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中国外交のDNAに刻まれた「受動的攻撃性」
「味方か敵か」の二者択一を韓国に迫る中国の脅しは時代遅れだ
北朝鮮の潜水艦から発射されるミサイル
By ANDREW BROWNE
2016 年 8 月 31 日 14:56 JST
【上海】韓国が「ミサイルの盾」を構築するのに、これ以上に抗しがたい理由が他にあるだろうか?
韓国は核攻撃の恐怖のなかで生きている。敵対的で常軌を逸した北朝鮮は、韓国の首都ソウルを「火の海」にすると何度も脅してきた。今月は潜水艦からのミサイル発射を成功させたばかりだ。これまでに合計5回の核実験を実施し、弾頭を改良しようとしている。
それでも中国は、米国が開発した最新迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備方針を決定した韓国を厳しく非難した。中国を包囲しようとする米国の広範な策略の一環だとみなしているからだ。中国の邱国洪駐韓大使は以前、中国の玄関先にそれを配備すれば中韓関係は「即座に」破壊されるだろうと警告した。
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かくして、韓国政府はどうやら厄介な選択に直面している。韓国は自国民を核のハルマゲドン(最終決戦)から防衛する措置を講じるか、あるいは巨大な隣国で最大の貿易相手国である中国との友好関係を堅持するか、どちらかの選択に迫られている。両方選択することはできない。
それは「白か黒か」、「われわれの味方か敵か」というアプローチだ。東アジア地域のトップ外交官の一人、シンガポール外務省のビラハリ・カウシカン特使の表現を借りれば、それは「東アジアにおける中国の受動攻撃的な外交(訳注:消極的な形ながら、不満や怒りといった攻撃性を示す外交)」の典型例だ。
カウシカン氏が今年行った講演で述べたように、中国の戦略は、「偽りのジレンマ(訳注:非論理的誤謬の一種で、実際には他にも選択肢があるのに2つの選択肢しか考慮できない状況)」に近隣国を追い込むことだ。
戦争ゲームというより心理ゲーム
アジアの近隣諸国に対する中国のメッセージはシンプルだ。これらの国々が独り立ちするなら(とりわけ米国との協力のなかでそうする場合)、中国からの貿易や投資や援助の恩恵はリスクにさらされるというものだ。これが、中国の望みに従う以外に選択肢がないと納得させようとする手法だ。究極的には、中国が欲することは、中国自身の地域的な優越性だ。
こうしたいわく言い難い微妙な圧力は、欧州におけるロシアのプーチン大統領のむき出しの好戦性とは全く違う。たとえ中国が世界最強クラスの軍事力を急速に構築したとしてもだ。これは戦争ゲームというよりも心理ゲームだ。それは、東アジア地域の政治家たちが中国支配の必然性を受け入れ、それに応じて自らの選択を行うような思考に仕向けるものだ。
中国の外交官たちは、いわば原告の言葉を駆使して、他国の罪悪感をもてあそぶ。中国に非協力的な国の政府は、13億人以上の中国国民の「感情を害した」と糾弾されることがしばしばだ。
カウシカン氏は講演でこう語った。「これは、皆さんに不快な思いをさせる狙いがある。皆さんは、かくも多くの人々の気持ちを害することを真に不快に感じる人間であるに違いないからだ。それは同時に、大国(中国)の機嫌を損ねることに対する見え透いた警告だ」と。
シンガポールはこの種の感情的な脅迫の標的に特になりやすい。シンガポールは中国系が人口の過半数を占めている。このため、中国はこの都市国家が中国に従うようになるのは自然の流れだと期待している。ところがシンガポールはそうしない。
中国の脅しに沈黙する東南アジア
東南アジアの他の国は中国の脅しにおびえて沈黙してしまった。例えばフィリピンは、南シナ海における中国の包括的な領有権主張に異議を唱えてハーグの仲裁裁判所に提訴し、画期的な勝利を収めたばかりだが、現在はこの評決を脇に置いて、投資の見返りに中国政府と取引する用意があるかに見える。
地域的な「二分法」(つまり、前出の「偽りのジレンマ」)をめぐって長年ひどく苦悶している国はオーストラリアだ。一方で安全保障を探求しており、他方で中国から得られる経済的な恩恵を求めている。オーストラリアは鉄鉱石などの中国向け輸出に大きく依存している一方で、米国との同盟の重要性を強調している。これに対し、有力な鉱山業界の大物や著名な学者たちは、中国とうまく順応していくことを主張している。一部には、東アジアの広範囲を中国の影響下に置くことを認めるグランドバーゲン(壮大な取り決め)をしたらどうかと提案する向きもいる。
