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「地域支配をめぐる日中の争いの歴史は1500年前にさかのぼる。当初、双方は尊大な姿勢で相手国に臨んだという。中国側が日本を属国のように扱おうとすれば日本側も相手を侮蔑した」と説明されているが、“白村江の戦い”は、百済支配層救援(救出)に向かった倭の水軍が唐の水軍と出くわしてしまったことで起きたもので、いわゆる“元寇”も、元の使者を殺してしまった鎌倉幕府に対する懲罰的侵攻である(外来征服者である元の支配層はそれゆえ中華思想によりこだわった)。
海が隔てていることもあり、日本(列島支配者)と中国(歴代王朝)の関係は、朝鮮半島や北方及び西域そしてインドシナ半島のような支配や秩序をめぐる苛烈なせめぎ合いではなく、ほどよい距離感を維持してきた。
日本は、貿易で得られる利益を増大させるためそういう形を取った支配者もいるにはいたが、6世紀以降、知識や文物を手に入れながらも中国王朝の冊封体制に組み込まれることなくやり過ごしてきた。
その距離感が崩れたのが近代史である。アジアに他に先駆け“近代化”を遂げた日本は、アジアとりわけ北東アジアにおける中国的秩序構造へのチャレンジャーとして振る舞うようになる。
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『ニューズウィーク日本版』2016―9・13
P.10
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アジアが抱える最大の危機 それは日中関係
対立と流血を1500年続けてきた両国間の歴史がいま長く不気味な停滞期に差し掛かっている
ケリー・ブラウン(ロンドン大学キングズ・カレッジ教授)
今のアジアで最も憂慮される国家関係はどれか。武力紛争の可能性が最も高いのはどこか。
核開発を進める北朝鮮? 緊張の続くパキスタンとインド? 南シナ海での中国と周辺諸国との衝突? その延長線上の米中直接対決?
どれも由々しき問題であることは間違いない。だが歴史を振り返れば、アジアで最も危ない関係を、最も長く続けているのは、中国と日本だ。
日中関係は複雑を極めるが、問題を煮詰めれば1つの問いに集約できる。これまで何かと言えば言い争ってきた両国は、それぞれが世界の強国となった今も衝突せずにいられるのか。
歴史をたどれば、決してそうはいかない。マイアミ大学のジューン・ドライヤー教授が日中関係史をつづった新著『中華帝国と日の昇る帝国』によると、地域支配をめぐる日中の争いの歴史は1500年前にさかのぼる。当初、双方は尊大な姿勢で相手国に臨んだという。中国側が日本を属国のように扱おうとすれば日本側も相手を侮蔑した。
ただし本格的に衝突するようになったのは、19世紀後半に日本が急速に近代化してからだ。1895年の日清戦争、1905年の日露戦争での勝利は、第二次大戦で地域をのみ込むナショナリズムの前奏曲となった。
日中関係史には一定のパターンがある。温かい関係と冷たい関係の時期が交互に訪れるのだ。温かな時期の代表は、日中国交正常化が成し遂げられた70年代から80年代にかけて。90年代と2000年代半ばにも、短いながら良好な時代があった。しかし、ここ川年近くはずっと冷え込んでいる。
大国同士のせめぎ合い
現在の対立は、両国が共に経済大国になってから初めてという点が注目される。長期的に均衡の取れた持続可能な関係を結べなければ、緊張状態はより大きな危険性をはらむ。
中国側が悪感情を抱く理由の1つは、日本が侵略の歴史に向き合おうとしないという見方に基づく怒りだ。しかし圧倒的多数が戦後生まれの日本国民は、いつまでも改俊の情を求められることを不快に感じている。
逆に日本側が腹立たしいと感じるのは、70〜80年代の積極関与策で中国の近代化に協力したのに見返りが乏しいことだ。ドライヤーによると80年代には日本政府による対外援助の7剖が中国に向けられた上、技術や知識の面でも日本は大いに中国に協力した。日本の協力がなければ、中国の改革開放はあれほど迅速かつ広範に進まなかった。
日本国内ではあの積極関与という賭けは、負けだったとの見方が出始めている。中国の政治体制は変化せず、日本への感謝や友好の情も生じなかった。
それどころか中国は日本にとり、悪夢のような存在になりつつある。共産党の一党支配による強大な国家が、日本に怒りと復讐心を燃やす。しかも日本の権益を狙うかのように海軍力を増強している。
古代ギリシャの歴史家トウキュディデスは、「平和の代償」とは絶えず戦争に備えることだと言った。中国と日本は二度と衝突せず、何とかやっていくと考えるのは甘い。両国には長い争いの歴史があり、地域と両国に悲惨な結果をもたらしてきた。
従ってアメリカはアジアから撤退するなどという能天気なことも考えられない。米軍なき空白を争って日本と中国が直接対決しかねない。流血の歴史をたどってきた両国それぞれが恨みつらみを抑え、少なくとも交戦に至らないような持続的な枠組みが必要とされている。
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