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トランプ政策は本当に非現実的か 帰結はやはりドル高か 米企業ドル高に愚痴 EUR$パリティお預け ドル調達コスト高止り 
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/272.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 24 日 21:13:41: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

 

コラム:トランプ政策は本当に非現実的か

鈴木敏之三菱東京UFJ銀行 シニアマーケットエコノミスト
[東京 23日] - 昨年11月8日、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利で、多くの経済人は途方に暮れた。同氏の主張はあまりに現実離れしているように思われ、具体的な政策予想を描けなかったからだ。

その後、閣僚人事の発表が始まり、トランプ氏のツイッターでのつぶやきなどを見て、新政権の政策運営をめぐる不透明性が時間の経過とともに薄らぐようになっている。

もちろん、トランプ氏が大統領就任前に応じた米紙のインタビューでドル高への不満を漏らしたことに、困惑した経済人は多かったはずである。財政を拡張し、同時に利上げをする国の通貨が増価するのは当然の帰結であるからだ。ゆえに、その後、上院の指名承認公聴会に臨んだスティーブ・ムニューチン財務長官候補が「長期的なドル高維持は重要」と発言したことで、経済人の間にも安心感が広がったことだろう。

本稿では、20日の大統領就任式直後にホワイトハウスのウェブサイト上で公表された「Issues(政策課題一覧)」をベースに、トランプ政策の行方を分析したい。この政策課題一覧のおかげで、新政権の理想実現の条件について、筆者のようなエコノミストも見極めが可能になった。

ちなみに、政策課題一覧には、不法移民の流入を防ぐための壁建設への言及こそあれ、メキシコは名指ししておらず、また中国を「為替操作国」に認定するとの指示も書かれていない。トランプ新政権が現実離れしていないことが具体的に見えてきている。

<雇用2500万人増は非現実的ではない>

さて、政策課題一覧の中で、筆者が注目した点は、2つの数値目標だ。10年間で2500万人の雇用創出、そして4%経済成長の実現である。

前者については、年平均250万人、月平均20万人強の増加であり、若干意欲的ではあるが、非現実的な数字とは言えない(直近の非農業部門雇用者数から2500万人の増加は、年平均1.6%の伸びになる)。

ただ、後者の4%成長率の実現には2.4%の労働生産性の伸びが必要となり、これは容易ではない。大きな障害は、言わずもがな、保護貿易主義だ。

米国の労働生産性と輸出入総額の対国内総生産(GDP)比には、正の相関関係がある。つまり、労働生産性の伸びを高めたいならば、貿易は制限せず、振興しなければならない。

ところが、政策課題一覧は、複数箇所で貿易協定面の条件改善に言及があるなど、保護貿易主義的な色彩が濃かった。ウィルバー・ロス商務長官候補は上院の指名承認公聴会で「私は反貿易主義者ではない」と述べているが、額面通りに受け止めていいのか見極めにはもう少し時間が必要だろう。

また、政策課題一覧では、製造業雇用について、具体的な数値目標こそ示さなかったものの、回復を目指すとしている。だが、ここに新政権にとって厄介な現実がある。

実は米国の労働生産性の上昇局面では、製造業雇用者数の全雇用者数に対する比率が低下しているのだ。逆に、金融危機後に労働生産性の上昇が鈍った局面では、この比率はおおむね横ばいだった。

加えて、この比率は、景気変動の影響を受けて上下する。景気の谷では、低くなる可能性がある。

そこで求められるのは金融政策面での景気下支えということになるのだろうが、米連邦準備理事会(FRB)高官からは昨今、現在の完全雇用に近い経済状態では、財政政策の行方次第で利上げを加速させる可能性に含みを持たせる発言が相次いでいる。金融政策の任務達成と、新政権の描く理想への到達の間に整合性が確保されるかは、経済人にとって最重要の関心に浮上してこよう。

また、もう1つ認識しておくべきことは、製造業復権と4%成長の政策目標パッケージが示された理由だ。 それを知る上で重要な手掛かりは、新設される国家通商会議(NTC)を率いるピーター・ナバロ・カリフォルニア大学教授が著書「Crouching Tiger(邦訳:米中もし戦わば)」で開陳した持論だろう。

