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南シナ海で火遊びを続ける中国 無人潜水機、米中に新たな火種 米国を恐れない中国5つの根拠 千年の眠りから覚める中国発明力
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/348.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 19 日 13:40:40: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

【社説】
南シナ海で火遊びを続ける中国
トランプ政権はオバマ大統領のようには扱えない

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RG770_3china_M_20161218080643.jpg
南シナ海で中国に拿捕されたものと同型の無人潜水探査機 PHOTO: US NAVY / CMDR SANTIAGO CARRIZOSA/AFP/GETTY IMAGES
2016 年 12 月 19 日 11:27 JST

 中国が15日に米調査船「ボウディッチ」の目の前で米海軍の無人潜水機を奪ったことは、多くのことを物語っている。中国政府は週末になると潜水機を返還することに同意したが、その一方で米国が「過剰な」反応を示したなどとして批判を展開した。しかし中国海軍による今回の行為は明らかな挑発だ。中国は不法に公海を占拠しつつ、米国が公海自由の原則をどこまで維持する気があるのかを試している。

 今回の奪取は、ドナルド・トランプ次期米大統領が台湾の総統から祝電を受けたことに対する反応だとする意見もある。しかし人民解放軍(PLA)は過去にも同様の挑発を行ってきた。2001年の4月には、PLAのパイロットが米国の偵察機を妨害しようと国際空域で危険飛行を行い、距離の判断を間違えて衝突、自らの命を失った。米軍機のパイロットも中国に緊急着陸を強いられ、10日間拘束されたのちに機体と共に解放されている。

 PLAは2009年3月にも米音響測定艦「インペッカブル」に対し、公海上で嫌がらせ行為を繰り返した。この際も中国船や飛行機による挑発が数日にわたり継続。インペッカブルがえい航する探知装置を、中国の海上民兵が略奪しようと試みるなどした。

 今回の無人機の略奪も、中国政府によるこのような行動パターンの一環にすぎない。これがトランプ氏の行動に対する反応なのか、それともバラク・オバマ大統領に対する最後の挑発なのかは問題ではないだろう。

 中国の姿勢からは、中国が近隣国を脅すことで東アジアの覇権を狙っていることが見て取れる。PLAはここ数週間にわたって台湾や日本の沖縄周辺で爆撃練習を実施し、そこには戦闘機も参加した。日本の自衛隊は2015年に中国機へのスクランブル発進を571回行ったというが、2010年にはその数は96回に過ぎなかった。さらに中国は最近になり領土問題が続く南シナ海に軍を展開している。これは習近平中国国家主席がオバマ大統領と結んだ約束と矛盾している。

 中国はこのエリア近辺を米海軍や空軍が通過することに反対をしてきた。これに対してオバマ政権は定期的に現地を通過するとしていたが、実際は米国防総省に対して通過回数を減らすよう指示している。このことが中国からの圧力に屈して米国が自らの権利を放棄する前例を作ってしまった。

 潜水機の略奪は、トランプ政権が地域でのパトロールを強化すれば米海軍が嫌がらせを受けるという中国からの警告だと考えられるだろう。米軍が海面上では絶対的な軍事力を誇る中で、中国は潜水艦隊を急速に拡大させている。潜水型の探査機は海底を測量して地図を作製し、潜水艦の航海のための海流の調査や探知システムの試験に利用される。

 今回の潜水機の略奪は、フィリピンのスービック湾にある米軍基地から50カイリほどの場で発生した。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は反米的な姿勢を取るが、海上で事件が発生すれば同国と米国の間に生じた亀裂がさらに広がることも考えられる。中国がそのことに後押しされて略奪を行った可能性もある。米海軍は今後も同様の事件が発生すると考えるべきだろう。

 トランプ氏は中国との経済関係や戦略的パートナーシップを再考するとし、少なくとも現時点では強硬姿勢を取ることを示唆している。そうした中で潜水機の略奪が発生した。最終的にトランプ氏が目指すものは不透明だが、太平洋における米軍のプレゼンスを強化するための海軍再編は実施されるはずだ。

 中国は、今回のような事件を起こせば、トランプ政権をオバマ政権同様に萎縮させることができると考えているのかもしれない。しかし、実際は真逆の反応が返ってくることになるだろう。トランプ氏は経済と安全保障を別物として捉えていない。中国はその状況で火遊びをしている。

