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核報復という脅しが有効な理由(WEDGE)
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/191.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 21 日 10:48:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

核報復という脅しが有効な理由
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8258
2016年11月21日 岡崎研究所 WEDGE Infinity


 キース・ペイン(元米国防次官補代理)とフランクリン・ミラー(元米国防総省・NSC職員)が連名で、10月14日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙に、米国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)撤廃と“核の先制不使用”(no-first-use以下NFU)政策の宣言は海外の敵を大胆にさせる、との論説を寄せ、これらの提案を批判しています。論旨、次の通りです。

■敵の挑発を奨励することになる

 ホワイトハウスは6月、オバマの核軍縮目標を推進する新イニシアチブを検討中と発表した。米国は冷戦終了後すでに配備核戦力を約80%減らしたのに、この発表はNFUやICBM撤廃を含む多くの提案を喚起した。

 この二つの提案は反核運動家やペリー元国防長官など元高官によって推進されている。しかしその採用は敵の挑発を奨励し、大規模戦争を抑止する力を減退させ、欧亜の同盟国の安全保障を弱め、核の拡散につながる。これまでの大統領が70年間、このNFU宣言に反対してきた。
NFUを採用すべしと言う人は、その拒絶はfirst-useを許容することであると言う。しかし、NFUかfirst-useしかないと言うのは間違いである。第3の選択肢、核使用について曖昧さを残すと言う現政策がある。

 この曖昧さが敵に通常兵力による大規模攻撃、または化学・生物兵器攻撃に対しても、米の核兵器使用がありうることを考慮させ、攻撃の抑止に役立つ。イラク軍情報部元長官は、湾岸戦争時サダム・フセインが化学・生物兵器を使わなかったのは、「警告に効果があり、核兵器で報復されるのを確実と思い、その代価は高すぎると思ったからである」と述べている。

 核抑止力のない時代、欧州の大国はよく戦争をした。第一次大戦の破局も第二次大戦を抑止しなかった。しかし1945年後70年間、核抑止力がそのサイクルを止めた。

 NFUは敵に、化学・生物兵器を含む大規模兵力を米国の抑止力を回避して使う道を与える。ロシアと中国が中欧とアジアで拡張している今、特に危険である。ロシア、北朝鮮、中国の脅威を受けている同盟国はNFUに反対を表明している。NFUはこれらの同盟国が自分の抑止力を持つことを考慮させる。現にいま核能力について韓国では議論がなされている。米国の方針変更は韓国の核武装、それに伴う核拡散を引き起こしかねない。

 ICBM撤廃案も良くない。反核運動家は、ICBMはすぐに「引き金」を引ける状態にあり、第三次大戦につながりかねない、と言う。しかしICBMがあるから、爆撃機や潜水艦を第1撃で壊しても抑止力が残る。ICBMがなければ、潜水艦と爆撃機に焦点を合わせた戦略を可能にする。400機のICBMがあれば、敵は破壊的な反応を予期せざるを得ず、これが抑止になる。ICBMの経費は国防費の1%以下である。

 米国のICBMは「すぐ発射できる状態」にはない。1990年代に他の核兵器国と、ミサイルのガイダンス・コンピューターにおける目標を本当の目標ではなく、海洋のある領域とするとの合意がある。米国はこれを今も行っている。

 NFUとICBM撤廃はこれらの現実世界の考慮を欠く無邪気な提案である。

出典:Keith B. Payne & Franklin C. Miller,‘Naive Nuclear Proposals for a Dangerous World’(Wall Street Journal, October 14, 2016)
http://www.wsj.com/articles/naive-nuclear-proposals-for-a-dangerous-world-1476484967

 この論説は核兵器の先制不使用提案、ICBM撤廃提案について常識的な反対論を述べたものです。この反対論には賛成できます。

 欧州においては戦後、ソ連赤軍は通常戦力において優位にあり、NATOは柔軟反応戦略、すなわち核兵器使用に踏み切る時期を柔軟にしておくことで、ソ連軍の攻撃を抑止するのを基本戦略としていました。その時に核の先制使用をやめると宣言するなどあり得ないことでした。しかしソ連崩壊後、通常戦力面でもNATOが優位になり、欧州正面での柔軟反応戦略の必要性はなくなったと言ってよいでしょう。