同著には、製造業の復権がなければ、米国の軍事力が維持できないと記されている。過去結んだ貿易協定の結果、米国の工場が閉鎖されていったことは、安全保障上の一大事だというのである。

<エネルギー増産でインフレ抑制>

こうした問題点だけを列挙すると、トランプ新政権の政策には実行性や整合性がなく、破綻や混乱を予想しなければならないようにみえる。しかし、次の点では、話は違ってくる。政策課題一覧のトップ項目に掲げられているエネルギー政策だ(名称は「America First Energy Plan」)。

米国には豊富なエネルギー資源があり、効率的に生産する技術もある。規制がその利用を妨げているが、それは政策で変えられるという。

その真偽については、ここでは深く触れないが、仮にその通り増産が実現すれば別のメリットがありそうだ。エネルギーの増産は、前述した金融政策の任務達成をめぐるジレンマの解決策となるかもしれないのである。

周知の通り、米国の予想インフレ率の変動には、原油価格の影響が強く出ている。つまり、最近の原油価格上昇がこの先、抑制されるとすれば、FRBにはインフレ対応で余裕ができる。

そもそも、昨年11月の石油輸出国機構(OPEC)減産合意を受けて、原油相場は反転上昇傾向にあるが、最大の非OPEC産油国である米国が増産すれば、OPEC減産効果一巡後はインフレ率の上昇は続かなくなる。FRBは、利上げを急がなくてよいことになる。

また、2016年前半に米景気拡大は減速したが、それを引き起こしたのは、エネルギー関連を中心とする設備投資の減速だった。エネルギー関連の規制緩和が生産活動を活発化させるのであれば、投資の風向きが変わる可能性もある。

<イエレンFRB議長続投の条件>

ところで、イエレンFRB議長の任期は、2018年2月3日に切れる。18日の講演で、2019年末までの利上げについて言及したのは、再任・続投への意欲を示したものなのだろうが、ホワイトハウスが製造業復権と4%成長を必要としていることを踏まえて政策運営をしなければ、交代となる可能性は高いだろう。

米国経済は完全雇用に近いところまできている。アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によれば、第4四半期の実質GDP成長率は2.8%となる見込みだ(19日時点の予想)。第3四半期の3.5%から下がるとはいえ、依然として高い。

インフレ率も、低下サイドの不安は日欧より小さい。その根底を支える賃金の上昇率も高まってきている。株価も堅調だ。米国経済は申し分ない状態なのである。

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの多くは、失業率の大幅低下と賃金の上昇傾向を受けて、超低金利を続けることに抵抗を示している。こうした中、かたくなに利上げに慎重な姿勢を取り続け、このパーフェクトと言える状態にこぎ着けているのだから、イエレン議長は「名議長」と評価されてよい。

しかし、トランプ大統領が指摘するように、危機後の回復は著しく弱い。最大の問題は、労働生産性の伸びが鈍すぎることだ。それを説明しきれないまま、今日に至っている。

労働生産性の伸び悩みを放置することが、米国にとって安全保障上の懸念につながるとトランプ政権が判断するならば、その原因説明を先送りし続けるFRB議長は、「You are fired(お前はクビだ)」と通告されかねない。

*鈴木敏之氏は、三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチのシニアマーケットエコノミスト。1979年、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。バブル崩壊前夜より市場・経済分析に従事。英米駐在通算13年を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 

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コラム:
トランプ政策の帰結はやはりドル高か

尾河眞樹ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員・金融市場調査部長
[東京 24日] - 20日のトランプ米大統領就任演説は、「米国第一主義」や「米国を再び偉大な国にする」など、選挙中の発言の繰り返しとなり、決して内容の濃いものではなかった。

ただ、個人的にやや予想外だったのは、「ワシントンは栄えたが、国民はその富を共有しなかった」との見解を示し、政治家全般を含む従来の「ワシントン」を痛烈に批判したことだ。

また、「米国第一主義」との関連でトランプ新大統領が語った以下の部分は、投資家も留意しておくべきだろう。

「われわれの製品をつくり、企業を奪い取り、雇用を破壊するという他国の略奪行為から国境を守らなければならない」「保護こそが偉大な繁栄と強さにつながる」「私は全力で皆さんのために戦う。そして決して、決して失望はさせない」

