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トランプ氏とメキシコの小戦争 真の問題は通貨 メキシコ対米貿易優位膨大 NAFTA影響小 米企業人質 ホテル犠牲    
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/379.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 27 日 19:02:43: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

【社説】
トランプ氏とメキシコの小戦争
対立候補や企業経営者とは違い、外国政府をいじめで屈服させることはできない
メキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領

2017 年 1 月 27 日 18:12 JST

 ドナルド・トランプ氏は政界の「部外者」として大統領選を勝ち抜いたため、就任後は実務を通して学んでいくとみられていた。その新大統領が今週新たに学んだことがある。外交は共和党の予備選のようにはいかない、ということだ。

 トランプ氏のメキシコに対するツイッター攻撃の反動で、米国は友好的な隣国との外交危機に陥っている。同氏は交渉の魔術師を気取っているが、今回の件では自らを追い込んでしまった。

 ホワイトハウスは先週末、トランプ氏がメキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領に対し、貿易や移民や国境問題を協議するためワシントンを訪れるよう要請したと発表した。トランプ氏は選挙期間中メキシコに対して侮辱的な発言を繰り返していたが、ペニャニエト氏はこの招きを受け入れた。

 しかしトランプ氏はレッドカーペットを敷いて歓迎するどころか、メキシコとの国境に「壁」を作ると発表した。メキシコ人が党派にかかわらず侮辱とみなす行為だ。25日にはショーン・スパイサー大統領報道官が壁の建設費について「大統領が以前述べた通り、メキシコが何らかの方法で支払うことになる」と断言した。

 トランプ氏の反メキシコ発言への対抗心で自国民が団結する中、ペニャニエト氏は追い詰められた。同氏は25日夜に短いテレビ演説を行い、メキシコは壁の建設費を支払うつもりはないと改めて表明した。メキシコ政府は首脳会談をキャンセルする可能性もほのめかした。

「壁」をめぐるトランプ政権の素人劇

 トランプ氏は26日朝、ツイッターに「何としても必要な壁の費用をメキシコが支払う気がないなら、首脳会談をキャンセルしたほういい」と投稿した。ペニャニエト氏は訪米を中止した。さらに米国では同日、スパイサー報道官が税制改革の一環として輸入課税に言及し、さらなる混乱を招いた。ラインス・プリーバス首席補佐官はその火消しに努めたが、ここまでくると素人劇だ。

 「アート・オブ・ザ・ディール」(「取引の技術」を意味するトランプ氏の著書、邦題「トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ」)には、相手に妥協の余地を残す手法が含まれていないのだろうか。今回のトランプ氏はペニャニエト氏に交渉の余地すら与えなかった。ペニャニエト氏が昨年8月、わざわざトランプ氏をメキシコに招いたことを踏まえると、なおさら妥協はできない。当時のトランプ氏は選挙運動中で、外国首脳と対等に話し合えることを示せた。だが帰国したトランプ氏が再びメキシコたたきを始めると、ペニャニエト氏は国内で強く批判された。 

 トランプ氏が2015年11月にウォール・ストリート・ジャーナルを訪問した際、われわれはメキシコの政局安定や経済成長を米政府が後押しすべきかと尋ねた。トランプ氏はこう答えた。「正直に言うと、メキシコはどうでもいい、本当にメキシコについては気にしていない」

 気にしていないことは明らかだが、気にすべきだ。仮にメキシコが1980年代の改革以前の体制に逆戻りするようなことがあれば、気にせざるを得なくなるだろう。メキシコはそれまで数十年にわたり一党独裁体制で、反米主義を掲げ、ハイパーインフレに悩まされ、政治的混乱が続いていた。

 しかし米国の後押しを受け、国家統制的な経済モデルの改革に着手し、世界的な市場競争に参加し始めた。1993年に北米自由貿易協定(NAFTA)を締結する以前に数千もの国営企業を民営化し、大幅な規制緩和を実施した。NAFTA締結後は関税を引き下げ、国外からの投資も受け入れた。農業は米国との競争で特に痛手を受けたが、企業はより効率的になった。NAFTAは1994年のペソ危機からメキシコが立ち直る支えとなった。