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http://jp.wsj.com/articles/SB11484601320931144569304582505452041250944

 


 
無人潜水機めぐる問題、米中に新たな火種
無人潜水機を使っていた米海軍の海洋調査船「ボウディッチ」
By KATE O’KEEFFE AND DAMIAN PALETTA
2016 年 12 月 19 日 08:35 JST 更新

 中国が南シナ海上で米海軍の無人潜水機を持ち去った問題は、米中両国が中国からの返還を確認したが、政治的な波紋が続いている。

 米上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長(共和、アリゾナ州)は18日、CNNのインタビューで、中国の行動は「国際法の露骨な違反だ」と発言。同委員長はまた、米国の政策が中国やイランなどの国を大胆にしてきたと述べ、米政府の対応も批判した。同委員長は「米国の側について言うと、力というものを発揮していない。それに誰もが乗じている。(そんな状態が)近く変わるよう願っている」と語った。

マケイン米上院軍事委員長 ENLARGE
マケイン米上院軍事委員長 PHOTO: BLOOMBERG NEWS
 同委員長の発言は、米国防総省と中国国防省が17日、潜水機を中国側が返還すると述べた後に出された。中国は、同国海軍の救難艦が当時「正体不明の機器」とみられた潜水機を回収したのは、船舶や乗組員に安全上のリスクがあったからだと述べた。

 この一件は、米海軍の監視活動を阻止しようとする中国の取り組みがエスカレートしていることを示す。

 一方、トランプ次期米大統領は先に、中国が米国の主張に譲歩しないならば、台湾の地位問題に絡んで中国側と合意していた「一つの中国」政策を破棄するかもしれないと示唆。これに対し、中国政府は怒りをあらわにしていた。トランプ氏はその時、貿易、南シナ海における中国の軍事力増強、そして北朝鮮の核開発プログラムを問題として挙げていた。

 トランプ氏は17日、無人潜水機問題をめぐっても中国を批判。ツイッター上で「中国は米海軍の調査用無人潜水機を国際水域で盗んでいる」とし、「それは前代未聞の行為だ」と書いた。

 また、トランプ次期政権の次期首席補佐官に指名されているラインス・プリーバス氏は18日、FOXニュースのインタビューで、トランプ氏が最近の言動が中国を不適切に刺激しているとは考えないと述べた。プリーバス氏は「それほど挑発的だとは思わない」とし、「中国は海中から無人機を奪い取った。トランプ次期大統領は、これは前代未聞の行為で、全く不穏当だと述べた。水中からドローンを奪い取るのは不穏当だと米国人の80%が考えると思う」と語った。

 一方でプリーバス氏は「われわれは『一つの中国』政策を直ちに再考すると示唆しているのではない」とし、米国の長年の台湾政策を直ちにシフトする可能性は後退させた。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjymaCTtf_QAhXEpJQKHadrDc8QFgghMAE&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11677208751388613819604582505444184173820&usg=AFQjCNEESr92w6tziQTR04_ShPuNrgA-Qw

 

 


オピニオン
【寄稿】米国を恐れない中国、5つの根拠
中国国内にはトランプ新政権に対して楽観的な意見もある

PHOTO: REUTERS
By STEPHEN SESTANOVICH
2016 年 12 月 15 日 18:01 JST 更新

――筆者のスティーブン・セスタノビッチ氏はコロンビア大学教授。米シンクタンク外交問題評議会(CFR)のシニアフェローも務める

***

 ドナルド・トランプ次期米大統領の台湾に関する発言に対し、中国外務省が「深刻な懸念」を表明した。中国共産党の機関誌もトランプ氏を「子供のように無知」との評価を下した。これらは中国が次期米政権を警戒をしている証しだ。

 一方、筆者は先週1週間にわたって中国に滞在し、政府関係者や元関係者、起業家、ジャーナリスト、非政府団体の代表、そしてシンクタンクの研究者などと話す機会を持った。そして彼らは意外にもトランプ氏に対し、全体としては好意的な意見だった。中国の人々がトランプ政権との関係をあまり悲観視していない理由には、以下の5つの根拠がある。

