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兵器商売ほど素敵な商売はない ウェポンズ“R”アス(だが人は決して知ることはない)
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2016年8月 7日 マスコミに載らない海外記事
ウィリアム・D・ハータング
TomDispatch
2016年7月26日
アメリカ企業が、年間700億ドル以上の価値がある世界市場を支配している場合、それについて話を聞かされるはずだ。世界の武器貿易の場合、そうではない。たいてい、事業の状況にかかわる年次統計が発表される頃、主流マスコミに、年一、二本の記事がせいぜいだ。
武器貿易について、誰も書かないというわけではない。例えば、サウジアラビアに対するクラスター爆弾や、シリア国内のアメリカ同盟者に対する、破壊的な兵器の供与や、高価な議論の的になるF-35戦闘機の外国への販売を含め、アメリカの兵器移転の影響に触れた記事が時折見られる。時に、外国指導者が大統領と会談すれば、彼なり彼女なりの国への、アメリカ武器輸出は、一つや、二つ記事になる。だが、アメリカ武器貿易の規模そのものや、それを動かす政治、それによって儲ける企業や、その世界的な破壊的影響は、滅多に論じられることはなく、まして多少とも詳しく分析されることはない。
長年私が不思議に思っている疑問がある(実は私はちょっとした兵器オタクだ): 一体なぜ、他の主要アメリカ輸出品目- ハリウッド映画から、中西部の穀物輸出、さらにはボーイング航空機にいたるまで - 定期的に報道されるのに、武器輸出動向は、比較的知られないままなのだろう? 世界最大の武器商人として、傑出していることが恥ずかしいのだろうか、それとも、ウェポンズ“R”アスの役割が、余り当たり前になりすぎて、死や税金のように、当然当のものとして受け止めているのだろうか?
数値には、誰しも驚こう。議会調査局の最新の数値によれば、完全な統計が得られる一番新しい年度、2014年、全世界における武器移転協定価格の半分以上が、アメリカ合州国の実績だ。14%で、世界二位の供給国ロシアは、遙かに及ばない。この分野における、アメリカ政府の“優位”は実際、不動だ。アメリカの比率は、過去二十年間、世界市場の三分の一から、二分の一の間で振れており、販売された全兵器のうち、ほぼ独占的な70%だった2011年がピークだ。しかも、ゴールド・ラッシュは続いている。婉曲的に国防安全保障協力局DSCAという名前で知られているペンタゴンの兵器販売機関を指揮するジョー・リクシー海軍中将は、ペンタゴンが促進した兵器売買は、2015年には、460億ドルに達し、2016年には、400億ドルの達成に順調に向かっていると推計している。
完全に正確にいえば、この動向にとりわけ注目している人々の集団がある - この成長市場で儲けている軍需企業の幹部連中だ。ペンタゴンと関係諸機関と、年間“わずか”約6000億ドル - 歴史的な基準からすれば、大した金額だが、軍需産業が望んだものよりは何百億ドルか少なかった - ロッキード・マーチン、レイセオンやゼネラル・ダイナミクスなどの企業は、新たな主要収入源として、世界市場に期待している。
例えば、2015年1月、投資家質問で、ロッキード・マーチンCEOのマリリン・ヒューソンは、オバマ政権と他の五大国が仲介したイラン核協定は中東の緊張を緩和し、この地域への武器輸出を増やすという同社の戦略をだめにするのではないかという質問を受けた。中東でも、アジアでも、“不安定さ”が続くので、この地域は、予期しうる将来“成長地域”だと彼女は答えた。言い換えれば、心配ないのだ。世界が戦争をしていたり、その瀬戸際にあったりする限り、ロッキード・マーチンの利益は損なわれることなく - そして、もちろん、同社製品は、いかなる、そうした“不安定さ”も、実際致死的となるのを証明するのに役立つのだ。