ペソ安の原因は米国大統領

 その後メキシコの主要政党は交互に政権を担い、制度的革命党(PRI)も国民行動党(PAN)も経済改革を推し進め、国民の生活水準を向上させてきた。これはリオグランデ川を越えて米国に不法入国せずに済む理由にもなっている。

 ペソは24時間取引が可能な唯一の新興国通貨であり、新興市場のリスクに対するヘッジ手段として広く利用されている。トランプ氏はメキシコ政府がペソ安に誘導しようとしていると批判するが、メキシコ銀行(中央銀行)はインフレを警戒し続けている。1年弱で1ドル=17ペソから21ペソにまで値下がりしたのは、トランプ氏がNAFTAを解体し、貿易戦争を始めかねないからだ。本人の希望とは裏腹に、メキシコの通貨の価値を下げているのは米国大統領自身である。

 1億2800万人の人口を抱えるメキシコは、米国にとって2番目に大きな輸出市場だ。米国内の約600万人の雇用はメキシコとの貿易によって成り立っている。それより大きなリスクは、自由市場を掲げる民主主義国家として米国と歩調を合わせることにメキシコ人が幻滅することである。それこそメキシコの左派勢力が期待する展開だ。左派勢力は休眠状態だが息絶えてはいない。2018年の大統領選には、反米を掲げるアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏が出馬する構えを見せている。

 トランプ氏は外交の新参者だが、外国政府をいじめで屈服させることはできないと早くも学び始めている。大統領選予備選の共和党対立候補や企業の経営者とは違うのだ。それぞれの国には国家主義的な政治力学があり、押されれば押し返す力が働く。トランプ氏は選挙期間中、バラク・オバマ元大統領よりも友好国を大切に扱うと話していた。しかし外交の手始めとして、ちょうどオバマ氏がイスラエルを扱ったようにトランプ氏はメキシコを扱っている。このままでは得られる成果もオバマ氏と同等か、それ以下になるかもしれない。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwja4eyMheLRAhWCJ5QKHVNMCAcQFgghMAE&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11177354273695693774104582584303096875904&usg=AFQjCNGAHuf7dOmWl8_LsdKifqtG7Ml5TQ


 

【寄稿】
トランプ氏の通商政策、真の問題は「通貨」
保護主義では貿易収支を改善できない

途方もなく重い準備通貨としてのドルの役割を終わらせ、「金」にその役割を譲るべきだPHOTO: ISTOCK
By
JOHN D. MUELLER
2017 年 1 月 27 日 14:06 JST
――筆者のジョン・ミューラー氏は倫理・公共政策センターで経済・倫理プログラムを運営している
***

 米国のドナルド・トランプ新大統領も、同氏の経済顧問も誰一人として耳にしたことがない、まして気に掛けたことすらないと思われるのが「トリフィンのジレンマ」だ。このジレンマに対する解決策を見いだせなければ、トランプ氏の経済・通商政策は失敗するだろう。トリフィンのジレンマとは基軸通貨国に固有の、国内政策と国際金融秩序との間の矛盾である。

 金(または他の貴金属)本位制の下では、金融システムを通じて財政赤字を賄うことができない。米国が金または銀本位制を採用していた時代、連邦予算は国内総生産(GDP)に対して年平均0.4%の黒字で運営されていたが、そうでない時代は同2.7%の赤字を記録してきた。同様に、1979年から2015年における各州政府(紙幣を刷ることはできない)の財政赤字は対GDPで平均0.3%だったが、同じ経済でも連邦政府は平均3.3%の赤字だった。金または銀本位制の下では、米国史上、長期にわたるインフレを経験してこなかった。本格的なインフレ(またはデフレ)は紙幣によってのみ引き起こされてきた。

 貴金属からの離脱は1世紀以上前から始まった。ジョン・メイナード・ケインズは1913年、通貨当局が金準備または外貨準備を保有しているかどうかは「相対的に重要でない問題」だと主張した。ケインズによると、植民地下のインドにおける「金為替本位制」は「全く変則的ではなく」、「未来の理想的な通貨」に向けた「金融上の進展の最前線」にあった。英国の専門家たちは1922年のジェノア会議で、第1次世界大戦中の債務を金で償還するのを未然に防ぐため、外国為替準備を勧奨することに成功した。ここで、百年戦争を経て1440年代にジェノアで生まれた国際金本位制に終止符が打たれた。