要するに、昨年11月の大統領選直後に行われた勝利演説よりも、かなり厳しい表現で貿易相手国を批判したのである。

本稿では、こうした保護主義の高まりや米新政権の政策がドル円相場に与える影響について考えたい。ちなみに、週明けのリアクションはドル安だった。23日のニューヨーク市場では112円台半ばまで下落し、24日の東京市場では午後4時現在113円台前半で推移している。

<「国境税」はドル高要因>

まず、トランプ大統領はこれまで、減税・インフラ投資・規制緩和など、米国経済のアクセルを踏む方向に政策の軸足を置いているとみられていた。一時118円台後半まで進んだ大統領選後のドル高の背景には、そうした市場の読みがあった。

トランプ氏が昨年11月に発表した、「就任直後100日間に着手する優先事項」にもあるとおり、貿易についてはもともと環太平洋連携協定(TPP)など多国籍間の自由貿易には反対だったが、2国間での協議には必ずしも反対ではなかった。したがって、筆者も数々の保護主義的な発言は、あくまで中国やメキシコをターゲットにしたものだとみていた。

しかし、今回の演説では「保護こそが偉大な繁栄と強さにつながる」と、全てのケースにおいて米国第一主義を貫く方針であることが垣間見えた。加えて23日には、かねてから述べていたとおり、TPPを離脱するための大統領令に早速署名。さらに同日、米国内の製造拠点を海外に移転後、国内への輸入を望む企業に対し、高額の「国境税」を課す方針を改めて示した。

「国境税」とは最近米国で話題となっていた「国境税調整(Border Tax Adjustment)」のことだ。共和党がまとめた案では、米国への輸入品に対して一律20%の税金を課す一方で、米国から輸出して得た利益については課税が免除され、国内から上がった利益にのみ20%の法人税がかかるという制度になっている。

厳密に言えば国境税は関税ではないが、実質的には20%の「関税引き上げ」とも言える。ここまでくると、「もしかしたらトランプ政権は、減税やインフラ投資よりも保護貿易を政策として最も重視しているのではないか」との懸念も浮上しやすい。こうした不透明感が足元の円高・ドル安圧力につながっている。

ただ、国境税調整も、「保護主義」の観点から見れば円高要因と捉えられがちだが、この材料で円買い・ドル売りを続けるのは難しい。これらは、仮に実行されればドル高要因となるためだ。

国境税調整によって輸入物価が上昇すれば、米国は利上げによるドル高を容認することによって極端なインフレを防ぐ必要が出てくる。実質的な関税引き上げを実行し、財政政策で国内景気を刺激しつつも、一方でドルを安くしたいというのは、政策的につじつまが合わないのだ。

加えて輸入物価の上昇により輸入が減れば、米国の経常収支は改善し、これもドル高要因となる。米ニューヨーク連銀のダドリー総裁も17日、「米国が国境税を課せば、ドルが上昇するほか、輸入する財・サービスの価格の押し上げにつながる」との見方を示した。

ちなみに、23日のドル円下落を加速させた要因として、米系メディアが報じた、ムニューチン次期米財務長官候補の発言(「過度に強いドルは短期的にマイナス」)が取り沙汰されているが、同氏は19日に上院で行われた指名承認公聴会の質疑応答では長期的なドル高維持を肯定するような以下の発言を行っていた。

「重要なのは長期間にわたるドルの強さだ」「ドルは極めて長期にわたり最も魅力的な通貨であり続けている。それが重要であり、今かつてないほどそうなっていると思う」「ドルは非常に、非常に強い。世界中の人がドルへの投資を望んでいるのが分かる」

つまり、国境税なども考慮すれば、米国経済が十分に堅調で、投資マネーが米国に流入している環境下でのドル高基調であれば、取り立てて問題視はしないということだろう。

<ドル高トレンド再開までは乱高下か>

とはいえ、投資家にとっては、しばらく身動きを取りにくい状況が続く。

「トランプ政権の財政政策が米国のインフレを加速させる」というストーリーで、為替市場ではすでに円ショート・ドルロングポジションが構築されている。もう一段ドルを買うにも、あるいはこれまでの戦略を変更してドルを売り始めるにも、「トランプ政権の具体的な政策」という新たな材料が必要だが、それが明らかになるまでにもうしばらく時間がかかりそうだ。