東アジア地域の苦悩は、大統領選挙の年である米国の国内政治により、軽減されるどころかかえって助長されている。米国の有権者たちは自由貿易に極めて懐疑的であり、それは民主、共和両党の大統領候補の政策綱領に反映されている。
貿易は中国皇帝からの贈り物にあらず
中国は、韓国が「ミサイルの盾」を実際に配備した場合の具体的な報復内容を明らかにしていない。しかし、中国の不快感の表明を受けて、韓国当局は動揺している。中国は貿易を外交上の武器として使う。2010年、中国の漁船が日本の海上保安庁の巡視船に衝突するなど、日中のにらみ合いが激化した時、中国は日本のハイテクメーカーにとって不可欠なレアアース(希土類)の対日輸出を事実上停止させた。韓国政府が今年7月にTHAAD配備計画を発表した時は、中国はKポップ歌手らのビザ発給を阻止した。
受動的な攻撃性は、中国の外交政策のDNAに組み込まれている。伝統的に、中国は自らを「善意ある帝国」と考えるのを好んだ。近隣諸国に対して、栄光ある文明の恩恵のほか、富を施していると考えたのだ。ただ、落とし穴があった。これらの近隣諸国はまず、地域的階層における中国の優越性を認めなければならなかった。
歴史は進んだ。中国は今なお地域的な大国だが、それは平等な主権国家のなかの一国にすぎない。相互依存している地域的経済のなかで、貿易を現代の中国皇帝からの贈り物だと考えるのはばかげているのだ。
カウシカン氏が説いているように、安全保障か経済的繁栄かという択一的な選択を中国の近隣諸国が受け入れることは、東アジアの新しい均衡に向けた選択肢を早計に閉ざすことである。同氏は「この地域が中国を必要としているのと同程度に、中国はこの地域を必要としているのだ」と述べている。
(筆者のアンドリュー・ブラウンはWSJ中国担当コラムニスト)
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【スクープ最前線】米軍、尖閣周辺に強襲揚陸艦投入で中国威嚇 習政権はG20で大恥も
8.31
中国が焦燥感に駆られている。アジアでの軍事的覇権を強め、沖縄県・尖閣諸島の強奪もチラつかせていたが、先週の日中韓外相会談では一転、隣国との協調姿勢を演出したのだ。9月に中国・杭州で主催する、G20(20カ国・地域)首脳会議を成功させる思惑だけでなく、米軍が東シナ海などに展開させた強襲揚陸艦や攻撃型原子力潜水艦の存在も大きいようだ。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。
米国が「新たな軍事作戦」に踏み切った。これを受けて、習近平国家主席率いる中国は「米国が軍事衝突を決意した」と震え上がっている。
中国共産党機関紙、人民日報の情報サイト「人民網」は17日、概略以下のように報じた。
《米軍は、東シナ海の尖閣諸島(周辺海域)に、強襲揚陸艦『ボノム・リシャール』を投入した。最近、同海域に武装警備船や漁船を大挙して派遣している中国に、圧力をかけるのが狙いとみられる》
《ボノム・リシャールは6日、母港の長崎県・米海軍佐世保基地を出航し、14日からパトロールに入った。日米両国は昨年、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を再改定し、尖閣などを防衛範囲に含めた》
米軍がついに、わが国固有の領土・尖閣諸島を防衛するために、最強艦船を投入した。安倍晋三首相が実現させた、日米同盟強化の証だろう。
世界最大級の強襲揚陸艦であるボノム・リシャールは、全長257メートル、全幅34メートル、排水量約4万トン。「動きまわる軍事基地」の異名で恐れられている。
強襲輸送ヘリCH−46や、直離着陸戦闘機AV−8BハリアーII、新型輸送機オスプレイ、LCAC(エア・クッション型揚陸艇)などを搭載する。約2000人の海兵隊員を収納可能で、ヘリコプターとLCACなどを使って、兵員と戦車などを一気に揚陸させることができる。
自衛隊関係者は「斬り込み隊長役を務める強襲揚陸艦の中で、ボノム・リシャールは最強だ。万が一の場合、尖閣にも瞬時に海兵隊を展開できる。すさまじい戦闘力で敵を制圧する。中国の空母『遼寧』などハリボテで話にならない」と語る。
中国は今月に入って、尖閣周辺の接続水域や領海に、公船や海上民兵が乗り込んでいるという約300隻もの漁船を侵入させた。東シナ海は開戦前夜の緊張状態となり、「8月15日、尖閣上陸」情報まで流れた。
