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本当にバカバカしい「レジ袋の追放運動」武田教授がその矛盾を解説
http://www.mag2.com/p/news/235073
2017.01.20 by 武田邦彦『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』 まぐまぐニュース
ゴミの分別・リサイクルについて異を唱えてきたメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』の著者である、中部大学の武田教授。今までの記事では、リサイクルやゴミの分別による弊害や、メディアが伝えてきた嘘について暴露してきましたが、今回は最近有料化されつつあるレジ袋や、ゴミを捨てるために有料のゴミ袋を買うという矛盾について持論を展開しています。
■家庭で有効活用できる「レジ袋」を削減する必要はあるのか?
分別やリサイクルは、それが科学的にも合理性がなく、道徳的、倫理的にも最低なシステムですから、それに伴って周辺にも悪影響を及ぼしています。つまり、「不道徳なことをすると、それが周辺に影響を及ぼす」という原理を示しておきたいと思います。
1) レジ袋の追放運動
およそ多くある環境運動の中でも、表現は悪いのですが「アホ」の部類に入るものの一つが「レジ袋の追放」です。これほど科学を無視し、現実から遠ざかった事をすると、その影響は単に環境を汚すばかりではなく、科学の発展を阻害し、子供たちにも悪い影響があるでしょう。
レジ袋は石油から作る「ポリエチレン」というものでできています。石油というのは動物の死骸が腐敗したものですから、決して「人間の生活に都合の良いように作られたもの」ではありません。人間が欲しいと思う材料(たとえばエコバッグの材料になるポリエステル)と比べてポリエチレンは大量にできてしまいます。だから、ポリエチレンでできたレジ袋をできるだけ使うようにして、ポリエステルを節約することが環境的には大切です。
かなり前のことですが、著者の説明を聞いたある主婦が、「一頭の牛から霜降りはあまりとれないけれど、細切れはとれるようなものね」と言いましたが、まさにその通りです。
石油からポリエチレンとかポリエステル(ペット)などを採る産業を石油化学と言いますが、石油化学は、これまでなんとか「あまり皆が欲しくないものの用途をなんとか作る」のに腐心してきました。その代表格がポリエチレンのレジ袋、ポリプロピレンで作る自動車のバンパーなどです。つまりレジ袋や自動車のバンパーは「石油を有効に使い、資源を大切にすることができる代表的な製品」であり、それに対して買い物袋などは貴重なポリエステルを使うので、「できるだけ使わないようにする」のが科学の合理性のある使い方です。
また、レジ袋は万引きの予防になるほか、数回使えば破れたりするぐらい薄いので石油をあまり消費せずにすみ、さらに家庭では子供に何かを持たせたり、汚いものをくるんだり、ゴミを出したりするのに役立っていました。つまり、「資源を繰り返し使える」という意味でも最優等生だったのです。
「わたし、科学は知りません。産業も資源も知りません。ただ、感覚的に目の前のものが憎らしいだけです」という理由で立派な大人がレジ袋の追放を言っているのを聞いて、哀しい気持ちになります。
■「ゴミを入れるために新品の袋を買う」という馬鹿な行為に気づいているか
2) 有料ゴミ袋
捨てるゴミを入れるのに新品の袋を強制的に使わせるという「有料ゴミ袋」も「アホ丸出し」の一つです。ゴミ袋もゴミを入れれば立派なゴミですから、まずは「ゴミとして捨てるものを買う」という馬鹿らしいことをしています。
もともとゴミを捨てるのは、レジ袋でも段ボールでも「使い古していて、もう使えないもの」を使うのがもっとも良いことは誰でもわかります。捨てるのですから、捨てる寸前の物をまずは使い、それがなければやむを得ず何かを利用するのが筋です。
本当に環境を大切にし、資源の枯渇を心配するならそうするでしょう。
でも、自治体は小遣いを儲けようとしています。専用のゴミ袋を指定し、それを使わせることによって、なにがしかの利権を得ます。それは小さな接待かも知れませんし、天下り先を作ることもあります。そして、無意味な制限(カルシウムを入れるとか、色分けするなど)をして「官が認定する」という手続きを作ります。
分別・リサイクルをしているのに、片方では捨てる袋を有料で買わせるというバカらしさにそろそろ市民が気がつかなければならないでしょう。
3) 毒物のリサイクル
分別リサイクルが始まらない前、市役所は一括してゴミを集め、焼却していました。そうすると焼却炉の上から有毒なガスが発生し、灰の中にはこれも毒物が含まれます。それはもともと工業製品の中に鉛(ガラスなど)、水銀(蛍光灯など)、ヒ素(電子回路など)が含まれているからで、それをあらかじめ分別しておくことはできません。製品の中に溶け込んでいるからです。
そこで、煙突から出す前に有毒なガスを除き、灰の中に含まれる毒物は貯蔵所で除いたり、排出を止めたりしていました。
ところが、分別・リサイクルが始まると、主婦は分別するといってもその中にある毒物を除くことができませんので、毒物が原料としてリサイクルした製品の中に入ります。たとえば、紙のリサイクルをすると新品の紙よりもリサイクルした紙の方が若干、「色」がついていますが、これは着色する成分を完全に除くことができないことを示しています。色も毒物も除きにくい化合物ですから、リサイクル品というのは次第に毒物で汚染されていきます。
著者が2000年頃に計算してみると、家庭にある物を分別リサイクルする場合、毒物が増えないようにするための限界は8%で、それ以上リサイクルすると次第に汚染が蓄積する事がわかりました。
ものを「循環する」ためには、人間の体にも腎臓などがあるように「有害なものを定期的に除去する」というシステムが必要ですが、現在のリサイクルシステムにはそれがありません。でも、この問題は逆転ホームランがあり、「現実には分別はしていても、リサイクルはせずにそのまま焼却しているので有害物質は蓄積しない」という皮肉な状態にあります。
いずれにしても、レジ袋追放、有料ゴミ袋、リサイクルなどをしていると、私たちの子供はとても困ることになるでしょう。
image by: Shutterstock.com
『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』
著者/武田邦彦
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
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