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5月も効果が見えない福島第一凍土壁
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2018/06/04(月) 19:43:59 めげ猫「タマ」の日記
福島第一に設置された凍土壁の内側への水の流入量を東電発表(2)から見積もると
2017年5月 1日当たり平均で755トン
2018年5月 1日当たり平均で609トン
で、凍土壁をすり抜け内側に流入する水の量は19%しか減っていません。凍土壁による止水はできていません。
福島第一では地下水が山から流れて来て、原子炉やタービン建屋に流入しています。あるいは海までに達しています。汚染されれば海に流せないので、これを汲みあげ浄化装置を通した後で海に流しています。ただし全ての放射性物質が浄化できる訳ではありません。東京電力はトリチウムは浄化できないとしています(3)。浄化しても排水基準(4)を満たさない汚染地下水は、タービン建屋に送っています(6)。
地下水がタービン建屋に流れ込んだり、海岸の井戸からタービン建屋に送り込んだ地下水で汚染水は増えていきます。
※(7)を集計
図―1 どんどん増える福島第一汚染水
最新の発表(8)を集計すると総量で約112万トンに達します。以下にタービン建屋から汲み上げた直後のセシウム137の濃度をします。
※(9)を集計
図―2 タービン建屋から汲み上げた直後の汚染水のセシウム137濃度
概ね1リットル当たりで1億ベクレルを下回る程度でしょうか?法定限度は1リットル当たり90ベクレルですので(10)、100万倍の高濃度です。このままでは海には流せないので、汚染水タンクを作り続け保管しています(12)。そのうちに汚染水タンクの増設が困難になる日が来そうです。汚染水の増加を抑えることは近々の課題です。
汚染水の増加を抑える対策の柱として原子炉やタービン建屋を氷の壁で囲む「凍土壁」が作られました。以下に構造を示します。
※(3)(13)にて作成
図―3 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン
断面の模式図は以下の通りです。
※(3)(13)にて作成
図―4 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン(断面)
氷の壁で地下水の流れを阻止し、タービン建屋に流れ込む地下水や海岸にまで達する地下水を減らす計画です(13)。当初の予定では2015年3月位から運用を始める予定でしたが(14)、完全凍結が始まったのは2017年8月22日からです(15)。ほぼ2年半の遅れです。
図―3に示す様に福島第一は西側が山で東側が海です。陸側(西側)から順に凍土壁・サブドレン・建屋・サブドレン・凍土壁・ウエルポイント・地下水ドレン・海側遮水壁です。このうち凍土壁と海側遮水壁は水の流れを遮ることを意図し設けられました(3)(13)。サブドレンは地下水を汲み上げる井戸です。図−3,4に示しように凍土壁の内側になり、ここで汲み上げらる水は全量が凍土壁をすり抜けて流れ込んだ水です。
サブドレンでの汲みあげに失敗した地下水は建屋に流れ込むか、海に向かって流れて行きます。ウエルポイント、地下水ドレンは海側に流れた地下水を汲み上げる井戸です。
すなわち、サブドレン汲み上げ量、原子炉建屋への流入量、ウエルポイント、地下水ドレンの汲み上げ量の合計が「凍土壁」では阻止できずに流れ込んだ「水」の総量です。以下に推移を示します。
※1(4)を集計
※2 サブドレンはサブドレン汲み上げ量、流入は建屋流入量、海岸部はウエルポイント、地下水ドレンの合計汲み上げ量
図−5 「凍土壁」で阻止できなかった「水」の量
図に示すように凍土壁で阻止できなかった「水」の量はあまり減っていません。凍土壁は2017年8月に「完全凍結」がはじっまたので、先月と完全凍結開始間前の同月との流量を比較してみました。
2017年5月 1日当たり平均で755トン
2018年5月 1日当たり平均で609トン
で、凍土壁をすり抜け内側に流入する水の量は19%しか減っていません
凍土壁による止水はできていません。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
東京電力は先月末に「重層的に進めてきた汚染水対策」を主張しだしました(16)。凍土壁だけでは汚染水を押さえ込むのは無理と判断したようです。一方で、経済産業省は昨年度末(2017年3月)に「凍土壁」の効果がったと発表しました(17)(18)。経済産業省は福島産は「安全」であり、避ける行為を「風評被害」としています(19)。でも、効果の無い「凍土壁」の効果があったと主張しています。同じように安全でない福島産を「安全」と言い出しそうです。経済産業省の審議官は、安倍出戻り総理の秘書官をしている時に会っていた人を、会っていなと「嘘」をつきます(20)。経済産業省の主張を信用するのは無理です。福島の皆様は不安だと思います。
福島県を代表する農畜産物に牛肉があります(21)。福島の牛肉はおいしいそうです(22)。福島県は福島産牛肉は「安全」だと主張しています(23)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産牛肉はありません。
※(24)を引用
図―6 福島産牛肉が無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県いわき市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2544.html
(1)中長期ロードマップ|東京電力
(2)(1)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2018年5月31日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第54回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(22.4MB)PDF
(3)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(4)サンプリングによる監視|東京電力
(5)報道配布資料|東京電力
(6)(5)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(7)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社ちゅの「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(8)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第355報)|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(9)(5)中の「水処理設備の放射能濃度測定結果」
(10)サンプリングによる監視|東京電力
(11)第56回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(12)(11)中の「資料6:フランジ型タンクに関するリスク低減策の進捗[東京電力]【PDF:2MB】」
(13)陸側遮水壁|東京電力
(14)2014年3月12日 凍土式遮水壁の計画及び進捗状況について(資源エネルギー庁)
(15)2017年8月22日福島第一原子力発電所 陸側遮水壁第三段階開始について(PDF 786KB)
(16)動画アーカイブ|写真・映像ライブラリー|東京電力ホールディングス株式会社
(17)汚染水処理対策委員会(第21回)(METI/経済産業省)
(18)福島第1の凍土壁「汚染水半減」、経産省の有識者会合 :日本経済新聞
(19)風評に立ち向かう|福島復興|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
(20)柳瀬元首相秘書官の国会証言はやはり嘘だった 官邸面談録を全文公開
AERA dot.-2018/05/21
(21)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(22)ふくしまの牛 おいしい店・買える店 | ふくしまのお肉 | JA全農福島
(23)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(24)マルト 平尼子店のチラシ・特売情報 | トクバイ
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