MMTは詭弁。 利子付き国債の大量発行は貨幣価値を下げて、株価だけを上昇させる。金融緩和すれば為替での貨幣価値が下がり、輸入物価上昇・実質的な賃金低下・株を所有する富裕層への富の移転が起きる。 そして貧富の差が極限まで進む。 国民の資産が変わらないのにマネーサプライが倍になったら実質的な貨幣価値は半分になる。しかし、名目賃金は変わらないから労働者はどんどん貧しくなっていく。 一方、貨幣価値が半分になれば株価は倍になる。株価の実質価値は同じだけど、名目値だけ倍になるから国民は景気が良くなったと勘違いするけど、実際には外人投資家が上昇分を持ち出すから、日本の資産は減っていく。 要するに、国債を大量発行すると外人投資家と日本の資産家が儲けて、それと同じ額だけ日本の労働者の金が減ってしまう。 相場はゼロサムだから、実質的な全資産は同じで分配の仕方が変わるだけ。 労働者への分配を減らさない為には国債ではなく無利子の政府紙幣を発行して、ベーシックインカムで金を労働者にばら撒くしかない。 資本主義というのは労働者が気付かない様に利子の形で富を資本家に移す巧妙な仕組みなんだ。 紙幣印刷はもっとも便利で、もっとも誤解されやすく、もっとも行われやすい債務縮小の方法である。実際、紙幣印刷は債務の急な縮小を和らげ、この金融上の富を供給する代償として誰が富を取り上げられる被害者になるのかが分かりにくい(しかしそれは実際には通貨と債券の保有者全員である)。しかも大抵の場合資産価格が減価された通貨建てで上昇するので人々はリッチになったような気がする。 ほとんどの人は通貨の下落リスクに注意を払わない。ほとんどの人が心配するのは自国通貨建てで資産が増えるか減るかであって、自国通貨自体が上がるか下がるかを心配する人はほとんどいない。 1700年にはおよそ750の通貨が存在したが、今残っているものはたった20%であり、残っている通貨はそのすべてが減価している。ドイツではグルデンやターラーが使われていた。日本には円がなく、小判や両が使われていた。イタリアでは6つの通貨のうちいくつかを使っていた。それらの通貨の内いくらかはハイパーインフレになったり、敗戦や巨額の戦費で債務の支払いが不可能になったりして通貨が消滅し、別の通貨で置き換えられた。いくらかは別の通貨に統合された(ユーロのように)。ドルやポンドのようにいくらかは現在も残っているが価値は下落している。 ちなみに日本の両はいわゆる小判だったが、円に変わるまでの間に金の含有量が何度も減らされている。円ももともと金貨だったがついに紙切れになった。そして紙切れになっても誰も文句を言わないのである。アメリカでも同じことが起こっている。 いつの間にか財布の中身をなかったことにされる紙幣印刷は本質的にはもっとも不公平なのだが、面白いことに人類が負債という問題に直面した時には大抵紙幣印刷が選ばれてきたのである。こうした通貨と信用の創造に誰も文句を言っていないようだ。それどころか、政府が通貨を印刷しなければ政府は残酷だなどと悲鳴が聞こえてきそうである。政府には送り出す金などなく、しかも政府とは金持ちの誰かではなくわたしたち自身であり、それをわたしたちが支払わなければならないということを誰も理解していない。 今の状況で政府が予算とバランスを取るために支出を減らし、国民にも同じようにするように求め、不況でもたくさんの債務の不履行や減免をそのままにしたり、あるいはお金を持っている人から直接税金によってお金を持っていない人に再分配しようとしたりした場合のことを想像してみてほしい。紙幣印刷のほうがよほど政治的に受け入れられやすい。 しかし、どれだけ紙幣を刷っても円は下がらないだろうか? 先進国であるヨーロッパにはその運命は近づいてきているのである。 ドルは既に紙くずになっている まず金だが、ダリオ氏は主要な通貨が1600年以来金に対してどれほど減価したかのチャートを示している。見事にすべてゼロに近づいているのだが、実は通貨の価値は下落するものだということを理解するためには400年も遡る必要はない。読者は金価格の長期チャートを見たことがあるだろうか。見たことのある読者も少なくないだろう。しかし本当にその意味を実感するためにはグラフの上下を逆にする必要がある。つまり、金価格がどれだけ上がったかではなく、現金の価値がどれだけ下がったかを見るのである。 以下は過去50年ほどの間に金に対してドルの価値がどう推移したかのチャートである。https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10645 50年の間にものの見事に紙くずになっている。50年ほど前のドルの価値を100%とすると、現在のドルの価値はその2.3%である。 そして考えてほしいのは、この50年間ほとんどの人は資産の大部分を現金のままにしており、その資産は実際に紙くずになったということである。 量的緩和により通貨と信用の供給が増加すると、通貨と信用の価値は減り、(その保有者は損害を受け、)債務の負担は減少することになる。 債務負担の減少によって通貨と信用が生産性と企業利益に流れ込む場合には株価の実質値(インフレによる株価上昇を差し引いた後の株価)が上昇するだろう。まず前提となるのはインフレは株価にとってプラスだということである。インフレとは通貨の価値の下落なので、その通貨以外のすべてのものの価格が上昇する。株価も例外ではない。
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