 フランスの経済学者ジャック・リュエフは1932年、例えばドル準備が生み出されることで、購買力が「単純に複製され、このため米国市場は欧州と同時に米国でも買う立場に置かれる」。従って、自国通貨が準備通貨と結びついている国にとって、ドル準備の購入がインフレ(売却がデフレ)を引き起こすことになる。さらに、信用の複製が準備通貨国の物価上昇ペースを速め、財の競争力低下を招き、世界の債権国から債務国への転落につながる。

 第2次世界大戦後のブレトン・ウッズ体制(金ドル本位制)は1968〜71年に崩壊した。その理由は、戦間期に金・ポンド・ドル本位制の崩壊をもたらしたものと本質的に同じだ。71年以降、国際決済は主にドル紙幣で行われてきた。

他国の純輸出と米貿易赤字の関係

 この結果、トリフィンのジレンマが生まれた。ベルギーで生まれ、米国で活躍した経済学者ロバート・トリフィンが指摘した矛盾だ。国民所得(または生産)は民間消費、民間投資、政府支出、政府投資、純輸出(輸出と輸入の差額)の合計だ。経済学者の多くは全世界の純輸出額の合計がゼロになると誤って仮定している。実際には国際金本位制に参加する国々の純輸出額の合計は、世界の金準備の増加額の合計に等しかった(その額は世界の金輸出額に近かった)。このため、世界の金融政策は景気に対して反循環的だった。つまり、他の財の価格が下落すれば、金採掘から得られる利益が増大したのだ。

 トリフィンは、外国で(例えば)ドル準備が獲得されると、それが財で返済されなければならないため、準備通貨に基づく金融システムが持続不可能であることを示した。言い方を変えると、ドル準備の増加額は世界の他の国々の純輸出額と等しくなり、米国の貿易赤字とも等しくならねばならない。これは持続不可能な状況だ。

 添付のチャートが示しているように、ドイツ製品にかかる費用は1955年から約3倍になったが、米国製品の費用は6倍以上に膨れ上がった。このため、米国の貿易赤字と財政赤字は、金融改革よりも貿易に焦点を当てたトランプ政権のいかなる「取引」からも影響を受けることはないだろう。
準備通貨にかかるコスト

左軸:赤はM0、緑はドル準備高、青は世界のドルベース(単位は10億ドル)、右軸:黒はドイツのPPI、オレンジは米国のPPI(1955年を1とする)
https://si.wsj.net/public/resources/images/ED-AW025_muelle_16U_20170124171805.jpg

 トリフィンのジレンマの解決策として、主に三つの案がある。
 一つ目は現在の「ドル本位制」の下で何とかやっていくことで、これは忍従する外国人と郷愁にふける一部の米国民によって支持されている。こうした米国民の中にはヘリテージ財団のブライアン・ライリー氏とウィリアム・ウィルソン氏、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のジェームズ・ペトコーキス氏、ナショナル・レビュー誌のラメシュ・ポヌール氏などが含まれる。

 二つ目は国際通貨基金(IMF)を、準備資産(例えば特別引き出し権=SDR)を発行する世界の中央銀行にすることだ。これは1943年にケインズによって、60年代以降はロバート・A・マンデル氏、2009年には中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁によって提案された。欠点は、IMFが財を生産していないため、こうしたタイプの基準が非常に政治色の濃いものとなり、SDRの分配がどうしても恣意(しい)的になることだ。

金本位制の現代版

 三つ目は、近代化された国際金本位制を採用することだ。これは1960年代にリュエフによって提案され、84年には同氏の弟子に当たるルイス・E・レアーマン氏とジャック・ケンプ米下院議員によって支持された。

 トリフィンのジレンマを放置することのリスクは大きい。世界恐慌は1929〜32年に戦間期の金融システムが崩壊したことから始まり、米国のスムート・ホーリー法に基づく関税が引き金となった貿易戦争によって悪化した。皮肉なことに、もしトランプ氏がトリフィンのジレンマを無視すれば、クリントン財団が米国の従属国家から得た巨額の資金をため込むのに使った世界的な「クローニー・キャピタリズム(縁故資本主義)」を必然的に後押しすることになるだろう。

