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生鮮通販 店が倉庫
中国ネット小売り新潮流 盒馬鮮生、30分宅配を実現
中国で生鮮食品の小売りが変わり始めた。上海のベンチャー企業である盒馬(フーマー)鮮生は店舗を倉庫に見立て、スマートフォン(スマホ)で注文した商品の「30分配送」を実現。ネット通販大手、京東集団(北京市)は市場の新鮮な野菜や果物を格安で宅配する。短時間での保冷配送が必要な生鮮食品はネット通販の弱点だった。ネット通販の新潮流が旧来型店舗の「最後の牙城」を脅かしている。
店員(左)が商品を詰め、天井を伝い配送所に送る(上海市)
上海の繁華街の夕暮れ時。フーマーの店舗には野菜や果物、魚介や肉類が整然と並び、夕食の食材を求める人々でごった返している。一見すると何の変哲もないスーパーだが、ひとつ違うのは買い物客を縫うように赤い制服の店員が何人も走り回っていることだ。
店員は運動会の「買い物ゲーム」のようにネット注文された商品を専用端末で確認しながら次々と保冷バッグに投入。バッグは天井に張り巡らしたベルトコンベヤーにぶらぶらと揺られながら配送所に運ばれ、待ち構えた宅配員が電動バイクで顧客宅へ急ぐ。宅配料金は無料で「店舗から5キロメートル以内なら30分配送」が売りだ。
フーマーはネット通販が中心で店舗は倉庫と物流基地の役割を果たす。ネットで出回る粗悪品への警戒が強い消費者を安心させるための「ショーウインドー」も兼ねる。ネットの評判を聞いて、近所の人も店に来るなど相乗効果も出てきた。
上海市内の女性会社員(25)は週に2回ほどフーマーのネット通販で野菜や果物を買う。「短時間で配達されるので果物や野菜の鮮度が高い。スーパーにはほとんど行かなくなった」という。
フーマーは昨春営業を始めたばかりだが、すでに上海で10店舗を持つほか、今月上旬には北京1号店を開いた。広東省深圳や浙江省杭州にも近く進出する計画だ。
「卵1パックやバナナ1房が今なら0.01元(0.2円弱)」。セール商品を目玉に攻勢をかけるのが京東集団傘下の「京東到家」。こちらは各地に点在する伝統的な野菜市場と組んで、1時間以内に商品を届ける。
会員がスマホで野菜や果物を注文すると、市場の店舗運営者のスマホに注文内容が届き品物を袋に詰める。注文は宅配員のスマホにも同時配信され、宅配員は注文から30分以内に市場で商品を受け取り、30分以内に顧客宅まで届ける決まりだ。京東到家は宅配大手「達達」と提携。利用者が野菜の宅配に払う費用は約4元で一定額以上を買えば無料になる。
京東は3キロメートル四方に1店の割合で店舗を組織化。上海市内の「昌化菜市場」内で6平方メートルほどの小さな青果店を営む男性は昨年7月に参加した。毎日50〜60件の注文があるという。「以前はスーパーを使っていた若い人が戻ってきた」
中国のネット通販市場は2016年に前年比26%増の23兆元まで成長した。15年まで30%前後の伸びを示していたのに比べると鈍化したが、それでも小売り全体の伸びが10%程度であるのに比べれば成長力は高い。
そのネット通販がなかなか入り込めない世界が生鮮食品だった。鮮度管理が求められるため、倉庫やトラックなど冷蔵・冷凍物流網の構築が必要で、コストもかさむのが理由だった。だが、中国ではここ数年、「外売(ワイマイ)」と呼ばれる出前代行サービスが急速に普及。スマホで飲食店に料理を注文すると30分ほどで届けてくれるサービスで、生鮮食品の宅配でもこの配達網が活用されている。
生鮮食品のネット通販は世界でも広がる。米国ではアマゾン・ドット・コムが高級スーパーのホールフーズ・マーケットを傘下に収め、店舗を「倉庫化」して生鮮食品の宅配を本格化するといわれる。これまでハードルとなっていた顧客宅までの「ラストワンマイル」の問題が克服されたことで、旧来の店舗型スーパーの「牙城」は急速に侵食されつつある。
上海=小高航、大連=原島大介
[日経新聞7月1日朝刊P.11]
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