■ほのめかし作戦

 しかし、核以外の大量破壊兵器である化学兵器、生物兵器の使用を抑止する必要があり、そのためには核で報復するとの脅しが有効です。第一次湾岸戦争の開始前に、米国国務長官ジム・ベーカーはイラクのアジズ副首相に、「化学兵器攻撃はするな、我々にはそれに復讐をする手段がある」と核兵器使用をほのめかしたことがあります。この戦争のころ、イラクはイスラエルにスカッド・ミサイルを撃ちこみました。化学弾頭は当時イラクにあったが、使われませんでした。北朝鮮は核兵器のほかに、化学兵器、生物兵器を保有しています。北の化学兵器、生物兵器の使用を抑止する必要があります。

 オバマが核兵器のない世界という目標に近づきたいということで、任期の末期にNFUを打ち出すなどは、あまり感心したことではありません。ICBM撤廃もそうです。こういう政策転換はじっくりと考えたうえで、同盟国とも協議したうえで行うべきでしょう。

 オバマ政権はこのNFUの話を既に諦めたのかとも思われましたが、この記事が10月14日付で出たことからすると、まだオバマまたはその取り巻きが固執している可能性があります。オバマは包括的核実験禁止条約が上院で通らないので、安保理決議で核実験を禁止することを狙いました。このための決議は採択済です。オバマはそれで満足すべきでしょう。ICBM撤廃については、抑止力の維持のためにも、今後の核軍縮の際の交渉材料のためにも、一方的には決してすべきではないでしょう。
 

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コメント
 
1. 2016年11月21日 11:22:17 : OSNEN0NHkw : eyxKxwj4ROE[4]
核抑止が通常兵器による欧米と旧ソ連との戦争を抑止してきたのは事実だが、その代わりに欧州や米国以外の第三世界が通常兵器による代理戦争の場になった。

また核大国は第三世界の紛争に対しては基本的に介入するふりをしつつ煽り、露骨に政体に影響力を残す衛星国家にして美味い汁を吸い上げてきた。
冷戦が終結しても基本的にこの核抑止に潜む美味い汁を吸うシステムは残っている。

とはいえ冷戦時代と決定的に異なるのは、世界が二つに割れていないことだ。
冷戦時代の核戦争の現実度と恐怖は今現在の比ではなかった。
だからこそ第三世界は米ソの代理戦争の狩り場になったともいえる。

皮肉なことに冷戦が終わったというのに、代理戦争の狩り場になった第三世界の側から核抑止の熱が高まり、冷戦を争った核大国の暗黙の了解が崩れ始めている。
北朝鮮の核開発などは印パ(印パは結局お互いが滅ぶだけのアポリアと、大国による管理の決定権が成されている)の核保持より、アメリカの頭を悩ませている。

なぜなら北朝鮮は最終的に滅ぶ道を選ぶ核攻撃による報復を恐れないし、管理も国際機関の手の及ぶところにない。
北朝鮮の核開発により韓国の優位は完全に失われてしまった。
利害を考えれば冷戦崩壊後における核抑止の法則は、事実上無益であると言ってよくそのハードルは下がり続けている。

さらに皮肉なことに欧州ではロシアも含めて、核使用にいたる核戦争の現実について首脳たちや軍人たちの口から不安視され始めている。
その現実に岡崎研究所のアナリストたちは目や耳を塞いでいるのだろう。
だからこんな現実離れした文章が書けるのだ。


2. 2016年11月21日 15:53:36 : m0i0jnDRyM : IrTaty8Hu7M[6]
いつでもどこでも戦争を煽り、軍事に金を使いたい。そういう勢力を応援する記事を書くのが岡崎研究所。

3. 2016年11月21日 16:02:35 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3318]

中国やロシアなどの独裁的な大国への抑止にはなるが

現実に起こっているのは、ほとんどが不正規戦で使い道がない

つまり核はただの金食い虫だから、確率的にほとんど起こらないような、ブラックスワンの全面戦争抑止や
権力者の心理的な満足にはなっても、あまり通常は役には立たないということだ

だから、金をかけずに、情報戦での張り子のトラにするのが合理的だろう

もちろんバレタラ、意味は無いが、裏で金のかからない情報・バイオ・化学兵器などを

しっかり開発していれば特に問題はない



4. 2016年11月24日 19:16:21 : 2ATN4fbdNk : YzjwyhIBt34[33]
ここも日本会議系なんだ。

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