 トランプ氏お気に入りの保護貿易主義は、分かりやすいが簡単に論破される誤った考え方だ。経常収支(広義の貿易収支)は国民貯蓄と投資の差額に等しい。このため、関税で輸入を抑制できるにしても、貯蓄と投資のバランスには影響しないため、貿易収支を改善させることはできない。それどころか自国通貨の価値が高くなり輸出が減少する。

 1971年から2015年まで、米国の経常赤字の累計は対GDPで93%となった。原因はトリフィンのジレンマだ。ドル準備高の増加は他国の貿易黒字(米国の赤字)と等しくなる。途方もなく重い準備通貨としてのドルの役割を終わらせ、米国と世界の歴史で機能してきた唯一の通貨基準である「金」にその役割を譲るには、恐らく米国建国の父、アレクサンダー・ハミルトン級の交渉人が必要になるのかもしれない。
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トランプ大統領は実は正しい、メキシコ対米貿易優位は膨大−チャート
Phil Kuntz、Vince Golle
2017年1月27日 18:05 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iB4MVA3h8heI/v2/1200x-1.png

  米国の対メキシコの貿易赤字は全世界に対する赤字の12%を占める。トランプ米大統領の26日のツイッター攻撃はある意味で根拠があった。実際、赤字額は同大統領が挙げた600億ドル(約6兆9100億円)より大きい。ブルームバーグの計算によると、2015年は890億ドルで08年から73%増えていた。
原題:Trump’s Got a Point: Mexico Trade Edge Over U.S. Is Huge: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-27/OKFKED6TTDS601


 


【オピニオン】トランプ大統領の人質となった米企業
貿易戦争回避の交換条件は雇用創出
トランプ米新大統領は雇用創出で手柄を立ていようとしている

By HOLMAN W. JENKINS, JR.
2017 年 1 月 27 日 15:55 JST

――筆者のホルマン・ジェンキンス・ジュニアはWSJ論説委員で「ビジネスワールド」欄担当コラムニスト

***

 ドナルド・トランプ米新大統領は就任演説で多くの公約を掲げた。どの大統領でも果たせないほどたくさんだ。トランプ氏にも果たせないだろう。だが同氏はやり手のビジネスマンだ。

 トランプ氏は大統領選を「圧勝」と表現している。同氏は自分でも当てはまらないと分かっていながら、大げさな表現を使うことが多い。米政治専門サイト「ポリティコ」で詳しく報じられた通り、トランプ氏はレースがいかに接戦だったかを実は正確に理解している。ヒラリー・クリントン氏の選挙戦が自滅だったのだ。トランプ氏は選挙人の数では辛うじてクリントン氏を上回ったが、総得票数では負けた。

 トランプ氏は、自らの正当性がメディアやデモ隊、就任式をボイコットした民主党員の攻撃にさらされていることを分かっている。有権者がトランプ氏による統治を一様には支持していないため、同氏はその穴を埋めるために何かしらの勝利が必要だ。そして、米国企業の皆さんは既にお気づきだろうが、あなた方が標的にされている理由がここにある。

功績作りに必死

 「金づちを持つ人には、全てがくぎに見える」(訳注:限られた道具しかないと、それを見境なく使ってしまう、という意味のことわざ)。トランプ氏はこれまで数々の企業と交渉してきた経験を持つ。そうした交渉では自らのイメージとブランドを活用し、利益を得てきた。そのやり方を大統領職にも持ち込んでいる。同氏には、脱工業化した地方の社会的「大虐殺」を止めることはできない。しかし、同氏の言う「忘れられた男女」が中間層の安定への道とみなす雇用――特に工場職――を生み出すことで、手柄を立てることはできる。

 自動車業界はトランプ氏の意図を理解している。フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)、フィアット・クライスラー、トヨタは大規模な雇用創出を大々的に打ち出した。彼らはホワイトハウスでのトランプ氏との会談にも喜んで出席した。メディアだけが、そうした計画は以前から決定されていたもので、新大統領に花を持たせるために大げさに宣伝しているにすぎないと難癖をつけている。

