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コラム:
北朝鮮、このタイミングで核実験を強行した理由
Andray Abrahamian
[12日 ロイター] - 北朝鮮が先週、5回目となる核実験の実施を決断した理由は何か。報復を受けずにすむよう、再び中国が手を打ってくれると北朝鮮が考えていたことは間違いない。
北朝鮮が1月に4回目の核実験を行った後、国連安全保障理事会は同国に対し、これまでで最も厳しい制裁決議を採択した。隣国に長年悩まされ、実質的に唯一の貿易相手国である安保理常任理事国の中国も、同決議を受け入れたように思えた。
だが、朝鮮半島に関して「不戦、不乱、無核」とする中国の基本的な立場は変わっていない。しばしば繰り返されるこれら一連の原則は偶然に並べ立てられたものではない。中国が回避したい状況を順番に示している。この中で核兵器は3番目に挙げられている。
朝鮮半島が戦争や混乱に陥った場合、難民流入や深刻な経済的苦痛といった形で、中国も矢面に立たされることになるだろう。たとえ悩ましくとも、外交によって北朝鮮の核問題に対処することができるし、またそうすべきだと、中国はずっと考えている。
2013年に北朝鮮が3回目の核実験を行って以降、中国は北朝鮮対策の一環として経済的圧力を加えることに慣れているようだが、それでも不安定化するような事態にまで追い込もうとはしない。
このように、中国は特定の措置の一部を講じている。しかし石炭に関しては、しばしば相当な抜け道を用意しているようだ。制裁後の4月と5月、北朝鮮産石炭の中国への輸入量は激減したが、6月には堅調に回復している。
北朝鮮の当局者らは3月以降、中国の公式声明や裏ルートを通じての中国当局者とのやりとりから得られる情報、そして中国に駐在する自国ビジネスマンから届けられる事実を注視していただろう。新たな制裁によって自国に科される「ニューノーマル」にうまく対処できることを理解し、中国の基本的な立場は変わらず、新たに実験を行う余地があると判断した。
実際、中国は今回の核実験を受け、協議の場に戻ることを求めたが、米国と北朝鮮は互いに受け入れられるスタート地点すら見つけることができない。米国のオバマ政権は最小限受け入れられるハードルを下げている。ケリー国務長官は9日、ジュネーブで「金正恩氏がすべきことは『非核化について話し合う用意がある』と言うことだけだ」と端的に表現したことにそれは表れている。
近い将来、北朝鮮が何らかの非核化について協議したいと思うかどうかについては、専門家の意見もやや割れている。いつかそう思うかもしれないが、当面は、米国本土に対して確かな脅威を保有することは、他に代わるものがないほど有利であると考えている。金正恩氏からしてみれば、強い立場から交渉してなぜいけないのか、といったところだろう。
北朝鮮は今回、建国記念日に核実験を実施したが、それは「なぜ今か」という疑問の真の答えにはならない。
例えば、なぜ北朝鮮は、核実験の実施を米大統領選にもっと近い日まで待てなかったのか。多くの情報で飽和状態にある有権者は、11月の本選挙までには核実験のことをほとんど忘れているだろう。
もし10月後半に核実験を行えば、共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏に、民主党のオバマ大統領とヒラリー・クリントン候補の外交戦略に対する新たな攻撃材料を与えることになる。従来の外交的慣習を無視し、極東についての知識がないように見えることを考えると、予測不可能なトランプ氏の方を、北朝鮮は好んでいるはずだ。
あるいは、急速に悪化していた中国と韓国の関係を、なぜもう少し長引かせなかったのか。北朝鮮が1月に4回目となる核実験を実施したのを受け、韓国は、自国に米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決めた。同配備をめぐっては、中国が激しく反対していることを主な理由に、韓国国内で物議を醸している。中国はTHAADを、米国が中国封じ込め戦略の一環として中国人民解放軍を標的にするとみている。
THAADをめぐって、中韓関係は数カ月で緊張状態に陥った。韓国国民は中国による何らかの経済報復を心配している。2国間のイベントはキャンセルされ、ビザ(査証)取得に関するうわさも流れている。
北朝鮮は、中国と韓国の間の険悪な雰囲気から、もし今5回目の核実験を実施するなら、このような隔たりは自国に対する協力を妨げることになると判断したのかもしれない。しかしなぜもうしばらく待って、中国のTHAADに関する発言が、さらに強硬な報復措置へと向かうかどうか見極めなかったのだろうか。そうなれば、今度は韓国で反中国の気運が高まり、両国で強力な負のサイクルが生まれかねない。今、実験を行うことで、北朝鮮は、中国と韓国の間で深刻な不協和音となりかねない問題を沈静化させるというリスクを冒している。
とはいうものの、北朝鮮が5回目の核実験を実施した日の中国国営メディア「環球時報」の論説は、核開発とTHAADを同じレベルで扱い、双方の罪の重さを同等と見なしているようだった。もしこれが中国政府の立場を本当に反映しているのなら、北朝鮮の判断は恐らく正しかったと言える。
実際のところ、北朝鮮の不透明さゆえに、このタイミングでなぜ5回目の核実験を行ったかを正確に知ることは難しい。だが、金正恩氏の下で北朝鮮が考えている長期的戦略についてはもっと明らかだ。つまりそれは、北朝鮮が、ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化と、米国本土まで届くミサイルの開発に成功する(あるいはそれに近づく)ことだ。
*筆者は豪マッコーリー大学の名誉フェロー。
http://jp.reuters.com/article/column-north-korea-nuke-test-idJPKCN11J0RB
北朝鮮核実験、大気サンプルから汚染物質検出されず=韓国
[ソウル 13日 ロイター] - 韓国の原子力安全委員会は13日、北朝鮮が9日実施した5回目の核実験後に採取した大気サンプルから放射能汚染物質は検出されなかったと明らかにした。
今後もサンプルを収集し、核実験の影響について調査を続ける方針を示した。
http://jp.reuters.com/article/norkor-nuclear-idJPKCN11J0O7
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