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トランプ政権における経済政策のキーパーソンとささやかれているエコノミストのピーター・ナヴァロ氏(写真:代表撮影/Abeca/アフロ)
日本の命運を握るトランプ政権「貿易3人組」 貿易上最大の「敵国」は日本ではないが…
http://toyokeizai.net/articles/-/154285
2017年01月21日 ダニエル・スナイダー :スタンフォード大学APARC研究副主幹 東洋経済
ドナルド・トランプ大統領が現在考えている貿易・産業政策を理解したいなら、マーティ・マクフライと一緒にタイムマシン、デロリアンに飛び乗って、1985年の戻るだけでいい。その年に公開された伝説的な映画のタイトルが、すべてを言い表している。つまり、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』である。
トランプ大統領と貿易政策担当として同氏に任命された主要な3人組は、ロナルド・レーガン元大統領時代に自らの考え方を確立した人たちだ。このとき、日本は「貿易戦争」における敵であり、まねるべき産業政策の手本だった。通貨価値の歪みを是正することを目指した1985年9月のプラザ合意から、反ダンピング提訴、輸出に関する「自主」規制、いわゆる管理された貿易取引への圧力的手段の積極的な使用に至るまで、トランプ大統領の貿易チームは、1980年代の政策モデルを頭に描いている。
■「米国がもっと日本みたいだったら…」
トランプ大統領の貿易チームには、「(過去に)日本と交渉した体験がしみ付いている」と、レーガン政権時に貿易交渉の米国側責任者だった、クライド・プレストウィッツ氏は話す。同氏は、トランプ大統領の経済戦略チームの中に、何人か親しい関係者がいる。そのひとり、米通商代表部(USTR)に指名されたロバート・ライトハイザー氏は、かつて副通商代表を務めていたとき、米国の半導体産業を、日本との競合から守る役割を果たしたことで知られる。
「彼が副通商代表に任命されたとき、日本は米国にとって貿易問題の中心的存在だった」とプレストウィッツ氏は振り返る。同氏もまた、レーガン政権時、ライトハイザー氏とともに貿易交渉を担当。「私たちは日本と交渉しながら、米国がもっと日本みたいだったら、とつねに思っていた」。
ライトハイザー氏は、トランプ大統領と長い付き合いがある経済ナショナリスト3人組のひとりであり、彼らは貿易と製造業の重要性に関する明確な考えを共有している。この3人組のほかのメンバーは、カリフォルニア大学アーバイン校のエコノミストで、新設の国家通商会議(NTC)のトップに指名されたピーター・ナヴァロ氏と、米国の衰退した製造業を再生させて富を築いた投資家で、商務長官に指名された元銀行家のウィルバー・ロス氏だ。
貿易チームの政策の展望は、2016年9月29日に「Scoring the Trump Economic Plan: Trade, Regulatory, & Energy Policy Impacts(トランプ経済政策の成功法:貿易、規制、エネルギー政策の影響)」と題した文書によって明らかにされている。ナヴァロ氏とロス氏によって書かれたものだが、発表された際にはほとんど注目を集めることはなかった。
この文書でナヴァロ氏とロス氏は、世界は国民国家によって形成され、ぞれぞれの国力は国内総生産(GDP)によって図られることを前提としているが、これはサプライチェーンや資本、労働力が容易に国家を超えてやり取りしたり、行き来したりしているグローバリスト的意見と完全に逆行する考え方である。
2人にとって、貿易赤字は、成長から差し引かれる純然たるマイナス因子だ。グローバル化の時代が残したのは、国力の源となる製造業の喪失だけだった、と両者は主張する。ロボット工学の先進国であるドイツと日本を取り上げ、米国の製造業衰弱の原因はオートメーションではなく、貿易赤字であると述べている。そして、「わが国の企業が、高い税金や厳しい規制という重荷によって海外へ押しやられていなければ、あるいは過小評価された通貨の誘惑と、不法な輸出補助金の利用といった不公平な貿易慣例によって海外に押しやられていなければ」、米国は競争力を取り戻すだろうとしている。
■日本に対する評価は低くない
トランプ大統領の貿易チームは、彼らが保護主義者であり、共和党がかねてから持つ自由貿易支持姿勢を撤回するつもりではないのか、という疑いについては否定している。たとえば、ライトハイザー氏は2011年に「157年という歴史のほとんどの間、共和党は輸出を促進し、不公平な貿易輸出を回避する貿易政策をとることによって、国内の産業を育ててきた」とある記事に記している。
この記事でライトハイザー氏は、国内産業を保護するために関税の利用を支持した米国初期のリーダー、アレクサンダー・ハミルトン氏とヘンリー・クレイ氏を例に挙げている。また、レーガン元大統領についても、「輸入鋼材に関税を課し、日本との競合からハーレー・ダビッドソンを守り、半導体と自動車の輸入を制限し、米国の産業を弱体化させないように、類似した無数の手段を講じた」と称賛している。
この観点から、トランプ大統領の貿易チームは、日本や輸出主導の産業を成長させる国家政策を容赦なく行うドイツなどに対して、渋々ながら敬意を表している。ナヴァロ氏は1991年、日本について「この慢性的な貿易不均衡は、まさに両国が相いれないほどに異なっていることによる結果だ」と書いている。日本で最も優秀な人材が集まってくる日本の官僚組織が、「国家の政策目標を推進している一方で、米国の官僚組織は凡庸に陥っているままで、偏狭な自国の利害を促進しているだけだ」。
もっとも、トランプ大統領の貿易チームが、「反日本」と受け止めるのは早計だ。というよりは、彼らはいまや失われてしまった「かつての日本の」の体制についてあこがれすら抱いているといっていい。実際、ロス氏はニューヨークに拠点を置くジャパン・ソサエティ(日米協会)の会長を務めているほか、2014年には日本政府から表彰もされている。
いずれにしても、日本はもはや「敵国リスト」のトップにはいない。ナヴァロ氏たちの意見では、その地位にいま君臨しているのはもっぱら中国で、不公平な貿易に関与する手段として、世界貿易機関に加わり、その協定を利用している。ナヴァロ氏は大統領選中、これによって7万以上の米国の工場が閉鎖に追い込まれた、と主張していた。中国は不法な輸出補助金、通貨操作、 知的財産窃盗、強制的な技術移転、保護主義的な非関税障壁といったおなじみの対抗手段を使っている、と。
「中国が巨大な労働力と技術を結び付けることができれば、米国とって、状況は非常に厳しくなる」と、ロス氏は2011年ごろ、米国のある雑誌に述べている。「どの業界においても賃金が削減され始めている。私たちは自分の生活水準を輸出して、自分の失業を輸入する危険性に瀕してしるのだ」。
中国に対して報復的関税を課す、あるいはメキシコの工場で作られた輸入品に関税をかける、というトランプ大統領の脅しに、多くの注目が集まっている。こうした対抗手段はきっと、貿易3人組が意図していることだろう。「実際に、1980年代に不公平な動きをした日本に、防衛的関税を課したのは、自由貿易を標榜するレーガン元大統領だった」とナヴァロ氏は、昨年の7月に話している。「トランプ大統領は不公平な動きをするあらゆる国に対して、同じことをするだろう」。
■米企業も中国に対しては懐疑的?