1.「中国は強国だ」

 確かにトランプ氏は中国とのこれまでの関係を再考するかもしれない。しかし、だからといってそれがすべての終わりを意味しない、という意見があった。今の中国は米国に対抗する手段を数多く持っている。そのうち米国の国民も目を覚ますだろう、というのが彼らの考えだ。

2.「米国には制約がある」

 中国に立ち向かうにはお金がかかるという声もあった。商務省の元当局者は「今後米国は南シナ海のパトロールを強化するかもしれないが、それにはお金がかかる」と指摘した。トランプ氏が米国防総省の予算を大幅に増額する方針を固めていると筆者は伝えたが、その予算がさまざまなことに使われ、多くは中国に影響を及ばさないことを誰もが知っていた。

3.「ビジネスマンは実務的だ」

 中国は過去30年にわたって経済拡大を続けているが、それはイデオロギーの放棄を持って成し遂げられた。トランプ氏もビジネスマンとして成功を手にしており、実際は現実主義者であると筆者は聞いている。トランプ氏がニクソン元大統領のような「狂人」像を作り上げればメリットがある、とあるジャーナリストは話していた。しかしほとんどの人は、そのイメージはすべて見せかけのものだと確信をしている。

4.「官僚と利益団体の存在」

 選挙期間中には中国を批判しながら、当選後はその姿勢を改める大統領が過去にもいた。中国の人々はその変貌ぶりを目の当たりにし、なぜそのようになるのかを分析をしている。米政府の省庁は新たなアイデアを封じ込めることにたけている、というのが彼らの答えだ。トランプ氏のように政治経験のない人物が、議会や連邦政府の官僚の影響を避け続けるのは難しいだろう。

5.「習慣と相互利益」

 ヘンリー・キッシンジャー元国務長官が北京を訪問してから45年が経過した。中国のあらゆる層の人は、この間に両国が相互利益を生み出せる関係を築き上げられたと考えている。「ウィンウィン」という考え方は、中国でも支持を集める。逆にそのような関係が崩されるとは、あまり考えられていない。

 どこの国の人であっても、変化を拒む思いは強い。しかしここまで大きな出来事が今年は起きたにもかかわらず、今後も現状維持の政策が続けられるだろうと考える中国の人々には、驚きを覚えた。

 トランプ氏は多くの有権者に対し、時代遅れの政策は廃止する決意であると訴えかけた。そのことも中国の人々には話したが、中には「ウィンウィンですら廃止されるのか?」と聞き返してくる米国通の人もいた。

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千年の眠りから覚める中国の発明力
(前編)
政府は研究開発に多額の予算を投入、「テレポーテーション」など壮大な計画も
中国科学技術大学の量子物理学者、潘建偉氏

By EVA DOU
2016 年 12 月 13 日 07:12 JST

 【北京】紙、印刷、火薬、そして羅針盤。中国の四大発明は、どれも登場してから1000年以上の時が経過している。

 世界第2位の経済力を誇る中国は、四半世紀にわたって他国を上回る経済成長を達成してきたものの、今でも技術革新の面では西欧諸国に後塵(こうじん)を拝している。自力で新たな発明をするよりも、他国が手掛けた技術を素早くまねる国として知られているのが現状だ。

 しかし各国において研究開発費が縮小される今、中国政府は数十億ドルもの予算を投じ、テレポーテーションの研究といった壮大なプロジェクトを展開し始めている。その経済力を最大限に利用し、世界有数の研究者たちを受け入れる体制を整備。これによって、再び1000年が過ぎる前に次の歴史的発明を実現させることを狙う。

 海外の技術力への依存度を減らし、国家をあげて自国の評価を向上させようとする中国政府の考え方は、第2次世界大戦後の数十年にわたって米国で見られた姿勢と重なる部分もある。

 こうした努力がどの程度の成果を挙げるかは、まだ不透明だ。中国では創造力を育むよりも記憶力を重視した教育制度が取られるなど、革新的な発明を行うためにはあらゆる面で克服すべき課題がある。同国のぜい弱な特許制度も、発明よりも模倣品の製造を優先する土壌を作り出している。

