http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/121.html
Tweet |
「大陸間弾道ミサイル」は本当にいらないのか?
2016/11/01
岡崎研究所
元米国防長官のウィリアム・ペリーが、9月30日付のニューヨーク・タイムズ紙で、金食い虫で、最も危険な兵器であるICBMを撤廃しても、米国の核抑止に影響はない、と述べています。要旨、以下の通りです。
iStock
ICBMは冷戦時代の遺物か?
米国の核戦略の維持と増強のための予算は今後30年間で1兆ドルと見積もられ、これは多すぎる。通常戦略の維持やテロ、サイバー攻撃対策の予算を圧迫する。ICBM(大陸間弾道ミサイル)は冷戦時代の核政策の柱であったが、高くつくのみならず、偶発核戦争を招きかねない、最も危険な兵器の一つである。
冷戦時代には、ICBMは潜水艦発射ミサイルや爆撃機に比べ精度が高かったが、今日では潜水艦発射ミサイルや爆撃機はきわめて精度が高く、ICBMの保険はいらない。今、国防総省は、潜水艦に対するサイバー攻撃や無数のドローンによる探知の脅威への対処に取り組んでおり、また新しいステルス爆撃機を開発している。
米国は核兵器に過大な投資をし、新しい軍拡競争を招くのではなく、抑止に必要な水準の軍備を構築すべきである。ロシアが同様の政策をとることを勧めるべきである。米国はロシアと同等の核戦略を持つという誤った考えではなく、米国の核戦力の水準は、米国の必要に応じて決められるべきである。
米ロはすでに核軍拡競争をした。何兆ドルも支出し、間違った安全を求めた。それは一度で十分である。我々は知恵と抑制を示さなければならない。米ロ双方にとって、新しい計画を縮小することが賢明である。
出 典:William J. Perry‘Why It’s Safe to Scrap America’s ICBMs’(New York Times, September 30, 2016)
http://www.nytimes.com/2016/09/30/opinion/why-its-safe-to-scrap-americas-icbms.html?_r=0
核戦力に関しては、当初から何が十分かについて議論が行われました。しかし国の生存に関わる問題について、なかなかこれで十分であると断定できません。どうしても保険を掛けたくなります。それが冷戦中の米ソ間の核軍拡競争を招きました。
ICBM廃止は容易ではない
ペリー元長官の議論はおそらく正しいのでしょう。しかし、現実問題として核戦力の3本の柱の1本であるICBMを撤廃することは、容易ではないでしょう。ペリー元長官の言うような戦略的考慮のほかに、ICBMの利益集団もあります。カーター国防長官は、9月26日、空軍基地のあるノースダコタ州のMinotでの演説で、旧式のICBMの更新に言及しています。
ICBMの撤廃、あるいはその前段階としての縮小が真剣に検討されるとすれば、予算の制約、配分との関連においてになるでしょう。
ペリー元長官は、潜水艦に対するサイバー攻撃や無数のドローンによる探知の脅威への対処につき述べています。このような対処が、米国の核抑止力の維持に不可欠であり、ICBMの維持がそのための予算を圧迫しているとの議論が高まれば、ICBMの撤廃ないしは縮小が論じられる可能性があります。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8073
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。