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御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方
http://biz-journal.jp/2017/01/post_17813.html
2017.01.24 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal
私はいろいろなところで「経営戦略」を教えている。主宰している「リーダーズブートキャンプ」を嚆矢として、各地の公開セミナーはもちろん、企業での経営指導に駆け回っているわけだが、私の「戦略指導」とは、「戦略の立て方を教える、参加者に自分で戦略を立ててもらう」というユニークなものだ。
策定の指導なので、私が経営戦略をつくるのではなく、「その会社の経営者、あるいは幹部の方たちに経営戦略を立ててもらう」というものだ。皆さんがご自身の経営戦略を立てるお手伝いをする。だから業界、業種を問わない。全社戦略だったり、部門別戦略だったり、なんでもござれだ。3年戦略が標準なので、中期経営計画を立てようとしている会社にも好適となっている。
■「いい戦略」をどう立てる?
先日とある大企業で執行役員を対象とした幹部研修に呼んでいただいた。1日だけで戦略策定の技法を駆け足で学んでもらう。
もちろん、1日だけでは本格的な戦略を立ててもらうわけにはいかない。しかし、その方法論を学んでもらうために、参加者皆さんが率いている部門の3年戦略を駆け足で立ててもらう。リーダーズブートキャンプなどで本格的な3年戦略を立ててもらうには、数カ月を使って詳細に組み立ててもらうのだが、今回は短時間でその技法のエッセンスを学ぶという研修だ。
私が指導しているのは「課題解決型の戦略策定法」といい、策定ツールとして「戦略カードとシナリオ・ライティング」という技法を駆使する。このメソッドの構成を1日で“触り”として体験してもらい、技法として習得してもらうというのが今回の研修だった。
研修の途中で質問をもらった。
「戦略の立て方を教えてもらっているわけですが、だからといって良い戦略が立てられるわけではないでしょう?」
これはまったくその通りで、「良い質問です」と返した。「戦略の立て方」とは技法、つまりスキルなので学び習得することができるのだが、それを十全に活用するには使いこなす力、「経営体力」が必要なのだ。
■体育会で大会を戦うレベルを目指せ
戦略の立て方を教えるとは、テニスでいうとストロークの打ち方を教えるのと同じだと思ってもらえればいい。「ボールを見て、ラケットを後ろに引いて、ヒッティングポイントで打って、フォロースルーする」という類の指導である。技術、技法だからそんな説明やデモンストレーションで伝授できる。
「皆さんが求められているのは、ラリーをできるレベルではないでしょう」
質問者を私が鼓舞した。
「皆さんは経営幹部であり、近い将来は経営者たるべき方々です。学生テニスのプレイヤーでいえば、体育会に所属する競技者として第一線で戦いに参加しています。期待されていることは、そしてご自身が目指すべきことは大会に参戦して勝ち上がる強さのはずです。それには、スキルとそれを駆使できる体力が必要なのです」
■アクションプランを思いつける「経営体力」とは
全社戦略や部門戦略を立てるにあたり、「経営体力」が大きく影響するのはどんな部分なのか。
「戦略カード」を駆使して展開する「シナリオ・ライティング技法」には次の5つのステップがある。
1.目標の設定
2.課題の発見
3.解決策の策定
4.派生問題と対処
5.発表と共有
それぞれのステップで「戦略カード」を使って「一人ブレーンストーミング」をしながら、できるだけ多くの要素を言語化するのが「カード出し」。それが終わったら、優先度による「カード選び」をする。そして次のステップに進んでいく。5つのステップのなかで、「3.解決策の策定」がいわゆる「アクション・プラン」となるわけだ。ここのステップで重要となるのが「思いつき」だ。
戦略策定指導で私がいつも強調しているのが、「今まで当社で採用していなかったやり方、できれば突飛に思われるようなカードを出してください」ということだ。考えてみれば当たり前である。今までの、そして現在のやり方でうまくいかないのである。れで新しく3年戦略を立てよう、ということなので、何か新しい施策を検討しなければならない。ある方から、次のような質問が上がった。
「山田先生が自社事例として示してくれたような、うまい解決策が思いつけるとは思いません」
それはそうかもしれない。でも私があなたの代わりにあなたの戦略を立てるのではない。あなたの戦略とはあなたの「経営体力」の範囲内でしか立ち上がってこないのだ。20名にテニスを教えても、強い子、弱い子が出るのと同じことだ。
■経営体力」をどう付ける?
『イノベーションのジレンマ』(翔泳社)で著名なクレイトン・クリステンセン博士は、イノベーティブ(革新的)な考え方をできる経営者の特質は、という点でも興味深い研究を発表している(『イノベーションのDNA』<同>)。
クリステンセンは約80名のイノベータ(過去にイノベーションを起こした実績のある経営者)と400名の非イノベータの企業幹部を調査して、前者をかたちづくった共通的な資質を抽出した。
1.関連づける力
2.質問力
3.観察力
4.ネットワーク力
5.実験力
これらの要素のうち、最後の「5.実験力」だけはオーナー経営者でなければ簡単に発動させることができない経営力の範疇だろう。しかし、1−4の要素は、経営者や幹部がこれから「経営体力」を高めようとするなら有用な指針となるものだ。
クリステンセンの4指針は、順番を代えて次のように読み下すことができる。
「外に出て(4.ネットワーク力)、じっくり観察して(3)、躊躇なく質問して(2)、頭の中で組み立てろ(1)」
本記事を目にしている読者の多くが、同じ会社に長く勤めてきているかもしれない。その場合は、同一社、同一業界の悪弊に染まっている可能性が大きい。「外に出る」とは転職したり、社外のセミナーや交流会に行ったり、その代替として本を読むことだ(クリステンセンの調査では最大の外部刺激とは海外居住であるという)。
それから、日本人が苦手なのが「3.質問力」だろう。「聞くは一時の恥」は正しい。そして質問するとインタラクティブなキャッチボールが始まり、思いがけない着想にたどり着くものである。
私は、自分が教えている経営者の皆さんによく言うことがある。
「本を読まない経営者はダメです」
今までは、うまくやってこられたかもしれない。しかし、この後さらに展開していくためには、新しい一手が必要だろう。その糧を、知恵を、今から仕込んでおこう。
2017年は、皆さん、どうか本を読んでほしい。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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