 だが人工知能(AI)やドローン製造、インターネット技術の分野では、中国の技術者たちは他国に追いつこうとしている。

スーパーコンピューターで世界トップに立った中国

 今年8月、中国は世界初となる量子通信衛星の打ち上げに成功した。このことで中国は盗聴不可能な通信技術で世界をリードする立場に立ったとみられている。6月にはスーパーコンピューターのランキングで、中国の「神威太湖之光」が世界トップの地位を獲得。米国製のスーパーコンピューターより約5倍早い処理能力が、人工学習能力など最先端の技術で活用されることになる。

 上海のリニアモーターカーは世界最速の旅客列車として知られる。また中国企業は無人自動車の開発で米国と競合し、米航空宇宙局(NASA)に対抗するかたちで2020年までに火星に探査機を送り込むことを狙う。中国政府は世界初となる月面の裏側への着陸に向けて準備を進めている。

 こうしたプロジェクトに利用されるのはおおむね西欧で作られた技術だ。しかし米国の宇宙開発で見られたように、技術を応用することで意外な発明が生み出される可能性もある。また中国がプレーヤーとして技術開発競争に加わることで他国も触発され、それぞれが切磋琢磨(せっさたくま)する形で世界経済が発展していくことも期待できる。

 「中国には革新的なものを生み出す文化がなく、いくら予算を投入しても自分たちには追いつけないと考えている西欧諸国の関係者もいる」と話すのは、英科学誌「ネイチャー」の中国編集主幹を務めるエド・ガーストナー氏。「しかし個人的には、そうした考え方はそれほど確かなことではないと感じる」と同氏は続ける。

 各国の学会などは中国が技術開発に力を入れることを歓迎する。しかし米国や米企業経営者の一部はこの動きを一種の「経済ナショナリズム」だと捉えており、技術面で中国に取って代わられることがないようにと警戒を強める。

 一方で中国による技術発展は新たな競争を生じさせ、結果的に技術革新が早まる可能性もある。バラク・オバマ米大統領は昨年、米国がスーパーコンピューターのランキングで再び1位を獲得するように指示する大統領令を発令。また欧州連合(EU)も4月には10億ユーロ(約1130億円)を投入し、量子技術の開発に挑む姿勢を見せている。

 中国政府は経済成長や軍事開発を重視し続けている。そのため現時点で革新的な技術が開発される可能性があるのは、量子科学やインターネット・ファイナンスなどの分野に限られている。

 量子科学では物質の法則に縛られないほどの小さな粒子を扱う。これらはテレポーテーションや、一つの物質が異なった状態を同時に維持できることの研究を含む。また西欧諸国では倫理的な理由から難しいとされるクローン技術なども、規制が緩い中国で前進する可能性もある。

2020年には米国の研究開発費を上回る

 中国の進歩を示す根拠とされているものの中には、明らかに誇張されている統計も含まれる。世界知的所有権機関の特許協力条約の下で行われた国別特許申請数は昨年、米国と日本が1位と2位を占めた。10年前に全申請数のわずか1.8%しか占めていなかった中国は、その割合を13.7%にまで高め、日米に次ぐ3位にまで浮上した。

 しかし中国が申請した特許の中には「パテントトロール(特許権を悪用して多額の賠償金を企業から得ようとする行為)」の対策も多く、ほぼ価値のないものが含まれる。例えば中国国内でスマートフォンを製造する企業は、どの社も長方形の端末を特許登録していることが明らかになっている。また何世代も前から作られている竹製のカーペットを特許申請し、無効化されたケースなどもある。

 特許の申請が増える背景には、中国政府による補助金制度がある。半導体製造装置のメーカーである華海清科の最高経営責任者、ルー・シンチュン氏は、「政府から受け取る100万元ごとに、企業は一つの特許を取得しなければならない決まりがある」と話す。

 経済協力開発機構(OECD)によれば、中国の研究開発費は2009年には日本を追い越し、2013年には欧州を上回り、2020年には米国を抜くと予測されている。特に基礎科学分野への投資は2005年の19億ドルから2015年には101億ドルに増加。一方、米国による基礎科学分野への投資は2015年に微減し、324億ドルとなっている。

 中国では2012年に工学や科学の分野を専攻して大学を卒業した学生が96万4583人いたという。米国立科学財団によれば、米国ではその数は58万9330人だった。スタンフォード大学の物理学者チャン・ショウチョン氏は、「研究の輪郭さえはっきりとしていれば、必要な人数や資金は中国政府が提供することができる」と話す。