ヒューソンのもと、ロッキードは、少なくとも同社収入の25%を、兵器輸出で得るという目標を立てているが、ボーイングは、同社を超えている。ボーイング社は、海外兵器販売を、同社事業の30%にしようとしている。
中東からの良いニュース(もし、あなたが兵器メーカーであれば)
兵器売買は、アメリカ政府では、生活の一部だ。大統領以下全員、政権のかなりの部分が、アメリカ兵器が世界市場に溢れ、ロッキードやボーイングのような企業が繁栄できるよう注力している。大統領の海外同盟国の指導者訪問や、国務長官や国防長官から、アメリカ大使館職員に至るまで、アメリカ高官たちは常に、兵器企業の営業担当として活動している。そして、ペンタゴンは彼らenabler。仲介から、推進、そして、文字通り、兵器売買によるお金を運用したり、納税者のお金で、お気に入りの同盟者に対した兵器移転したりすることに至るまで、ペンタゴンは本質的に世界最大の武器商人なのだ。
典型的な商談では、アメリカ政府が、あらゆる段階で間与する。同盟国に何が“必要か”を教えてあげられるよう、ペンタゴンが、同盟国国軍の評価することが良くあるが、もちろん、そうした場合、かならずや、アメリカが供給する何十億ドルもの新装備が必要だということになる。すると、ペンタゴンは取り引き条件交渉を支援し、議会に詳細を伝え、外国の購入国の予算をまとめさせ、それを防衛契約という形で、アメリカ・メーカーに与えるのだ。大半の契約で、ペンタゴンは、アメリカが供給するあらゆるシステムの保守や保守部品の連絡窓口でもある。こうしたこと全てを実現するのを支援している官庁、国防安全保障協力局DSCAは、同局が交渉する取り引きに対する3.5%の手数料が財源だ。これが、売れ、売れ、売れという強力な刺激剤になっているのだ。
また、兵器企業は、企業の製造施設を、できるだけ多くの州や地方に配置するように配慮していることもあって、似たような更なる圧力も強力だ。このようにして、各社はensure大規模兵器販売に対する、政府による推進という無限の支援が、国内政治における不可欠な部分になるよう努力している。
たとえば、ゼネラル・ダイナミクス社は、オハイオ州とミシガン州の戦車工場が稼働継続できるよう、陸軍予算上乗せを組み合わせるのに成功し - ペンタゴンが戦車を要求しなかったにもかかわらず、議会によって、財源が予算に追加され- サウジアラビアに輸出した。ボーイング社は、セント・ルイスの製造ラインを稼働し続けるため、40機のF-18をクウェートに販売する商談案(左の写真)を当てにしており、商談を更に促進させるため、現在、オバマ政権と駆け引きしている。そうした州の議員や地方財界幹部が、兵器輸出の強力な支持者になるのも驚くべきことではない。
そういう風に考えられることはまれだが、アメリカの政治体制は、第1級の世界的兵器配給体制でもある。この文脈で、オバマ政権は兵器輸出企業にとって、良き友人であることを証明している。オバマ大統領最初の6年の任期中に、アメリカ政府は1900億ドル以上の兵器を全世界に売る契約を締結した - 第二次世界大戦以来のどのアメリカ政権よりも多い。更に、チーム・オバマは、武器輸出規制を緩和し- ブラック・ホークや、ヒューイ・ヘリコプターや、C-17輸送機エンジンを含む様々な兵器や兵器部品を - これまで要求されていた精査より、ずっとゆるいもので、海外に輸出することを可能にした。
これは、何十年も、そうした変化を強く要求しながら、ほとんど成功しなかった業界にとっては良いニュースだ。しかし規制緩和は、武器密輸業者や、人権侵害をする連中が、アメリカ兵器を入手するのを容易にする可能性も高い. 例えば、アルゼンチンやブルガリアから、ルーマニアやトルコに到る36のアメリカ同盟諸国は、アメリカ合州国から、兵器や兵器部品輸入するのに、もはや国務省の許可証が不要なのだ。これにより、密輸ネットワークが、そうした国々に、フロント企業を設立して、後でイランや中国のような第三国に引き渡せる、アメリカ兵器や兵器部品を入手するのが、より容易になる。既に日常茶飯事ではあるが、新たな規制の下では、益々増えるばかりとなろう。
