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モスルからシリアへ向かう戦闘員に米国とサウジは手を出さないはずだったが、イラクが攻撃
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201610190000/
2016.10.19 05:41:55 櫻井ジャーナル
イラクのモスルからシリアのラッカへ向かっていたダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の車列をイラク軍が空爆、約30輌を破壊したという。アメリカとサウジアラビアが移動を黙認しても、イラクは違った。
2014年6月にダーイッシュがモスルを制圧した際、武装勢力はトヨタ製小型トラック「ハイラックス」を連ねて走行、自分たちの存在をアピールしていたが、アメリカ軍はそのパレードに手を出していない。アメリカにはスパイ衛星、偵察機、通信傍受、そしてエージェントによる情報網などで動きはつかんでいたはずで、知らなかったという言い訳は通用しない。今回もアメリカとサウジアラビアはモスルから脱出する戦闘員に手を出さないことにしていたようだが、イラク軍は攻撃したわけだ。
2014年3月、イラクの首相だったヌーリ・アル・マリキはアメリカの同盟国であるサウジアラビアやカタールが反政府勢力へ資金を提供していると批判、ロシアへ接近する姿勢を見せていた。そうした中、ダーイッシュが舞台の中央へ登場してきたわけだ。
4月には議会選挙があり、マリキが党首を務める法治国家連合が第1党になる。本来ならマリキが首相を続けることになるのだが、指名されなかった。アメリカ政府が介入したと見られている。マリキはペルシャ湾岸産油国を批判しただけでなく、アメリカ軍の永続的な駐留やアメリカ兵の不逮捕特権を認めなかった人物で、アメリカ支配層が危険だと考えても不思議ではない。
しかし、新しく首相になったハイデル・アル・アバディ首相もアメリカに背く。昨年9月30日にロシアがシリア政府の要請で空爆を始めると、イラクもロシアに空爆を頼みたいという意思を示した。
こうした言動にアメリカ政府は危機感を持ったのか、10月20日にジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長がイラクへ乗り込む。同議長はイラク政府からロシアへ支援要請をするなと恫喝したようだが、その後もロシア、シリア、イランとの連携は続く。
現在、シリアではアル・カイダ系武装集団やダーイッシュは崩壊寸前のようで、アメリカやサウジアラビアは約9000名の戦闘員をモスルからラッカへ移動させる腹づもりだったようだが、イラク軍の動きを見ると、どの程度の戦闘員がシリアへ行けるかは不明。シリア側でもシリア軍やロシア軍が待ち受けているはずだ。シリアへは向かわず、出身国へ戻る戦闘員も出てくるだろう。
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