 いくつかのケースでは、CEOもまた見返りを期待していることを明確にしている。トランプ氏は税制改革と規制緩和を実施し、米経済を投資しがいのある有益性の高い経済にする意向だ。

 幸運が重なれば、トランプ氏と共和党議会は公約を果たせるだろう。ついに十分な成長がもたらされ、近年の控え目だが着実な雇用の改善に見合った賃金の上昇が始まる。トランプ氏の任期は、仰々しい功績作りが実践される4年間となる。

諸外国も標的に

 ただし、トランプ氏は、国内で事態が悪い方向に進み始めた場合、諸外国をスケープゴートにすることにためらいは見せないだろう。

 トランプ経済が壁にぶち当たった場合、メキシコとの国境の壁がこれ見よがしの優先事項になるだろう。そして自ら現場でブルドーザーに指示を出し、ヘルメットをかぶって闊歩(かっぽ)し、設計図に目を凝らすだろう。

 トランプ氏には米国の貿易相手国にいつでもすぐに苦情を言える用意がある。現在それら国々に貼られたレッテルは為替操作国、雇用の強奪者、ハッカー、企業秘密の窃盗団などだ。

 「我々はこの国で使われる製品を作り、この国の企業を乗っ取り、職を奪う外国の略奪から国を守らなくてはいけない」。この就任演説の邪悪な側面はいずれ明らかになるだろう。

 一部で耳にする意見とは異なり、輸入品や移民との競争を緩和することで未熟練労働者の賃金を下支えしようとすることは人種差別ではない。

 しかし、経済には無益だ。低賃金生産の最大の受益者は未熟練労働者だ。低賃金生産によって価格が安くなっている商品を主に購入しているのは未熟練労働者なのだ。

 仕事の奪い合いを軽減し、未熟練労働者の賃金を引き上げようとする措置には他にも予期せぬ影響がある。そうした労働者に未熟練のままで構わないと考えさせるようになることだ。一方で、企業が未熟練労働を自動化で置き換えようとする動機は強まる。

国際貿易の秩序を守るには

 もっと悪いのは、関税障壁による保護と国際競争からの断絶によって、国内製造業の進化が減速することだ。10〜20年後には、世界市場で競争にもまれる企業と比較して米企業は技術的に時代遅れで非効率になるだろう。

 皮肉なのは、テクノロジーによって工場がより少ない労働者でより多くを生産できるようになるにつれ、特定の工場労働者を農家のような保護階級として扱おうとする政治的動機が高まることだ。こうした現象は米国に限ったことではない。ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題の根本原因もこれだ。

 今日のおおむね開放的な国際貿易の秩序は多くが考えるよりも堅固だとは思うが、トランプ政策の脅威を無視すべきではない。

 欧州の人たちは思い出すべきだ。北大西洋条約機構(NATO)が最近、テロ対策を拡大する決定を下した際、トランプ氏が自らの功績だと大げさに騒ぎたてたことを。今後もそのような決定をするのが賢明だろう。中国にとっては、米ボーイングに旅客機を発注し、知的財産の窃盗で国内の著名な財界人数人を起訴するのが得策だろう。

 他の諸国は、自分たちが多大な利益を享受してきた貿易秩序を重視するのであれば、その維持に一役買って出る必要がある。

 トランプ氏がどのような大統領になるかはいろいろな道がある。閣僚メンバーは優れている。株式市場に反映された楽観的だが不安定なアニマルスピリットを軽視するわけではない。しかし、トランプ氏が何らかの解決策になるのか、単なる新たな災難にすぎないのかは依然、大きな疑問だ。

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トランプ氏の対中強硬姿勢、ホテル計画が犠牲に
再開発が進んでいる上海の外灘(バンド)地区

By JAMES T. AREDDY
2017 年 1 月 27 日 14:25 JST

 【上海】ドナルド・トランプ氏は米大統領の座を目指すうえで、中国に対する強硬姿勢をとってきた。その結果、中国の不動産市場に足場を築く機会を失うという代償を払うことになった。