1月末から2月中にも米両院合同会議でトランプ大統領の所信表明演説(例年の「一般教書演説」に該当)が行われるだろう。ここではトランプ政権の主要な政策課題が述べられる。その後、おそらく2月中に予算教書が議会に提出され、大統領の議会に対する予算編成の方針が示されるが、ここで初めてトランプ政権の財政政策が具体的に見えてくる。

これらの新たな情報が徐々に明らかになり、米国の景気にとってポジティブと受け取られれば、ドル高トレンドが再開する公算が大きい。それまでは取引量も薄くなりがちで、ドル円相場はトランプ氏のツイッター上でのつぶやきやテクニカル要因などに振り回されるような、振幅の激しい展開になりそうだ。

*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルホールディングスの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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米企業、ドル高に愚痴止まらず
これまでに決算発表した米主要企業の多くが会見で為替に言及している

By BEN EISEN
2017 年 1 月 24 日 14:38 JST

 企業幹部は一般的に、決算会見で為替レートについて口にするのが好きだ。だがそれを前提にしても、今回の決算発表シーズンでは為替変動がことのほかホットな話題になっている。

 1月18日までに決算発表したS&P500種指数構成企業をクレディ・スイスが分析したところ、2016年9月以降の四半期については72%の企業が為替や通貨に言及している。すでに発表を終えた企業は一部にすぎないが、この傾向が続けば、その割合は少なくともここ5四半期で最高に達する。今のところ、決算発表で話題になったトピックとしては、為替が選挙(5社のうち3社以上が触れた)を上回っている。

 これは大統領選挙後のドル急伸が、企業収益にとってさらなる圧力となる兆候と言える。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は今月、約14年ぶりの高値に上昇した。これで米国製品は海外市場で割高となり、需要が損なわれる恐れがある。

 ローリ・カルバシナ氏率いるクレディ・スイスのストラテジストらは先週のリポートで、「ドルが引き続き上昇するという当社為替ストラテジストの見解を考慮し、業績見通しを修正する上でドル高の加速が特に圧力となるセクターに注目している」と述べた。

 同社のストラテジストらは、ドル高は特に家庭用品や原材料のメーカーの足を引っ張る可能性が高いと指摘した。銀行や不動産、運輸関連はドル高の影響を受けにくいかもしれない。

 これまでにさまざまな企業が、ドル高が業績にどう影響しているか見解を明らかにしている。主な企業の発言を紹介したい。

油田開発サービス大手ハリバートンのマーク・マッカラム最高財務責任者(CFO)(1月23日)

 10-12月期(第4四半期)はその他費用9100万ドルを計上した。この項目は、主にドル高を背景としたさまざまな国で被った為替差損の影響を受けた。調整後の業績に盛り込まれている単一で最大の要因は、エジプトポンドの切り下げによる5300万ドル(1株当たり0.06ドル)の損失だ。

地方鉄道会社カンザス・シティー・サザンのパトリック・オッテンスマイヤー最高経営責任者(CEO)(1月20日)

 10-12月期(第4四半期)の売上高は5億9900万ドルと前年同期比横ばいだった。メキシコペソの急落による影響がなければ、売上高は前年を約3%上回っていた。(中略)当社の実績は、1700万ドルの売り上げ減につながった大幅なペソ安の影響を受けた。

IBMのマーティン・シュローターCFO(1月19日)

 ドル高に伴い通貨が再び逆風となった。実際、10-12月期(第4四半期)は10月半ば以降の為替変動と四半期末にかけての季節要因が響き、売上高が3億ドル近く押し下げられた。

金融総合サービス大手アメリカン・エキスプレス(アメックス)のジェフリー・キャンベルCFO(1月19日)