オバマ政権が、武器輸出業者を支援すべく、進んで全力を尽くしてきた度合いは、政権の輸出“改革”に関する2013年の公聴会で実証された。アメリカ兵器輸出を推進するために時代の精神を捉えた当時の国務省政治軍事事務局次官補代理トム・ケリーは、政権は十分やっているのかと質問された際、こう答えた
“[我々は] 我が国の企業を支持し、こうした販売が必ずまとまるよう、できる限りのあらゆることを… しかも、我々は基本的に世界のあらゆる大陸で、日々それにつとめており、… より良い方法はないかと常時考えています。”
オバマ政権とペンタゴンの支援を得て、兵器産業が最近非常に好調な場所は中東だ。F-15戦闘機やアパッチ攻撃ヘリコプターから、戦艦やミサイル防衛システムに到るまで、ありとあらゆるもので、サウジアラビアへの兵器販売だけでも500億ドル以上の商談を、アメリカ政府は仲介した。
最も儲かったとは言えないにせよ、最も悪影響を及ぼした取り引きは、何千人もの民間人が殺害され、何百万人もの人々が飢餓にさらされるイエメンでの残虐な戦争に使うサウジアラビアへの爆弾とミサイル輸出だ。ミシガン州のジョン・コニャーズ下院議員や、コネティカット州上院議員クリス・マーフィーなどの議員たちは、少なくとも、最も致死的な兵器が、そうした場所で使用されるために、輸出されるのを阻止する法律を成立させようとしてはいるが、アメリカ政府内における、サウジアラビアの多大な影響力を克服するには至っていない(そして、もちろん、兵器産業によるものも)。
ところが、兵器ビジネスという点では、中東からの良いニュースは果てしがない。政権が提案している新たな10年間のイスラエル援助協定を例にとろう。現在の計画通りに発効すれば、アメリカの対イスラエル軍事援助は25%増大可能で - 年間約40億ドルになる。同時に、アメリカ政府援助の四分の一を、自国軍需産業の発展に使うことをイスラエルに認めていた条項を段階的に廃止する。言い換えれば、この金額全て、納税者のドル40億ドルまるまるが、今度は直接イスラエルに、F-35を販売する数十億ドルの契約をまとめようとしているロッキード・マーチンのような企業の金庫に流れ込むことになる。
アジアとヨーロッパの“不安定さ”
ただし、ロッキード・マーチン社のマリリン・ヒューソンが述べているように、同社や同業企業にとって、中東だけが唯一の成長分野ではない。南シナ海支配を巡る中国と近隣諸国間の紛争(様々な意味において、中国、あるいはアメリカ合州国のいずれが、太平洋のこの部分を支配するかを巡る初期的な紛争)で、ワシントンの東アジア同盟諸国に対する、アメリカ戦艦や他の軍装備品の販売という点で、新たな展望が開けた。最近のハーグ仲裁裁判所の裁定が、こうした海域に対する中国の主張を否定したことで(そして、中国はそれを拒絶し)、地域における武器購入のペースがあがる可能性が極めて高い。
同時に、良いニュースに果てしがない省では、北朝鮮の核開発計画に対する懸念の増大が、アメリカが提供するミサイル防衛システムへの需要をかき立てた。韓国は、実際、ロッキード・マーチンのTHAAD対ミサイル・システム配備に合意したばかりだ。更に、長年続いてきたベトナムへのアメリカ武器輸出禁輸を終えるというオバマ政権の決定で、アメリカ企業にとって、もう一つ大きな市場が開かれる可能性が高い。過去二年だけでも、アメリカは、東アジアの同盟諸国に、150億ドル以上の兵器を販売したが、中でも、台湾、日本と韓国が、売り上げの大半を占めている。