 コンサルティング会社アライアンス・デベロップメント・グループ(ADG)の北京部門を指揮するクリス・デアンジェリス氏は、革新的な発想を持つ人はごく少数いればいいと語る。「全員がスティーブ・ジョブズである必要はない。中国には米国の5倍の人口がいる」


千年の眠りから覚める中国の発明力(後編)
政府は技術革新のため「無限の予算」を提供する
中国科学技術大学の藩建偉氏 ENLARGE
中国科学技術大学の藩建偉氏 PHOTO: ERIC MICHAEL JOHNSON FOR THE WALL STREET JOURNAL
By EVA DOU
2016 年 12 月 13 日 08:00 JST

 経済成長率が鈍化する中、中国は技術面での大きな躍進を渇望している。また安全保障の観点から研究者に寄せられる期待も大きい。

 習近平国家主席は3月、同国の「主要分野で核となる技術が、いまだに他国にコントロールされている」と指摘。「今ほど国家が科学技術界からの戦略的な支援を必要とした時代はない」と発言した。

千年の眠りから覚める中国の発明力(前編)
 中国の科学技術戦略は文化大革命の時代に底を打ち、当時の政府はまき小屋で半導体を作るよう農民に指示を出すなどしていた。しかしそれ以降、政府はさまざまなプロジェクトを始動して巻き返しを図っている。

 2008年には世界レベルの中国人研究者を母国に呼び戻すことを目的に、帰国者に対して100万元(約1660万円)の先払いを約束。さらに助成金や他に負けない社会保障も提供するとした。当初は中国人に限定されていたが後に外国の研究者も含まれるようになり、結果的に4000人もの研究者がこのプログラムに参加したと政府は話す。

 カルガリー大学で量子物理学を研究するバリー・サンダース氏は、中国政府の同プログラムがあったため中国科学技術大学に第2の研究室を設置。「研究内容はすべて出版するので、どこで研究するかはそこまで問題ではない」と言う。また中国政府が研究内容を元に積極的に事業を開始するよう推奨していることも、研究者たちを引きつけている。

 その政府の狙いに一致した形で研究を進めるのが、量子通信衛星の開発研究を指揮した藩建偉氏だ。

 量子通信はこれまでの自然界の常識からかけ離れた分野で、瞬間的に情報を「テレポーテーション」させる粒子などを扱う。アルバート・アインシュタインですら「不気味」と表現した研究分野だ。

 しかし藩氏の研究チームは2014年に極めて小さい量の情報を使い、それを操る形で一つの場所からもう一つの場所に瞬間的に移動させることに成功。映画「スタートレック」に登場するテレポーテーション技術と比較するとまだ原始的なものだが、現時点ではこの分野で最大の成果と評価される結果を生みだした。ネイチャー誌にも掲載された藩氏の研究結果は、解読不可能な暗号やこれまで以上に処理能力が早いコンピューターの製造につながるとされている。

Teleportation research equipment in Shanghai. PHOTOS: ERIC MICHAEL JOHNSON FOR THE WALL STREET JOURNAL
「中国は他のどの国よりも早く決断を下す」

 1990年代の藩氏は、このような成果からはほど遠い場所にいた。当時の中国の環境を考慮した結果、同氏はウィーン大学からフェローシップを獲得し、海外で研究をする道を選択。しかし当初は英語力もなく、大学の事務室と勘違いして家主の自宅に奨学金を受け取りに行くこともあったという。

 現地の「食べ物も全く食べることができなかったが、サラミをウーロン茶に漬けて食べるとなかなかおいしいことは判明した」と藩氏は当時を振り返る。

 当時の中国は物理学で世界から大きな後れを取っており、藩氏は量子テレポーテーションの分野が存在することすら知らなかったという。この分野の可能性に気付いた時には自信満々で同僚向けに発表を行ったが、周囲は静まりかえる事態に。藩氏にとっては新たな発見であっても、同僚たちはすでにその研究に取りかかっている段階だったからだ。

 藩氏はその後10年にわたって欧州で研究を続け、この分野の第一人者とされるアントン・ツァイリンガー氏の元で学んだ。当時は研究を行える場を優先させたが、「最終的に母国に戻って研究を続ける機会があれば、それが理想だ」とも感じていたという。

