積み上げると、軽く45兆個ほどに達するのである。
では、これほどの伸びが期待できるセンサーの世界シェアはどうなっているか。実は、50%以上を日本メーカーが占めている。日本人の気質を考えれば、これは当然だろう。
指先の細かな動き、五感の鋭さや繊細さにおいて、日本人に勝てる民族はいない。そういう微妙な差異を見分けるセンサーが時代の主役になることは、日本にとって独壇場の時代の到来を意味するわけだ。センサーの世界市場は現状でまだ3兆円程度であるが、ここ数年のうちに10兆円を超えてくることは確実だろう。
たとえば、人間の目に相当する半導体に「CMOSイメージセンサー」というものがある。身近なところでは、私たちが普段使っているスマホやデジカメには必ず搭載されているものだ。シャッターを押すたびに作動し、昨今なら1500万〜2000万という画素数で画像を取り込むのである。あるいは防犯カメラや産業用ロボットなどにも使われている。
では、このCMOSイメージセンサーを作っているのは誰か。実は、世界のスマホの約6割、デジカメの約8割、その他のCMOSイメージセンサーを搭載している機器の5割以上はソニー製だ。ほぼ独占市場といってもいいだろう。サムスンも米国勢もチャレンジはしているが、ソニー製にはかなわない。それだけ、ソニーは卓越した技術を持っているということだ。
■イメージセンサーはソニーの独壇場に
そのすごさを示す典型例が2つある。1つは1億画素のCMOSイメージセンサー、もう1つは0.005ルクスでも見えるCMOSイメージセンサーだ。「1億画素」とは、1000メートル離れた人間の顔でさえはっきりと写し出す能力だ。また「0.005ルクス」とは、月も出ていない真っ暗闇の状態を指す。もちろん、いずれも肉眼では何も見えない。それがソニーのCMOSイメージセンサーなら見通せてしまうのである。それもぼんやりとではなく、色も形も明確にとらえる。
つまり、ソニーのCMOSイメージセンサーは人間の目を完全に超えたということだ。たとえば、これを防犯カメラに搭載すれば、犯罪は10分の1に減るとまでいわれている。あるいはアメリカのFBIが採用すれば、検挙率は50倍に達するかもしれない。
ましてIoTの時代になれば、CMOSイメージセンサーの重要度はいっそう増す。いよいよソニーの独壇場になっていくわけだ。この分野でソニーに続くメーカーといえば米国のオムニビジョン、韓国のサムスン、同SKハイニックスなどがあるが、技術開発水準さらには量産のための設備投資という点ではとてもソニーには及ばない。
また「見る」だけではなく、「触る」のセンサーも日本は強い。たとえば血圧センサーといえばオムロンが断トツで、世界で約6割のシェアを持っている。あるいは、温度センサーの分野で世界トップを独走しているのが、「CHINO(チノー)」という売上高200億円程度の小さな会社だ。同社が世界の温度の標準を決めているのである。
そしてもう1つ、IoT時代に欠かせないのがロボットだ。単純にいえば、これまで人間が行ってきた作業を、次々とロボットが担うようになるのである。
たとえば先日、筆者は京浜工業地帯のある工場で、作業支援ロボットの試作機を見学させてもらった。これまで手作業で行ってきた食品加工の一工程を代替するもので、作業のスピードも品質も手作業と何ら変わらない。作業者と交代したり、複数の作業者に交じって作業したりすることも可能だ。
担当者に伺ったところ、将来的にはこのロボットを1台100万円以下で売りたいという。これは恐るべきことだろう。食品メーカーの経営者や工場の責任者なら、間違いなく買うはずだ。人間は休んだり食べたりする必要があるが、ロボットなら24時間フル稼働で働ける。しかも命令には絶対服従するし、文句も言わない。それがわずか100万円以下で買えるとすれば、人件費を大幅に抑えることもできる。もはや人間との置き換えに走らない工場はないだろう。ついでに言えば、これらの作業ロボットは決して労働組合を作ったりはしないだろう。
■ロボットも日本メーカーの独壇場
あるいは介護支援ロボットも、IoT時代に期待される分野である。高齢者の世話はとにかく力仕事だ。風呂やトイレに連れて行くだけでも一苦労する。まして最近は「老老介護」も少なくないため、介護する側が疲れて体を壊してしまうこともある。
それをロボットが代替してくれるとすれば、助かる人は少なくないはずだ。
1つのイメージとしては、ソフトバンクが提供している人形ロボット「ペッパー」の進化系のような姿が考えられるだろう。単に移動を手助けするだけではなく、「おじいちゃん、きょうは元気?」とか「今、お茶を入れるからね」などとリアルなコミュニケーションを図りながら作業するわけだ。これからいよいよ高齢世代が増え、現役世代の負担増が避けられないだけに、開発も急ピッチで進むだろう。
では、そんなロボットの世界シェアはどうなっているか。実はこれも、日本メーカーが60%を占めている。今のところ、ロボットマーケット自体はまだ小さく、せいぜい1兆5000億円程度しかない。しかし筆者の予想では、東京オリンピックが開かれる2020年の時点で10兆円程度にまで拡大している可能性がある。それほど成長著しい分野ということだ。
しかも、精緻なロボットの開発は極めて難しい。人間と同じ動きをすると考えれば、これは容易に理解できるだろう。ちょっと指先や腕を動かすだけで、かなりの数の筋肉と骨、神経が動いている。それをロボットで再現するわけで、中国や台湾勢などこれまで単純な組み立て加工を得意としてきた勢力にはとても太刀打ちできないはずである。
過去の産業革命がそうだったように、IoTによる革命も1〜2年で成し遂げられるものではない。おそらく今後、20年ほどかけて着実に進んでいくだろう。
最終的に、そのマーケットはどれくらいの規模に成長するか。現在、世界で最も大きな産業はエネルギーで1300兆円。内訳は石油が600兆円、石炭が200兆円、天然ガスが300兆円、原発が200兆円となっている。2番目は医療で560兆円、3番目は食品で360兆円、4番目は自動車で300兆円、5番目はエレクトロニクスで150兆円と続く。
いずれにも共通しているのは、社会インフラであるということだ。エネルギーや医療や食品がなければ、人間は死んでしまう。交通手段や電気機器を持たなければ、私たちは生活できない。だから、いずれも巨大なマーケットを形成しているのである。
では、IoTの市場規模はどれくらいになるのか。筆者の見立てによれば、360兆円程度になると思われる。この予測が正しいとすれば、今の自動車を超える巨大なマーケットになる。そして、その巨大マーケットにおいて、日本企業が持つ技術の優位性は極めて高い。したがって、このマーケットの主役は間違いなく日本になる。IoT社会の到来は、日本にとって強烈な追い風になるのだ。
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