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トランプが狙う日系企業、トヨタの次の標的はどこだ?
http://diamond.jp/articles/-/115081
2017年1月23日 週刊ダイヤモンド編集部
1月20日、トランプ氏が米大統領に就任した。就任後も、過激な発言で企業を狙い撃ちして批判する“口先介入”は続く見通しで、日系企業は戦々恐々としている。トヨタ自動車に続くターゲットはどの企業なのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)
「豊田(章男・トヨタ自動車)社長が米国に100億ドルを投資し雇用をしっかり守ると約束したのに、トランプは“サンキュー”とは返してくれなかった」
あるトヨタ関係者は、そう自嘲気味に言う。1月20日に就任したトランプ米大統領は、メキシコ新工場計画を撤回したフォード・モーターや、米国設備投資を上乗せしたフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)については、ツイッター上で称賛の言葉を発信していた。
かねて、トランプ大統領は製造業の国内回帰による雇用創出、通商政策見直しの方針を掲げており、日米の自動車メーカーが新大統領の“口撃”に翻弄されている。
次なる標的はどの企業なのか──。「就任後も“口先介入”が継続するのは間違いない」(自動車メーカー幹部)として、日系企業は警戒感を強めている。
とりわけ、戦々恐々としているのがメキシコに進出している自動車関連メーカーだ。
世界の大手自動車メーカーは、総じて米国を最重要市場と位置付けている。近年、各社は北米自由貿易協定(NAFTA)の関税メリットと安価な労働力のあるメキシコに生産拠点をシフトさせてきた。2015年にメキシコから輸出された261万台のうち、75%は米国向けである。
すでにトヨタやフォードなどの六つの新工場建設が計画され、主要メーカーの生産台数だけで15年の346万台から20年には586万台まで激増させる予定だった。
メキシコに進出する日米独韓の自動車メーカー(ダイムラー商用車を除く)は総じて、米国生産よりもメキシコ生産を増やすことで供給を賄おうとしてきたのだ。
日系メーカーでは、完成車メーカーに従う形で、素材・部品メーカーが一気に進出。日本のメキシコへの進出企業は約1000社で、自動車部品製造の事業所は1343カ所に上っている(下図参照)。完成車メーカーの工場が近いコアウイラ州やメキシコ州などには、電気電子系統や座席・内装の部品メーカーが集積している。
■標的にならずとも下請けメーカーにしわ寄せがくる
トランプ大統領に名指しされずとも、トヨタや日産自動車が標的となりメキシコでの減産を迫られれば、たちまち下請けの素材・部品メーカーへしわ寄せが及ぶ。日系企業がトランプ口撃におじけづいているのはそのためだ。
実は、「自動車メーカーがメキシコから米国へ生産をシフトさせることで、新たに雇用を創出するのは難しいのではないか」(アナリスト)との声も根強い。
というのも、米国の失業率は4.7%と低水準にあり、「ただでさえ、自動車工場の生産ラインで働く労働者を獲得するのが難しい状況」(自動車メーカー幹部)にあるからだ。「むしろ、例えば鋳造など、米国人が進んではしない低賃金労働の工程がメキシコへシフトした側面もある」(別の自動車メーカー幹部)。
それでも、日系企業の幹部たちは警戒を緩めるつもりはない。「トランプの政策ではマクロで整合性が取れているかよりも、ミクロでも支持率が上がるかどうかが優先される」(同)とみているからだ。
やはり、事態を深刻に受け止めていたのだろう。豊田・トヨタ社長も早々に動いた。1月10日、トヨタの生産拠点がある米インディアナ州知事を務めたマイク・ペンス次期副大統領と面会したのだ。米国での雇用創出の貢献を引き合いに、トヨタの考え方に理解を求めたと推測されている。
あるトヨタOBは、「自由貿易を推進するペンス氏には期待したいところだが、訪問の効果は未知数。関税など通商政策は大統領権限でできることも多いので懸念している」と言う。
■メキシコ生産半減だけでは済まない「最悪シナリオ」
ある衝撃的な試算がある。東海東京調査センターによれば、このままトランプ大統領が保護貿易路線を貫き、メキシコから米国へ輸出される車に35%程度の関税が課された場合、「15年実績で340万台だったメキシコ生産台数が、19年には250万台へ激減する」というものだ。250万台とは、各自動車メーカーの生産計画の半分程度の水準である。
そうなれば、日系自動車メーカーの中では、トヨタ以上に、すでにメキシコ生産を本格化させている日産やホンダが打撃を受けるし、経営への負のインパクトという意味ではマツダがピンチになる。
完成車メーカーほどには経営体力のない素材・部品メーカーにとって、生産稼働率50%の事態は壊滅的なレベルだ。自動車関連メーカーのメキシコ事業が、一気に赤字へ転落してしまうことだろう。
日系自動車メーカーにとって、さらに悲観的な「最悪シナリオ」もある。関税リスクの対象はメキシコだけにとどまらない。図は、主要国・地域から米国への自動車輸出台数の流れをまとめたものだ。米国市場のみ、販売台数に対して生産台数が大きく下回っている(▲563万台)。
今後、NAFTAの見直しとなればカナダから米国への輸出にも関税が課され、カナダに生産拠点を持つトヨタやホンダが影響を受ける。さらに、日本や中国も課税対象になりかねない。
近年、日系自動車メーカーや大手サプライヤーは、自由貿易ルールの下でグローバルな最適生産を推進してきたが、その生産戦略が根幹から揺らいでいる。「下手に右往左往しても標的となるだけ。事が決まってから対処するしかない」(トヨタ関係者)。日系企業の不安は募るばかりだ。
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