 トランプ・オーガニゼーションで中国部門を率いていた元幹部によると、同社は上海で進められていた再開発プロジェクトで、ホテルに「トランプ」のブランドを付ける計画だった。このプロジェクトは俳優のロバート・デニーロ氏も名を連ねる米投資グループの構想で、外灘(バンド)地区の川沿いでホテルの修復工事が行われる。デニーロ氏とそのパートナーはすでに外灘の再開発に関与していない。

 最近までトランプ・オーガナイゼーションで中国ホスピタリティー部門の責任者を務めていたロビー・キュー氏によると、トランプ氏の事業が担う役割について公式発表は一切ないが、参加は「99%」確実だった。だが、それは現地当局によって拒否された。当局には「政治的リスクを冒す余裕などない」とキュー氏は言う。

 外灘プロジェクトの関係者によると、トランプ・オーガニゼーションとの交渉は現在行われていない。

 トランプ氏は中国に敵対的態度を示しており、今後の米中関係には波風が立つことが予想される。同氏は中国のビジネスや貿易が公正ではないと批判しているほか、台湾を孤立させる「一つの中国」政策をけん制している。また、国務長官に指名されているレックス・ティラーソン氏は、中国による南シナ海へのアクセスを認めない姿勢を示している。

 中国は少なくともこの10年間、不動産王としてのトランプ氏の気を引きつつ、進出を拒んできた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したところ、少なくとも4件の不動産取引が頓挫している。

 トランプ氏の顧問弁護士シェリ・ディロン氏によると、同氏は大統領就任以前、任期中は海外で新たな事業を行わないと言明した。トランプ・オーガニゼーションはこの記事についてコメントしていない。

 トランプ氏は中国の不動産市場に自分のブランドを導入する野望をしばしば口にしてきたが、当局への開示資料など公開されている情報によれば、同氏の不動産事業は中国でほとんど収益を上げていない。会社法人やウェブサイト、商標は登録しているが、実質的な事業は行われていない。

 これはトランプ氏が他のアジア諸国で手がける不動産事業とは対照的だ。2015年から16年5月までの開示資料によると、インドネシア、インド、フィリピンのプロジェクトでは500万ドル程度のロイヤルティー収入を稼いでいる。

 キュー氏によると、トランプ・オーガニゼーションは外灘地区のブランド計画に関し、現地パートナーの上海外灘投資集団と交渉を行った。

 ただ、上海外灘は国有企業で、トランプ氏の政治的スタンスが明確になるにつれてブランド構想への興味を失ったという。同社にとって「ホテルに米国大統領の名前がつく」などとは想像できなかった、とキュー氏は語った。

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それほど大きくなかったNAFTAの米国経済への影響

メキシコから米国に向かうトラック(メキシコ北部ティファナ近郊) PHOTO: GUILLERMO ARIAS/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By
JACOB M. SCHLESINGER, ANDREW TANGEL AND VALERIE BAUERLEIN
2017 年 1 月 27 日 18:09 JST
 北米自由貿易協定(NAFTA)がさまざまな議論を呼んでいるが、エコノミストの多くは、その米国経済への具体的な影響について――成長や生産性にとっては小さなプラス、雇用や一部の工場労働者の賃金にとっては小さなマイナスになるなど――にとどまり、さほど大きくなかったと述べている。
 とはいえ、ほとんどの自由貿易協定がそうであるように、過去23年間でプラス効果は薄まり、痛みがより凝縮されたことで激しい政治的反発が起き、ドナルド・トランプ氏の選挙運動にも力を与えた。今やトランプ政権はこの協定を破棄する方向で動いている。
 米議会調査局(CRS)は貿易協定とその効果を分析したさまざまな研究に関する2015年の詳細な報告書で、「実際のところNAFTAは批判的な人々が恐れていたような大量の雇用喪失も、支持者たちが予想していたような大きな経済的恩恵も、もたらさなかった」と述べている。「正味でみると、米国経済に対するNAFTAの効果は比較的軽微だったようだ」。CRSが引用した研究によると、NAFTAが完全実施された場合、貿易の拡大、安価な輸入品の流入、生産性の改善を通じた米国の国内総生産(GDP)のプラス効果がおそらく0.5%未満(約800億ドル)となる。
 NAFTAの発効と米国メキシコ間の経済活動の大幅な増加が同時だったことは誰も否定していない。貿易や直接投資が増え、特に自動車業界にとってこの地域の製造システムの統合が進んだ。しかし、どの数字が重要かでは意見が分かれている。