ところが、ボノム・リシャールが14日に尖閣周辺に展開する直前(=12日ごろ)、漁船の大半が姿を消した。防衛省幹部は「強襲揚陸艦の出動を知り、逃げ出したという情報がある」という。
米軍の軍事作戦はこれだけではない。以下、複数の米情報当局、米軍関係者から得た衝撃情報だ。
「朝鮮日報は27日、『米軍の攻撃型原潜が、北朝鮮の潜水艦基地に近い公海まで隠密裏に潜入し、北朝鮮の潜水艦を監視・追跡作戦を展開していた』と報じた。実は米軍は、中国の潜水艦にも同様の作戦を行っていた。百戦百勝。相手にならない。中国の潜水艦は籠(かご)の中の哀れな鳥だ」
ご承知の通り、中国は9月初旬、国家の威信をかけて、浙江省杭州で初の議長国としてG20首脳会議を開催する。失敗すれば、習氏の失脚は免れない。G20成功のため、中国は参加国に「テーマは経済問題に絞る」といい、中国が袋だたきになる南シナ海と東シナ海の問題は取り上げないように、必死で根回ししている。実態は土下座外交に近い。
岸田文雄外相は24日、都内で中国の王毅外相と個別会談を行った。谷内正太郎国家安全保障局長は25日、北京で中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)国務委員と、李克強首相と連続会談した。いずれも中国は協調姿勢を演出したが、G20で前出の議題を回避したかったからだ。
だが、米国は強気だ。外務省関係者がいう。
「米国とフランスはG20で、南シナ海と東シナ海の問題を取り上げる意向だ。米仏は、南シナ海で『航行の自由』作戦を決行することでも合意している。習氏は大恥をかく。『親中政策』の見直しを進めているテリーザ・メイ首相率いる英国が、米仏に同調し始めている」
中国は孤立している。習氏は崖っぷちに立たされている。
言わせていただく。日本は中国と取引などしてはならない。毅然たる態度で、東シナ海や南シナ海の問題を議論すべきだ。それなくしてG20の存在意義などない。
■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/print/20160831/frn1608311140001-c.htm
中国主席と最後の膝詰め談判へ=「南シナ海」など協議―米大統領
時事通信 8月31日(水)7時16分配信
【ワシントン時事】オバマ米大統領は9月3日に中国・杭州で予定されている習近平国家主席との会談で、緊張が高まる南シナ海の領有権問題など2009年1月の就任から現在までの米中関係の重要懸案を総括的に取り上げる。
少人数の夕食会も予定されており、来年1月に任期を終えるオバマ氏にとって、最後の膝詰め談判となる。
ローズ大統領副補佐官(戦略広報担当)は29日の記者会見で、両首脳は協力分野として、気候変動問題や北朝鮮の核・ミサイル開発問題への対応などを協議すると説明。その上で「(中国による)サイバー攻撃や米側が懸念する経済活動、人権問題」を提起すると語った。
米中首脳会談の日程は中国主導で決まった。米中外交筋は「9月4日から杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の前に米中首脳会談を終わらせ、南シナ海問題など懸案事項を封じ込める戦術」とみる。
報道によると、米中両国は地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」の批准を同時に発表する方向で調整している。温室効果ガスの総排出量で世界全体の約38%を占める米中の協力を演出し、オバマ大統領に花を持たせる可能性もある。
オバマ氏は訪中後、5日から米大統領として初めてラオスを訪問し、東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の首脳会合に出席。習主席との会談を踏まえて、フィリピンのドゥテルテ大統領と南シナ海問題への対応などについて意見交換する。
オバマ大統領はラオスのビエンチャンで、自身が掲げてきたアジア太平洋へのリバランス(再均衡)政策の成果を強調する演説を行う。ローズ副補佐官によると、大統領はこの中で、早期発効が悲観視されている環太平洋連携協定(TPP)の重要性と早期批准を強く訴える見通しだ。
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最終更新:8月31日(水)11時34分
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6212850
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