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核燃料の再利用現状維持
日米原子力協定、自動延長へ プルトニウム在庫増に批判も
使用済み核燃料の再処理を認めるなど日本の核燃料サイクル政策の根拠となっている日米原子力協定が2018年7月に期限を迎える。改定交渉の難航も懸念されたが、米トランプ政権は同協定を見直さず自動的に延長する方針を明らかにした。日米原子力協定とは何を決めていて、日本の原子力政策にとってどのような意義を持つのだろうか。
日米首脳会談でも原子力協定改定は議題に上らなかった(6日、東京・元赤坂の迎賓館)
日本の原子力政策の中心となる核燃料サイクルは、使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出して再処理し、再び原発の燃料として使用することが柱だ。しかしプルトニウムは核兵器にも利用できるため、核兵器の拡散を防ぐ観点からその製造にはさまざまな国際的な制約が課される。核兵器を持たない国でプルトニウム製造を認められているのは日本だけで例外的な存在。その根拠となるのが日米原子力協定だ。
協定の名称は「原子力の平和利用に関する協力のための日本と米国の協定」。米国は日本がプルトニウムを核兵器に使用せず、あくまで発電など平和的な利用に限ることを条件に、原子力関連の燃料や技術を輸出することを決めている。現行の協定は1988年に結び、30年後にあたる18年7月が期限となる。
第2次世界大戦に敗れた日本は、占領中、連合国から原子力に関する研究を禁止された。50年代に原子力の導入を決めた際は燃料となるウランから原発関連機器まで、ほぼすべてを米国に頼っていた。日本はそれらを米国から提供を受けるために55年に現協定の原型となる日米原子力研究協定を結んだ。
その後、68年に結んだ旧日米原子力協定では米国の同意がある場合にのみ使用済み核燃料の再処理が可能になった。さらに88年に結んだ現協定では平和目的であれば再処理ができることになった。
米国が日本に再処理を認めたのは、石油などの資源の乏しい日本が使用済み燃料を再利用できれば純国産のエネルギーになりうるとして核燃料サイクル政策を熱望したからだ。79年のスリーマイル島原発事故以降、衰退する米原子力産業を支えるために日本に原発関連の技術維持や開発を肩代わりさせたいという思惑があった、との指摘もある。
再処理施設動かず
一方で現行の日米原子力協定を問題視する声もある。その理由のひとつが日本の核燃料サイクル政策が行き詰まっていることだ。再処理を実施する青森県六ケ所村の施設は水漏れなどの不祥事続きで、稼働を許可する原子力規制委員会が審査を一時中断した。当初は97年に稼働するはずだったが23回目の延期が確実で、完成時期は未定だ。
さらに東京電力福島第1原発の事故後、国内のほとんどの原発が止まり、英仏で再処理したプルトニウムの在庫がどんどん増えてしまった。そのプルトニウムは約47トンも溜まり、原子爆弾6000発分にものぼる。利用のめどがたたないままプルトニウムをため込むことは協定の方針に沿わない恐れがある。
原発再稼働に壁
大手電力会社でつくる電気事業連合会長の勝野哲さんは「利用目的のないプルトニウムは持たない」と話し、プルトニウムを既存の原発で再利用するプルサーマルを進めて在庫を減らしたい考えだ。ただ原発の再稼働は進まず新規増設の見通しも立っていない。描いた通りにはプルサーマルを実現できない可能性が高い。こうしたことから政府は、協定の見直しを米国が求めてくる懸念を持っていた。
しかし米トランプ政権は10月に「再交渉する理由は何もない」(エネルギー省副長官のブルイエットさん)と改定は求めない方針を明らかにした。5日に来日したトランプ大統領との首脳会談でも議題に上らなかったとみられる。改定交渉をしないならば、協定が自動的に延長される。「交渉の難航を予想していたが安堵した」と経済産業省の担当者は胸をなで下ろす。
ただ協定は自動延長された場合、どちらかの政府が6カ月前に通告すれば協定を終了させることができる。北朝鮮の核武装など、東アジアでの核拡散の懸念が強まれば連鎖を恐れる米国が協定の見直しを求める可能性も残る。その場合は日本の核燃料サイクル政策も見直しが必至となる。
(塙和也)
[日経新聞11月10日朝刊P.33]
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