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年金だけではまったく足りない! 人生100年時代のゾッとする真実 政府はウソをついている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50717
2017.01.22 週刊現代 :現代ビジネス
■1億5000万円必要
現在60代から70代の人たちは、現役時代に右肩上がりの経済成長を享受してきた世代だ。
しかし、100年生きることが珍しくもない超高齢化社会の到来で、経済の状況はガラリと変化することは確実。右肩下がりの時代に向けて意識を転換しなければ大変なことになる。
事実、すでに政府は年金支給額のカットや高齢者の医療費負担増といった施策を打ち始めている。
仮に100歳まで生きたとしたら、どれくらいのカネが必要なのか、試算してみる。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦氏が解説する。
「総務省の家計調査報告を基に計算してみましょう。
60〜69歳の生活費は夫婦二人で年間約330万円(10年で3300万円)。70〜74歳は年間約300万円(5年で1500万円)。そして、75歳以降は平均272万円かかるので、100歳まで26年間生きた場合、7072万円(総計で1億1872万円)になります。
こうした日常の生活費以外にも自宅のリフォーム代、医療・介護費、趣味や旅行に使うお金もあるので、2000万〜3000万円くらいはかかると考えておいたほうがいい」
合計すると、100歳まで安心して生きるためには約1億4000万〜1億5000万円という途方もない額のカネが必要になるわけだ。
■収入のほうはどうか?
「平均的なサラリーマン世帯の年金収入は月額22万円、年間で264万円です。65歳から受給した場合、100歳までの年金収入は約9500万円。必要な額からおよそ5000万円が不足する計算になります」(深野氏)
現役時代の貯蓄や退職金などが豊富にあればいいが、なかなかそうもいかないだろう。また、年金支給額は今後、減らされても増えることはありえない。
「昨年の年金カット法では、現役世代の賃金が上がらない場合は年金も上がらないという仕組みが導入されましたが、その程度では年金制度は維持できません。すでに受給している世代の年金も、たとえば10%カットのような大鉈がふるわれる可能性がある」(深野氏)
医療・介護費の負担も増加している。昨年12月15日に決まった医療制度の見直し方針では、70歳以上でも一定の所得があれば現役世代と同じ負担を求められるようになる。たとえば70歳以上の一般所得者(市町村税が免除されていない人)の場合、外来診療の自己負担上限額が1万2000円から1万8000円に増額される。
また、現役並みの所得がある高齢者は介護保険の利用料の自己負担割合が2割から3割に増えることも決まった。
■生活保護ももらえない?
「現在はまだ、平均的なサラリーマンであれば、年金収入だけでもなんとか生活できます。しかし今後、年金が減り、医療・介護費が増えていくなかで最終的には生活保護を受けるしかない人も出てくるでしょう。
そうならないためには、できるだけ収入の範囲内で生活するよう、暮らしをダウンサイジングすることが大切です。また、親の介護のために自己資金を出すのは危険です。介護費用などはできるだけ親の年金や貯蓄などで賄い、おカネ以外の面で支援することを考える。
そうしないと親の介護におカネを使ってしまったため、自分たちの老後資金がなくなってしまうことになりかねない。親の世代よりも自分の世代のほうが老後の生活はもっと厳しくなるということを肝に銘じておいたほうがいいでしょう」(深野氏)
現役時代にはそれなりに真面目に働いてきて、まさか自分が生活保護を受けるとは思っていなかったという人でも、老後破綻のリスクはある。
さらに、生活保護を受けようにも、制度自体が崩壊する可能性もある。政策研究大学院大学名誉教授の松谷明彦氏が語る。
「現在、生活保護の受給者は200万人を超えています。その総額は年間3兆円です。今後、生活保護予備軍は急増するでしょうから、制度が維持できなくなる。
加えて、働いても働いてもどんどん国に持っていかれる勤労者がいる一方で、生活保護をもらってのんびり暮らしている人がいると国民の勤労意欲が低下することは避けられません。
生活保護という最後のセーフティーネットが破綻すれば、急速に社会不安が広まることになる」
では実際に老後、家計が破綻した高齢者にはどのような暮らしが待っているのだろうか。
すでに有料老人ホームなどに入っている場合は施設に置いてもらえず、転居を考えなければならなくなる。身寄りがいて、引き取ってくれればいいが、そうもいかない場合、行きつく先は悪徳老人ホームしかない。
大阪で高齢者住宅紹介業を営む関係者が語る。
「この業界には、介護に関して経験や理解のない事業者が非常に多い。介護保険という大きな利権に群がり、行き場のない老人をカネづるとしか見ていない人たちです。仕事柄、色々なホームから相談を持ちかけられますが、要はできるだけ儲かる入居者を紹介してほしいという注文です。
ひどい場合は『生活保護を受けている要介護3以上の人ばかりを集めてほしい』と注文してくるところもあります。保護費と介護費の上前だけをはねて、入居者は狭いワンルームに押しこめ、おとなしくさせる薬を投与する。そうすれば死ぬまで施設にカネが入ってくるというわけです」
愛知県内の、とある高齢者施設を訪ねた。元歯科医院だった建物の看板は外され、外壁はひびだらけ。救急車が頻繁に停車することから、近隣の住民からは「姥捨て山」「棺桶屋敷」と呼ばれている。内部の状況を知る地域包括支援センターの職員が語る。
「あそこにいるのは、ほとんどが高齢の要介護の人たちです。胃ろうの人が多かったですね。もちろん身寄りもなく、生活保護を受けている人ばかりです。仕切りもない部屋に簡易ベッドが並んでいて、野戦病院のようでした。
介護保険搾取だけを目的に運営されていることは明らか。90歳を超えた人、中には100歳近い人もいましたよ。長寿をまっとうしても、めでたさの片鱗もありません。
現代医療では生かさず、殺さず、延命することも可能です。外出もさせないで、院内はすべて車椅子。胃ろうをつけて寝たきりにしてしまえば、介護の手間とコストをかけずに儲けを出せるというわけです」
■政府はウソをついている
これほど悲惨な施設に自分が入ることはありえない――そう考えたい気持ちはわかる。だが、認知症が出始めているような状態で老後破綻に直面する憂き目に遭えば、冷静な判断力もないまま、施設送りにされる可能性は否定できない。
前出の松谷氏が語る。
「私たちは戦後、一貫して福祉社会を謳歌してきたわけですが、そういう温かい時代はもう終わっています。正しい現状認識を、政府は国民に伝える必要があります。しかし、政府は必死に真実を隠して、同じ水準の財政サービスや福祉サービスができると真っ赤なウソをついている。
年金をもらえる額が下がっていくのは社会全体が高齢化しているからです。高齢化の原因は高齢者自身の長寿にあるのだから文句を言っても始まらない。それよりも多様な価値観を持つことで、生活コストを下げても幸福に暮らす工夫をすべきです。
たとえば外食の回数が減っても、料理を作る喜びがあれば、不幸ではない。経済的豊かさとは違う生活の豊かさを求めていくことが大切なのです」
不老長寿は古より人類の夢だった。いたずらに経済的な不安に苛まれるよりも、100年生きられるという時代に生まれた幸せをかみしめて日々を過ごしたい。
「週刊現代」2017年1月14日・1月21日合併号より
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