東京電力ホールディングスは３０日、取締役会を開き、原発専業会社・日本原子力発電（原電）が持つ東海第二原発（茨城県、停止中）の再稼働に向けて経営支援する方針を決めた。これで原子力規制委員会が東海第二の再稼働の条件としてきた原電の資金調達に一定のめどがつく見通しとなった。ただ、福島第一原発事故を起こして国有化された東電が他社の原発再稼働を支援することは、批判を浴びる可能性がある。

　東電はこの日の取締役会で、規制委の審査会合で「原電を支援する」と文書で表明することを確認した。支援内容は、原電が金融機関から借金をする際の債務保証などが想定されるが、規制委の対応をみて詰める。

　東海第二は、運転開始４０年となる今年１１月までに再稼働などの審査に合格できなければ、廃炉となる。原電は保有する全４原発が廃炉作業中か停止中で、資金繰りは厳しい。規制委は昨年１１月、東海第二の再稼働に必要な安全対策費１７４０億円の調達のめどをつけるよう異例の注文を出した。原電の村松衛社長は今月３０日、「（支援を要請した東電・東北電力から）速やかに回答を得て、（規制委に）お示ししたい」と話した。

　東電社内では、東海第二の再稼働が不透明な状況で、原電の支援を確約することに慎重論もある。だが、東海第二が廃炉になれば原電は発電の手段を失い、経営破綻（はたん）する可能性がある。原電の筆頭株主である東電の財務に影響しかねないため、支援を決めた。

　東電とともに原電から支援の要請を受けた東北電力も同じ措置をとる方針だ。東電は関西、中部、北陸の３電力にも原電の支援を求めて協議している。

　東海第二の運転延長が認められるには、三つの許認可が必要だが、必要な書類の提出が遅れるなどしており、審査の先行きはまだ見通せない。

　さらに原電は今月２９日、東海第二の再稼働にあたり、立地自治体の東海村だけでなく、周辺５市の事前了解も必要とする安全協定を結んだ。半径３０キロ内には９６万人が暮らしており、同意の取り付けは難航も予想される。

　東電は原発事故による賠償や廃炉などの費用のうち１６兆円を負担する。費用は国から援助を受け、東電は毎年利益から５千億円程度を出すことになっており、資金的な余裕はない。

　龍谷大学の大島堅一教授（環境経済学）は「東電は原発事故を起こしてつぶれそうになり、原発が不経済だと知っているはず。税金を多く投入している中での他社の原発支援は国民感情的に納得がいかないのではないか」と話す。（西山明宏、笹井継夫）

https://digital.asahi.com/articles/ASL3Z5HXDL3ZULFA01Y.html?rm=487

東電が、本当に債務保証できるかも、非常に疑わしい。

東電の収入源である総括原価方式は、万能ではない。

東電も東芝も、国策会社なので、倒産させないけれど、尻拭いは、その他大勢の貧しい国民になる。

いまに、つらい目に会ったその他大勢の国民は、日本に対する信頼を失うに至るかもしれない。