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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 核のゴミ処理は志願制
http://wjn.jp/article/detail/8706787/
週刊実話 2017年8月24・31日号
経済産業省が7月28日に、原発で発生する核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場を建設する候補地を示した「科学的特性マップ」を発表した。そのマップによると、1750の市町村のうち、半分以上の約900が“適地”とされた。
核のゴミの最終処分は、地層処分と呼ばれ、地下300メートルまでトンネルを掘り、数万年の時間をかけて無害化する。そのため、火山や活断層の近くは不適とされ、核のゴミの輸送を効率的に行うことから、海岸から20キロ以内の沿岸部が好ましい地域とされた。その結果、日本列島沿岸部の大部分が候補地となっている。
経済産業省は、9月から候補地の自治体への説明を始め、立候補を促すことにしているが、おそらく当面の間は、立候補する自治体は出てこないだろう。全国で唯一、受け入れに前向きの姿勢をみせていた佐賀県玄海町は、地下に石炭資源の存在が確認されており、将来の採掘の可能性を否定できないとして、候補から外されてしまったからだ。
ところが、経済産業省は焦りを見せていない。いずれ立候補する自治体が出てくると確信しているからだろう。
案外、その見通しは正しいのかもしれない。今、地域間格差は確実に大きくなっている。このまま行けば、財政が行き詰まって、立候補せざるを得なくなる自治体が出かねないのだ。しかし、そのやり方は、とてもずるいと思う。兵隊の募集と同じだからだ。
いまから10年前、イラク戦争が泥沼化し、ブッシュ大統領は2万人の米兵増派を決めた。当時私は、軍事専門家に「これだけ死人が出ているのに、兵隊に志願する若者は出てこないでしょう」と話した。しかし、その専門家は、「簡単ですよ。一般の奨学金の条件を厳しくしてやればいいんですから」と答えた。
米国は、日本以上の学歴社会とはいえ、学費が高いため貧困層は大学進学が困難となっている。そこで、大学への一番の近道となるのが、奨学金を受けることなのだ。ところが、その奨学金を受けるための条件を厳しくされてしまったら、進学を望む貧困層の若者は、軍隊に入って、軍の奨学金を受けて進学するしかなくなるのだ。
社会の矛盾が、貧困層にしわ寄せされる。それが資本主義社会の掟だと言えば、それまでの話だが、卑怯なやり方だと思わざるを得ない。
実は、地層処分の候補地となれば、自治体には、文献調査を受け入れるだけで20億円、掘削調査を受け入れたら、さらに70億円が支給されるという。それでも引き受け手がいなければ、金額を引き上げていけばよい。
経済産業省は、そんなふうに考えているのではないか。そうでなければ、原発の新増設を続けるといった発想が出てくるはずがないからだ。
原発を稼働させれば、必ず高レベル放射性廃棄物が生まれる。それを最終処分できなければ、危険な核のゴミが原発の燃料プールに積み上がっていく。それが地層処分よりも、はるかに危険であることは明らかだろう。
政府がまずやるべきことは、地層処分に対する国民的理解を得ることで、ゴミを増やし続けることではないのだ。
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