しかし1980年代と異なり、米国は貿易戦争の相手国に圧力をかける手段として、安全保障同盟を利用することができない。「米国は中国に対して影響力を持っていない」とプレストウィッツ氏は話す。「中国はまともじゃない。日本は半分だけまともだったが」。
中国はまた、巨大な市場および製造拠点としての中国の役割に頼っている外国企業の支援も得ている。ただし、アジア貿易政策に影響力のあるネルソン・リポートの編集長、クリス・ネルソン氏によると、アップルのような米国の多国籍企業が、米政府から中国を守る姿勢は明らかに弱まっている。中国は不公平だとの認識や、相互依存性が低下しているとの見方が増えており、「(米企業が)中国で思うように稼げていないと考え始めている」。
中国に対して講じるべき最も効果的な対抗手段は、為替レートかもしれない。これはトランプ政権の財務省が、中国は「通貨の不正操作者」であると公言することを含んでいる。ナヴァロ氏とロス氏が共著した先の計画では、もし中国が通貨の不正操作をやめなければ、この手段により、「米国は防衛的で(為替操作に対する)対抗策となる関税をかけるとができる」と書いている。
米国によるこうした「対抗策」は、より多くの国へ影響を与えることになる。「中国は貿易チームの3人組にとって、最も頭の痛い存在だろう」とプレストウィッツ氏は話す。「しかし日本、韓国、ドイツなどほかの国々との問題がないわけではない。通貨は重要な問題だ」。同氏は、国際通貨運営の新体系を作り出す試みとして、再びプラザ合意を行うことさえ検討されるかもしれない、と予見している。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のような多角的経済連携協定に関していえば、貿易3人組の関心は低い、というより、価値を見いだしていない。政権移行チームに近い情報筋によると、ナヴァロ氏らは、TPPが、中国の台頭を妨げる手段には決してならないと考えている。複数の情報筋によると、それよりは、日本などと新たに2国間の貿易協定を交渉するほうがより現実的のようだ。
■キーパーソンはナヴァロ氏に
もちろん、トランプ新政権において、事態がどのように進むのかを予測しようとしても、予測不可能な要因が浮上する可能性は十分にある。しかし貿易・産業政策に関していえば、トランプ大統領は私が以前書いたとおり、1980年代に回帰することで一貫している。
この中で特にナヴァロ氏は、アジア政策に関しては、誰もが予想しているよりはるかに広範囲な役割を演じることになりそうだ。アジア政策に関して、同氏は中国に対する辛辣な批評家であり、太平洋上での広範囲に及ぶ米国の軍事増強を強く支持している。同氏はアジア関連の担当者の指名にはすべて関与する、といわれている。政権移行チームに近いある情報筋は、「トランプ政権ではナヴァロ氏が特に大きな影響力を持つだろう」とみている。
今、日本やアジアの企業やビジネスパーソンがやるべきことはひとつだ。日頃のビジネスの理想はひとまず脇に置いて、これから米国を率いることになるトランプ大統領と、貿易3人組が何をしようと考えているのか、それに対する理解を深める努力をするべきだろう。
トランプ政権 かつての日本に憧れ...
— play fast (@lesprit_rotono) 2017年1月20日
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— 小太郎 (@kotaro99) 2017年1月21日
日本の命運を握るトランプ政権「貿易3人組」 貿易上最大の「敵国」は日本ではないが… https://t.co/s5ebQWryAH アメリカ全土がデトロイトシティになるだけじゃ・・・
— アメリカさん家の紅白清 (@1192america) 2017年1月21日
日本の命運を握るトランプ政権「貿易3人組」 貿易上最大の「敵国」は日本ではないが… https://t.co/aonnyuTchB 嘗て日本に対して行った「プラザ合意」のように、米国が大きな不均衡に苦しむ対中国貿易対策で「為替レート変更」を迫れるか?注目だ。
— 阿見次郎 (@mine3sepia) 2017年1月21日
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— 内田聖子/Shoko Uchida (@uchidashoko) 2017年1月20日
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