更に、オバマ政権は、インドとの国防関係構築には、どんな苦労も惜しんでおらず、進展によって、アメリカ兵器輸出業者には恩恵が保障された。昨年、ワシントンとニュー・デリーは、10年間の防衛協定を調印したが、これには、航空機エンジンや、航空母艦設計における将来の共同事業の約束も含まれている。近年、アメリカは、伝統的にソ連、そしてロシアが支配していたインド兵器市場に、かなり食い込むようになっている。最近の契約には、ボーイングC-17輸送機販売の58億ドルや、予定されているアパッチ攻撃ヘリコプター購入にまつわる14億ドルの支援業務提供契約も含まれている。
“不安定な” ヨーロッパも忘れてはならない。イギリスの最近のBrexit投票は、アメリカの対イギリス兵器輸出に、不確定要素をもたらした。最近、ヨーロッパで、イギリスは、アメリカ兵器の実に最大の顧客で、過去二年間だけで、60億ドル以上の契約がまとまっており - つまり、アメリカが他の全てのヨーロッパ諸国に売った合計より多いのだ。
イギリスの巨大軍需企業BAEは、ロッキード・マーチンのF-35戦闘機の主要外国パートナー(右)、製品寿命中の予想コスト、1.4兆ドルは、既に史上最も高価な兵器計画となっている。もしBrexitにともなう緊縮策が、F-35契約の遅れやキャンセル(あるいは他の主要な兵器輸出)をもたらすことになれば、アメリカ兵器メーカーにとっての打撃となろう。だが、一つ期待できることがある。F-35にそういうことがおきそうな場合には、BAEロビイストが動員して、他でどのような削減が行われようと、契約を特権的なものにさせるはずだ。
救われるのは(もし読者が兵器メーカーであれば)、イギリス分のいかなる減少も、新冷戦が弾みをつけているように見える東欧と中欧における好機で相殺され、おつりがでるだろうことは確実なことだ。2014年から、2015年の間、ストックホルム国際平和研究所SIPRIによれば、地域でロシアのウクライナ介入への対応で、軍事支出は13%増えた 。ポーランドの支出増22%というのは急増だ。
こうした状況の下で、世界の武器貿易の動向は、重要なニュース話題であることは明らかで、より強力な能力の、より多くの兵器を“不安定な”地域に暮らす人々の手に渡す上で、最も責任を負う国において、そうした重要ニュースとして扱われるべきなのだ。これは怪物ビジネス(この言葉のあらゆる意味で)であり、ハリウッドのヒット作をライセンスしたり、ボーイング旅客機をもう一機販売したりするより、確実に遥かに危険な結果をもたらすのだ。
第一次世界大戦後の“死の商人”に対する反発や、1991年のペルシャ湾戦争の後の、誰がサダム・フセインに兵器を売ったかを巡る論争のようには、抑制のない武器取り引きに対する大衆抗議行動は、歴史的に滅多に行われてきていない。今でもジョン・コニャーズ、クリス・マーフィーやケンタッキー州上院議員のランド・ポールなど少数の議員、クラスター爆弾やミサイルのサウジアラビアへの販売を止めようと試み続けている。
とは言え、兵器ビジネスは、時折、マスコミの話題にする程度の価値しかないものとしか見なされておらず、その価値やら、そうしたビジネスでのアメリカ政府の位置を巡る、本当の国民的論議にはなりそうもない。当面、アメリカ合州国は、世界の武器貿易で第一位の座に留まり、ホワイト・ハウスはお役目を果たし、ペンタゴンは事を円滑に進め、利益に飢えたアメリカ軍需企業に、ドルは転がり込み続けよう。
ウィリアム・D・ハータングは、TomDispatchの常連寄稿者で、国際政策センター(Center for International Policy」)の軍事および安全保障プロジェクト(Arms and Security Projectの)理事長で、安全保障支援モニター(Security Assistance Monitor)の上級アドバイザー。彼は『戦争の予言者: ロッキード・マーチンと軍産複合体の創生』( Prophets of War: Lockheed Martin and the Making of the Military-Industrial Complex)の著者。
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