Donald J. Trump
✔@realDonaldTrump
The U.S. has a 60 billion dollar trade deficit with Mexico. It has been a one-sided deal from the beginning of NAFTA with massive numbers...
10:51 PM - 26 Jan 2017



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Donald J. Trump
✔@realDonaldTrump
of jobs and companies lost. If Mexico is unwilling to pay for the badly needed wall, then it would be better to cancel the upcoming meeting.
10:55 PM - 26 Jan 2017



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 トランプ大統領は26日午前、ツイッターへの投稿で米国の対メキシコ貿易赤字に焦点を当てた。「米国はメキシコに対して600億ドルの貿易赤字を抱えている」とし、「最初から不公平な協定だった(略)大量の雇用、多くの企業が失われた」と述べた。
 NAFTAをきっかけに米国とメキシコの貿易が大きく転換したというのは正しい。NAFTAが発効する前年の1993年、米国の対メキシコ貿易黒字は17億ドルだったが、昨年は対メキシコ貿易赤字が610億ドルとなっている。
 とはいえ、そのすべての原因がNAFTAに基づく関税撤廃にあるわけではない。NAFTA発効の翌年、メキシコの通貨ペソが急落したため、メキシコの輸出品が大幅に安くなり、多くの米国製品がメキシコ市場で売れなくなってしまった。
 さらに言えば、その貿易赤字額の背後にある数字やトレンドはより複雑な実態を表している。メキシコはより多くの製品を米国へ輸出している一方で、米国製品に対して国境を閉ざしていたわけではない。NAFTAが発効してからの最初の20年間に、米国からメキシコへの輸出額は1993年の416億ドルから2014年の2403億ドルにまで急増した。ところが、同期間のメキシコからの輸入額はそれ以上の急増を示し、399億ドルから2942億ドルになった。
 3国に張り巡らされたネットワークで部品が行き来しているので、こうした貿易額の本当の影響を整理するのもまた難しい。ピーターソン国際経済研究所は発効20周年を迎えたNAFTAの評価に関する2014年の報告書で、「米国、カナダ、メキシコの相互依存関係には目を見張るものがある」と述べている。「たとえば、カナダから輸入された製品とメキシコから輸入された製品に含まれている米国の材料はそれぞれ25%と40%にもなると見積もられている」

米国の対メキシコ輸出入と貿易収支
https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CN518_USNAFT_16U_20170126180006.jpg

 そうした相互依存関係は米国からメキシコへの直接投資の大幅な増加――1993年の152億ドルから2013年の1010億ドルにまで――に由来している。直接投資は米国の製造業者――部品と自動車のような完成品の両方――のメキシコへの工場移転という形を取ってきた。
 激論を呼ぶ問題となっているのは、雇用の喪失、生産が低賃金の労働者に移ったことによる賃金の減少などで測定した場合、NAFTAが米国の労働者にどれほどの影響を与えたのかである。
 NAFTAの支持者たちもそれに批判的な人々も米国の雇用の減少につながったという点では概ね一致しているが、その人数は約10万人から70万人までと大きくばらつきがある。ただ、NAFTAの擁護者たちは、批判的な人々がこの数十年間の米国製造業労働者数の減少のすべてをNAFTAと結び付け、NAFTA発効前から見られた長期的で根強い減少傾向や自動化の急拡大、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してからの中国製品の輸入急増など、その他の要因を軽視しているとみている。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi78q2JheLRAhXBppQKHZb7C30QqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582584782445347006&usg=AFQjCNGVxiVKu-4QRXGIMofAqaGIiuwqxA

 

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コメント
 
1. 2017年1月27日 21:05:33 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[1565]
トランプ「メキシコとの間に壁を作る、費用はメキシコが払う!」

メキシコ「そんな費用払わない!」

トラ「メキシコからの輸入品に20%の課税!」

アメリカ人「え?それって消費者の俺らが負担するってこと?」
↑いまココらしい
https://twitter.com/supantutarou/status/824817947390545920

詐欺じゃね? 騙されてね?


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