 その機会は、中国政府が研究者を母国に呼び戻すプログラムを開始したことで訪れた。母校の中国科学技術大学に採用されて藩氏が帰国すると、研究室には世界最先端の設備が導入されていたという。

 ネイチャー誌の中国編集主幹を務めるエド・ガーストナー氏は、藩氏を「これまでになかった発想が持てるし、ビジョンがある」と評価。「無限ともいえる資金がそのような人物に提供されるのは、かなりすごいことだ」と話す。

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 藩氏の師にあたるツァイリンガー氏は2004年には量子衛星の打ち上げを構想していたものの、十分な資金を得ることができずに断念した。盗聴不可能とされる中国の量子通信衛星がどの程度機能するかはまだ不明だが、中国が先にその目的を達成したことになる。

 「中国が有利な点が一つある。彼らは他のどの国よりも早く物事を決断する」とツァイリンガー氏は話す。同氏は現在、学生たちとともに量子衛星のテストに参加しているという。

 米国で量子通信の研究は、軍事機密のプロジェクトとして取り扱われている。公になっているものよりも高性能な技術が開発されているとする声もあるが、米国家情報長官室の広報担当者は、量子研究についてコメントはできないとしている。

スタートアップにも注目

 資金と人材が潤沢な中国のスタートアップ(立ち上げ後間もないベンチャー企業)も、新たな技術研究の場として注目されている。スタンフォード大学とカーネギーメロン大学で人工知能を研究し、その後ツイッターのアルゴリズム開発にも携わったモンチウ・ワン氏はその中の一人だ。

 ワン氏は既存のドローン(無人機)を改良した製品を開発し製造するが、コストがかからず「尋常ではないほど」の経済的支援も受けられる中国が最適の拠点だったという。同氏がゼロゼロ・ロボティクス社を設立すると、杭州市は100万ドルの補助金を提供。加えて約4000平方メートルのオフィスや従業員のためのアパートも支給された。

 現地で雇った技術者たちは時に米国の技術者と比較して発想力に欠けることもあったが、中国で募集する方が人材は容易に集まった。また従業員30人を抱えるにもかかわらず、ゼロゼロの運営にかかった費用は15カ月間でわずか70万ドル。この額は米シリコンバレーでは「不可能」な数字だとワン氏は話す。

 同社は先日、「ホバー・カメラ」とよばれるドローンを発表。これまでのドローンとは違い、プロペラ周りを軽量なカーボン製のフレームで覆っているため、飛行中であっても素手でつかむことができる仕様だ。

 テレポーテーションの研究を続ける藩氏は今、大胆な目標をいくつか掲げている。そのうちの一つは、量子の粒子が自然の法則を無視できる理由の根源を突きとめることだ。「もしかしたら、そこに何か新しい発見があるかもしれない」と同氏は話す。

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http://jp.wsj.com/articles/SB12576561340667814139804582485513137457538?mod=trending_now_2

 

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コメント
 
1. 2016年12月19日 18:30:24 : hKRNRNsg7U : ZKs9_WJa1ss[205]
そもそも中国近海で火遊びしてるのはどっちだよ、って話。

2. 母系社会[1265] leqMbo7Qie8 2016年12月20日 10:20:19 : sBJo8orCec : jSwNgYz33jo[1]
プロジェクト・ジェニファー (Project Jennifer)

アメリカもソ連の「遺失物」を引き上げた。

1974年、アメリカ合衆国中央情報局(CIA)が特殊サルベージ船グローマーエクスプローラーを用いて、太平洋に沈没したソビエト連邦のゴルフ級潜水艦K-129を極秘裏に引き上げた。

だから、中国はアメリカの真似をしただけである。しかも、中国は引き揚げたことを認め、返還すると言っている。

それでも、アメリカは中国を批判するなら、まずアメリカは、この「プロジェクト・ジェニファー」の件を謝罪しなければならない。アメリカは、この「プロジェクト・ジェニファー」の件で、ソ連の継承国家であるロシアに「過ちを犯した」と謝罪し、引き揚げたソビエト連邦のゴルフ級潜水艦K-129をロシアに返還してから、中国を批判すべきである。

プロジェクト・ジェニファー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC


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