 主として米国のプラチナ、ゴールド、デルタカードが引き続き大きく伸びたため、10-12月期(第4四半期)の正味のカード手数料は前年同期比で6%伸びた。ただ、カード手数料の伸びが連続して減速した主因が同期のドル高だったことに注目したい。為替調整後の正味のカード手数料の伸びはおおむね7-9月期と同じだった。

化学メーカー、PPGインダストリーズのフランク・スクラースキーCFO(1月19日)

 対ドルでの為替換算という逆風の影響を受け続けるだろう。結果として、17年通期には為替換算の影響で売上高が前年と比べ3億7500万?4億2500万ドル、税引き前利益は約7000万?9000万ドル減少すると予想している。

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ユーロとドル、パリティはまだ「お預け」
市場はトランプ大統領の政策選択について戸惑い気味だ(写真は1月20日)
By RICHARD BARLEY
2017 年 1 月 24 日 17:46 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 市場が注目しているいくつかの鍋は、少なくとも当面まだ煮えそうにない。米国のダウ工業株30種平均は2万ドルの大台目前で足踏みしており、ユーロは1ドルを上回る水準で推移している。為替市場はまだパリティ(等価、1ユーロ=1ドル)を祝うには至っていない。

 23日の外国為替市場では、ユーロが1.07ドルを超えて6週間ぶりの高値に達した。昨年12月につけた1.04ドル割れの安値を大幅に上回っている。これはユーロの強さというより、ドルの弱さによるところが大きい。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は年初来で約2%安となっている。

 ユーロの支援材料の一つはリスク回避傾向だ。ドナルド・トランプ米大統領の就任演説は保護主義への懸念をあおり、市場はこれを受けて大統領の政策選択について戸惑っている。リスク回避は、それがユーロ圏特有の要因に関連している場合でない限り、ユーロにとっては支援材料となる傾向がある。域内の大幅な経常黒字が支えとみられるためだ。市場の緊張が高まると米国の債券利回りは低下する傾向があり、これもドル安につながる。

 近年の為替相場の大きな手掛かりとなってきた金融政策は、後ろに隠れているようだ。現在はトランプ氏の政策がもたらすとみられる(米欧間の)経済成長の開きの方がより大きく問題視されている。米国の経済成長が加速すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)はタカ派色を強め、米債券利回りやドル相場の上昇圧力は復活する可能性がある。その上、米国企業によるリパトリエーション(海外利益の回収)もドル高につながる可能性が高い。

 ユーロにとっては3月?6月の期間が正念場になりそうだ。その頃には米国の政策の全体像がもっとはっきりしているはずだ。欧州の政治イベントも多く、3月のオランダ総選挙や4月?5月のフランス大統領選挙ではユーロ懐疑論が脚光を浴びるだろう。ユーロ・ドル相場のパリティに向けた圧力がそれより早く再開するかどうかは、トランプ氏の発言や行動次第になるものと思われる。

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焦点:ドル調達コスト高止まり、不確実なトランプ政策で

[東京 24日 ロイター] - 為替スワップ経由のドル調達コストが、年明け後も高止まっている。金融機関の3月期末越えの資金繰りはめどが付き始めたとみられているが、2008年のリーマン・ショック直後のレベルから下がらない。

米トランプ新政権の下で、米金利やドルの見通しに不確実性が高まる中、ドル供給先である欧米銀が様子見を決め込んでいるとされ、今年も本邦勢はドル調達難の状況が続きそうだ。

<下がらないドル調達コスト>

円投/ドル転でヘッジ付きのドル債投資をする機関投資家は、3カ月物のドル資金を調達するケースが多い。3月が決算期末の金融機関は、昨年末から最も資金需要が高まる季節の1つである期末越えの資金の確保を進めている。

期末のドル資金需要が高まった昨年12月28日に、為替スワップ経由のドル調達コストは184ベーシスポイント(bp)まで急騰した。

年明け後、3週間が経過し、本邦勢の3月期末越えの資金繰りは概ね、めどが付き始めたとみられていた。

しかし、現在の調達コストは165bp程度と、低下幅は限定的で、リーマン・ショック直後(160―200bp程度)とほぼ変わらない高水準で推移している。

調達コストのうち、日米金利差からのかい離を表すベーシスも84.28bpから20bp程度低下しただけだ。

市場では「1月になれば3月期末越えの資金繰りもめどが立ち、ドル調達コストは素直に下がると思っていたが、ベーシスはまだ65bpもある。この規模のベーシスが金融危機でもないのにダラダラ続くのを見たことがない」(金融機関資金担当)との声が漏れる。

