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中国の「南シナ海」判決無視には強硬な対応を
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160813-00010000-wedge-int
Wedge 8月13日(土)12時10分配信
米下院軍事委員会シーパワー・戦力投射小委員会のランディ・フォーブス委員長(共和党)が、National Interest誌ウェブサイトに7月12日付で「ハーグは中国に対し判決を下した。それを執行する時である」との論説を寄せ、南シナ海仲裁裁判所の判決を中国が無視すれば、強硬に対応すべし、と論じています。フォーブスの論旨、次の通り。
■力は正義と考える北京
7月12日の比・中間の領土紛争についての仲裁裁判所の判決は、中国がどう反応するかによって、アジアの安全保障と戦後のリベラルな国際秩序のあり方に大きな影響を与える。第2次大戦後、米などは紛争の平和的解決、国際法順守、強制力の使用を拒否する国際的枠組みを作ってきた。この秩序は中国とアジア・太平洋の繁栄に力強く貢献した。
中国は「責任ある利害関係者」になりたいと言ってきたが、中国の最近の行動はソ連崩壊後、この秩序に対する最も深刻な脅威になっている。中国の経済力、拡大する軍事力、常に他国の侵略意図の被害者であったとの主張は、国際システムに特に困難な問題を提起する。東シナ海から南シナ海、インドとの陸上国境において、中国は力により現場の状況を変えようとしている。南シナ海での人口島建設、東シナ海での不法な防空識別圏設定、インドのアルナチャル・プラデッシュでの挑発など、領土問題が先鋭化している。北京は国際政治では「力は正義」との考え方をとっていることを示してきた。
判決は北京への基本的な叱責である。フィリピンが海洋法の裁判所に提訴したことは、戦後世界で米やパートナーを活気づけた原則や価値と軌を一つにしている。小さなフィリピンが巨大な中国に対し、国際法に基づき訴訟を起こし成功することは、中国の元外相の中国の行動を正当化する有名な発言、「中国は大きな国で、他の国は小さな国である。これは事実である」に対する反論でもある。
中国がこの判決を無視すれば、中国は国際社会の建設的メンバーとして行動するとの約束の空虚さを一挙に示すことになる。しかしそれは同時に、世界第2の経済力、最大の軍を持つ国が、紛争の平和的解決を含むリベラルな国際秩序を公に反駁し、国際秩序自体に大きな脅威を与えることになる。国際安全保障への影響は大きい。米は中国による判決の拒否、あるいはマニラとの紛争の軍事的解決追求に対し、準備し、強い決意をする時である。最近、2個の空母打撃群を地域に送ったのは適切であった。もし中国が思慮のない行動をすれば、米は同盟国の側に立ち、侵略に抵抗し、我々の価値を守ることに何の疑問もないようにすべきである。
この判決は戦後の国際秩序の価値と中国の修正主義の衝突という点で、中国の台頭の歴史の屈折点である。中国がどう反応するかは中国の問題である。しかし米はただ一つの選択肢しか持たない。フィリピンや地域の友人と共に、普遍的価値および軍やGDPの規模にかかわらずどの国も法の上に立たないとの信念を擁護するということである。
出典:J. Randy Forbes,‘The Hague Has Ruled against China. Time to Enforce It.’(National Interest、July 12, 2016)
今回のフィリピンと中国の紛争に関する仲裁裁判所の判決は、中国の南シナ海でのいわゆる9段線に基づく管轄権主張を国際法上根拠がないと断じ、人工島を基盤にEEZなどの海洋権益を主張することはできないとしています。
この判決は比と中国との係争にかかわるだけではなく、南シナ海での中国の主張を全体的に否定するものです。また、航行の自由など、比以外の国、国際社会全体の利益にもかかわるものです。
■国際秩序への挑戦
さらに、この論説でフォーブスが論じているように、中国がどうするかは中国の国際法に対する姿勢、ひいては国際秩序に対する姿勢を判断する大きな材料になります。中国は、判決の受け入れを拒否し、南シナ海は歴史的に中国の領土という議論を展開し、比に働きかけてこの仲裁判断のインパクトを弱め、問題を矮小化しようとするでしょう。それが成功するか否かは、比の対応もさることながら、米、日、越、印、さらに欧州諸国が今後どういう対応をしていくかによります。
この判決を無視することは現在の国際法秩序に挑戦することです、紛争の平和的解決の原則に反するものであるとして、議論をしていくことが肝要です。それがこの地域で「力ではなく、ルールによる国際秩序」を守っていくために必要であり、中国による「拡張主義」を抑えていくことにつながるでしょう。
この判決で好都合な機会が出てきたと思われます。十全にこの機会を利用すべきです。中国が反発し、南シナ海でADIZ設定をするような場合、直ちにそれを無効化するような行動を取るべきです。緊張の激化を恐れると、より悪い緊張が出てくるでしょう。
岡崎研究所
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