<不確実性高まり、様子見決め込む欧米銀>

ドル調達コストの高止まりの要因は、ドルを供給する側の欧米銀にもある。

ドル供給サイドの欧米銀では、リーマンショック後に厳格化した金融規制により、クロスカレンシースワップの予想収益率が大幅に低下。加えて最近では「トランプ要因」とも呼べる金利や為替の不確実性に直面している。

「ドルの短期金利が上がるのか下がるのか分からない中で、流動性を提供する意味がない」(米銀)──。資金供給を行う金融機関は将来の金利予想に基づいて、運用計画を立てるが、金利が上がるか下がるかさえ分からない状況では、様子見を決め込むのが最善と言うわけだ。

これまでは、インフラ投資で米景気は改善、米金利高・ドル高が続くというのが金融市場のメインシナリオだった。しかし、米金融政策はトランプ新政権との絡みで、ここにきて不透明感を強めてきている。

今月17日、トランプ新政権の上級顧問(現在)のアンソニー・スカラムッチ氏は、世界経済フォーラムの年次総会で、ドル高リスクを警告したうえで、新政権は連邦準備理事会(FRB)の金融政策を「ドル高抑制の道具として使うかもしれない」と発言した。

今年3回の米利上げが市場のベースシナリオ。トランプ新政権下におけるインフレ期待の高まりで、長期金利は上がるとの想定が多数になっている。

ただ、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主席研究員、廉了氏は「資本流出に伴う新興国不安や政治の圧力により、FRBは思うように利上げができず、(長期金利は上がるので)結果的にイールドカーブが立つイメージをもっている」と話す。

<日銀テーパリングでもベーシスは高止まり>

日銀の中曽副総裁は20日、為替スワップ市場における非米系銀行のドル調達コストの上昇について、利上げを進める米国と金融緩和を推進している日欧の金融政策の方向性の違いや、国際金融取引を行う銀行に対する規制強化などが影響していると指摘した。

実際、ベーシスはFRBがQE3(量的緩和第3弾)終了を決定し、日銀が年60―70兆円のペースで増やすとしていたマネタリーベースを、約80兆円まで拡大する「バズーカ2」を決定した2014年10月ころから、明確な上昇傾向に入っている。

ただ、日銀の国債買い入れペースは落ちている。2016年は78.6346兆円と、80兆円を下回り、今年は額面ベースで67.8兆円程度に低下する見込みだ。じわりと進む日銀の国債買い入れ減額は「暗黙のテーパリング」(外国証券)との指摘も出ている。

しかし、テーパリングが進んでも、米金利が上昇したり、ドルの流動性が低下すれば、日米金利差は縮小せず「円の相対的過剰」は不変となり、ベーシスは高止まりが続くことになる。

<金利差とコストのいたちごっこ>

ドル調達コストの高止まりは、国内金融機関のドル建て資産運用の障害となりかねない。

邦銀大手行では、ドル建て投融資における「調達のボトルネック」を解消すべく、外貨建て預金の獲得を進めているほか、ドル建ての対中国融資などを引き揚げ、資産サイドの圧縮も進めている。

「金利差から、ドル債への投資意欲があるのは間違いないが、足元では調達のボトルネック要因もあり、外貨ポジションをどんどん増やしていくような状況ではない」(廉氏)という。

財務省の対外証券投資データによると、本邦勢は昨年12月に2兆2652億円相当の外国証券(株、中長期債、短期債)を売り越した。今年に入ってからは、1月半ばまでに約9000億円の買い越したが、累計で約10兆円の買い越しとなった昨年1―3月に比べて、出足は鈍い。

需要サイドの本邦勢がドル債投資を圧縮すれば、ドル/円スワップでは需給が緩み、ドル調達コストは低下するはずだが、金利差狙いのドル債投資が続く限り、金利差と高い調達コストの「いたちごっこ」は続くことになる。

(森佳子 編集:伊賀大記)

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